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精神隷属器
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地下保管庫に向かう道中。自分たちの足音と、呼吸音。時々水滴の落ちる音だけが耳に届く。手持ちランタンだけが、修也にとっての唯一の道標だった。
「図書館にこんな地下室があるなんて、ルーネッタは知ってた?」
「いえ、アタシも初めて知りました……地下で本や魔道具を所蔵するとダメになりやすいって聞いたことあるので、造ってないと思ったんですけど」
「……いや、この辺に通気口がある。風を流して湿気が留まらないようにしてるみたいだ」
さらに数分かけて修也たちは更に奥に進んでいった。
「やっと最後の階段、っと」
「うわ……なんだこれ……?」
石造りの堅牢な地下室。部屋全体に紙束が散らばっていて、卓上では暗褐色の液体がガラス瓶に入れられ、紫色の炎で熱されてゴポゴポと沸騰している。真鍮の容器に入った粉末を撹拌するために、メノウの棒がぐるぐると歯車仕掛けで回されている。広大な実験室を連想させた。
「何処かの研究室……?」
「――何じゃオヌシら。儂らの研究を邪魔立てするつもりか?」
背後からの声に、思わず修也はビクリと身を竦ませる。振り返ると、真っ黒なフード付きローブを被った何者かが居た。彼らよりも背は低く、顔の様子を伺うことはできない。
「司書のシャーロットさんから聞いて、ココに来ちゃって」
「司書? 嗚呼、図書館の方から降りてきたのか……ヴァイス国の者ということじゃな?」
こちらの出自に対して何やら怒っている様だ、と修也はその声色から推測する。ルーネッタは、あくまで危害を加えるつもりはないと要件だけを語った。
「『世界を渡り歩く呪文』について知りたいんですっ!」
「ほぅ? こちらの研究を潰しに来た、という訳ではなさそうじゃな……しかし、儂の検知網を搔い潜って来たという時点でただで帰す訳にはいかんのじゃよ」
不法に地下保管庫を占拠している輩が居る可能性は、シャーロットからも聞いていたが。修也を庇うように、彼女は剣を抜いて前に出る。
「あなたの邪魔をするつもりはありません。用が終われば、あなたの存在を口外する事もない。ただ呪文書を持って帰るだけです!」
「……その装備、ヴァイス国騎士団の者じゃな? オヌシらの言うことなぞ、どう信じろというのじゃ! ワシらの国はお前らに滅ぼされたのじゃぞッ!?」
シャーロットの鎧を見て、黒コートは却って激高したかのような声色になる。相手は懐から手のひらサイズの一つの函を取り出し、カチリとスイッチを押した。地下室の床が緑色に光り、複雑な紋様を描き始める。その中心に立ち、研究室の主はバサリとコートを脱ぎ捨てた。
「『召喚儀式ッ』!」
図書館の歴史に描かれていた戦術である、召喚儀式。それを高らかに宣告した黒コート――それを脱ぎ捨てて現れた、少女。ルーネッタと修也より背丈は小さく見え、年も彼らより幼さを感じる。しかし彼女が異質なのは、頭から狐耳、背中から三つ又金色の尾が生えている事だった。狐を思わせる容貌をした彼女は、巫女服のような紅白の異装を身に纏っている。
「儂の妖術と錬金術の掛け合わせ……ようやく『この術式』を完成させることが出来たのじゃ。オヌシらも、その恐ろしさは理解しておるじゃろう? 人間2匹を潰すことなぞ容易い事じゃわい!」
狐少女の手元には何枚かの紙。梵字の様な紋様の札を手に、魔法陣に向けて呪文を唱えている。短い金色の髪をはためかせる彼女の様子に、修也は強烈に嫌な予感がしていた。
「なんか……また襲われそうになってる!?」
「――御主人様! 召喚器です! こっちも対抗しましょう!」
ハッとしたルーネッタがそう口にすると、バチリと僅かに電気が弾ける感覚と共に、修也の腕に手甲が出現した。
〈他のプレイヤーから決闘を挑まれています.応じますか?〉
「召喚儀式、元は軍隊同士が戦うルールだった。なら、俺も同じようにすれば……」
修也の足元に、青色の光と共に魔法陣の紋様が描かれる。緑と青の2つの魔法陣が動き出し、ちょうど狐少女と彼の間でぶつかる。すると、2人を囲うように四角い領域が形成された。ルーネッタだけが、その範囲の外に居る。
「何ぃッ!? オヌシ召喚儀式が、たった一人で出来るというのか!?」
「本当なら60人と軍師で召喚儀式をするんだったか……確かに凄まじい魔法だ」
右手の手甲に、5枚のカードが握られていた。狐少女の呪符と同じ。始めの手札なのだろうと修也は推測する。――何故か、基本的なルールは臨戦状態になって知らないうちに理解できるようになってきた。まるで、手甲が彼に教えてくるかのように。
「ふんっ、面白いではないか! オヌシらの素性なぞ知らぬが、研究対象には成りそうじゃな!」
「今からトンズラこいて、許してもらえそうにもないか……勝負しないと」
「修也様! アタシはまだ直接助太刀できませんが、カードになって参戦しますからっ!」
ルーネッタとシャーロットのカード分だけデッキが増えた『感覚』。何故そんなものが体感として理解できるようになってしまったのかは彼には分からないが、命の危機に際してそんな事を気にしてはいられない。
「召喚ッ!」
狐少女の宣告と共に、緑色のフィールドから蟷螂の様な生物が現われた。こちらも応ずるほかない、修也も同様に一枚のカードを取り、これを呼び出さんとした。
「――来いッ!」
修也側の青と黒のフィールドに、1人の女性が眩い光と共に出現する。【月夜の吸血者】。爪を立て、血に飢えた形相のヴァンピール。対話できる存在ではないが、こちらの命令には従うだろう。そんな事すら何故か解る。
「……うん、やり方は分かってきた、かも」
現実離れした展開についていっている自分に、少し驚きながら彼は呟いた。
――――――――――――――――――――――――――――
「ハーッハッハッハッ! この量の攻撃、捌き切れるまい!」
「ぐっ……」
狐少女の攻勢は止まらない。緑色のカード色に相応しく、植物や動物を模した生物を使役して攻撃を繰り出してくる。彼女の展開速度はかなり早く、防戦一方になっている。カードゲーム上で言う「1ターン」がかなり早く、修也が長考する時間を与えられていないのも彼が攻撃に転じれない要因になっていた。
「クククッ……ならば、ワシの最高火力でトドメと行こうかのう! 特殊召喚ッ! <緑の女神>ッッ!」
相手のフィールドにあるゴーレムを数体生贄した上で彼女が召喚したのは、神々しさすら感じさせる月桂冠を頭にのせ、白いヴェールを纏った女性。後光すら差していそうな、ブロンドの長い髪をさらりと流し、彼女は修也に向けて攻撃せんと、力を蓄えてゆく。だが、修也もやられる一方ではない。
「さぁ喰らうがいい! 世界の合言葉は――」
「<反撃呪文! 『心変わり』!」
修也が最後まで残しておいた、とっておきの呪文。相手のクリーチャーを奪い、自分の物としてコントロールする呪文。最強の敵に対しての切り札。立ちふさがった女神が一瞬驚いたかのような表情をして。その瞳が、妖しく紅に光る。彼女は狐少女に踵を返し、彼女の敵として立ちふさがるのであった。
「何ッ!? 何故じゃ、ツムギ!? どうしてソイツの言う事を聞くんじゃ!?」
『カード名』こそ緑の女神となってはいるが、女神ことツムギも、狐少女も、元はヴァイス国に支配された国の一つ、グリューン国の出身であった。彼女らは周辺国を武力制圧したヴァイス国に対して恨みを持ち、国家を裏側から転覆するべく地下に潜んでいた。本来ならば、固い絆で繋がれたはずの2人。――しかし、それを容赦なく覆すほどに、召喚儀式の呪文は強力で。
「それで手詰まりか……? ならコッチからだ! ウォーターサーファーでクリーチャーを破壊、緑の女神で直接攻撃!」
「なッ――ガァァァッ!?」
奪った『緑の女神』を使い、狐少女の防壁を一気に削る。つい先ほどまで大量にクリーチャーを使役していた彼女だったが、生贄としての消費に加えて残っていたキャラも破壊され、守りを丸裸にされ。そこに奪ったクリーチャーで直接攻撃を下す。
「今だルーネッタ、トドメを!」
「はいっ、行きますッ!」
カードとして召喚した彼女が、最後の一振りを狐少女に向けて振るう。有利展開が急激に覆された彼女は、呆然とする他ない。一切動くことも出来ず、大剣の一撃をモロに受けてしまった。
「ガッ……あ゛ァァァッ!!?」
