ティルナノーグの扉

Erie

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ティルナノーグの扉

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あれから、魔界と妖精国を繋ぐ門の儀式が行われることはなかった。

毎年1回星見の宴が開かれるときにアルフォンソ様とは顔を合わせたけれど、内政に力を入れている様で、付き合いのある獣人国以外の他国には、そういうことは宰相に任せきりにして顔を出していないらしい。


マナなんとの訓練とおかげで、魔華の力は安定してきて、だいぶコントロールできる様になった。時空の間と名付けたところで、色々な並行世界を見てみたが、この世界に戻ることにした選択が最も平和な時間軸だった。心をクリアにして時空の間にあるたくさんのホログラムの中からハートが示す道を選んでいく。愛のエネルギーでそれをみると、愛でないホログラムは暗くなるので、一番輝いているもののうちから最適な時間軸を選択していく。魔力のコントロールは感情のコントロールそのものだったから時間がかかったけれど。マナナンの元で訓練をして「魔華の力」を制御できるようになったけれど、時空の間にあるホログラムの中に日本に戻れるものはなかった。私の世界の妖精国には通じている世界はあったけれど、マナナンがいったとおり、そこの扉と私がいた日本とはつながりがなかった。だけど、全ての幸せの時間軸の中には私とマナナンがいた。


 ◇ ◇ ◇

あれから2年が経った。ティルナノーグは相変わらず平和だ。


「リナ、何を考えているのですか?」

「幸せだなあ、と思って」

私は、数ヶ月前、マナナン・マクリールの婚約者として紹介された。妖精界は人間の様にお披露目のための婚約式なんてしないから、書簡でそのニュースは広がった。

そして私たちの結婚式の日がやってきた。

妖精国なので、多種族の人たちへのお披露目とお食事のみ。パレードとかはない。もちろん式を進行する司祭もいない。大いなるすべてから生まれた妖精にはそんなものは必要ないらしい。妖精国での結婚式は異例のことなので、ドワール全ての王族や高位貴族の人たちが参列することになり、ドワール中の話題になっているという。そういう話を聞いてすごく緊張していたけれど、いつも通りのマリアンヌさんやプカと支度をしていてだんだん気持ちが落ち着いてきた。

鏡の前には純白のドレスに身を包んだ私がいる。

「リナ様お綺麗ですよ」

「リナ、キレイ!王も喜ぶ!」

「ありがとう」

ドレスとティアラはマナナンが用意してくれた。スカートのところにお花が散らばったふんわりとしたお姫様の様なデザイン。ティアラは王家に代々伝わるもの。それを身につけて、夫となる人が待っている大広間に向かう。

広間にはすでに各国の王族や高位貴族たちが集まっていた。もちろんアルフォンソ様やエトワールの王子、フランソワ様もいる。周りには妖精たちも飛び交っているのでキラキラでいっぱいだ。

ヒトのように「神」に誓うという儀式も必要がないので、式は妖精王の宣言のみだ。

「今ここにマクリール王家代18代マナナン・マクリールとリナ・タチバナ・サトウの婚姻を結びます」

妖精王の宣言によって私たちは晴れて夫婦になった。

会場は拍手に包まれた。

「リナ、私の妃としてファーストダンスを踊ってくださいますか?」

「喜んで」

マナナンのステップに合わせてステップを踏む。彼のリードが上手なので、無事1曲踊ることができた。それから周りの王族や貴族たちが踊りの輪に加わる。

ダンスの後、私とマナナンは挨拶回りに大忙しだ。

「リナ、マクリール、おめでとう」

アルフォンソ様が一番初めに進み出た。

「ありがとうございます。アルフォンソ様」

「リナを大切にしろよ」

「ええ。私の命が尽きるまで」

アルフォンソ様はそれだけいうと、遠巻きに見つめていた可愛らしい娘さんと仲睦まじく談笑し始めた。

「あの方は?」

「アルフォンソ様の婚約者の獣人族のティタニア様です」

白い猫耳が可愛らしい、大きな瞳の人だ。

よかった。アルフォンソ様、おめでとうございます

私たちの会話だ途切れた後、フランソワ様が挨拶に来る。

「おめでとう。まさか妖精王が異世界の娘をヨメに貰うとはな」

「エトワールでは慣例のことでしょう?一番大切なのはお互いを思い合う心です。種族の違いではありませんよ。これからもドワールの平和を目指し、私たちも協力して行きましょう」

マナナンの言葉にエトワールの王子フランソワが頷く。

「あちらさんとの仲裁もよろしく」

フワンソワがアルフォンソ様の方を向いていう。

「ええ。あの方も平和を望んでいらっしゃいますから。近々席を設けましょう」

「恩にきるぞ、とにかくおめでとう」

「ありがとうございます」


◇ ◇ ◇

結婚式はとどこおりなく終了して、妖精王と私は元ののどかな生活に戻った。

「マナナン様」

私を膝に抱きながら、妖精王が微笑む。

「これはやりすぎなのではないですか?」

「私が、食すよりもあなたに美味しいものを与えるほうが楽しいのですよ」

私は結婚後、私を膝に乗せて食事を自ら与える妖精王の意外な一面を見て、頭を抱えた。

「でも、恥ずかしいです」

「城には妖精しかおりません。気にすることはありませんよ」

「でも、きゃっ!」

いきなり唇にキスされて、言葉が続けられない。

「っん……」

「食べ物よりもあなたの唇の方が美味しいです」

ドワールもティルナノーグも平和に包まれて今日ものどかだ。ドワール各国を公務で各国を訪問しながら日本に帰る方法を調べてみたけれど、異世界から来た人たちはすべてドワールでその生涯を終えていた。妖精国には様々な空間と繋がる門がある。それは「ティルナノーグの扉」とよばれており、アルフォンソ様の婚姻が結ばれてからやっと魔界との「扉」が繋がった。その扉は異空間と繋がっているけれど、未だに日本へ繋がる扉はない。だけどもうそのことを考えることはあまりなくなってきている。私が一緒にいたいのはマナナンだから。生まれ育った国は大事だけれど、それよりも愛する人のそばにいたいと思うから。

「愛していますよ。リナ」

私は愛する人に抱きしめられながら、妖精国で思いっきり妖精王に溺愛される甘い日々を過ごしている。





                     




*ティルナノーグの扉を読んでくださってありがとうございました。本編はこれにて終わりです。不定期に番外編を書く予定です。





























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