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【敵国の王子×第二王子】
3
『あにうえ!』
私はどちらかと言うと甘やかされて育って来た方だとは思う。
『どうした、セシル』
父上や母上は勿論、使用人達までにも可愛がれて育った自覚はある。そして兄上は私を他の誰よりも1番可愛がり、面倒を見てくれた。
『このえほん、あにうえといっしょによみたいのです』
『セシル様、アヴァン様には今から剣術指導がありますので…』
『クリフ、今日ぐらいサボってもいいだろう?』
王位継承者の兄上は私より遥かに忙しく、座学や剣術だけではなく様々な分野を学び、暇なんてものは殆どなかった。
『…仕方ないですね。いいですか、ここだけの秘密ですからね。バレて叱られるのはアヴァン様だけでなく、私もですから』
けれどたまに、いや結構な頻度で執事のクリフがこうして兄上に遊ぶ時間を与えてくれた。
結局は父上にバレてこっぴどく怒られたのだけれど、兄上と隠れて遊んだ時間は私にとってとても楽しく、大切な記憶だ。
「…シル、セ……」
あぁ、今日もまた嫌な一日が始まる。
私はゆっくり目を開ける。
「セシル、おはよう」
「…おはよ、ございま…す…」
ガサガサの私の声は昨日の行為のせいだろう。あの行為は私の同意関係なしに、強制的にほぼ毎日のように行われる。
「あぁ、幸せだ」
うっとりと呟き、私にキスを落とすローレンスは何を考えているのかわからない。
契約してから直ぐに連れてこられたこの場所は、一般の人なら立ち入らないであろう険しい山奥の屋敷だった。使用人と思われる人達も居るが必要最低限の接触しか許されず、話しかけると逃げて行ってしまうのだ。
そしてローレンスとの契約がある。
1.屋敷から外は出てはいけない。
2.嘘をついたり、隠し事をしてはいけない。
3.ローレンスの命令は絶対である。
この3つを破ればきついお仕置がある。それは夜の行為の何倍もしんどいものだ。初めて屋敷に来た際にそれは何度も嫌という程教え込まれた。
ふと横に座っていたローレンスが立ち上がり、ベッドから出ていく。
「さてセシル、朝ごはんを食べようか」
そう一言、ローレンスは部屋を出ていってしまった。セシルは早く彼を追いかけなければと思い、急いでベッドから出る。
「い"ッ~~…!!」
勢いよく立ち上がれば、昨日の行為で悲鳴を上げていた腰に激痛が走る。そしてその場でヘタリ込んでしまう。
「い、たいっ…」
いつもは痛くても立てないほどではなかった。こんなに痛いのはあの日ぶりだ。
けれどここでモタモタしてる場合では無い、早く行かなければローレンスの機嫌を損ねかねない。
何とかして行かなければと思い、私は壁を伝って行くことにした。いつも食事をとる場所は私の部屋からは、廊下を真っ直ぐ突き当たりでそう遠くは無い。
「…ろー…れんす、さま…」
やっとの思いで部屋の中に入ると、彼はもう着替えており珈琲を嗜んでいた。
「やっと来た?遅いから食べないかと思ったよ」
「すみませ、ん…腰が…痛くて…」
テーブルには豪華な朝食が置かれている。椅子は1つしかなく、ローレンスが座っている。
「まあいい、ほらおいで」
セシルは手招かれるままローレンスの膝の上に座る。
「何が食べたい?」
「オレンジ…」
「ふふ、セシルはフルーツが好きだな」
ローレンスはフォークでオレンジを刺せば、そのオレンジをセシルの口へ持っていく。
別にフルーツが好きって訳ではない。ただ喉が渇いていて、ここのお茶が私の好みではないから、仕方く水分の多いフルーツをいつも先に食べているだけだ。
「次はやっぱりイチゴかな、いやブドウか?」
咀嚼するセシルを横目に、楽しそうに次の食べ物を選ぶ。
セシルはローレンスに対して、何事にも否定する事を諦めていた。否定しても結局セシルの決定権があるのはローレンスで、自分の意思など関係ない。
何より否定すればローレンスの機嫌が悪くなる。結局肯定しなければならないのなら、最初から諦めて従えばいい。
そうすれば嫌なあの行為も、甘ったるいこの朝の時間も、無の感情になれる気がしたから。
最初から何も期待しなければいい、理解されようと思わない方がいいのだ。
次に差し出されたフルーツはイチゴで、セシルは黙ってそれを口に入れた。
