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11話 「リースの魅惑あふれるおねだり??」
しおりを挟むこの日はセリア、ティナともに自室から出てこないといった状態であった。
もちろん過去を知らない兵士たちは少し慌てたり、戸惑ったりしていたようだが、エルミーユとメオンがうまく話をつけたようだ。
「ふぁぁぁぁ……」
この姿になっても低血圧であることは変わりないらしく、寝起きが最高につらい。正直あんまり人をビビらせたくもないので誰とも話さないようにしよう。
「おはよう、シュウ。ははは、寝起き弱いのか」
う、いきなりメオンと会ってしまった。
「おはようごじゃいましゅ……」
「もう少し寝ててもいいんだぞ?」
すごくその言葉に誘われるが、この寝起きがしんどいから二度寝しようの理論は人としてダメ人間まっしぐらコース。しんどくても起きるときにちゃんと起きないとどんどん苦しくなるので、みんなはちゃんと決めた時間に起きよう!
「だいじょうびゅ……あと30分すればいつも通りになる……」
「随分とスロースターターだな、シュウは」
言い返す言葉がない。ほんとこの寝起きの悪さで転生前朝から親にどんだけどつかれたことやら。そりゃみんなこれから仕事だの学校だので億劫な時間にこの態度は最高にイラつかせられるな。
正直なとこ朝食ヨーグルト顔にかけられたことあるんやで、これ実話な。
「おはよう、シュウ。随分とつらそうだな」
今度はエルミーユか。なんで二人ともそんなに朝からビシッと決まってるんだ。
「あ、シュウ。エルミーユはいかにも朝いい感じそうに見せているが君と同じくらい寝起きのテンションが低い。起こしに行って首絞めかけられたり、ベットに引きずり込まれてお前も寝ろとか言われるからな」
「お、おい!メオン!それは言ってはダメだろう!」
初めてちょっと顔を赤くしながらメオンを非難するエルミーユ。
……昨日から思ってたけど、この二人できてるんじゃねぇの?
朝からいちゃつくとか俺には体験した事のない世界やな。
ティナとヴィルシスもこんな感じだったのかなぁ。
「……おい。シュウの目が痛いぞ」
「いや、シュウこれは違うんだ。こんな男たらしの女なんぞ私は好きでは……」
「おい、全然訂正にもなってないし当然のように私をディスっていくな!」
はいはい、朝から仲がよろしいようで。二人とも公私のオンオフは問題なさそうだし、お互いに特別な感情があるのなら戦闘でもより負けたくない意志が出るし悪いものではないと思う。
ただ、ティナがこの光景を見て過去のヴィルシスと仲が良かったころを思い出してナーバスになってないのかなってちょっと気にはなるけど。
「話変えて悪いが、あの二人ももうちょい戻るのに時間かかりそうだし、フラフラ街歩いてもいいか?どうせあの二人いないと話も進むものも進まないだろうし」
「ああ。私たちも個人的な役割や任務をボチボチとこなす。あの二人は心配ない。ご飯も食べてるし、受け答えも最低限あるらしいからしばらくそっとしておいてやるとしよう」
「了解~」
ということで。
今日もやってきました、工場内。
「ほほぉ、今日も来てくれたのかぁ。そうかそうか」
「うれしそうっすね」
リースがすごく笑顔だ。この人昨日から服が変わってないし寝てるのかな。こういう研究すごい人って寝てなさそうっていう印象が勝手にあるんだが。
「そりゃあ、わざわざ今日も会いに来てくれてるしねぇ!これはもう脈ありってことでいいよね!」
「いや、今日は俺の出番は王城にはないしなぁ。ただ来ただけで後は何もないっす」
真顔でそう言ってしまった。
リースはぶすっとふくれっ面になって
「あーそうですか!……そんなはっきり言わなくてもいいのに……」
う、こういうところが転生前と変わってないということか……!
こ、ここは……!
