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第0幕:自己紹介
橋本 芽衣(No.025):「詰み」を待つ盤上の王
しおりを挟む「……九、八、七」
秒読みの声が、私の薄っぺらい鼓膜を一定のリズムで叩く。
将棋盤を見つめる私の瞳は、常に数千手の未来を演算している。この縦横九マスの宇宙に没入している時だけが、私が自分自身の肉体という「不自由」を忘れられる唯一の瞬間だった。
私の名は、橋本 芽衣。聖華女子高等学校の3年生であり、将棋部の部長を務めている。
私の身体を数値化すれば、それはあまりにも無機質な「欠落」の記録になる。150cmの身長は中学生の頃にその歩みを止め、40kgの体重は、知性の火を灯し続けるための最小限の質量に過ぎない。制服のブラウスの下、AAAカップと定義される私の胸元は、完全なる平原だ。そこには、女性としての柔らかな曲線など存在しない。ただ、心臓の絶え間ない拍動をダイレクトに伝える、薄い皮膚と肋骨があるだけ。私はこの、折れそうなほど細く薄い肢体を、知性のための純粋な容れ物だと、誇りにも似た諦念と共に受け入れていた。
けれど、それはあまりにも傲慢な嘘だった。
私のルーツは、碧ヶ崎市の旧家、論理を崇拝する家庭にある。数学者の父は私に世界の解法を教え、プロ棋士の母は私に勝利の作法を叩き込んだ。私は「負けること」を許されなかった。敗北は死であり、論理の破綻は存在の消滅を意味した。
だからこそ、中学時代のあの全国大会決勝での逆転負けは、私の回路を焼き切るほどの衝撃だったのだ。
読み切ったはずの盤面が、相手のたった一手の「暴力」によって瓦礫と化した時。私は、自分の股間が、これまでにないほど熱く、粘り気のある愛液で濡れていくのを感じた。
論理が通用しない。予測が届かない。その絶望が、私のAAAカップの平坦な胸を、未成熟な乳頭を、狂おしいほどに疼かせた。
私の性的経験は、この18年間、無垢なままだ。
けれど、放課後の部室で一人、盤面に向き合う時、私は時々、自分の指を口に含む。ダークチョコレート色のツインテールの毛先を噛みしめながら、もう片方の手でスカートの奥、自分の「王将」が鎮座する場所をなぞる。
私の入り口は、150cmの身体に見合って、ひどく狭く、硬い。処女膜の守りは、どんな鉄壁の守備陣よりも強固だ。
けれど、私は夢想する。誰かが、私の論理を粉々に砕き、その鉄扉を暴力的な熱でこじ開けてくれる瞬間を。
「参りました」
その言葉を、私の唇が、涙と涎にまみれて紡ぎ出す瞬間。
その時、私はようやく、橋本芽衣という完璧な偶像から解放され、ただの、熱を持った「メス」になれるのだ。
私は、あの子を意識せずにはいられない。写真部の、前田千尋。
彼女の首にかかった一眼レフの、あの無機質なガラスのレンズが、私の「空白」を狙っていることに気づいている。
私のAAAカップの胸が、恐怖と期待で激しく上下する様を、彼女はきっと、一秒間に何枚もの連写で記録していくのだろう。
私の思考が停止し、脳が真っ白な絶頂に染まるその瞬間まで、彼女は冷徹にシャッターを切り続ける。
私は、彼女のレンズに屈服したい。
私の論理の残骸が、畳の上に、そして彼女のフィルムの中に、無様に晒されるのを待っている。
「……六、五、四」
秒読みが終わる前に、私は自分の運命に「王手」をかける。
さあ、私を詰ませて。
私の世界のすべてを、あなたの現像液で塗りつぶして。
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