レポート地獄の女子大生と野球拳アプリ

こころ さづき

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後編 野球拳アプリやるなら、こういうくらいにしましょうね

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「最初はグー、じゃんけん…」

 由佳がスマホを操作する。美咲も、ほぼ同時に自分のスマホをタップした。

「「…ぽん!」」

 二人の声が重なる。

「…あ!私、負けた」

 美咲のスマホ画面には『LOSE!』の文字と、グーのアイコン。一方、由佳の画面には、パーのアイコンと『WIN!』の文字が表示されている。

「はい、一枚、脱いで」

 由佳が、ニヤリと笑って言った。その笑顔は、いつもより少しだけ、意地悪に見えた。

「うぅ…ちょっと待ってよ…」

 美咲は、仕方なくカーディガンのボタンに手をかけた。まだ一回目。次、勝てばいい。そう自分に言い聞かせながら、ゆっくりとカーディガンを脱ぎ、少しずつ肌を露わにしていく。

「よし、次!最初はグー、じゃんけん…」

 しかし、その後も美咲は負け続けた。長袖のシャツも脱ぎ、さらにキャミソール一枚にさせられた。結果が表示されるタイミングは、美咲がタップしてから一瞬だけ遅い。しかし、ほぼ同時なので、美咲は違和感に気づいていない。

「ちょっと、由佳、強すぎない…?」

「そうかな?たまたまだよ。さあ、次で最後の一枚、いこうか」

「うぅ…もう後がない…」

 教室の空調が、キャミソール一枚の肌に冷たく感じる。美咲は、少しだけ震えながら、スマホの画面を見つめた。その瞳は、焦りと羞恥心で潤んでいる。

「最初はグー、じゃんけん…ぽん!」

「…負けた」

 美咲のスマホには、再び『LOSE!』の文字。

「はい、美咲の負け。ちゃんと約束は守ってね」

 由佳は、満足げな笑みを浮かべている。その表情には、どこか妖しい魅力があった。美咲は、この時初めて、由佳の瞳の奥に潜む、いつもとは違う、熱っぽい何かに気づいたような気がした。

「やだ…脱ぎたくない…」

 美咲は、キャミソールを脱ぐことを拒否した。しかし、由佳は美咲に言った。

「約束は守ってね。ほら、脱いで」

「うぅ…」

 美咲は、羞恥心で顔を真っ赤にしながら、キャミソールの裾を、おずおずと摘んだ。その姿は、まるで花が咲くように、美しくも儚い。

「や、やっぱり、やだ…」

 美咲は、目には涙を溜めて抵抗した。しかし、由佳は「だめだよ、ちゃんと脱いで」と、有無を言わせない声で言った。

 美咲は、今にも泣き出しそうな顔で、ゆっくりとキャミソールを脱ぎ始めた…。

「…なんてね!冗談、冗談!もう終わり!」

 美咲がキャミソールを頭から脱ぐ直前、由佳は慌ててゲームを中断させた。

「え…?」

「もう、美咲ったら本当に脱ごうとするんだもん。あんなに赤くなっちゃって。ごめん、ごめんね」

 由佳は、悪戯っぽく笑いながら謝った。

「も、もう…びっくりした…本気で…脱ぐのかと…思った…」

 美咲は、キャミソールを脱ぎかけたまま、大きく息をついた。目には、まだ涙が光っている。天然な美咲は、羞恥で顔を真っ赤にしながらも、言われたとおりに脱ごうとしていたのだ。

「ごめんね、美咲。でも、本当にレポートやばかったんでしょ?手伝うから、一緒にやろ!」

「…本当に?ありがとう、由佳…」

 美咲は、心から安堵した表情を浮かべた。由佳は、そんな美咲の様子を、申し訳なさそうに、そして愛おしそうに見つめていた。

「でも、あのアプリ、本当はイカサマしてたんだよね…?」

「えへへ、バレちゃった?実は隠しコマンドがあって、結果を操作できるんだ」

「もう、由佳ったら…」

 その後、二人は協力して、なんとかレポートを締め切りまでに仕上げることができた。

「…ねえ、由佳」

「ん?」

「あのアプリ、もう一回だけ、やらない?」

「え…?」

「今度は、ちゃんと勝負しよ!イカサマなしで!」

「ふふ、いいよ!絶対、負けないんだから!」

 二人の笑い声が、夜の空き教室に響き渡った。

 そして、美咲には知る由もない、由佳の胸の高鳴りがそこにあった。
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