斬られたようだが、血のようなものは出ておらず。あくまで吹き飛ばされた程度。しかし、床に広がっていた緑色の紋様は光を失い、霧散する。狐少女は立ち上がる事が出来ない程に困憊していた。
<敵プレイヤーの敗北条件を満たしました.アナタの勝ちです.>
修也が召喚したクリーチャーは未だに残ったまま、狐少女の出方を伺う。彼女はヨロヨロと立ち上がり、しかし表情は敵意をむき出しにしたまま叫んだ。
「お……のれぇ……! ここで死ぬ、ならば……! 計画をっ、早める他なしかっ……! この地下室ごとッ、地上まで爆破する……ッ!!」
「――なっ!?」
「毒ガスもだ……ッ! キサマらの住民諸共、道連れにしてやるう゛っ……!」
思った以上の自爆テロ行為を今にもやらかそうとしている狐少女。慌てた修也は、クリーチャーを使役して彼女を組み伏せる。
「吸血卿! ルーネッタも! コイツ取り押さえて!」
「ぐっ……離せ貴様らァッ!?」
「御主人様、今はこの人の防御力が弱まってます! カードを使って!」
床に押さえつけられた彼女を前に、何の呪文を撃つべきか修也は必死に考える。召喚術士である彼女には、通常の呪文が効かないようだ。――だが、プレイヤーに直接影響を及ぼす有効札がデッキに一枚あった事を修也は思い出す。
「特殊機器発動! 『精神隷属器』!」
【精神隷属器】
『このカードを生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。あなたはそのプレイヤーの次のターンの間、そのプレイヤーをコントロールする。(あなたはそのプレイヤーが見ることのできるすべてのカードを見て、そのプレイヤーのすべての決定を行う。) 』
手札に残しておいたもう一つの切り札。相手のターンを全て奪い、敵プレイヤーそのものをコントロールする驚異の一撃。クリーチャー達に潰されている狐少女の頭に、ヘッドギア状の機械が装着される。表面のランプが妖しく緑に明滅すると、彼女の様子が一変した。
「ぐ……ぁっ……なんじゃ、これはぁっ……!? やめろぉお゛っ!? ワシの魔力がっ……漏れ出してゆくぅっ!?」
彼女が手にしていた手札やデッキが散らばり、光となってどんどん修也の召喚器に集まってゆく。先程使ったデッキとはまた別に、彼女の使っていた手札を操れるようになったことが修也には解る。強力なカードであった緑の女神も。そればかりではない。
「お、のれぇっ……ワシは偉大なる……偉大な……なんだったのじゃ……ぇ……オレ……ま、ずい……自我が支配……!? どうしてここに居る……? ぁ……意識、がぁ……っ……」
「ぐ……ぅ……!? 何だ、急に気分が……っ!?」
『精神隷属機』の発動と同時に、修也と狐少女が同時にふらつく。眩暈に気分の悪さ、平衡感覚のズレ。思わず修也はしゃがみ込んで、苦痛に目を瞑る。何か、『本来繋がっているはずのない物が、身体にくっついてしまう』ような違和感。ルーネッタが慌てて修也に近づいた。
「だ、大丈夫ですか御主人様っ!?」
ルーネッタの声が、修也には何故か『二重に』聞こえる。ようやく気分の悪さが収まって、目を開いた時。同じように座り込んでいる狐少女が居た。――それと同時に、『座り込んでいる修也自身』が見えた。鏡でも見ているのだろうか、と一瞬修也は思ったが、異常な事態に気が付く。『二人分の視界が同時に見えている』のだ。
『う……ぁ……!? なんだ、コレっ!?』
『目の前の少女』は、自分が発したのと全く同じ発言、同じ行動をとる。恐る恐る彼女の方に近づくと、狐耳の少女も同じように動いた。右手を差し出せば右手を出し、瞬きも同時に行う。見えているのが狐少女でなければ、まるで鏡の向こうの自分でも見ているかのような挙動。
『こ、これって……』
「御主人様と全く同じ事を、何故あなたは言って……」
『意識が――俺の行動が、この人にも転写されてるんだ!』
「……えぇぇ?」
混乱した様子を見せるルーネッタ。修也自身も、この状況に冷静ではいられない。まず、身体の勝手が効かないのが大変だった。しゃがみ込んだ状態から立ち上がろうにも、体格が違うのもあって普通に立つのにもふらつく有り様。昔プレイしたゲームの、『2人分のキャラを1つのコントローラーで動かしている』ようなもどかしさがある。
「ええと……この人の身体も、御主人様が動かしているんですよね? 『精神隷属機』の効果、でしょうか」
『そうだな……【ヒマリ】。コイツの名前か。俺は知らないはずだけど、何故か分かる』
『精神隷属機』の効果は、「相手のターンを代わりにプレイする」というものだった。その関係上、手札やデッキの内容を見る事も出来る。――『この世界』で考えるのであれば、『相手を支配して身体を代わりに操作する、その上で必要な記憶を確認することも出来る』という状況か、と修也は推測した。意識を『奥』の方に動かすと、狐少女ヒマリの身体だけを動かすことができた。
『ぐ……ぅ、そうか。こんな感じにすれば片方だけ動けるのか。しかし、コレが壊れた時が心配だな」
「御主人様の本体がぐったりしてますけど……眠っているような状態ですね」
『修也』が倒れている様子を外側から見るというのもなんとも違和感がある。彼自身としても、こんなやりづらい状態を維持するのは骨が折れるので、可能であればこの意識が2つあるかのような状況を止めておきたかった。
「一旦は『寄生虫の卵』を植え付けておいた方が、『精神隷属機』が壊れた時のために安全じゃないでしょうか?」
「うぅ……自分の身体に虫の卵が入って孵化するって怖いんだけど……」
そうは言っても次に彼女が意識を取り戻したら、何が起こるか分かったものではない。止む無く、修也の方の身体を動かして『寄生虫の卵』のカードをヒマリの身体に触れさせ、効果を発動しようとした、瞬間。
バチン、と閃光が弾ける。思わずヒマリの身体で目を見開いた。
「――あ……今ので卵、ダメになりました」
〈カードが無効化されました. 『神属性』のクリーチャーには別の属性を付与できません. 〉
「『神属性』……グリューン国の統治者の一人だったんですね、この人」
「イテテ……知ってるのか?」
ルーネッタの話によれば、ヴァイス国――いま修也達が居る国が『召喚儀式』を使って制圧した国の一つがグリューン国。自然や精霊の力で栄えていた大国の1つであったが、ヴァイス国による支配後は資材の伐採場として姿を変え、森林や精霊の住処が急速に失われているとのこと。グリューン国の統治者として君臨していたのはその自然を統治する神々だったが、今はその神も力を失ってヴァイス国に捕縛、場合によっては消滅させられているとのこと。
「……そうみたいだ。ルーネッタの言ってる事が、『ヒマリの記憶』とも合う。統治する神様の集団の中では上位では無かったけど、グリューン国が失われたときに一部の住民を率いて脱出したみたいだ。それで支配先のヴァイス国に反旗を翻すべく、ついてきた住民の力をカードに込めて地下に潜伏していた、みたい」
「それを『本人』の口で言うの、何だか変な感じですね……」
神様と言うと大仰ではあるが、グリューン国の住民の信仰が彼女の存在を確固とする要因のようだ。信仰心が神様を構成するのであれば――逆に、信仰心を利用すれば彼女を支配下に置くことが可能なのではないか。少なくとも、ヒマリからの敵意を逸らす必要がある。
「神様に近い存在なら……神性を歪めるか、貶めるかすると対処できるかもしれない」
「……初めて聞きましたよ、そんな対処方法。御主人様はどこかで神様と戦った事があるんですか?」
「俺は無いけど、昔の人達はそうやったらしい」
ヒマリから奪ったカードの内、彼女が大切にしていたであろう『緑の女神』のカードを召喚する。つい先ほど敵対者として立ちはだかったのと同じ姿。だが彼女は白いドレスの裾をつまみ、うやうやしく礼をする。
「この命、御主人様の為に。召喚に応じ馳せ参じました、ツムギと申します」
「手伝ってほしいんだ、コイツもこちら側に引き込みたい。神の存在を書き換える方法が知りたいんだけど」
本来ヒマリの友人であり、一番の補佐官であるはずのツムギ。しかし彼女の尊厳を脅かすようなことを言われても、笑顔で返答する。
「あの方の神聖性を失わせれば良いのです。それが修也様によるものであれば、確実に彼女を変えてしまうでしょう」
「ん……というと?」
「ヒマリ様は処女です。彼女の純潔を奪ってしまえば、後は転がり落ちるように進むでしょう。既にヒマリ様の信奉者は貴方様の支配下ですもの」
