27 / 28
26話 「ぶつかり合う時_」
しおりを挟む「……」
俺のことを奴が見えいることは空高い位置からでもよくわかった。
セリアや、エルミーユをあっさりと見逃したあたり、まるで興味がない。
本当に興味があるのは俺とティナのことだけ。戦闘の結果など、やつは俺にさえ勝って潰せたらそれでいいのだろう。
そんなことは前から分かっていた。
気になるのはあの斧だ。
俺が先ほど竜たちのブレスを受けて俺の鎧を伝って剣に竜たちのエネルギーが蓄積された様子に似ている。
「やつの斧も同じようになっている。ということは奴の斧の効果を見る限り属性攻撃でもできるようになったのか……?」
だとしたらなおさら竜たちの行為が謎だ。俺の剣が属性効果を持つようになればなおさら相手にとって都合が悪そうなものだが……。
「いつまで考えていても仕方がない。みんなと合流して奴と本格的に対峙するしかないな」
俺はヴィルシスにらみ合うことをやめて踵を返してみんなが集まる場所まで戻ることとした。
そのころ、他の四人と軍勢はすでに集まっていた。
「やっぱり、勝手に出てたんですね……」
「うう……ごめんなさい……」
ティナがセリアをじっと見ながらそういうともじもじと縮みこまった。
「でもちゃんと無理せずに帰ってくださったので私は嬉しいです」
「ですね、いつものセリア様だったらずっと最前線で無茶してますもんね」
そんな話をしながら落ち着いた後、セリアとエルミーユが目撃したヴィルシスの内容について見たことを丁寧に説明した。
「そんな武器をもっているのですか……彼は」
「うん、当たれば即死もあるかも。しかも……」
「”同じような武器でしか対抗もできないし、破壊もできない”って言っていたのが気になるな。どういう意味か分からない」
エルミーユが言う通り、ティナからしても全く意味が分からない。同じようなとはどういう意味か。同じような斧を持つべきなのか、その謎の属性攻撃をできるような武器を持って戦えということなのだろうか。
しかし、そうだとしたら完全に詰んでしまう。
「もし、同じように属性攻撃が出来なきゃいけないとしたらその技術は我々には分かりかねますし、リースですら分かっているかも分かりません。もし分かっていたとしても対抗手段の制作にはかなりの時間が要されるでしょうし……」
そんな話が進められているときにちょうど俺が戻ってきたようで……
「やつ色々と変な細工してきたらしいな。それに最初からドラゴンどもはよくわからん行動をするし、どうなってんだ」
「やはり、実際に向き合ったシュウも違和感を感じていたか……」
「ま、ともかく最初からケガとかの危険性がなくなったのはよかったね」
と、セリアが俺の方を向きながら言ったその時だった。
「あ!これは……!」
セリアの目線は俺の剣にへと向けられていた。
そのセリアの声を聴いてみたエルミーユも同じ反応をしていた。
「これは……ヴィルシスの持っていた斧と全く同じような状態だな……」
「やはり似ていると思ったがそうだったか……」
実際に目の前に見たセリアとエルミーユの反応からして同じようなことが俺の剣にも起きているということが確定した。
「こ、これ……どうやったの……?」
「どうやったも何も、ドラゴンどもの色んな属性ブレスを吐いてきたからリースの用意してくれた防具でガードしたら、分散して弾けて俺の鎧を伝って剣に伝わって剣に蓄積してこうなった」
「あの意味のよく分からなかったあの行動がヴィルシスと同じような武器に変わった……?」
しかし、この話を聞いてヴィルシスへの対抗できるかもしれないという可能性が出来た。
どうしてこうなったか分析するのは後だ。今は目の前に迫りくる相手と対峙すること。
「どうであろうと対抗できるかもしれません。終わった後から色々調べればいいだけです。今は目の前の敵に集中しましょう!」
「ティナの言う通りだな。俺がまず奴とやる。ティナは俺と奴が戦っているのを見ていてくれ、苦しいかもしれんがな」
そう俺が苦々しく言ったが、彼女の目に曇りはない。
「もう迷いませんから。セリア様、メオン、エルミーユはみんなを指揮してあとの相手兵士を叩いてください」
『了解!』
そう皆が作戦を確認して気持ちを決めて向かうべき方向を向くと___。
「準備はできてるようじゃねぇか」
ヴィルシスと逃げることのなかった兵士たちがゆっくりと戦いの場にたどり着いてきた。
「今日のお前の相手は俺だ。どうせお前は俺にしか興味がなさそうだからな」
「ふん。うぬぼれるな。お前がティナをたぶらかしているから腹が立って殺したくてたまらないからという理由だけだ」
俺とヴィルシスが一歩ずつ踏み出す。
そして今にも戦闘が始まりそうなとき__。
「シュウ!」
その声は今回俺が守るべき少女の声で___。
「信じてます。私と一緒に勝たなければなりません。負けたら一か月お説教ですからね?」
「任せろ。一緒に勝つ。今回はそれが俺らの達成しなければならん目標だからな。俺は目標達成でいないことが大っ嫌いだからな。安心しろ」
そう俺がいうとティナは少し笑って___
「私も負けたり、目標達成できなのは大嫌いです。なのでやり遂げましょう」
「ああ、必ず」
駆け寄ってきたティナの指と俺の大きな爪の生えた硬い指を絡めて指切りをした。
その姿を見てヴィルシスが何も感じないわけがない。だが……怒ることはなかった。
かつて自分が築いた信頼関係。それが目の前で違うやつが築いている。
最もこの世で恐れていたこと。それがいま目の前で___。
「もうどうでも……いい」
そう小さく呟くと斧を握る手をグッと力を込めてさらに一歩。
俺もそれに合わせてティナが俺から離れたのを確認してからまた一歩。
もういつでもお互いにスタートを切れば戦いを始められる間合いだ。
両軍が大きく俺らを囲んでバトルフィールドを形成しているからだ。
「覚悟しろおおおおおおおおおおおお!この青いケダモノがあああああああ!」
「そっちこそ覚悟しろ。もうこれで終わらせる。ティナにもう付きまとわせない。もうあの子が苦しむ必要はない。お前はあの子を苦しめていた認識を惨めに地獄で見るといいさ」
俺も剣を抜いた。
それを見てヴィルシスは驚きに目を見開いた。
「貴様……!どうしてそのエネルギーが!!!」
「さぁな、どうやら色々あったらしい。セリア達の話からして同じような武器じゃないとお前の斧を壊せないんだってな。なら俺が攻撃して潰す。そしてお前はここで終わる。そうすればあの子も解放される」
「どこまでもお前は俺をコケにして……俺の努力も何もかもを!」
「知らねぇよ。もう罵倒のし合いはだるいし、やり合おうぜ」
俺は構える。そうするとヴィルシスも構えて
「覚悟しろおおおおおお!お前も地獄に落としやる!」
「落ちるのはてめぇだけで十分だ」
その言葉最後にお互いにスタートを切った。
次の瞬間___。
ものすごい金属音とバチバチとすごい音を立ててぶつかり合った。
金属がぶつかりあうときに発生する火花と属性干渉のスパークが弾け合った。
その様子をティナは祈るように見ていた。
ここにシュウとヴィルシスの死闘が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる