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17. ますます深まる謎
しおりを挟む行きよりもだいぶ重く感じる足を引き摺るようにして駐車場へと辿り着くと、まだ多くの外来患者の車が出入りしていた。
車に乗り込み、いつもは掛けないドアロックを掛ける。絶対にありえないのに、姉が追いかけて来て車に乗り込んで来るような気がしたからだ。
広い駐車場にはまだ空きスペースがたくさんあるから、まだ少しくらいここで居ても邪魔にはならないだろう。
大いに混乱した頭を整理してから車を出そうと、ハンドルに突っ伏す。
姉さんと会ってから、ますます分からない事が増えた。
「姉さんは新一さんに騙されたのかも知れないと言ってた」
姉に会って分かった事を口にしてみる。
「新一さんが愛人とあのアパートで過ごす為に、姉さんを騙して入院させた? でも、ここなら安全って……姉さんは一体何から逃げているんだろう?」
母によれば、そもそも姉さんは仕事のストレスで双極性障害を発症したのではなかったか。
あれほど条件がいいと自慢していた職場を、辞めたいと思う程の事があったはずだ。
けれど、何故それに関して一言も話そうとしなかったのだろう。
母には話せても、あれ程自慢していた手前私には話し辛かったとか?
「いや、単に新一さんの事で頭がいっぱいだったのかも知れない」
些かの違和感を感じたものの、やっぱりこれ以上は何も分からない気がした。
もっと事情を知るにはまた姉のところを訪れる必要がありそうだ。新一に聞きたい事も出来た。夜にでも電話で話してみよう。
エンジンをかけて駐車場を後にする。実家に向かい、母に退職日の事を話さないといけない。
そしてその日までは何とかカナちゃんを見てもらえるように頼まないと。
姉の事にしてもどの程度入院になるのか分からないし、娘が精神科の閉鎖病棟に入院していると聞けばあの両親は荒れるだろう。
だからまだ今は話すのをやめておく。
来る時に見た青い看板を尻目に、カナちゃんの待つ実家に向かう為、来た時と反対側にハンドルを切った。
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