『待て……!? 今、どっちも俺の身体みたいになってるんだけど! 自分で自分を犯すっていうのか!?』
思わず、両方の身体で叫んでしまう。男として女性と交わるのには、この世界に来て多少は慣れ始めたこと。だが、真逆に『女として男と交わる』事になるとは考えてもいなかった。聞いていたルーネッタは、何かを得心したのか修也の身体に近づく。
「なるほど。それではツムギさん、ヒマリさんの方の御主人様はお願いしますね」
「ええ。私の手でヒマリ様が恥ずかしい御姿になるの、ちょっぴり楽しみですわ♡♡」
彼女らが示し合わせたかのように頷くと、互いに別れてルーネッタは修也の方に、ツムギはヒマリの身体に近づく。そのままツムギはヒマリの背後までまわると、後ろから抱きしめてきた。レースの薄い布越しに、ツムギの柔らかな肢体が重なる。
「うふふ……♡♡ 御主人様――いいえ、ヒマリ様。私めが【女性の身体の気持ちよい所】を手ほどきいたしますわ……♡」
「ぅ、ううん……?」
戦っている時に意識していなかったが、狐巫女のヒマリは小柄な体躯であった。一方のツムギはというと、修也たちより頭一つ抜けるぐらいに背丈がある。並んでしまえば大人と子供ぐらいの違いがあるため、ツムギの腕にヒマリが収まってしまう。あえて本来の関係性を保ったまま、ツムギはヒマリの身体に雌としての快楽を教え込ませるべく手淫を行う。
「穢れとして忌避なさるかもしれませんが、いざ雄の方と交わる際に全くのおぼこであれば気恥ずかしいもの。どうか、私めの手で慰める事をお赦しください」
「くっ……♡♡ うぅっ……♡♡♡ 急にっ……♡♡♡ おっぱい揉まないでよっ……♡♡♡♡」
『自分の胸元』にある、胸板とは違う丸みを帯びたふくらみ。ツムギの両手で包まれたオッパイは、彼女がこねくり回すと自在に形を変え、じわじわとこそばゆさを伝えてくる。乳房全体を揉まれると、全身になんとも言えない感覚が伝わってきた。
「お召し物、失礼いたしますね」
「わぁ……♡ こんな感じになってるんだ……♡」
ツムギによって和装がはだけさせられ、上は何も着ていない状態になる。案外服をキツく締めていたのか、小柄な体躯には似つかわしく無いぐらいにおっぱいが大きい。しかもそれが自分自身の身体にあるのだから、ヒマリは驚きを隠せなかった。
「このような事を普段なされていないでしょうから、今日ばかりは私めの手で気持ちよくなってください♡♡」
「んっ……♡♡ はぅぅっ……♡♡♡ く、くすぐったいぃっ……♡♡♡」
おっぱいの先にある乳首を、ツムギは人差し指で軽く擦る。ただそれだけの事なのに、熱を帯びかけたヒマリの身体は勝手に悦んでしまう。時折、電気が走ったかのように身体がビクつくが、それですらもっと味わいたいと思ってしまう。
…―
「とっても気持ちよさそうですけど、私も御主人様を愉しませたいんですよ!」
腰全体、というよりペニスに突然生暖かい感覚が襲ってくる。違う身体の方だ、と一瞬遅れて気が付くと、ルーネッタが、『修也本体』の肉棒にむしゃぶりついていた。亀頭から竿まで一気に呑み、じゅぽじゅぼと水音を立てながらフェラチオ。どんどんと彼女の口の中で大きくなる逸物に、むしろ喜びすら浮かべてキスをする。
「はっ……♡♡ うぁぁっ……♡♡♡ ルーネッタ……♡♡♡ そんな、いっきにっ……♡♡♡」
「『アチラ』はもう準備にかかっているのですね。ならば私達も用意をしましょうか♡」
断続的に気持ち良い感覚が伝わりながら、ヒマリの身体にある袴と下着が取り払われる。何故か、下着を外されるときに影のようなシミができており。股ぐらにジンワリと水気があった。
「うぅぅ……♡♡ もしかして、漏らしたのか……♡♡♡」
「イイエ、『濡れている』のですよ♡」
『気持ち良い』はずのペニスは、今のヒマリの身体には見当たらない。直接見えないソコに、ツムギの右手が伸びて。軽く『アソコ』を撫でられただけで、体中が飛び跳ねてしまうぐらいの官能に襲われた。普段感じないような浮遊感で、思わず腰が浮く。
「ひゃぅぅぅっ♡♡♡♡♡」
「あらあら♡ 今のはまだ序の口、女性の自慰はもっと気持ちよくなれる場所があるのですから……♡♡」
背中から押し当てられるツムギのおっぱいに包まれながら、ヒマリは彼女の手によってイかされそうになる。おマンコのスジを撫でられるだけでも異様な感覚を味わっていたヒマリだが、それ以上が有るという事に半分恐怖、半分興奮しているような状態である。
「ここ、分かりますか? 御主人様の逞しいモノとほんの少し似ていますが、これは女の人が悦楽を味わうためだけの器官なんです♡」
「ひゃ、めっ……♡♡♡♡ そんなにっ♡♡♡♡ ソコ弄らないでぇっ♡♡♡♡♡♡」
既に勃っていたクリトリスを軽く指先で弄んだだけで、ヒマリの身体はビクビクと快楽に悶える他なかった。高揚感と浮いているような錯覚が同時に起こり、ずっと落下しているかのように錯覚する。いや、昇っているのだろうか。まともに状況分析もできず、ヒマリは喘ぎ声を漏らすことしかできない。
「ほら、こうして殿方の逸物をヒマリ様の内側に招き入れるのです……♡♡ 力を抜いて……♡♡」
「はあ゛ぁぅ♡♡♡ カラダの中にっ……♡♡ 入ってきてるっ……♡♡」
異物感に圧迫感。自分の膣壁を、ツムギの細い指が徐々に押し広げてゆく。指だけでも息苦しいのに、これが実際のセックスだったら絶対に入る訳がない。過呼吸気味になりながら、ヒマリはなんとかこの状況に慣れようとする。
「入れ始めは辛いでしょう……ですけど段々と分かってきますよ、この感覚のキモチイイ所が♡♡♡」
「ふぅぅっ……♡♡ そんっ……♡♡ なのっ……♡ はぁっ……分かる気が、しないんだけどっ……」
息苦しい中で、時折陰茎への刺激も感じながら。ただ、この挿入ってくる感覚には苦しい感覚すら湧き上がる。少しずつツムギの人差し指が第一関節、第二関節と入り込んでくる。ある程度まで侵食した辺りで、一度動きが止まる。その間も、ツムギの左手はおっぱいを愛撫してくるものだから、気持ち悪いのだか気持ち良いのか段々とごちゃ混ぜになってきた。
「そうですね……この辺りでしょうか」
「――あ゛っ♡♡♡♡ あ゛あ゛ぁ゛っ♡♡♡♡♡ な、なにぃっ♡♡♡♡ い゛まのっ♡♡♡♡♡♡」
『ソコ』に与えられた刺激。ほんの僅かな指圧で、ヒマリの身体は飛び跳ねる。スポットを弄られただけで、ゾクゾクと背筋に蠱惑的な感覚が走る。不慣れな感覚、それなのにもっとシてほしい。もう一度、同じ感覚を味わいたい。そんな事を思ってしまう。
「今ので、腟内で気持良くなる感覚が解りましたでしょうか♡♡ 是非とも、修也様の身体で愛撫されるときも役立てて下さいまし♡♡♡」
今の感覚が強烈過ぎて、何処だったか分からない。もう一度、恐る恐るヒマリ自身の指を突き入れて確認しようとして――――
「あ゛っ♡♡♡♡ こっ♡♡♡♡♡ こりぇっ♡♡♡♡♡♡」
頭の中が、腟イキの事で一杯になる。こんな感覚をずっと与えられたら、イキ狂いそう。しかし、それを抑えることができない。もっと、何度も自分の身体を求めてしまう。
「う゛あ゛ぁっ♡♡♡♡ なんでぇっ♡♡♡♡♡ こんなにっ♡♡♡♡ きもちいい、のぉっ♡♡♡♡♡♡」
ぐちゅ、ぐちゅと己の腟内を掻き分けて。何度も身体を快楽に震わせる。どんどんとワレメから愛液が溢れ出して止まらない。火照りきった身体は、さっき指を挿入れられたときのキツさなんて忘れてしまっていた。もっと、気持良くなりたい。
「――さぁ、ヒマリ様。御主人様の身体もご準備ができたようです」
ルーネッタの手によって、かつて無いほどにガチガチに勃起した修也の肉棒。今からコレを自分自身に挿入れる。もっと、キモチイイ事が出来る。そう思うと、興奮が抑えられなくなった。
ゆっくりと、互いの体で前進する。修也の体で仰向けになり、ヒマリの身体は勃ちあがった修也の息子に、少しずつ腰を降ろしてゆく。
「カっ……♡♡♡ う゛ぅっ♡♡♡♡ なかっ♡♡♡♡ いっぱいぃっ♡♡♡♡♡」
快楽で呼吸も絶え絶え。破瓜の寸前で自分自身をヒマリの身体の奥深くに挿入しようとした、その時。
『意識』がブツンと『半分』ブラックアウトして途切れた。
「――な、なんじゃこれは、あっ♡♡♡ あ゛ぁぁっ♡♡♡♡♡」
「ぐぅっ……!?」
『ヒマリの身体』を動かしていた方の意識が無くなったのだ、と修也は理解する。痛みこそないが、不思議な喪失感に襲われた。意識を取り戻したヒマリは、彼女が陥っている状況を理解できない。
