転生王女は隣国の冷酷皇太子から逃れて美形騎士と結ばれたい!

Erie

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SSの置き場&番外編

転生王女の新婚旅行1

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結婚式からいろいろな案件が溜まっていたから、領地を簡単に離れることができなくて、忙しいエリアスがやっと「r新婚旅行」に連れ出してくれたのは、1ヶ月後のことだった。

「わあ!すごいわ!ティールザードにもこういう異国みたいな場所があるのね?」

私の言葉にエリアスが笑う。

私は現在エリアスの膝の上に乗せられて、馬車で移動中。

農耕地帯が多いアルザス領から東を目指すと、景色が、東洋めいたものに変わり始める。馬車から見える人たちも黒髪、黒目の人たちが多い。もちろんティールザード生粋の色を持つ明るい髪や目の人たちもいるんだけれど。

「ここの海岸を隔てたところのある東の国とは我が国は貿易が盛んですから、向こうの国出身の商人たちがたくさんこの辺りに住み着いているのですよ」

「オリエント王国のことね?」

「ええ。かの国と我が国とでは文化がかなり違うため、向こうの文化風の家や食べ物や商品などもあるので、楽しいかと思って、旧友にここへの訪問を依頼したところ、二つ返事で了解してくれてね」

「まあ!エリアスのお友達?」

「私は少年期のほとんどをガートランドで過ごしましたが、それ以前に通っていた寄宿学校の友達で、この領の領主をやっている変わりものなんですが…」

エリアスの言葉が終わらないうちに馬車が止まる。

「着いたようですね」

馬車から降りると、昔の中国の宮殿とティールザードの西洋風の屋敷が混ざったようなお屋敷がそびえ立っていた。

「まあ、異国の香りがするのお屋敷ですのね」

家庭教師たちの一通りのことは教わったから、オリエント国のことも一応頭に入っている。東の島国で、主に絹と鉱物と魔法石を扱う国。国民は商人を除いて自国をあまり出ないので、あまり他国民に慣れておらず、混血も進んでいない。悪い言い方をすれば、同じような色合いの種族の人たちで、顔立ちも似通っている。国自体は平和で豊かなため戦争もなく、貿易業も順調で、そこの王族であるオリエント国の王家も穏やかな人柄で国民の支持を得ているという。

「リード伯爵、この間のパーティーで会ったでしょう?」

「ええ。明るい茶金の髪に緑の瞳の方、でしたわよね?」

「その奥方がオリエント出身の姫君でね」

セシリアの頭に舞踏会であったストレートの黒髪に黒い瞳に抜けるような白磁の肌の夫人が浮かんだ。

「あの綺麗な方」

「ええ。異国になれないわが友はその二つの文化を引き継いでいるんで、面白い男なんだ」

馬車を降りて、侍従が屋敷の門番に来訪の旨を伝えると、リード家の執事および、リード伯爵夫妻が出迎えてくれた。

「アルザス公爵、この度はリード家にようこそおいでくださいました」

「伯爵、妻にも是非異国の香りのする文化を紹介したくて無理を言ってしまいましたが、この度の訪問の承諾ありがとうございます」

「あなたとわが息子トールは兄弟のように過ごした仲、お安い御用ですよ」

「ありがとうございます。リード伯」

「このように素敵なところに来ることができて夢のようです。ありがとうございます。リード伯爵」

セシリアも礼を述べる。

「あなたも異国の出身の方と聞いております。色々お茶でも飲みながら、お話をしましょう?」

花のような笑顔でオリエントの花と謳われたリード伯爵夫人が微笑んだ。

「ええ。楽しみにしておりますわ」

「アルザス公爵夫妻には離れの館をご用意していますので、自分の家だと思ってお寛ぎください」

「離れにご案内いたします」

エリアスとセシリアはリード家の執事に案内されて、オリエンタル風の本館とは違う、いかにもティールザードという普通の西洋風の館に入っていった。石造りの離れの屋敷にはアルザス公爵夫妻に着いてきた侍女や侍従たちの部屋もあり、サロンに、応接室、ダイニングルーム、そしてマスタベッドルームの他に寝室が6室もある結構なサイズだ。新婚旅行のカップルにはぴったりのプライバシーが保てるすごい広いプチ屋敷といってもいい。

「久しぶりだね、エリアス」

離れで待っていたのは、エリアスの旧友であるトールで、肩までできる揃えられたウエーブががった黒髪に緑色の瞳の瞳が悪戯な笑みを浮かべている。

「トール、変わらないな」

トールはエリアスと同じ年なのだが、幼く見えるためセシリアと同じ年かその下ぐらいに見えてしまう。

「女嫌いだったエリアスが、こんな可愛い子をお嫁さんにするなんてねえ?」

トールがふふっと微笑む。

「こんにちは、トール様、お会いするのは初めてですけれど、お話はエリアスから聞いていますわ」

トールはセシリアの手を取り、膝を折って彼女の手のひらに口づけをして、自己紹介を始めた。

「良い噂だといいのですが、こんな綺麗なご婦人をリード家でもてなすことができるなんて光栄ですよ、セシリア様」

黒髪と緑の瞳の少年といった感じを漂われたトールは人というよりも妖精に近い雰囲気の美少年だ。

「お前は相変わらずの女好きみたいだな?」

エリアスの言葉に

「美人と可愛い子限定だけどね!疲れているでしょうから晩餐までの間ゆっくりしててよ。積もる話は後でしよう」

と悪戯っ子の笑みを浮かべて、執事と共に離れの館を後にした。






























































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