転生蒼竜チート無双記

れおさん

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14話 「強く_信じあって」

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  次の日も何も変わらない日常_。
 しかし、ある要素一つだけが違った。
 それに一番驚いたのはメオンだった。

 いつも通り寝起きのつらそうなシュウに対してそこの隣にはティナがいる。それだけでもいつもと違う。だけれども決定的に違うのは___
 ティナが心の底から笑っているということに。
 ヴィルシスとかつて良好な関係だった時とまではいかないが、明らかにいつもの固い表情が砕けている。
 どんな魔法を使えばそんなことが起きるのだろうか?

 「シュ、シュウよ……」

 「あい、おはようごじゃいましゅ……」

 「ティナに何をしたらそんな関係にいきなりなれるんだ!?」

 「普通にお話しただけでしゅ……」

 「ふふふ、シュウったらだらしないですね。これから私がちゃんと定時に起こしてあげますからね」

 その普通に話してあの子の心を開かせるということがどれくらい難しいことか。
 ってかもうわざわざ起こしてもらえるくらい親密度が上がっているというこの現状が受け入れられないが。

 「ティナ、もう大丈夫なのか?」

 「はい、ご迷惑おかけしました。考え、ふさぎ込んで苦しみ続けても仕方がありません。私らしくできることをしていこうと思います。それに……私にはこの国と皆がいます。メオン、あなたももちろんそうです。そして……」

 寝起きで眠たそうな目をこすりながら完全に脱力しているシュウを見ながら__

 「私には共感してくれて一緒に支えてくれるって言いきってくれた人が出来ました。だから……私は彼を信じてみようと思います」

 「敢えて言おう。また過去のようなことが起きないとも言えないが?」

 「今までの経験を生かしてそんなことは繰り返しません。それに……あの人とここの眠そうな彼とは”決定的に違うこと”がありますから」

 「決定的違い?」

 メオンにはそれが全く分からなかった。その疑問に彼女が答えてくれそうにはなかった。
 そしてすっかり彼女は、シュウにくっついていろいろとお話したり、作業まで一緒にするようになった。
 その様子を見て、メオンはシュウについて改めて評価する点が増えた。
 正直言ってティナは優秀でなんでも仕事が簡単にこなせてしまう分、あまりにも仕事の効率性が良すぎてほかの一緒に作業を手伝う人が逆に足手まといになってしまうのがいつもの光景でティナはいつもため息をついていたが__
 見事にシュウはその仕事のスピードに合わせて的確な内容や作業をこなしていた。
 かなりたくさんあって疲れが顔に出てたりしているが、それでも作業スピードは落とさずに作業をしているあたりもかなりすごいと思う。

 「ぐへぇ……もう無理……」

 「驚きました。ここまでできるんですね、仕事。いつも誰かに助けてもらっても、セリア様以外だと効率が落ちてしまうので結局一人でやるときが多いんですけどね」

 「分かる。意外とすごい仕事する量があっても、一人でやった方が早かったりするよな。手伝ってくれる人もそこそこ容量知らないと結局意味がなくなってくるっていう悲しさね……」

 にしても仕事が多すぎる。目の前にてんこ盛りに積まれた書類を見て、これだけのことを自分でやったと思うとより疲れが出てくる。

 「なんでこんなに仕事できるんです?」

 「うん?くっそ人さばなきゃいけないとこでつっかえないさぼる人がペアで仕事率8:2くらいの割合でしてたらこうなった」

 「うん、いろいろ突っ込みたいんですけどその顔で仕事してたんですか?しかも裁く?裁判官でもやってたんですか?その顔で」

 「何回もその顔でって言うな!」

 まぁ転生前にくっそ都会のコンビニバイトで客死ぬほどくるとこのコンビニでつらかった経験が役立ったな、うん。
 ちなみに経験者ならわかると思うけど一時間当たりの来客数120~160くらいの客を最悪の日二人で裁かされたことあったな。しかもそのもう一人全然仕事しなかったし。
 正直殺意何度も沸かされたあれに比べたら全然マシだ。