「ひゃめっ♡♡♡♡ つむぎぃっ♡♡♡♡♡ なに、をお゛ぉ゛ぉ゛っ♡♡♡♡♡」
ヒマリが元に戻ってなお、ツムギは乳房への愛撫を止めない。それどころか、彼女を懐柔しようと耳元で囁く。
「グリューン国を取り戻すために、私もヒマリ様も戦ってきました……ですが失ったものを取り戻す事は不可能だと分かったのです。ヒマリ様のお力では、そこまで至ることは不可能……」
「そん……なぁっ♡♡♡ わしっ♡♡♡ わたしじゃ……だめ、なの……っ♡♡♡ ならっ゛♡♡♡♡ どうしろとっ……♡♡♡♡」
絶望的な宣告を経てなお、ヒマリの心はギリギリの所で折れ切ってはいない。――――しかし。ヒマリにとって最も大切な従者は、既に修也の手に堕ちていて。
「理解したのですよ、ヒマリ様。この御方こそが、私たちにとっての新たな光――この人に付き従う事こそが私たちの幸福なのです♡♡♡♡♡」
「は、う゛ぅぅぅ♡♡ そん、なぁっ…… ――――でも、もう、いいのかなっ♡♡♡ わたしじゃっ♡♡ なくてもっ♡♡♡♡」
寸前で繋いでいたヒマリの心。その弱点をも知っていたツムギは、総てを放棄して御主人様に委ねる事を提案する。――そしてそれは、ヒマリにとっても苦痛の少ない案だった。薄氷を渡るような歩みに、彼女は疲れ果てていたのだ。
「この方ならばヴァイス国を変えてくださる――そして私たちを愛して下さる唯一の人♡♡♡♡♡♡ さぁ、ヒマリ様も全てを委ねて♡♡♡♡♡♡」
僅かに。修也には、ヒマリの感覚がまだ伝わってくる。その片鱗が伝わっただけでも、修也の身体は燃え上がる程に滾る。キモチイイ。もう限界。絶頂の寸前。ヒマリの身体はそう訴えている。意志が折れるのも、時間の問題だ。
「そうっ……♡♡♡ なのかっ……♡♡♡♡ オヌシが、やってくれるの、か……」
「っ……あぁ、だから安心して――俺のモノになれッ!」
『自分の事』のように、ヒマリを気持ちよくさせる方法が解る。敏感なところをペニスで蹂躙し、気持ちよくなるよう腟壁を圧迫させ。互いが互いを求め合うように、激しく交わる。
「そうかっ……♡♡ オヌシがっ♡♡♡ ワタシの信奉者でっ♡♡♡ 契約者になるのじゃなっ♡♡♡♡ ワタシの一番っ♡♡♡♡ 大事なぁっ♡♡♡♡♡」
二人とも、『その時』が近いのが分かる。どうすれば気持ち良いのか解る。パツン、パツンと水音の交じる性交は、どんどんと勢いをまして、遂に。
「ぐ、あぁっ……!?」
「はっ♡♡♡ あ゛っ♡♡♡♡ お゛ぉぉぉっ♡♡♡♡♡ ――くっ……ふぅっ♡♡♡♡ ……これでワタシは、オヌシの……♡♡♡♡♡」
〈契約成立.契約対象をカード化しデッキに加えます.〉
ヒマリとツムギの身体が白い光を帯び、小さく縮む。ツムギは修也の召喚器に戻り、手のひらほどの大きさになったヒマリは、やがて一枚のカードになる。空中でクルクルと回るそれを修也が掴んだ、その時。
「これ、は……」
彼女と、その信奉者達の記憶が一気に修也に流れ込む。奪ったカードではなく、真に修也のデッキとして変貌する。
あまりの情報量に、修也も意識を保っておられず――――
――――
強烈な感覚のあまり、意識を手放していた。ようやく修也は覚醒する。しかし、股間から伝わる心地よい感覚は収まるどころか、今もなお感じていた。目を開けると、ヒマリが自分の股座に近づいていて。ピチャピチャと、水音を立てながらナニカを舐めている。
「うっ……何、してるんだ……?」
「なにを、と言われてものう……さっきワシの身体と『繋がっていた』とき、快感のあまり射精してしまったじゃろ♡♡♡ 今はそのザーメンをお掃除しているところじゃ♡♡♡ 大切な信奉者じゃからのう、丹念に清めなくてはのぅ♡♡♡」
敵意剥き出しだったあの時と全く違い、ヒマリは修也のペニスを愛おしいものに触れるように舐めとり、舌を絡ませる。中に残っていた精液すら、啜り取るかのように口をすぼめてくるものだから、思わず快感に呻いてしまう。
「ぐ……ぅ……」
「おぉ、また逞しくなりおって♡♡ 仕方ないのぉ……今度はちゃんとワシ自身が絞り取ってやらねばなぁ♡♡♡♡♡」
胸元もさらけ出した和装のままヒマリは修也の腰元に跨り、勃ち上がっていたペニスを膣内に招き入れる。一度繋がっていた2人の身体、再び交わるのにそう抵抗も無かった。しかし。修也に『陰茎が膣に包まれる感覚』と、『身体の中にナニカが入ってくる充足感』が同時に襲い掛かってくる。
「な゛っ……あっ……一体っ……?」
「ほおっ♡♡♡ オヌシの性器の感触も伝わってくるわっ♡♡♡ 先までの『感覚と意識を共有する魔法』、アレをワシなりに理解してアレンジしたのじゃ♡♡♡ ワシの気持ちよさも伝わっておろう♡♡♡♡ ワシとオヌシだけに通用する魔法じゃ♡♡♡♡♡」
『精神隷属機』の不可思議な技術をヒマリは素早く解析した上に、同じ技術を魔法で再現している。とてつもない魔術の素養でありながら、それをただ自分と修也が快楽を得るためだけの手段として利用しているという事実。
「オヌシの精、全てワシに射精して欲しいのじゃ♡♡♡♡♡♡ オヌシは大事な信奉者じゃからの♡♡♡♡♡♡」
見ようによっては僅かに幼さすら感じる顔つきをパアッと輝かせて、ヒマリは修也に膣内射精をおねだりする。一度射精した後とは思えないほどに昂ぶり、もっと快楽を味わいたいという欲求を抑えられなくなる。腰に手を回し、勢いづいたまま自らの肉棒を強く内側に打ち付ける。
「はあ゛っ……う゛ぁっ……すごっ……」
「くぅぅっ♡♡♡ おぬしもっ♡♡♡♡ きもちよかろうっ♡♡♡♡ わしもっ♡♡♡♡ 同じ気持ちじゃからなっ♡♡♡♡♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡♡」
挿入ていながら、挿入られている感覚。身体を打ち付ける感覚と、受け止める感覚。どちらが動いているのか、最早分からない。ただ、2人分の身体が肉欲を満たすために『お互いが気持ち良くなるよう』に的確に攻める。射精しそうなのか、潮を吹きそうなのかすら混濁する。ただ、ソレが寸前に達している事だけは両方理解していて。
「う゛ぅっ……もうやばい、かも……っ」
「そうっ♡♡♡ じゃなっ♡♡♡♡ おぬしの感覚も♡♡♡♡ わかるからっ……♡♡♡♡♡ 思いっきり気持ちよくなろうぞ♡♡♡♡♡♡」
ヒマリの小ぶりな腰に腕を回し、グイと勢いよく打ち付けた瞬間。グツグツと煮えたぎっていた修也自身のリビドーは一気に放出される。それと同時に、自分の体内に熱帯びたモノが放出される響き。どろどろして、熱くて、違和感よりも満ち足りた感じが強い。
「ぐうぅっ……はぁっ……あぁっ……きて、るぅっ……」
「~~っ゛♡♡♡♡♡ んぐぅぅっ♡♡♡ そう、じゃろっ♡♡♡♡ おマンコのっ……♡♡♡♡ きゅんきゅんする感じっ♡♡♡♡♡ オヌシにもキてるじゃろっ……♡♡♡♡♡♡」
男なら射精した後は萎えるだけの性感が、ヒマリから与えられる女の快楽に塗りつぶされてゆく。腰が砕けそうな、全身が思わずオトコのソレに支配されるかのような感覚。自分の肉体が犯されているのに、それすら悦びとして受け入れてしまう。修也として少女を抱き、ヒマリとして男に抱かれる。二重に与えられた暴力的な快楽に、修也はほとんど失神寸前で倒れこんでしまった。
「は……はぁっ……あ゛ぁっ……くはぁっ……」
「あぁぁぁっ……♡♡♡♡ ふぅっ……♡♡ す、すまぬのぅ……♡ オヌシが愛しくて、気持ちよくさせてあげたくて……ついやりすぎてしもうた♡♡」
「――もう、ヒマリさんだけずるいですね」
倒れこんだ修也を覗き込むようにルーネッタが詰め寄る。
「修也さんは私の番なんだから、私との繁殖用の精力まで搾り取られると困るんですよ」
「ルーネッタ……じゃったな。オヌシも修也殿の仲間なら、ワシらの目的は同じと考えて良いのじゃろ?」
「……まぁ、そうですね。優先順位はご主人様の為になる事、繁殖は次点ですが必ずしも急ぐ必要は無いですし。如何に喜んで貰えるかの方が大切ですから」
修也の口元に、ルーネッタの乳房が押し付けられて魔力の籠った母乳が注がれる。同時にヒマリが何かを唱えると、少し体のダルさが無くなったような気がした。性欲も、再び燃え上がりかけて、しかし。これから彼女ら2人が行うであろうことに修也は一瞬遅れて気が付く。
「2人分……いえ、3人分の快楽を味わうのもきっと楽しいでしょう♡ さぁご主人様♡♡♡ 私の膣内に、いーっぱい子供のモト、出して下さいっ♡♡♡♡」
