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十八話 「従魔の成長」
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アレッサとのパーティを解散後、アッシュは他の冒険者とはパーティを組まず再びクウとのツーマンセルでダンジョン攻略に励んでいた
『アッシュさん、おはようございます』
『アレッサさん、おはようございます。今日は別の方とダンジョンに行くんですか』
『はい、それでよかったらアッシュさんも・・・』
『ちょっとアレッサちゃん』
アレッサはアッシュを見つけるとこうして声をかけてきてたまにこうしてパーティの誘いをしてくる
だが黒魔導士であるアレッサは他の冒険者パーティから引っ張りだこな状態、今日も別のパーティと組んでいるようでその者にアッシュを誘おうとしているのを止められている
アレッサが目当てなのに異物であるアッシュが入ってくるのを他のパーティメンバーが許すわけがない
『僕はまた今度でいいですから』
『そ、そうですか?またお誘いしますね』
このようなやりとりを何度か繰り返している
アッシュだってあの中にズカズカと入っていける程の図太い神経は持ち合わせていない
あの様子だとアッシュと再びパーティを組む前に他の冒険者と正式なパーティを組む日はそう遠くはないだろう
そんな事を考えながらアッシュもクウと共にダンジョンへ向かい攻略を進めていった
『クウ!そっちは任せたよ!』
アッシュ達は一階層から二階層で魔物を狩るようになり、戦闘経験を積む為に多少分が悪そうな数が相手でも向かっていくようにした
魔物達の動きを確認しながら攻撃のタイミングや回避する方向、実戦でしか得られない経験が色々あった
だがそうなると当然傷を負う機会も増えるようになった
『いたたた・・・ちょっと無茶しすぎたかな』
まだまだ状況判断が遅い為致命傷は回避できていたが、それでも生傷は増えていった
己の鍛錬不足を痛感させられいつものように鞄からポーションを取り出して傷を癒そうとしていると、クウが手に持っていたポーションを奪い取って飲み込んでしまった
『あっコラッ!またポーションを勝手に!全く・・・ポーションだってタダじゃないんだよ』
アレッサのポーションを飲み込んでからというもの、味を占めたのか今度はアッシュのポーションに目をつけるようになった
この前言い聞かせたからか他人の物を勝手に飲み込むことはなくなったが、これはこれでアッシュの財布が痛い
少し甘やかしすぎなのかとクウの教育に悩んでいると、例のクウの体が光る現象が始まった
『あ、光った。この光景を見るのも久しぶりだな』
ここ最近は魔物を倒し吸収しても中々光ることがなかったのでもう光ることはないと思っていた
光が消えていくとクウの体がいつもと違うことにアッシュは違和感を覚えた
『あれ?クウなんだか少し大きくなった?』
今までは肩に乗せることができる位の大きさだったが、今は両手でも零れてしまいそうなサイズまで大きくなっていた
ということはだ。あの光はクウが成長している事を表しているのかもしれない
新たな発見に喜んだが、それよりも驚いたのはクウの次の行動
アッシュの元に近寄ってきたと思ったら突然プルプルと震えだした
様子が気になり様子を窺っていると、次の瞬間アッシュの体が光に包み込まれた
『えっ、なにこれ!?』
恐らくクウがやったのだろう
最初こそ驚いたがこの光に包まれていると温かく心地が良かった
そこで痛みが無くなっていくのに気がついた
体を確認するとなんとさっきまであったはずの傷が治っていた
『傷が治って・・・これってもしかして治癒!?』
治癒、一定の傷を癒すことできる回復魔法だ
何故この魔法が使えるようになったのか
考えられる答えは一つしか思い当たらなかった
『ポーションを取り込んでいたのはこれの為だったの?』
泥を吸収して土魔法が使えるようになったようにポーションで回復魔法が使えるようになった
これでクウは自身の体内に吸収することで魔法を習得できるという事がハッキリした
人の言葉を理解するだけでも十分珍しいのに吸収すれば魔法を覚えることができるスライムなんてきっとクウだけだろう
『クウ、君は本当に不思議なスライムだね』
だがここまで珍しいと周りにそれがバレた時に問題が出てくるかもしれない
特にさっき使った回復魔法、あれは白魔導士にしか使えない魔法だ
白魔導士は攻撃系の魔法を得意とする黒魔導士とは反対に防御、回復等の支援系魔法を得意とする者を指す
こちらも黒魔導士と同様パーティに加えたい役職の一つだが、白魔導士の支援があるだけでパーティの安定感が格段に増すので必要性で言えば白魔導士の方が上かもしれない
そんな白魔導士と同じ回復魔法をスライムが使えると知ったら利用しようと手の平を返す者が少なからず現れることは想像できる
そんな人物とはパーティを組みたくはない
『いいクウ?この魔法は僕達だけしかいない時に使うようにしようね』
アッシュの言葉に頷くクウ
ポーションは失ってしまったが、その損失を大きく上回る程のリターンがあったので結果オーライだ
