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第一幕:露光される盤上
足首の残像 ― 机の下の暗室(アン・カメラ)
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「……あ」
消しゴムを握りしめ、這い出そうとした私の視界が、突然塞がれた。
光を遮るようにして机の下に滑り込んできたのは、千尋さんだった。
「ちょ、ちょっと……何を……っ」
驚きで声を上げそうになった私の唇を、彼女の細い指が即座に塞ぐ。
150cmの私と、157cmの彼女。
本来なら二人が入るようには設計されていない、図書館の閲覧机の下。そこは、外側の静寂から切り離された、薄暗い木の檻だった。
私たちの膝と膝がぶつかり、逃げ場のない熱が、狭い空間に急速に充満していく。
「しーっ。……大きな声出したら、先生が来ちゃうよ? そしたら二人で『没収』されちゃうね」
千尋さんの囁きが、私の鼻先で弾けた。
近い。
あまりにも近すぎて、彼女の瞳に映る、恐怖と期待で瞳孔の開いた自分の顔が、はっきりと確認できる。
157cmの彼女が身を屈めることで、そのCカップの胸が、私のAAAカップの平坦な胸元に、避けることのできない圧力として押し付けられた。
柔らかい。そして、恐ろしいほどに、生きている。
ブラウスの薄い布地を二枚隔てているだけなのに、彼女の鼓動が、私の骨にまで響いてくる。
「……二人きりだね、芽衣ちゃん」
彼女の言葉が、私の首筋に熱い痕跡を残す。
机の下。ここは、彼女が支配する「暗室」の、文字通りの雛形だった。
彼女の首にかけられた一眼レフが、私の鎖骨に当たって冷たく沈み込む。
そのカメラの重みさえも、今は私をこの場に繋ぎ止めるための重石(おもし)のように感じられた。
「……どうして、こんな……」
「芽衣ちゃんが、私の足、あんなに熱心に見てるから。……もっと近くで、じっくり見せてあげようと思って」
千尋さんの手が、私の背中に回された。
逃げられないように、あるいは、この密室の温度をさらに上げるために。
彼女の指先が、私のダークチョコレート色のツインテールの隙間から、うなじをゆっくりとなぞり落とされる。
「ひっ……あ、あ……」
脊髄を駆け上がる快感。
150cmの私の肢体は、彼女の157cmの包容力に、あっけなく呑み込まれていく。
狭い空間。誰かに見つかるかもしれない背徳感。
そして何より、私のAAAカップの胸を押し潰している、彼女の「女としての重み」。
論理は、とっくに塵となって消えていた。
将棋盤の上の王様も、数学の解法も、ここには存在しない。
ただ、現像されるのを待つ未露光の感情と、互いの汗の匂いだけが、木の香りに混ざり合って、私を狂わせていく。
「芽衣ちゃんの心臓……机を突き破りそうなくらい、激しく鳴ってる」
千尋さんはそう言って、わざと私の胸元にさらに身体を預けた。
密着する肌。混ざり合う吐息。
机の下という名の、小さな「死」の空間。
私は、彼女の瞳から目を逸らす力を失い、ただ、次に彼女が切り取る「一瞬」を待つだけの、無力な被写体へと成り果てていた。
消しゴムを握りしめ、這い出そうとした私の視界が、突然塞がれた。
光を遮るようにして机の下に滑り込んできたのは、千尋さんだった。
「ちょ、ちょっと……何を……っ」
驚きで声を上げそうになった私の唇を、彼女の細い指が即座に塞ぐ。
150cmの私と、157cmの彼女。
本来なら二人が入るようには設計されていない、図書館の閲覧机の下。そこは、外側の静寂から切り離された、薄暗い木の檻だった。
私たちの膝と膝がぶつかり、逃げ場のない熱が、狭い空間に急速に充満していく。
「しーっ。……大きな声出したら、先生が来ちゃうよ? そしたら二人で『没収』されちゃうね」
千尋さんの囁きが、私の鼻先で弾けた。
近い。
あまりにも近すぎて、彼女の瞳に映る、恐怖と期待で瞳孔の開いた自分の顔が、はっきりと確認できる。
157cmの彼女が身を屈めることで、そのCカップの胸が、私のAAAカップの平坦な胸元に、避けることのできない圧力として押し付けられた。
柔らかい。そして、恐ろしいほどに、生きている。
ブラウスの薄い布地を二枚隔てているだけなのに、彼女の鼓動が、私の骨にまで響いてくる。
「……二人きりだね、芽衣ちゃん」
彼女の言葉が、私の首筋に熱い痕跡を残す。
机の下。ここは、彼女が支配する「暗室」の、文字通りの雛形だった。
彼女の首にかけられた一眼レフが、私の鎖骨に当たって冷たく沈み込む。
そのカメラの重みさえも、今は私をこの場に繋ぎ止めるための重石(おもし)のように感じられた。
「……どうして、こんな……」
「芽衣ちゃんが、私の足、あんなに熱心に見てるから。……もっと近くで、じっくり見せてあげようと思って」
千尋さんの手が、私の背中に回された。
逃げられないように、あるいは、この密室の温度をさらに上げるために。
彼女の指先が、私のダークチョコレート色のツインテールの隙間から、うなじをゆっくりとなぞり落とされる。
「ひっ……あ、あ……」
脊髄を駆け上がる快感。
150cmの私の肢体は、彼女の157cmの包容力に、あっけなく呑み込まれていく。
狭い空間。誰かに見つかるかもしれない背徳感。
そして何より、私のAAAカップの胸を押し潰している、彼女の「女としての重み」。
論理は、とっくに塵となって消えていた。
将棋盤の上の王様も、数学の解法も、ここには存在しない。
ただ、現像されるのを待つ未露光の感情と、互いの汗の匂いだけが、木の香りに混ざり合って、私を狂わせていく。
「芽衣ちゃんの心臓……机を突き破りそうなくらい、激しく鳴ってる」
千尋さんはそう言って、わざと私の胸元にさらに身体を預けた。
密着する肌。混ざり合う吐息。
机の下という名の、小さな「死」の空間。
私は、彼女の瞳から目を逸らす力を失い、ただ、次に彼女が切り取る「一瞬」を待つだけの、無力な被写体へと成り果てていた。
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