「ワシの可愛い信奉者よ♡♡♡♡ 思いっきり種付けしてほしいのじゃ♡♡♡♡ 愛い子を増やそうぞ♡♡♡♡♡」
地下牢での交じり合いは、そうしてしばらく続くのであった。
「図書館にこんな地下室があるなんて、ルーネッタは知ってた?」
「いえ、アタシも初めて知りました……地下で本や魔道具を所蔵するとダメになりやすいって聞いたことあるので、造ってないと思ったんですけど」
「……いや、この辺に通気口がある。風を流して湿気が留まらないようにしてるみたいだ」
さらに数分かけて修也たちは更に奥に進んでいった。
「やっと最後の階段、っと」
「うわ……なんだこれ……?」
石造りの堅牢な地下室。部屋全体に紙束が散らばっていて、卓上では暗褐色の液体がガラス瓶に入れられ、紫色の炎で熱されてゴポゴポと沸騰している。真鍮の容器に入った粉末を撹拌するために、メノウの棒がぐるぐると歯車仕掛けで回されている。広大な実験室を連想させた。
「何処かの研究室……?」
「――何じゃオヌシら。儂らの研究を邪魔立てするつもりか?」
背後からの声に、思わず修也はビクリと身を竦ませる。振り返ると、真っ黒なフード付きローブを被った何者かが居た。彼らよりも背は低く、顔の様子を伺うことはできない。
「司書のシャーロットさんから聞いて、ココに来ちゃって」
「司書? 嗚呼、図書館の方から降りてきたのか……ヴァイス国の者ということじゃな?」
こちらの出自に対して何やら怒っている様だ、と修也はその声色から推測する。ルーネッタは、あくまで危害を加えるつもりはないと要件だけを語った。
「『世界を渡り歩く呪文』について知りたいんですっ!」
「ほぅ? こちらの研究を潰しに来た、という訳ではなさそうじゃな……しかし、儂の検知網を搔い潜って来たという時点でただで帰す訳にはいかんのじゃよ」
不法に地下保管庫を占拠している輩が居る可能性は、シャーロットからも聞いていたが。修也を庇うように、彼女は剣を抜いて前に出る。
「あなたの邪魔をするつもりはありません。用が終われば、あなたの存在を口外する事もない。ただ呪文書を持って帰るだけです!」
「……その装備、ヴァイス国騎士団の者じゃな? オヌシらの言うことなぞ、どう信じろというのじゃ! ワシらの国はお前らに滅ぼされたのじゃぞッ!?」
シャーロットの鎧を見て、黒コートは却って激高したかのような声色になる。相手は懐から手のひらサイズの一つの函を取り出し、カチリとスイッチを押した。地下室の床が緑色に光り、複雑な紋様を描き始める。その中心に立ち、研究室の主はバサリとコートを脱ぎ捨てた。
「『召喚儀式ッ』!」
図書館の歴史に描かれていた戦術である、召喚儀式。それを高らかに宣告した黒コート――それを脱ぎ捨てて現れた、少女。ルーネッタと修也より背丈は小さく見え、年も彼らより幼さを感じる。しかし彼女が異質なのは、頭から狐耳、背中から三つ又金色の尾が生えている事だった。狐を思わせる容貌をした彼女は、巫女服のような紅白の異装を身に纏っている。
「儂の妖術と錬金術の掛け合わせ……ようやく『この術式』を完成させることが出来たのじゃ。オヌシらも、その恐ろしさは理解しておるじゃろう? 人間2匹を潰すことなぞ容易い事じゃわい!」
狐少女の手元には何枚かの紙。梵字の様な紋様の札を手に、魔法陣に向けて呪文を唱えている。短い金色の髪をはためかせる彼女の様子に、修也は強烈に嫌な予感がしていた。
「なんか……また襲われそうになってる!?」
「――御主人様! 召喚器です! こっちも対抗しましょう!」
ハッとしたルーネッタがそう口にすると、バチリと僅かに電気が弾ける感覚と共に、修也の腕に手甲が出現した。
〈他のプレイヤーから決闘を挑まれています.応じますか?〉
「召喚儀式、元は軍隊同士が戦うルールだった。なら、俺も同じようにすれば……」
修也の足元に、青色の光と共に魔法陣の紋様が描かれる。緑と青の2つの魔法陣が動き出し、ちょうど狐少女と彼の間でぶつかる。すると、2人を囲うように四角い領域が形成された。ルーネッタだけが、その範囲の外に居る。
「何ぃッ!? オヌシ召喚儀式が、たった一人で出来るというのか!?」
「本当なら60人と軍師で召喚儀式をするんだったか……確かに凄まじい魔法だ」
右手の手甲に、5枚のカードが握られていた。狐少女の呪符と同じ。始めの手札なのだろうと修也は推測する。――何故か、基本的なルールは臨戦状態になって知らないうちに理解できるようになってきた。まるで、手甲が彼に教えてくるかのように。
「ふんっ、面白いではないか! オヌシらの素性なぞ知らぬが、研究対象には成りそうじゃな!」
「今からトンズラこいて、許してもらえそうにもないか……勝負しないと」
「修也様! アタシはまだ直接助太刀できませんが、カードになって参戦しますからっ!」
ルーネッタとシャーロットのカード分だけデッキが増えた『感覚』。何故そんなものが体感として理解できるようになってしまったのかは彼には分からないが、命の危機に際してそんな事を気にしてはいられない。
「召喚ッ!」
狐少女の宣告と共に、緑色のフィールドから蟷螂の様な生物が現われた。こちらも応ずるほかない、修也も同様に一枚のカードを取り、これを呼び出さんとした。
「――来いッ!」
修也側の青と黒のフィールドに、1人の女性が眩い光と共に出現する。【月夜の吸血者】。爪を立て、血に飢えた形相のヴァンピール。対話できる存在ではないが、こちらの命令には従うだろう。そんな事すら何故か解る。
「……うん、やり方は分かってきた、かも」
現実離れした展開についていっている自分に、少し驚きながら彼は呟いた。
――――――――――――――――――――――――――――
「ハーッハッハッハッ! この量の攻撃、捌き切れるまい!」
「ぐっ……」
狐少女の攻勢は止まらない。緑色のカード色に相応しく、植物や動物を模した生物を使役して攻撃を繰り出してくる。彼女の展開速度はかなり早く、防戦一方になっている。カードゲーム上で言う「1ターン」がかなり早く、修也が長考する時間を与えられていないのも彼が攻撃に転じれない要因になっていた。
「クククッ……ならば、ワシの最高火力でトドメと行こうかのう! 特殊召喚ッ! <緑の女神>ッッ!」
相手のフィールドにあるゴーレムを数体生贄した上で彼女が召喚したのは、神々しさすら感じさせる月桂冠を頭にのせ、白いヴェールを纏った女性。後光すら差していそうな、ブロンドの長い髪をさらりと流し、彼女は修也に向けて攻撃せんと、力を蓄えてゆく。だが、修也もやられる一方ではない。
「さぁ喰らうがいい! 世界の合言葉は――」
「<反撃呪文! 『心変わり』!」
修也が最後まで残しておいた、とっておきの呪文。相手のクリーチャーを奪い、自分の物としてコントロールする呪文。最強の敵に対しての切り札。立ちふさがった女神が一瞬驚いたかのような表情をして。その瞳が、妖しく紅に光る。彼女は狐少女に踵を返し、彼女の敵として立ちふさがるのであった。
「何ッ!? 何故じゃ、ツムギ!? どうしてソイツの言う事を聞くんじゃ!?」
『カード名』こそ緑の女神となってはいるが、女神ことツムギも、狐少女も、元はヴァイス国に支配された国の一つ、グリューン国の出身であった。彼女らは周辺国を武力制圧したヴァイス国に対して恨みを持ち、国家を裏側から転覆するべく地下に潜んでいた。本来ならば、固い絆で繋がれたはずの2人。――しかし、それを容赦なく覆すほどに、召喚儀式の呪文は強力で。
「それで手詰まりか……? ならコッチからだ! ウォーターサーファーでクリーチャーを破壊、緑の女神で直接攻撃!」
「なッ――ガァァァッ!?」
奪った『緑の女神』を使い、狐少女の防壁を一気に削る。つい先ほどまで大量にクリーチャーを使役していた彼女だったが、生贄としての消費に加えて残っていたキャラも破壊され、守りを丸裸にされ。そこに奪ったクリーチャーで直接攻撃を下す。
「今だルーネッタ、トドメを!」
「はいっ、行きますッ!」
カードとして召喚した彼女が、最後の一振りを狐少女に向けて振るう。有利展開が急激に覆された彼女は、呆然とする他ない。一切動くことも出来ず、大剣の一撃をモロに受けてしまった。
「ガッ……あ゛ァァァッ!!?」
斬られたようだが、血のようなものは出ておらず。あくまで吹き飛ばされた程度。しかし、床に広がっていた緑色の紋様は光を失い、霧散する。狐少女は立ち上がる事が出来ない程に困憊していた。
<敵プレイヤーの敗北条件を満たしました.アナタの勝ちです.>
