兄2人からどうにかして処女を守りたいけどどうしたものか

たかし

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39、勉強はやる気でないのに推しを見るのは元気100%

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人が幸せを感じる時はいつか。

友達といる時か。…………ノーコメントで。

家族といる時か。…………ノーコメントで。

寝てる時か。………一理ある。


まぁ幸せといえど人それぞれ違うのだろうけど、俺が幸せを感じる時間は今。NOW。現在。

美味しいケーキを頬張っている時である。


「……ほんっといい顔するよねぇ……」

ショートケーキにチョコレートケーキ、タルト、ムース、ドライケーキ、パイ、アイス、和菓子、ミルフィーユ、マカロン………

ここは夢の国か。


予約をして高いお金を払うだけの価値は十分ある。

だって美味しいんだもの。

「うんまぁ!さすが恭のおすすめの店だね!やっぱり来て正解っ!」

「サクヤ…恭ちゃん聞いてないから。もう見てみ。夢の世界へレッツゴーしてる。完全にケーキと2人っきりでランデブーだよ。」


男が甘党はドン引きだって?

ふざけんなし。甘いものは世界を救うんだからな。俺はこれを食べてるだけで胸がいっぱい幸せだわ。

男が食おうが女が食おうが変わらんだろ。

さっきから店内でチラチラ見られてるのは多分気のせいじゃない。

今までおしゃれでケーキの美味しいお店を回ってきた身としては慣れっこだ。

男3人で可愛らしいお洒落な女の子ばかりいるお店にいたら気になるだろう。

「恭ちゃーん、ラスト30分ダヨ~。食べれるだけ食べろ~」

「もうそんな時間?」

てことはかれこれ1時間は食べてることになる。

1番高い1時間半コースを頼んだんだから。


「あの~………すみません……」

「ふぁい?」

口にタルトを詰め込んでいるところで(ちゃんと味わっています)女の子2人組に声をかけられた。

とっさにサクヤとトモが警戒態勢に移行する。
俺は気づかなかったけど。

後から聞いた話、2人は牽制してるんだと。
意味分からん。

「あのっ……"恭ちゃん"ですよねっ!!」

「え、あ、はい。そうですけど……あったことありますか…?」

ただでさえクラスメイト以外の女子なんて同じ顔に見えるのに、分かるはずもない。

ハツラツとしたショートカットの子と、穏やかそうなセミロングの髪の女の子。

うーん……分からん…。

「やっぱり!!えっと私たち、ファンです!!」

「………んんん?!」

ファン?ふぁん?FUN?

マジ?俺そんな有名?……えっなんだよっちょっと照れるじゃんかよっ

「漫画いつも読んでます!こんなところでする話じゃないかもしれないですけど…」

「ありが…………まんが…?」

待って。めっちゃ嫌な予感すんの俺だけ?

「あの神作品にモデルの兄弟がいるとは聞いてたんですけど、まんまの人が隣の席にいたので抑えられなくて……っ」

「ちょ、ちょ、ちょっとストップしよう。漫画ってもしかして」

もしかしなくてもアレだよな。

昨日から今日の朝にかけて読まされたやつ。
目の前で優雅にお茶を飲んでるこの2人が描いたって言う同人誌。

「はい!この前ネットの口コミで見て、それからハマっちゃって…こっちの友達なんてすっかり腐女子の沼にドボンですよっ!」

「うん。えっと、ご愁傷様?それともおめでとう?」

「はいはーい。それ描いたの俺ら!」

「俺らっていうか、僕でしょ。トモはほとんどトーン貼りしかしてないじゃん」

「う、嘘っ……伝説の"みるく"様っ?!」

おい、ネーミングセンス。

「待って!あのマジでファンです!いつも神な作品ありがとうございますっっ!!生きがいにしてます!!」

生きがいにすんな。現実を見ろ……

てか自分の実体験じゃないとはいえあんな痴態を見られてるの?!

クッソ恥ずかしいんだが?!

「ネタ提供者がー、全然仕事してくんないから新刊はちょっと難航してんだよね……」

「俺のせいにすんな」

ニヤッと笑ってこちらをチラ見するサクヤの目はクソ野郎の目だと俺は思います。

シラーっとした目で見つめ返していると、ガシッと両手を取られた。

「大丈夫です!男同士の偏見なんて持ってる人、もう全然この世にいませんから!存分にいちゃついてください!そしてその近況をみるく様の新刊で私たちに教えてください!アレがないと私、もう生きていけないんです!」

「わっ私も!次の新刊楽しみにしてるんで頑張ってください!」

「うん、落ち着こう?ツッコミが渋滞しててちょっと混乱中だわ。そもそも付き合ってることになってんの?ん?」

「えーそんなこと言われたら僕頑張っちゃうよぉ!新刊早く出せるように頑張るねっ!」

頑張るな。そして俺の話を無視すんな。

「あっ、お嬢さん方よければ公式のSNSアカウント、フォローしない?顔出しはそんなしてないけど近況とか萌画像とかいっぱい配信してるよ」

「「します!!」」

「おい待て。聞いてないんだけど。おい。目をそらすな。こっち向け。そして説明しろ」

「ありがとうございます!!これで毎日生きていけますっ!」

「応援ありがとねぇ!」

仲良さげに手を振って別れている目の前の男女に、俺は見えていないのか。

いやマジでなんなの。

どうせ俺がツッコもうが通報しようが何しようがこいつらには響かないのは百も承知だ。

大きなため息をついてザクッとケーキにフォークを突き刺した。


俺にはまだ糖分が必要なようだ。
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