【BADEND】
私はどちらかと言うと甘やかされて育って来た方だとは思う。
『どうした、セシル』
父上や母上は勿論、使用人達までにも可愛がれて育った自覚はある。そして兄上は私を他の誰よりも1番可愛がり、面倒を見てくれた。
『このえほん、あにうえといっしょによみたいのです』
『セシル様、アヴァン様には今から剣術指導がありますので…』
『クリフ、今日ぐらいサボってもいいだろう?』
王位継承者の兄上は私より遥かに忙しく、座学や剣術だけではなく様々な分野を学び、暇なんてものは殆どなかった。
『…仕方ないですね。いいですか、ここだけの秘密ですからね。バレて叱られるのはアヴァン様だけでなく、私もですから』
けれどたまに、いや結構な頻度で執事のクリフがこうして兄上に遊ぶ時間を与えてくれた。
結局は父上にバレてこっぴどく怒られたのだけれど、兄上と隠れて遊んだ時間は私にとってとても楽しく、大切な記憶だ。
「…シル、セ……」
あぁ、今日もまた嫌な一日が始まる。
私はゆっくり目を開ける。
「セシル、おはよう」
「…おはよ、ございま…す…」
ガサガサの私の声は昨日の行為のせいだろう。あの行為は私の同意関係なしに、強制的にほぼ毎日のように行われる。
「あぁ、幸せだ」
うっとりと呟き、私にキスを落とすローレンスは何を考えているのかわからない。
契約してから直ぐに連れてこられたこの場所は、一般の人なら立ち入らないであろう険しい山奥の屋敷だった。使用人と思われる人達も居るが必要最低限の接触しか許されず、話しかけると逃げて行ってしまうのだ。
そしてローレンスとの契約がある。
1.屋敷から外は出てはいけない。
2.嘘をついたり、隠し事をしてはいけない。
3.ローレンスの命令は絶対である。
この3つを破ればきついお仕置がある。それは夜の行為の何倍もしんどいものだ。初めて屋敷に来た際にそれは何度も嫌という程教え込まれた。
ふと横に座っていたローレンスが立ち上がり、ベッドから出ていく。
「さてセシル、朝ごはんを食べようか」
そう一言、ローレンスは部屋を出ていってしまった。セシルは早く彼を追いかけなければと思い、急いでベッドから出る。
「い"ッ~~…!!」
勢いよく立ち上がれば、昨日の行為で悲鳴を上げていた腰に激痛が走る。そしてその場でヘタリ込んでしまう。
「い、たいっ…」
いつもは痛くても立てないほどではなかった。こんなに痛いのはあの日ぶりだ。
けれどここでモタモタしてる場合では無い、早く行かなければローレンスの機嫌を損ねかねない。
何とかして行かなければと思い、私は壁を伝って行くことにした。いつも食事をとる場所は私の部屋からは、廊下を真っ直ぐ突き当たりでそう遠くは無い。
「…ろー…れんす、さま…」
やっとの思いで部屋の中に入ると、彼はもう着替えており珈琲を嗜んでいた。
「やっと来た?遅いから食べないかと思ったよ」
「すみませ、ん…腰が…痛くて…」
テーブルには豪華な朝食が置かれている。椅子は1つしかなく、ローレンスが座っている。
「まあいい、ほらおいで」
セシルは手招かれるままローレンスの膝の上に座る。
「何が食べたい?」
「オレンジ…」
「ふふ、セシルはフルーツが好きだな」
ローレンスはフォークでオレンジを刺せば、そのオレンジをセシルの口へ持っていく。
別にフルーツが好きって訳ではない。ただ喉が渇いていて、ここのお茶が私の好みではないから、仕方く水分の多いフルーツをいつも先に食べているだけだ。
「次はやっぱりイチゴかな、いやブドウか?」
咀嚼するセシルを横目に、楽しそうに次の食べ物を選ぶ。
セシルはローレンスに対して、何事にも否定する事を諦めていた。否定しても結局セシルの決定権があるのはローレンスで、自分の意思など関係ない。
何より否定すればローレンスの機嫌が悪くなる。結局肯定しなければならないのなら、最初から諦めて従えばいい。
そうすれば嫌なあの行為も、甘ったるいこの朝の時間も、無の感情になれる気がしたから。
最初から何も期待しなければいい、理解されようと思わない方がいいのだ。
次に差し出されたフルーツはイチゴで、セシルは黙ってそれを口に入れた。
【BADEND】
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