 「とにかくお疲れさまでした」

 「ういー」

 そんな様子を見ていたメオンとエルミーユがすっごくニヤニヤしながら見ている。
 
 「そんな風に見物している余裕があるならもうちょっと仕事どうやってしてるか観察してやろうという気にお二人はならないんですかねぇ!?」

 「ふふふ、いいぞシュウ。お前にも私の恋愛話が効いてきたか。これで分かったろう?」

 「なんの話だか……エルミーユの話聞いてると口から角砂糖が滝のように出てくるんだって」

 なんでニヤニヤしとるか知らんが、エルミーユの話がこれ以上伸びてくると俺完全に寝てしまうからな。ここはくぎを刺しておかねばならないのだ。

 「シュウ……お前悪い女に引っかかるどころか捕まえてしまう感じか。抜け目のない奴だ」

 「いや、何も捕まえてないって。なんか癖の悪い男みたいに言うのやめーや」

 なんだ二人そろって意味の分からんことを。
 そんなくだらない話をしているときだった。

 「みんな……お久しぶり……だね」

 その声とともにセリアがおぼつかない足取りで現れた。

 「セリア様!ご気分は!?」

 「うん……。まぁちょっとはよくなってきたかな……?」

 そうは言うものの顔色は悪く、想像以上にダメージの治りが遅いことがうかがえる。

 「無理だけはなさらないように……」

 「うんうん。心配かけてごめんね」

 その話が終わるとこちらを向いて

 「シュウ。お部屋使いにくくない?大丈夫?」

 「ああ。寝れたら正直どこでも大丈夫な俺からしたら贅沢過ぎるくらいだからありがたいな。ってか俺の心配はいいんだよ。自分のケアに優先してくれたらいいぞ」

 「うん……。だめだなぁ私は。まだ来て間もないシュウにすら気を使わせちゃって」

 「無理しすぎなんだよ。そんなこと気にしなくていいからもうこれ以上自分を責めるな。疲れるだけだし、責めたって何にも変わらんしな」

 そう言って励ましたのだが、なぜかセリアの表情が全くすぐれない。というかさらに表情が険しくなっているような……

 「ねぇ……。ちょっと聞きたいんだけど、なんでシュウとティナそんなにべったりになってるの?」

 「あ、あわわ!失礼しました!ふしだらなところを……」

 先ほどからちょっと疲れたティナは俺に体重を預ける形でリラックスしていた。特に俺も気にしていなかったし、体の力がそれで抜けてくれるならいいと思っていたのだが……。

 「ふーん……。私がいない間になんか仲良くなってるんだ……。ふーん」

 「セ、セリア様……これはその……」

 な、なんだこの何もしていないのにこの何かしてしまったような罪悪感は……!
 いや、ここは逆に堂々としていなければ俺までおろおろすれば何か変な誤解をされかねない!

 「シュウから真相をききましょうよー」

 「!?」

 エルミーユからのキラーパス。そしてニヤリと笑顔をこちらに向けてからの親指をグッと立てて一言。

 「がんばれ☆」

 「おいいいいいいい!」

 「ねぇ、シュウ。色々聞きたいなぁ?ティナとどんなことしたのかなー?」

 「仕事です」

 「ほかにはー?」

 「仕事です」

 ものすごいセリアから発せられるオーラ。冷汗が止まらない。何もしていないのに。冤罪をかけられたときにちゃんと無実って言い切れる人って当たり前でしなくちゃいけないことなのかもしれないけどなかなか大変なことだということをここで知るとは。
 しかし、そのやり取りをしているうちにセリアの顔色をよくしていく。

 「わ、私はこんな時に休んでいる場合ではないのでは!?」

 「お、おい。無理はするなよ?そりゃ顔出せた方がいいけど、また体調崩れたら意味ないからな。俺もできることは手伝うからゆっくり戻っていこうぜ」

 「シュウ……。ありがと……」

 このやり取りの一環を見て解説のエルミーユさんとメオンさんは__

 「なるほど。これがやらしい男というやつですか、エルミーユさん」

 「はい。非常に”やり手”ですねぇ」

 「そこの外野!うるさいぞー」

 ちくしょう。ティナの物寂しげな目が苦しい。平等にやさしくするって難しいな。
 そういえばこうやってこのメンバーでこんな風にしゃべるのって初めてだな。
 悪くない。というかこういうのが本来の仲間という奴だろうか。それすらも今までの自分では分からないが、これほど心地よい環境もなかったな。

 それからはみんなで色々話し合いをしたりみんあでご飯を食べたり。
 話し合いと言っても真剣な話ではない。ちょっとしたくだらない話や世間話だ。
 とても楽しくて気楽な時間だった。
 こんな時間が失われるのは俺個人としても許せない。

 そしてセリアは__。
 
 シュウとメオンがすっかりいつもの日課となった稽古試合を激しく繰り広げているのを見ていると、エルミーユが近寄ってきて_

 「どうです?やっぱり彼がお兄さんの姿に重なりますか?」
 
 「うん……。だから怖い。何もかもすべて似ているの。目とか見えるところから、やさしさの内面まで。だからもう失いたくないの」

 「でしょうね。では頑張らないといけませんよ。過去のことを恐れてあなたがおびえていれば彼はきっとお兄さんのように無茶をするでしょう。それが一番彼の命を脅かすことになってしまいますから」

 「うん」

 「あと、うかうかしていたらティナに彼を取られてしまいますよ?あの子のかわいいですからね」

 「そっちの方が深刻かも!」

 そう言ってエルミーユとセリアも笑いあった。少しずつではあるがセリアも気力を取り戻しつつある。
 この数日の日々がそれぞれをより強くしたのかもしれない。

 これからもきっと苦しい時があるだろう。でも負けてはいけない。
 みんながいる。支えあい、守りあう。
 それができればきっと今度こそ乗り越えられる。
 そう思ったセリアだった。

 
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