修也が召喚したクリーチャーは未だに残ったまま、狐少女の出方を伺う。彼女はヨロヨロと立ち上がり、しかし表情は敵意をむき出しにしたまま叫んだ。
「お……のれぇ……! ここで死ぬ、ならば……! 計画をっ、早める他なしかっ……! この地下室ごとッ、地上まで爆破する……ッ!!」
「――なっ!?」
「毒ガスもだ……ッ! キサマらの住民諸共、道連れにしてやるう゛っ……!」
思った以上の自爆テロ行為を今にもやらかそうとしている狐少女。慌てた修也は、クリーチャーを使役して彼女を組み伏せる。
「吸血卿! ルーネッタも! コイツ取り押さえて!」
「ぐっ……離せ貴様らァッ!?」
「御主人様、今はこの人の防御力が弱まってます! カードを使って!」
床に押さえつけられた彼女を前に、何の呪文を撃つべきか修也は必死に考える。召喚術士である彼女には、通常の呪文が効かないようだ。――だが、プレイヤーに直接影響を及ぼす有効札がデッキに一枚あった事を修也は思い出す。
「特殊機器発動! 『精神隷属器』!」
【精神隷属器】
『このカードを生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。あなたはそのプレイヤーの次のターンの間、そのプレイヤーをコントロールする。(あなたはそのプレイヤーが見ることのできるすべてのカードを見て、そのプレイヤーのすべての決定を行う。) 』
手札に残しておいたもう一つの切り札。相手のターンを全て奪い、敵プレイヤーそのものをコントロールする驚異の一撃。クリーチャー達に潰されている狐少女の頭に、ヘッドギア状の機械が装着される。表面のランプが妖しく緑に明滅すると、彼女の様子が一変した。
「ぐ……ぁっ……なんじゃ、これはぁっ……!? やめろぉお゛っ!? ワシの魔力がっ……漏れ出してゆくぅっ!?」
彼女が手にしていた手札やデッキが散らばり、光となってどんどん修也の召喚器に集まってゆく。先程使ったデッキとはまた別に、彼女の使っていた手札を操れるようになったことが修也には解る。強力なカードであった緑の女神も。そればかりではない。
「お、のれぇっ……ワシは偉大なる……偉大な……なんだったのじゃ……ぇ……オレ……ま、ずい……自我が支配……!? どうしてここに居る……? ぁ……意識、がぁ……っ……」
「ぐ……ぅ……!? 何だ、急に気分が……っ!?」
『精神隷属機』の発動と同時に、修也と狐少女が同時にふらつく。眩暈に気分の悪さ、平衡感覚のズレ。思わず修也はしゃがみ込んで、苦痛に目を瞑る。何か、『本来繋がっているはずのない物が、身体にくっついてしまう』ような違和感。ルーネッタが慌てて修也に近づいた。
「だ、大丈夫ですか御主人様っ!?」
ルーネッタの声が、修也には何故か『二重に』聞こえる。ようやく気分の悪さが収まって、目を開いた時。同じように座り込んでいる狐少女が居た。――それと同時に、『座り込んでいる修也自身』が見えた。鏡でも見ているのだろうか、と一瞬修也は思ったが、異常な事態に気が付く。『二人分の視界が同時に見えている』のだ。
『う……ぁ……!? なんだ、コレっ!?』
『目の前の少女』は、自分が発したのと全く同じ発言、同じ行動をとる。恐る恐る彼女の方に近づくと、狐耳の少女も同じように動いた。右手を差し出せば右手を出し、瞬きも同時に行う。見えているのが狐少女でなければ、まるで鏡の向こうの自分でも見ているかのような挙動。
『こ、これって……』
「御主人様と全く同じ事を、何故あなたは言って……」
『意識が――俺の行動が、この人にも転写されてるんだ!』
「……えぇぇ?」
混乱した様子を見せるルーネッタ。修也自身も、この状況に冷静ではいられない。まず、身体の勝手が効かないのが大変だった。しゃがみ込んだ状態から立ち上がろうにも、体格が違うのもあって普通に立つのにもふらつく有り様。昔プレイしたゲームの、『2人分のキャラを1つのコントローラーで動かしている』ようなもどかしさがある。
「ええと……この人の身体も、御主人様が動かしているんですよね? 『精神隷属機』の効果、でしょうか」
『そうだな……【ヒマリ】。コイツの名前か。俺は知らないはずだけど、何故か分かる』
『精神隷属機』の効果は、「相手のターンを代わりにプレイする」というものだった。その関係上、手札やデッキの内容を見る事も出来る。――『この世界』で考えるのであれば、『相手を支配して身体を代わりに操作する、その上で必要な記憶を確認することも出来る』という状況か、と修也は推測した。意識を『奥』の方に動かすと、狐少女ヒマリの身体だけを動かすことができた。
『ぐ……ぅ、そうか。こんな感じにすれば片方だけ動けるのか。しかし、コレが壊れた時が心配だな」
「御主人様の本体がぐったりしてますけど……眠っているような状態ですね」
『修也』が倒れている様子を外側から見るというのもなんとも違和感がある。彼自身としても、こんなやりづらい状態を維持するのは骨が折れるので、可能であればこの意識が2つあるかのような状況を止めておきたかった。
「一旦は『寄生虫の卵』を植え付けておいた方が、『精神隷属機』が壊れた時のために安全じゃないでしょうか?」
「うぅ……自分の身体に虫の卵が入って孵化するって怖いんだけど……」
そうは言っても次に彼女が意識を取り戻したら、何が起こるか分かったものではない。止む無く、修也の方の身体を動かして『寄生虫の卵』のカードをヒマリの身体に触れさせ、効果を発動しようとした、瞬間。
バチン、と閃光が弾ける。思わずヒマリの身体で目を見開いた。
「――あ……今ので卵、ダメになりました」
〈カードが無効化されました. 『神属性』のクリーチャーには別の属性を付与できません. 〉
「『神属性』……グリューン国の統治者の一人だったんですね、この人」
「イテテ……知ってるのか?」
ルーネッタの話によれば、ヴァイス国――いま修也達が居る国が『召喚儀式』を使って制圧した国の一つがグリューン国。自然や精霊の力で栄えていた大国の1つであったが、ヴァイス国による支配後は資材の伐採場として姿を変え、森林や精霊の住処が急速に失われているとのこと。グリューン国の統治者として君臨していたのはその自然を統治する神々だったが、今はその神も力を失ってヴァイス国に捕縛、場合によっては消滅させられているとのこと。
「……そうみたいだ。ルーネッタの言ってる事が、『ヒマリの記憶』とも合う。統治する神様の集団の中では上位では無かったけど、グリューン国が失われたときに一部の住民を率いて脱出したみたいだ。それで支配先のヴァイス国に反旗を翻すべく、ついてきた住民の力をカードに込めて地下に潜伏していた、みたい」
「それを『本人』の口で言うの、何だか変な感じですね……」
神様と言うと大仰ではあるが、グリューン国の住民の信仰が彼女の存在を確固とする要因のようだ。信仰心が神様を構成するのであれば――逆に、信仰心を利用すれば彼女を支配下に置くことが可能なのではないか。少なくとも、ヒマリからの敵意を逸らす必要がある。
「神様に近い存在なら……神性を歪めるか、貶めるかすると対処できるかもしれない」
「……初めて聞きましたよ、そんな対処方法。御主人様はどこかで神様と戦った事があるんですか?」
「俺は無いけど、昔の人達はそうやったらしい」
ヒマリから奪ったカードの内、彼女が大切にしていたであろう『緑の女神』のカードを召喚する。つい先ほど敵対者として立ちはだかったのと同じ姿。だが彼女は白いドレスの裾をつまみ、うやうやしく礼をする。
「この命、御主人様の為に。召喚に応じ馳せ参じました、ツムギと申します」
「手伝ってほしいんだ、コイツもこちら側に引き込みたい。神の存在を書き換える方法が知りたいんだけど」
本来ヒマリの友人であり、一番の補佐官であるはずのツムギ。しかし彼女の尊厳を脅かすようなことを言われても、笑顔で返答する。
「あの方の神聖性を失わせれば良いのです。それが修也様によるものであれば、確実に彼女を変えてしまうでしょう」
「ん……というと?」
「ヒマリ様は処女です。彼女の純潔を奪ってしまえば、後は転がり落ちるように進むでしょう。既にヒマリ様の信奉者は貴方様の支配下ですもの」
『待て……!? 今、どっちも俺の身体みたいになってるんだけど! 自分で自分を犯すっていうのか!?』
思わず、両方の身体で叫んでしまう。男として女性と交わるのには、この世界に来て多少は慣れ始めたこと。だが、真逆に『女として男と交わる』事になるとは考えてもいなかった。聞いていたルーネッタは、何かを得心したのか修也の身体に近づく。
