転生王女は隣国の冷酷皇太子から逃れて美形騎士と結ばれたい!

Erie

文字の大きさ
59 / 78

転生王女の結婚式3

しおりを挟む
ティールザード寺院から公爵家までのパレードが終わり、公爵家に到着した頃には、招待客たちはパーティ会場である公爵領の庭で談笑しているところだった。

パーティーは立食形式で、給仕たちが美味しそうなフィンガーフードのトレイやお酒のグラスを運んでいる。

もちろんいたるところに食べ物のテーブルがあり、肉、野菜、デザートに分かれており、それぞれが取りに行くことができるが、午後という時間帯もあってか、デザートやフィンガーフードの方が好まれていた。

セシリアとエリアスの馬車が到着するとガーデンパーティに招かれた300名ほどの招待客たちの拍手によって、二人は迎えられた。もちろん、その中にはエリアスの両親である国王夫妻と姿を変えて男爵夫妻となっているセシリアの両親もいる。それ以外はアルザス公爵家にとって重要な海外からの招待客がほとんどだ。

「アルザス公爵夫妻おめでとう。王家からも心よりの祝福を送る」

「お祝いの言葉ありがとうございます。これからもアルザス公爵家として、夫婦共々、ティールザードの繁栄に力を尽くしたいと思います」

エリアスが国王に礼を述べて、臣下の礼を取る。


これは公式な催しなので、いくら元王族で、目の前にいるのが父だとしても、家族の触れ合いはできない。あくまで、公爵家の婚姻の宴に出席しているスタンスで双方とも接している。もっとも後日プライペートな催しが王宮であるらしかったが。

「さあ、挨拶回りに行きましょう。あなたをみんなに紹介しないとね」

エリアスがセシリアを連れて、アルザス公爵家にとって重要な外国の貴族たちへの挨拶回りを開始してから、やっと何か食べることができたのは、国王の祝辞から数時間後のことだった。


楽隊がワルツの音楽を演奏し始めた。

「セシリア、踊りましょう?」

白い軍服姿のエリアスは普段より10割り増しでかっこよかった。

ファーストダンスを踊るためにセシリアの手を取る。

そしてセシリアをリードして軽やかなステップを踏んでいく。

「やっと、私のものになった」

エリアスに抱きしめられるようにダンスをされて、セシリアは赤面する。

「私の色、とてもよく似合っていますよ?」

「ありがとう。あなたも凛々しくて素敵よ?」

セシリアの言葉に眼を細めると、

「この会場の中であなたが1番美しい。どの男たちもあなたを見つめている」

招待客たちの輪に囲まれてセシリアたちが踊る。そして1曲目が終わると、他の者たちもダンスに参加した。

「お嬢さん、1曲お願いできますかな?」

セシリアにダンスを申し込んだのは先ほどバージンロードをセシリアと歩いた男爵である。

「エリアス、この方は大丈夫よ。会わせてくれてありがとう」

その言葉に魔法で変化したセシリアの父だと気付いたエリアスは会釈をする。

普通のワルツを踊り始めるが、何もいわずにひたすらステップを踏んで踊る。しばらくしてセシリアが口を開いた。

「今まで、ありがとうございました」

「うむ。セシリア、離れていてもお前の幸せを祈っている。エリアスと達者で暮らせ」

「はい。皆様にもよろしくお伝えください」

セシリアが父親とダンスを踊っているのを見ていたエリアスに声をかけたのは茶色の髪の見知らぬ男爵夫人だった。

「踊ってくださいます?」

「ええ」

「私たちはこれで退席しますが、娘をよろしくお願いしますね。エリアス」

「はい。このエリアス、全身全霊で幸せにしてみます」

「ありがとう」

夫人はダンスを終えて、セシリアとダンスを終えた男爵の下に向かう。3人で少し話していたが、セシリアを置いて、庭園から姿を消した。

「もうすぐ、魔法が切れるからその前に立つそうよ」

両親と再び別れるセシリアは悲しそうにいう。

「また、会えるように何か手立てを考えますから」

「ええ。会わせてくれてありがとう。エリアス。まさか会えるなんて思ってもいなかったからびっくりしたわ」

「あなたの姿変えの魔法がヒントをくれました」

「ありがとう」

「もう1曲踊りましょう」

結婚した私たちはダンスを1度だけでなく、何回も踊ることができる。次のダンスはティールザードのダンスではなく、ガートランドでも親しんだ普通のワルツだった。

「セシリア、お手をどうぞ」

ひざまづいて、私の手をとるエリアスはまさに王子様そのもの。まあ、知らなかったとはいえ、元、王子様なんだけれど!

彼の手を取ると私の腰にも手を添えて、スローなダンスを踊る。

ちょっと、かなり近すぎる気がするんですけど。

「あなたが私のものだと、体でも表現しとかないと、変な虫が寄ってくるのでね」

エリアスはそういうと、私の唇に軽いキスをした。

「セシリア、愛してますよ」

「私も、愛してるわ。エリアス」

「これからも色々なことがあるでしょうけど、あなたとならどんなことでも乗り越えられます。あなたは私の癒し、希望、全てです」

「エッエリアス、大げさだわ」

「セシリア、あなたは私の気持ちがまだわかっていないようだ。今夜、私の気持ちを思いっきり表現して差し上げますからね」

セシリアはエリアスの情熱的な言葉に顔をますます赤らめた。

エリアスとセシリアを祝福する宴はそれから日が暮れるまで続いた。



(END)



*本編はこれで終わりです。ありがとうございました。これからは不定期の番外編になります。




































































しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【完結】異世界召喚 (聖女)じゃない方でしたがなぜか溺愛されてます

七夜かなた
恋愛
仕事中に突然異世界に転移された、向先唯奈 29歳 どうやら聖女召喚に巻き込まれたらしい。 一緒に召喚されたのはお金持ち女子校の美少女、財前麗。当然誰もが彼女を聖女と認定する。 聖女じゃない方だと認定されたが、国として責任は取ると言われ、取り敢えず王族の家に居候して面倒見てもらうことになった。 居候先はアドルファス・レインズフォードの邸宅。 左顔面に大きな傷跡を持ち、片脚を少し引きずっている。 かつて優秀な騎士だった彼は魔獣討伐の折にその傷を負ったということだった。 今は現役を退き王立学園の教授を勤めているという。 彼の元で帰れる日が来ることを願い日々を過ごすことになった。 怪我のせいで今は女性から嫌厭されているが、元は女性との付き合いも派手な伊達男だったらしいアドルファスから恋人にならないかと迫られて ムーライトノベルでも先行掲載しています。 前半はあまりイチャイチャはありません。 イラストは青ちょびれさんに依頼しました 118話完結です。 ムーライトノベル、ベリーズカフェでも掲載しています。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

処理中です...