「分かってください……はっきり言うのが恥ずかしいんです……」
「やっぱそうですよねぇえええええええええ!」
テンションの切り替わり早すぎだろ。そしてセリア同様ちょろい。
まぁ忙しい中頑張ってるし、気分よくやってもらわないといけないし、これくらいのことなら全然いいのだがな。
すっかり機嫌がよくなったリースの開発実験や組み立てを見学させてもらった。
まぁ正直何をやっているか全くよくわからないが、みんながリースのように目を輝かせて研究に没頭している。
何度見ても素晴らしい環境だ。研究施設としての充実さ、人材言うことがない。
「あ、そうそう。昨日言ってた試験段階のものができたよん」
「え、もう?」
リースが言うのを忘れていたとばかりにあっさり切り出したが、そう簡単にできることだと思っていなかったので改めてリースのすごさに驚かされた。
「はい、これが試験のデータ。君がお願いしてきた相手の性質に似せた模型相手にテストして私の満足度70%ぐらいかな。色んな研究と並行して今やっているけど、次の戦闘までには間に合わせる」
「頼もしい言葉だ。リースならやってくれるっていう安心感がこの二日目にしてもう出てきてるのはやっぱリースの才能があるからか」
「えへへ」
ものすごく書き込まれたデータには俺の提案した内容の実践結果が乗っているが、見る限りよくできているようには見えるが彼女的にはまだまだ追い求めるものがある以上、彼女の追い求めるものを期待して待つことにしたい。
「この想定の相手……ヴィルシスだよね?」
「!」
リースは声色を突然変えて言った。
「知ってたか……」
「うん。この鉄成分を含む鎧を持った相手にこんな手を込んだ兵器を依頼させざる負えない相手ってあいつしかいないもの」
「お前も知ってるのか?あいつのことを」
「いや。ほとんど知らない。結局のところ斧の使い手として最強で攻撃も物理はほとんど効かないって話だねぇ」
なるほど。リースの思わぬ一言で昨日の戦闘の謎が一つ解けた。セリアに攻められているも関わらず、一切逃げる行動もしなかったには斬られても大したダメージにすらならないといった判断か。
「ここでこの作戦かぁ。あなたって結構無双ってより色々戦術や兵器考えるんだね」
「ああ。だって無双でも正面からぶつかればどこかで損害を受けさせられるだろう?拳骨でガラス割れば血まみれになる。そういうのは避けたいねぇ」
「なるほど。あなたはあなたなりに”理想の勝ち方”を追い求めてるのね」
「ああ。その”理想の勝ち方”はただ被害を出さないだけじゃない。ほかの要素も含んでの”理想の勝ち方”だ。そのためにこの兵器がいるんだよ」
その言葉に満足そうに頷く。研究者である以上どこまでも理想的な結果を追い求める者として一番納得のできる答えを彼は言った。
これでこそ依頼を受けたかいがあるというものだ。
「でさぁ……シュウたーん」
「しゅ、シュウたん!?」
嫌な悪寒がすごくする。そろそろ逃げた方がよさそうだ。
しかし___
「うふふ、逃がさないよぉ。暇だってさっき言ってたしこれからたーっぷりと私に付き合ってもらおうかなぁ」
「い、いやほら僕普通の人間じゃないし……!」
「関係なーい!さぁて体を私に出してもらおうか……くふふ……」
「のー!のー!!!!1」
この後リースに何をされたのか。それは後々わかる。
目に見えた結果で。
それまでみんな知らなくていいんだよ?
**************************************
ヴィルシスに言われた言葉。
”新たな犠牲者はそいつに決めたか”
ううん。違う。私はそんなんじゃない。今度こそ絶対に守るんだから。
だって私の前に現れた彼はずっと悩まされ続けたいた敵をあっさりと倒した。
そしてその倒した彼の目は____お兄様エルヴィエにとても_いや、全く同じ目だった。
私はお兄様が大好きだった。お兄様がすべてだった。いつも優しく、私に対していつも甘やかしてくれた。
私の知りたいことはすべて教えてくれたし、自分が知らないとなると本を持ってきてくれた。剣の技術だって戦術だって何から何まで。
そして誰よりもお兄様のことを誇りに思えることは__
どんなことがあっても人のことを常に思い、優しかった。
守るべきもののために敵に対してはどこまでも非情になることが出来て、味方や自分のことを信頼するものにはどこまでも諦めずに手を尽くす。
そんなお兄様が家族として、一人の男性として好きだった。
そして昨日___彼に出会った。
強い瞳にやさしさとどこまでも仲間のことを理解しようとして自分のことの危険など顧みない。
ティナの無謀な作戦を実行したり、私のことを体を張って守ってくれたり。
そして何よりも__
ティナと私がヴィルシスの言葉に苦しんでいた時だって彼の瞳は
私たちのことを救おうと必死な目だった。
でも、私は知っている。
その眼をさせるたびに彼を死へと一歩ずつ引きずり込ませることになるということに。そう、兄の時やほかの”あの時のように”。
「ダメ……一緒にいてほしい。もう失いたくない」
セリアの引きずり続ける過去____。
その真実をまだシュウは知らない。
そしてこれはまだ誰も知らなかった。
このセリア、ティナの引きずる過去は____。
この真実を知るとき彼らはクレマリー王国は、エクラベル王国は。
その真実は変わらぬ空と太陽だけが知っている。
その空と太陽は残酷か、今日も変わらず煌々と街を大地を照らしている。
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