もしかしたらもっと他にも能力を得られるかもしれない
そう考えたアッシュはダンジョンを出て色々を試してみることにした
『アッシュさん、おはようございます』
『アレッサさん、おはようございます。今日は別の方とダンジョンに行くんですか』
『はい、それでよかったらアッシュさんも・・・』
『ちょっとアレッサちゃん』
アレッサはアッシュを見つけるとこうして声をかけてきてたまにこうしてパーティの誘いをしてくる
だが黒魔導士であるアレッサは他の冒険者パーティから引っ張りだこな状態、今日も別のパーティと組んでいるようでその者にアッシュを誘おうとしているのを止められている
アレッサが目当てなのに異物であるアッシュが入ってくるのを他のパーティメンバーが許すわけがない
『僕はまた今度でいいですから』
『そ、そうですか?またお誘いしますね』
このようなやりとりを何度か繰り返している
アッシュだってあの中にズカズカと入っていける程の図太い神経は持ち合わせていない
あの様子だとアッシュと再びパーティを組む前に他の冒険者と正式なパーティを組む日はそう遠くはないだろう
そんな事を考えながらアッシュもクウと共にダンジョンへ向かい攻略を進めていった
『クウ!そっちは任せたよ!』
アッシュ達は一階層から二階層で魔物を狩るようになり、戦闘経験を積む為に多少分が悪そうな数が相手でも向かっていくようにした
魔物達の動きを確認しながら攻撃のタイミングや回避する方向、実戦でしか得られない経験が色々あった
だがそうなると当然傷を負う機会も増えるようになった
『いたたた・・・ちょっと無茶しすぎたかな』
まだまだ状況判断が遅い為致命傷は回避できていたが、それでも生傷は増えていった
己の鍛錬不足を痛感させられいつものように鞄からポーションを取り出して傷を癒そうとしていると、クウが手に持っていたポーションを奪い取って飲み込んでしまった
『あっコラッ!またポーションを勝手に!全く・・・ポーションだってタダじゃないんだよ』
アレッサのポーションを飲み込んでからというもの、味を占めたのか今度はアッシュのポーションに目をつけるようになった
この前言い聞かせたからか他人の物を勝手に飲み込むことはなくなったが、これはこれでアッシュの財布が痛い
少し甘やかしすぎなのかとクウの教育に悩んでいると、例のクウの体が光る現象が始まった
『あ、光った。この光景を見るのも久しぶりだな』
ここ最近は魔物を倒し吸収しても中々光ることがなかったのでもう光ることはないと思っていた
光が消えていくとクウの体がいつもと違うことにアッシュは違和感を覚えた
『あれ?クウなんだか少し大きくなった?』
今までは肩に乗せることができる位の大きさだったが、今は両手でも零れてしまいそうなサイズまで大きくなっていた
ということはだ。あの光はクウが成長している事を表しているのかもしれない
新たな発見に喜んだが、それよりも驚いたのはクウの次の行動
アッシュの元に近寄ってきたと思ったら突然プルプルと震えだした
様子が気になり様子を窺っていると、次の瞬間アッシュの体が光に包み込まれた
『えっ、なにこれ!?』
恐らくクウがやったのだろう
最初こそ驚いたがこの光に包まれていると温かく心地が良かった
そこで痛みが無くなっていくのに気がついた
体を確認するとなんとさっきまであったはずの傷が治っていた
『傷が治って・・・これってもしかして治癒!?』
治癒、一定の傷を癒すことできる回復魔法だ
何故この魔法が使えるようになったのか
考えられる答えは一つしか思い当たらなかった
『ポーションを取り込んでいたのはこれの為だったの?』
泥を吸収して土魔法が使えるようになったようにポーションで回復魔法が使えるようになった
これでクウは自身の体内に吸収することで魔法を習得できるという事がハッキリした
人の言葉を理解するだけでも十分珍しいのに吸収すれば魔法を覚えることができるスライムなんてきっとクウだけだろう
『クウ、君は本当に不思議なスライムだね』
だがここまで珍しいと周りにそれがバレた時に問題が出てくるかもしれない
特にさっき使った回復魔法、あれは白魔導士にしか使えない魔法だ
白魔導士は攻撃系の魔法を得意とする黒魔導士とは反対に防御、回復等の支援系魔法を得意とする者を指す
こちらも黒魔導士と同様パーティに加えたい役職の一つだが、白魔導士の支援があるだけでパーティの安定感が格段に増すので必要性で言えば白魔導士の方が上かもしれない
そんな白魔導士と同じ回復魔法をスライムが使えると知ったら利用しようと手の平を返す者が少なからず現れることは想像できる
そんな人物とはパーティを組みたくはない
『いいクウ?この魔法は僕達だけしかいない時に使うようにしようね』
アッシュの言葉に頷くクウ
ポーションは失ってしまったが、その損失を大きく上回る程のリターンがあったので結果オーライだ
もしかしたらもっと他にも能力を得られるかもしれない
そう考えたアッシュはダンジョンを出て色々を試してみることにした
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