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ハインリッヒの策略
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セシリアはいつもそうなのだ。
捕まえたと思えば、すぐに逃げる。私があの娘を見かけたのは、彼女が10歳の頃だったと思う。ガートランドに公式訪問ではなく、偵察に来た時にひまわりの花が咲いたように騎士と笑いあうあの娘を見かけた。
我が国では継承権を持つ者同士の裏での争いがすごかった。3度目の暗殺しかけられた時はもう15歳になっていたので、自分がどうあればいいのかわかっていた。
誰も逆らえないぐらい強大な力を持てばいいのだ。
逆らう者は握り潰す。
そうすれば己の身が守れる。
私はそのことを一見優しげな身内に殺されかけるという経験から学んだ。
だからあのように笑うことはなかったので、余計あの娘に惹かれたのかもしれない。
次期王である私の妃にはガートランドではなくもっとふさわしい国の姫を娶れと宰相や父からもいわれたが、王がしっかりしていれば妃の後ろ盾など必要ない、と突っぱねた。国益を上げるために貿易や戦で実績を上げ続けたら、なにもいわなくなった。
セシリアは政略結婚だと思っているが、私にとっては初恋の少女との恋を実らせる手段に過ぎなかった。
「どこにもいないといのか?」
「はい。申し訳ございません、殿下」
セシリア探索のために国外に散った影たちは焦り切っていた。
貿易のためと建て前で出かけた「セシリアが最もいそうな国、チリア」にもいなかった。小娘の力でルーレシアからそんなに遠いところまでいける筈がない。
エリアスと再接触したか。
大陸でも名高い騎士として知られているあの男なら、セシリアをどんな遠くへでも連れていけるだろう。
連れて行くとしたら、どこだ?
何の手がかりもない時は相手のことをよく調べると色々なことが見えてくる。
だから私はエリアスのことを影たちに探らせることにした。
◇ ◇ ◇
しばらくして、エリアスのことがわかった。
ガートランドの騎士として有名なこの男がガートランド人ではなく、異国人であること。
エリアスは海辺の小国「ティールザード」の出身で、平民ではなく、貴族らしいこと。
エリアスとしか知られていないので、どこからこの情報を得たのかわからないが、影がいうのならそうなのだろう。
ティールザートとルーレシアは全く国交がない。海辺の国で小国なので大して資源もない国に攻め入ってもこちらとしても利点はないし、ティールザードと貿易をしても遠すぎる為に利益が出ない。よって「取るに足らない国」として相手にしていなかった。
ガートランドで死んだことになっているセシリアを連れて行くとしたら、自国だろう。
私は地図を見て、ティールザードに続く海路と陸路で、セシリアを取り戻す為の罠を仕掛けるのに最適なところはどこだろう?と考え始めた。
エリアスさえいなくなれば、セシリアを取り戻すことなんて赤子の手をひねるようなものだ。
いったん取り戻してしまえば、我が国の魔術師に幻術でもかけさせて、私以外の他の者には「セシリアではない姫」
に見えるようにしてしまえばいいのだ。そして側室にすればいい。
得体の知れない小国の姫を拾って来たということにしてしまえば、正妃にはできない。
まあ、それは政略結婚でいいだろう。適当に宰相たちが勧める大国の姫とでも縁を結べばいい。
塔での生活はセシリアを知るのには良かったが、あのまま閉じ込めていてはいいとは思わないから。私はセシリアの笑顔に惚れたのだから。
必ず私のものにしてやる。
ハインリッヒは決意を新たにして、セシリアを再び手に入れる為の策に思いを巡らせた。
捕まえたと思えば、すぐに逃げる。私があの娘を見かけたのは、彼女が10歳の頃だったと思う。ガートランドに公式訪問ではなく、偵察に来た時にひまわりの花が咲いたように騎士と笑いあうあの娘を見かけた。
我が国では継承権を持つ者同士の裏での争いがすごかった。3度目の暗殺しかけられた時はもう15歳になっていたので、自分がどうあればいいのかわかっていた。
誰も逆らえないぐらい強大な力を持てばいいのだ。
逆らう者は握り潰す。
そうすれば己の身が守れる。
私はそのことを一見優しげな身内に殺されかけるという経験から学んだ。
だからあのように笑うことはなかったので、余計あの娘に惹かれたのかもしれない。
次期王である私の妃にはガートランドではなくもっとふさわしい国の姫を娶れと宰相や父からもいわれたが、王がしっかりしていれば妃の後ろ盾など必要ない、と突っぱねた。国益を上げるために貿易や戦で実績を上げ続けたら、なにもいわなくなった。
セシリアは政略結婚だと思っているが、私にとっては初恋の少女との恋を実らせる手段に過ぎなかった。
「どこにもいないといのか?」
「はい。申し訳ございません、殿下」
セシリア探索のために国外に散った影たちは焦り切っていた。
貿易のためと建て前で出かけた「セシリアが最もいそうな国、チリア」にもいなかった。小娘の力でルーレシアからそんなに遠いところまでいける筈がない。
エリアスと再接触したか。
大陸でも名高い騎士として知られているあの男なら、セシリアをどんな遠くへでも連れていけるだろう。
連れて行くとしたら、どこだ?
何の手がかりもない時は相手のことをよく調べると色々なことが見えてくる。
だから私はエリアスのことを影たちに探らせることにした。
◇ ◇ ◇
しばらくして、エリアスのことがわかった。
ガートランドの騎士として有名なこの男がガートランド人ではなく、異国人であること。
エリアスは海辺の小国「ティールザード」の出身で、平民ではなく、貴族らしいこと。
エリアスとしか知られていないので、どこからこの情報を得たのかわからないが、影がいうのならそうなのだろう。
ティールザートとルーレシアは全く国交がない。海辺の国で小国なので大して資源もない国に攻め入ってもこちらとしても利点はないし、ティールザードと貿易をしても遠すぎる為に利益が出ない。よって「取るに足らない国」として相手にしていなかった。
ガートランドで死んだことになっているセシリアを連れて行くとしたら、自国だろう。
私は地図を見て、ティールザードに続く海路と陸路で、セシリアを取り戻す為の罠を仕掛けるのに最適なところはどこだろう?と考え始めた。
エリアスさえいなくなれば、セシリアを取り戻すことなんて赤子の手をひねるようなものだ。
いったん取り戻してしまえば、我が国の魔術師に幻術でもかけさせて、私以外の他の者には「セシリアではない姫」
に見えるようにしてしまえばいいのだ。そして側室にすればいい。
得体の知れない小国の姫を拾って来たということにしてしまえば、正妃にはできない。
まあ、それは政略結婚でいいだろう。適当に宰相たちが勧める大国の姫とでも縁を結べばいい。
塔での生活はセシリアを知るのには良かったが、あのまま閉じ込めていてはいいとは思わないから。私はセシリアの笑顔に惚れたのだから。
必ず私のものにしてやる。
ハインリッヒは決意を新たにして、セシリアを再び手に入れる為の策に思いを巡らせた。
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