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35、前の女の子のリボンの髪留めがデカすぎて黒板が見えねぇ
しおりを挟むside悠
家に恭がいなくて、少し焦った。
そしてそれは隣にいる洸も同じだったようで、キョロキョロと部屋を見ている。
「…そーいえば、恭泊まりに行ってんだっけ」
「あー、そっか。」
こんな素っ気ないやりとりをしてから俺は笑った。
……ほんとに…恭がいないとダメになったな…
お茶を飲もうと冷蔵庫を開けてそしてまた笑ってしまった。
俺らにいつも怒ってるかわいい弟は、どうやら置いてかれたかわいそうなおにーちゃんの為に晩ご飯を作り置きしてくれていたらしい。
冷蔵庫の中には所狭しと料理やらデザートやらが並んでいて、手前のメモには「食べなかったら罰金」と書いてある。
突っ立ってる俺を不思議に思ったのか、洸もやってきて隣から冷蔵庫の中を覗いて笑った。
**
俺の世界はつまらないものだった。
何かをやれば完璧にこなせるし、周りの人間は俺の家柄と金とルックスで寄ってくる。
1年先に生まれた洸も同じようにできていたから俺が何かを完璧にやっても周りは張り付けた笑顔で驚くだけで新鮮な、俺の求めている何かはなかった。
まぁ、たかだか数年しか生きてない小学生が何言ってんだって言われるかもしれないけど。
幸い、表面上の笑顔は洸という身近なお手本を見て学んだし、人間関係でも悩んだことはない。
小学校にいる周りの奴らは俺らを遠巻きにキラキラとした目で見ていることもあったけど
それにももう慣れきっていた。
そりゃ毎日同じようなめを向けられ続けてたら慣れんだろ。
動物園の動物だってきっとこんな感じなんだろうな。
それに洸はなんだかんだぐちぐちと俺に文句を言いながらもずっと一緒にいてくれた。
2人で遊ぶ、2人で勉強する、2人でご飯を食べる。
俺らは双子ではないけど、双子と同じようなものだった。
少なくとも俺はそう思った。
ずっと2人でいる俺らを父さんは心配そうに見ることもあったけど口出しをしたことはない。
俺らの世界はそんなもんだった。
そんな時、父さんが1人の女の人を連れてきた。
再婚したい、と聞いた時はさすがに驚いた。
だって小さい頃亡くなった母さんのことが大好きだったはずだから。
仕事の合間を縫って俺らとの時間を作っていた父さんは暇さえあれば母さんがいかに可愛らしい人で完璧でいい人だったかを話した。
正直うざかった。うん。
だから再婚はないと思っていたけど、挨拶した女の人は父さんの話の中で聞いた母さんに似ていた気もしなくはない。
自分自身は別にどうでも良かったし、洸と2人で話した結果も再婚に賛成だった。
反対する理由ないし。
でも、女の人が引っ越してくる時、小さいのがおまけでくっついてくるとは思ってなかった。
今はその"おまけ"に盛大に感謝してるけど。
その時は、なんだこいつ、とまぁそんなことを思った気がする。
すぐに興味を無くしたのは言うまでもない。
だって他の奴らと同じ目を向けていたから。
羨望、憧れ、希望、とか。
それから少しの嫉妬?
あー、そういえば恭は最初から嫉妬とか負の感情はなかった気がする。
俺らだって感情を読み取るプロじゃないしそんな細かく分かるわけでもないんだけど。
まぁ、興味がそそられなかっただけで別に嫌いだったわけじゃない、と思う。
いや、正直に言うと少し嫌いだったのかもしれない。
感情がすぐに表に出る、コロコロと変わる表情は自由に生きてきた証拠だし、何より俺らが全く興味を示さなくても後ろをちょこちょこついてくる姿は媚を売る連中に似てた。
一応義弟なんだし、仲が悪いのはよくないか、なんて思って誘われた時は遊んだり勉強を教えたりしている。
真っ赤になったり焦ったりする百面相は見ていて飽きなかったし暇つぶしには良かった。
俺も洸もそう思っていた。
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