攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)

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新章 第三幕【NEO: Crossing】

Re:第三十九話「断絶をもたらす回復魔法」

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ルクスとエーシルの独壇場──。

 他の者は見守る他ない。

しかし、それは互角と言えるようなものでは無かった。

 圧倒的な実力差。

何度も死に。何度も死ぬ。死ぬ。死。死。死……。

 それでも道化は立ち上がる。

「フフフ、こんなもの──」

 雷撃が道化を焦がし、貫く。それでも尚、立ち上がる。

 それは死を許されない地獄の痛みの連鎖。

そんな二人の戦闘を目に、中には吐く者もいた。

「オェェェェェェ」

「レイラ!大丈夫か!?おい誰か、レイラにヒールを!」

「……エルザ、誰かと言って僕を見るのやめてくれませんか」

「う、うむ。仕方あるまい。あんなものを見れば吐くものが居ても当然だろう」

「なら名前を呼んでください」

「この場には同じような顔が色々いるからな。名を呼べば誰が反応するか分からんだろう」

 二人の戦闘とは別に、動けない者達は観客として見るしか無かった。


無慙黒咎むざんこくとが

 道化の体にヒビが入り始め、朽ちていく。そして体はバラバラになった。

 しかし──

「ふぅ、その魔法もあなたが居た世界で獲得したものですか?なかなかに面白いですネェ。ですが、今の私は死なないようなので無駄でしたネェ」

「……バラバラにしても死なない。どうすれば死ぬのですか」

 ルクスは道化に問う。

「さぁ?私も分かりません。どうすれば死なせてくれるんでしょうネェ」

「アスフィ……やっぱり凄い。でも、我は──」

ルクスがそう言いかけた時だった。

「ルクス。あなたの目的は何です」

「……我の目的…………」

「ええ。私には分からない。ここにはあなたの求める兄とアスフィがいる。……ルクス、楓。あなたは一体どっちです」

 ルクスは暫く沈黙。

「我の目的は……二人の願いを叶えたい」

「ほう、その願いとは是非とも聞かせて頂きたい」

「お兄ちゃん……アスフィ……二人を大切に思う」

「ええ、それで?」

「……でも、分からない」

「分からない?あなたの欲している者はこの場に揃っている。兄もアスフィも。だというのに、何が分からないのです」

 道化は達者にしゃべる。

「……うるさい」

「先生!もうやめてください!」

「──っ!!」

 この場唯一動ける少年。

「……アスフィ」

 もう一人のアスフィ。秀でた回復魔法を持たないヒーラーである。

「僕が悪かったですから!だからもうやめてください!」

「……そう、ですね。我は…………私は何をしていたんでしょうか」

 ルクスが杖を下ろした。

「……ようやく取り戻しましたか」

 エーシルは肩の荷を下ろした。

「アスフィ、私の役割はここまでです。このクソッタレな魔法を今すぐに解きなさい」

 エーシルはローブ姿のアスフィに言い放つ。

 ……
 …………
 ………………

「…………嫌です」

「……何?」

「嫌だと言ったのです」

「まさか私をこのまま生きる屍をして放置するつもりですか?それはまた残酷なことをする。あなたらしくない」

「……エーシル。この世界を救うためにはアスフィという存在は誰一人として欠けてはならない。それはあなたも同じです」

「……少年、ルクス。それに皆さん、お逃げなさい。今すぐそのローブの男から離れなさいッ!!!!」

 エーシルが声を張り上げた。それは初めて見るものだった故に全員が呆気に取られていた。
 理解できずに。

「……エーシル。あなただけは不確定要素だった。……『真・ヒール』」

アスフィが唱えた。

「お前、何してんだ……?」

 フィーが口にするが答えない。

 背後からローブ姿のアスフィが歩く。

「お前!なんで動けんだよ!」

「……僕は元から動けます。ルクスの雷で動けないのは君達だけです」

ローブ姿のアスフィがルクス、道化、少年に近づいていく。

「……アスフィ……あな……たは……私を騙して……」

「騙す、ですか?……どの口が言っているんです。あなたは数多の世界を渡り歩き大勢の人々を殺した。の失敗作。……とはいえ、死んで貰っては困りますので、暫くその場で這いつくばっていて下さい」

 アスフィは伏せる道化の横を通り過ぎ、ルクスの前に来た。

「……アスフィ」

「そう、僕だ。アスフィだよ」

 アスフィはルクスの頬に触れた。

「今から君を元に戻してあげる。本来の君に」

「その代わり、君たちの命を頂きます」

「……え」

 アスフィはルクスの頬に触れ、唱えた。

 「──断絶ディバイドをもたらす回復魔法ヒール

 

 
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