「なるほど。それではツムギさん、ヒマリさんの方の御主人様はお願いしますね」
「ええ。私の手でヒマリ様が恥ずかしい御姿になるの、ちょっぴり楽しみですわ♡♡」
彼女らが示し合わせたかのように頷くと、互いに別れてルーネッタは修也の方に、ツムギはヒマリの身体に近づく。そのままツムギはヒマリの背後までまわると、後ろから抱きしめてきた。レースの薄い布越しに、ツムギの柔らかな肢体が重なる。
「うふふ……♡♡ 御主人様――いいえ、ヒマリ様。私めが【女性の身体の気持ちよい所】を手ほどきいたしますわ……♡」
「ぅ、ううん……?」
戦っている時に意識していなかったが、狐巫女のヒマリは小柄な体躯であった。一方のツムギはというと、修也たちより頭一つ抜けるぐらいに背丈がある。並んでしまえば大人と子供ぐらいの違いがあるため、ツムギの腕にヒマリが収まってしまう。あえて本来の関係性を保ったまま、ツムギはヒマリの身体に雌としての快楽を教え込ませるべく手淫を行う。
「穢れとして忌避なさるかもしれませんが、いざ雄の方と交わる際に全くのおぼこであれば気恥ずかしいもの。どうか、私めの手で慰める事をお赦しください」
「くっ……♡♡ うぅっ……♡♡♡ 急にっ……♡♡♡ おっぱい揉まないでよっ……♡♡♡♡」
『自分の胸元』にある、胸板とは違う丸みを帯びたふくらみ。ツムギの両手で包まれたオッパイは、彼女がこねくり回すと自在に形を変え、じわじわとこそばゆさを伝えてくる。乳房全体を揉まれると、全身になんとも言えない感覚が伝わってきた。
「お召し物、失礼いたしますね」
「わぁ……♡ こんな感じになってるんだ……♡」
ツムギによって和装がはだけさせられ、上は何も着ていない状態になる。案外服をキツく締めていたのか、小柄な体躯には似つかわしく無いぐらいにおっぱいが大きい。しかもそれが自分自身の身体にあるのだから、ヒマリは驚きを隠せなかった。
「このような事を普段なされていないでしょうから、今日ばかりは私めの手で気持ちよくなってください♡♡」
「んっ……♡♡ はぅぅっ……♡♡♡ く、くすぐったいぃっ……♡♡♡」
おっぱいの先にある乳首を、ツムギは人差し指で軽く擦る。ただそれだけの事なのに、熱を帯びかけたヒマリの身体は勝手に悦んでしまう。時折、電気が走ったかのように身体がビクつくが、それですらもっと味わいたいと思ってしまう。
…―
「とっても気持ちよさそうですけど、私も御主人様を愉しませたいんですよ!」
腰全体、というよりペニスに突然生暖かい感覚が襲ってくる。違う身体の方だ、と一瞬遅れて気が付くと、ルーネッタが、『修也本体』の肉棒にむしゃぶりついていた。亀頭から竿まで一気に呑み、じゅぽじゅぼと水音を立てながらフェラチオ。どんどんと彼女の口の中で大きくなる逸物に、むしろ喜びすら浮かべてキスをする。
「はっ……♡♡ うぁぁっ……♡♡♡ ルーネッタ……♡♡♡ そんな、いっきにっ……♡♡♡」
「『アチラ』はもう準備にかかっているのですね。ならば私達も用意をしましょうか♡」
断続的に気持ち良い感覚が伝わりながら、ヒマリの身体にある袴と下着が取り払われる。何故か、下着を外されるときに影のようなシミができており。股ぐらにジンワリと水気があった。
「うぅぅ……♡♡ もしかして、漏らしたのか……♡♡♡」
「イイエ、『濡れている』のですよ♡」
『気持ち良い』はずのペニスは、今のヒマリの身体には見当たらない。直接見えないソコに、ツムギの右手が伸びて。軽く『アソコ』を撫でられただけで、体中が飛び跳ねてしまうぐらいの官能に襲われた。普段感じないような浮遊感で、思わず腰が浮く。
「ひゃぅぅぅっ♡♡♡♡♡」
「あらあら♡ 今のはまだ序の口、女性の自慰はもっと気持ちよくなれる場所があるのですから……♡♡」
背中から押し当てられるツムギのおっぱいに包まれながら、ヒマリは彼女の手によってイかされそうになる。おマンコのスジを撫でられるだけでも異様な感覚を味わっていたヒマリだが、それ以上が有るという事に半分恐怖、半分興奮しているような状態である。
「ここ、分かりますか? 御主人様の逞しいモノとほんの少し似ていますが、これは女の人が悦楽を味わうためだけの器官なんです♡」
「ひゃ、めっ……♡♡♡♡ そんなにっ♡♡♡♡ ソコ弄らないでぇっ♡♡♡♡♡♡」
既に勃っていたクリトリスを軽く指先で弄んだだけで、ヒマリの身体はビクビクと快楽に悶える他なかった。高揚感と浮いているような錯覚が同時に起こり、ずっと落下しているかのように錯覚する。いや、昇っているのだろうか。まともに状況分析もできず、ヒマリは喘ぎ声を漏らすことしかできない。
「ほら、こうして殿方の逸物をヒマリ様の内側に招き入れるのです……♡♡ 力を抜いて……♡♡」
「はあ゛ぁぅ♡♡♡ カラダの中にっ……♡♡ 入ってきてるっ……♡♡」
異物感に圧迫感。自分の膣壁を、ツムギの細い指が徐々に押し広げてゆく。指だけでも息苦しいのに、これが実際のセックスだったら絶対に入る訳がない。過呼吸気味になりながら、ヒマリはなんとかこの状況に慣れようとする。
「入れ始めは辛いでしょう……ですけど段々と分かってきますよ、この感覚のキモチイイ所が♡♡♡」
「ふぅぅっ……♡♡ そんっ……♡♡ なのっ……♡ はぁっ……分かる気が、しないんだけどっ……」
息苦しい中で、時折陰茎への刺激も感じながら。ただ、この挿入ってくる感覚には苦しい感覚すら湧き上がる。少しずつツムギの人差し指が第一関節、第二関節と入り込んでくる。ある程度まで侵食した辺りで、一度動きが止まる。その間も、ツムギの左手はおっぱいを愛撫してくるものだから、気持ち悪いのだか気持ち良いのか段々とごちゃ混ぜになってきた。
「そうですね……この辺りでしょうか」
「――あ゛っ♡♡♡♡ あ゛あ゛ぁ゛っ♡♡♡♡♡ な、なにぃっ♡♡♡♡ い゛まのっ♡♡♡♡♡♡」
『ソコ』に与えられた刺激。ほんの僅かな指圧で、ヒマリの身体は飛び跳ねる。スポットを弄られただけで、ゾクゾクと背筋に蠱惑的な感覚が走る。不慣れな感覚、それなのにもっとシてほしい。もう一度、同じ感覚を味わいたい。そんな事を思ってしまう。
「今ので、腟内で気持良くなる感覚が解りましたでしょうか♡♡ 是非とも、修也様の身体で愛撫されるときも役立てて下さいまし♡♡♡」
今の感覚が強烈過ぎて、何処だったか分からない。もう一度、恐る恐るヒマリ自身の指を突き入れて確認しようとして――――
「あ゛っ♡♡♡♡ こっ♡♡♡♡♡ こりぇっ♡♡♡♡♡♡」
頭の中が、腟イキの事で一杯になる。こんな感覚をずっと与えられたら、イキ狂いそう。しかし、それを抑えることができない。もっと、何度も自分の身体を求めてしまう。
「う゛あ゛ぁっ♡♡♡♡ なんでぇっ♡♡♡♡♡ こんなにっ♡♡♡♡ きもちいい、のぉっ♡♡♡♡♡♡」
ぐちゅ、ぐちゅと己の腟内を掻き分けて。何度も身体を快楽に震わせる。どんどんとワレメから愛液が溢れ出して止まらない。火照りきった身体は、さっき指を挿入れられたときのキツさなんて忘れてしまっていた。もっと、気持良くなりたい。
「――さぁ、ヒマリ様。御主人様の身体もご準備ができたようです」
ルーネッタの手によって、かつて無いほどにガチガチに勃起した修也の肉棒。今からコレを自分自身に挿入れる。もっと、キモチイイ事が出来る。そう思うと、興奮が抑えられなくなった。
ゆっくりと、互いの体で前進する。修也の体で仰向けになり、ヒマリの身体は勃ちあがった修也の息子に、少しずつ腰を降ろしてゆく。
「カっ……♡♡♡ う゛ぅっ♡♡♡♡ なかっ♡♡♡♡ いっぱいぃっ♡♡♡♡♡」
快楽で呼吸も絶え絶え。破瓜の寸前で自分自身をヒマリの身体の奥深くに挿入しようとした、その時。
『意識』がブツンと『半分』ブラックアウトして途切れた。
「――な、なんじゃこれは、あっ♡♡♡ あ゛ぁぁっ♡♡♡♡♡」
「ぐぅっ……!?」
『ヒマリの身体』を動かしていた方の意識が無くなったのだ、と修也は理解する。痛みこそないが、不思議な喪失感に襲われた。意識を取り戻したヒマリは、彼女が陥っている状況を理解できない。
「ひゃめっ♡♡♡♡ つむぎぃっ♡♡♡♡♡ なに、をお゛ぉ゛ぉ゛っ♡♡♡♡♡」
ヒマリが元に戻ってなお、ツムギは乳房への愛撫を止めない。それどころか、彼女を懐柔しようと耳元で囁く。
「グリューン国を取り戻すために、私もヒマリ様も戦ってきました……ですが失ったものを取り戻す事は不可能だと分かったのです。ヒマリ様のお力では、そこまで至ることは不可能……」
「そん……なぁっ♡♡♡ わしっ♡♡♡ わたしじゃ……だめ、なの……っ♡♡♡ ならっ゛♡♡♡♡ どうしろとっ……♡♡♡♡」
絶望的な宣告を経てなお、ヒマリの心はギリギリの所で折れ切ってはいない。――――しかし。ヒマリにとって最も大切な従者は、既に修也の手に堕ちていて。
「理解したのですよ、ヒマリ様。この御方こそが、私たちにとっての新たな光――この人に付き従う事こそが私たちの幸福なのです♡♡♡♡♡」
「は、う゛ぅぅぅ♡♡ そん、なぁっ…… ――――でも、もう、いいのかなっ♡♡♡ わたしじゃっ♡♡ なくてもっ♡♡♡♡」
寸前で繋いでいたヒマリの心。その弱点をも知っていたツムギは、総てを放棄して御主人様に委ねる事を提案する。――そしてそれは、ヒマリにとっても苦痛の少ない案だった。薄氷を渡るような歩みに、彼女は疲れ果てていたのだ。
「この方ならばヴァイス国を変えてくださる――そして私たちを愛して下さる唯一の人♡♡♡♡♡♡ さぁ、ヒマリ様も全てを委ねて♡♡♡♡♡♡」
僅かに。修也には、ヒマリの感覚がまだ伝わってくる。その片鱗が伝わっただけでも、修也の身体は燃え上がる程に滾る。キモチイイ。もう限界。絶頂の寸前。ヒマリの身体はそう訴えている。意志が折れるのも、時間の問題だ。
「そうっ……♡♡♡ なのかっ……♡♡♡♡ オヌシが、やってくれるの、か……」
「っ……あぁ、だから安心して――俺のモノになれッ!」
『自分の事』のように、ヒマリを気持ちよくさせる方法が解る。敏感なところをペニスで蹂躙し、気持ちよくなるよう腟壁を圧迫させ。互いが互いを求め合うように、激しく交わる。
「そうかっ……♡♡ オヌシがっ♡♡♡ ワタシの信奉者でっ♡♡♡ 契約者になるのじゃなっ♡♡♡♡ ワタシの一番っ♡♡♡♡ 大事なぁっ♡♡♡♡♡」
二人とも、『その時』が近いのが分かる。どうすれば気持ち良いのか解る。パツン、パツンと水音の交じる性交は、どんどんと勢いをまして、遂に。
「ぐ、あぁっ……!?」
「はっ♡♡♡ あ゛っ♡♡♡♡ お゛ぉぉぉっ♡♡♡♡♡ ――くっ……ふぅっ♡♡♡♡ ……これでワタシは、オヌシの……♡♡♡♡♡」
〈契約成立.契約対象をカード化しデッキに加えます.〉
ヒマリとツムギの身体が白い光を帯び、小さく縮む。ツムギは修也の召喚器に戻り、手のひらほどの大きさになったヒマリは、やがて一枚のカードになる。空中でクルクルと回るそれを修也が掴んだ、その時。
「これ、は……」
彼女と、その信奉者達の記憶が一気に修也に流れ込む。奪ったカードではなく、真に修也のデッキとして変貌する。
あまりの情報量に、修也も意識を保っておられず――――
――――
強烈な感覚のあまり、意識を手放していた。ようやく修也は覚醒する。しかし、股間から伝わる心地よい感覚は収まるどころか、今もなお感じていた。目を開けると、ヒマリが自分の股座に近づいていて。ピチャピチャと、水音を立てながらナニカを舐めている。
「うっ……何、してるんだ……?」
「なにを、と言われてものう……さっきワシの身体と『繋がっていた』とき、快感のあまり射精してしまったじゃろ♡♡♡ 今はそのザーメンをお掃除しているところじゃ♡♡♡ 大切な信奉者じゃからのう、丹念に清めなくてはのぅ♡♡♡」
敵意剥き出しだったあの時と全く違い、ヒマリは修也のペニスを愛おしいものに触れるように舐めとり、舌を絡ませる。中に残っていた精液すら、啜り取るかのように口をすぼめてくるものだから、思わず快感に呻いてしまう。
「ぐ……ぅ……」
「おぉ、また逞しくなりおって♡♡ 仕方ないのぉ……今度はちゃんとワシ自身が絞り取ってやらねばなぁ♡♡♡♡♡」
胸元もさらけ出した和装のままヒマリは修也の腰元に跨り、勃ち上がっていたペニスを膣内に招き入れる。一度繋がっていた2人の身体、再び交わるのにそう抵抗も無かった。しかし。修也に『陰茎が膣に包まれる感覚』と、『身体の中にナニカが入ってくる充足感』が同時に襲い掛かってくる。
「な゛っ……あっ……一体っ……?」
「ほおっ♡♡♡ オヌシの性器の感触も伝わってくるわっ♡♡♡ 先までの『感覚と意識を共有する魔法』、アレをワシなりに理解してアレンジしたのじゃ♡♡♡ ワシの気持ちよさも伝わっておろう♡♡♡♡ ワシとオヌシだけに通用する魔法じゃ♡♡♡♡♡」
『精神隷属機』の不可思議な技術をヒマリは素早く解析した上に、同じ技術を魔法で再現している。とてつもない魔術の素養でありながら、それをただ自分と修也が快楽を得るためだけの手段として利用しているという事実。
「オヌシの精、全てワシに射精して欲しいのじゃ♡♡♡♡♡♡ オヌシは大事な信奉者じゃからの♡♡♡♡♡♡」
見ようによっては僅かに幼さすら感じる顔つきをパアッと輝かせて、ヒマリは修也に膣内射精をおねだりする。一度射精した後とは思えないほどに昂ぶり、もっと快楽を味わいたいという欲求を抑えられなくなる。腰に手を回し、勢いづいたまま自らの肉棒を強く内側に打ち付ける。
「はあ゛っ……う゛ぁっ……すごっ……」
「くぅぅっ♡♡♡ おぬしもっ♡♡♡♡ きもちよかろうっ♡♡♡♡ わしもっ♡♡♡♡ 同じ気持ちじゃからなっ♡♡♡♡♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡♡」
挿入ていながら、挿入られている感覚。身体を打ち付ける感覚と、受け止める感覚。どちらが動いているのか、最早分からない。ただ、2人分の身体が肉欲を満たすために『お互いが気持ち良くなるよう』に的確に攻める。射精しそうなのか、潮を吹きそうなのかすら混濁する。ただ、ソレが寸前に達している事だけは両方理解していて。
「う゛ぅっ……もうやばい、かも……っ」
「そうっ♡♡♡ じゃなっ♡♡♡♡ おぬしの感覚も♡♡♡♡ わかるからっ……♡♡♡♡♡ 思いっきり気持ちよくなろうぞ♡♡♡♡♡♡」
ヒマリの小ぶりな腰に腕を回し、グイと勢いよく打ち付けた瞬間。グツグツと煮えたぎっていた修也自身のリビドーは一気に放出される。それと同時に、自分の体内に熱帯びたモノが放出される響き。どろどろして、熱くて、違和感よりも満ち足りた感じが強い。
「ぐうぅっ……はぁっ……あぁっ……きて、るぅっ……」
「~~っ゛♡♡♡♡♡ んぐぅぅっ♡♡♡ そう、じゃろっ♡♡♡♡ おマンコのっ……♡♡♡♡ きゅんきゅんする感じっ♡♡♡♡♡ オヌシにもキてるじゃろっ……♡♡♡♡♡♡」
男なら射精した後は萎えるだけの性感が、ヒマリから与えられる女の快楽に塗りつぶされてゆく。腰が砕けそうな、全身が思わずオトコのソレに支配されるかのような感覚。自分の肉体が犯されているのに、それすら悦びとして受け入れてしまう。修也として少女を抱き、ヒマリとして男に抱かれる。二重に与えられた暴力的な快楽に、修也はほとんど失神寸前で倒れこんでしまった。
「は……はぁっ……あ゛ぁっ……くはぁっ……」
「あぁぁぁっ……♡♡♡♡ ふぅっ……♡♡ す、すまぬのぅ……♡ オヌシが愛しくて、気持ちよくさせてあげたくて……ついやりすぎてしもうた♡♡」
「――もう、ヒマリさんだけずるいですね」
倒れこんだ修也を覗き込むようにルーネッタが詰め寄る。
「修也さんは私の番なんだから、私との繁殖用の精力まで搾り取られると困るんですよ」
「ルーネッタ……じゃったな。オヌシも修也殿の仲間なら、ワシらの目的は同じと考えて良いのじゃろ?」
「……まぁ、そうですね。優先順位はご主人様の為になる事、繁殖は次点ですが必ずしも急ぐ必要は無いですし。如何に喜んで貰えるかの方が大切ですから」
修也の口元に、ルーネッタの乳房が押し付けられて魔力の籠った母乳が注がれる。同時にヒマリが何かを唱えると、少し体のダルさが無くなったような気がした。性欲も、再び燃え上がりかけて、しかし。これから彼女ら2人が行うであろうことに修也は一瞬遅れて気が付く。
「2人分……いえ、3人分の快楽を味わうのもきっと楽しいでしょう♡ さぁご主人様♡♡♡ 私の膣内に、いーっぱい子供のモト、出して下さいっ♡♡♡♡」
「ワシの可愛い信奉者よ♡♡♡♡ 思いっきり種付けしてほしいのじゃ♡♡♡♡ 愛い子を増やそうぞ♡♡♡♡♡」
地下牢での交じり合いは、そうしてしばらく続くのであった。
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