二人静-en Xmas-

ナツメ・カオ

文字の大きさ
4 / 9

謎の園と私6~7

しおりを挟む
6.

2年前、ある『トキシコロジー研究所』にて
研究員・長野 康太郎は男を殴る。

「君は一体なにをしたのか分かってるのか!」「長野くん! やめなさい、殴っても状況が変わるわけじゃない!」
「だまってろ! 益三!黒田、なにをしたのか分かってるのか? お前がした事は違法であり、世界のためにもならないことをしたのだぞ」
「うるさい。なぜ言い切れる? 人類は人体実験であらゆる研究をしてきたのではないのか? 動物だって人間だってそうだ。なにが悪い。新しい研究に人体実験は付き物だ!」
「このやろう!」

また殴りかかろうとする。2人の研究員が止めに入る。

「康太郎! やめるんだ! 怒りたい気持ちはわかる、今はこいつよりウイルスの件をどうにか収拾させないといけない。こいつがした事だが、気づけなかった俺らにも責任はあるんだ」
「そうだぞ長野くん!」

そう言われて、少し落ち着く康太郎。

「悪かった益三、吾郎。そうだな、今はこいつに構ってる暇はない。だが、覚えておけ! お前のした事はどんな事しても償いはできん! 出ていけ」
「償い? なにを言っている、俺のしたことは素晴らしい事だ。あのウイルスは俺の子供と言ってもいい」
「愚行な…… そう思っていられるのは今のうちだ」

会話を終え、3人は行動をする──────────


7.

今日の授業はもうすぐ体育祭なので体育はバドミントンの練習が始まった。スポーツの種類は選べる。こうとしずかはバドミントンを選んだ。あのウイルス、映像、未来の私からのお願い。色んな感情を考えてしまって、バドミントンの事に集中ができない。元々、スポーツは得意なほうではないが、バドミントンは楽しい。今日は楽しくない。疲れるだけだ。

「しずか、今日どうしたの? いつもより動きが鈍いね」
「こうちゃん。ううんなにもないよ」
「そういう時はなにかあった時でしょ?」
「わかったよ、さすが親友ね」
「当たり前でしょ」
「ねえ、もしこの体育祭が出来なくなったらどうする?」
「え? うーん、まあ悲しいは悲しいね。なんで?」「いや聞いてみただけ。もしかしたらこの世界がなくなるかもって考えたら急に集中出来なくなって」
「そういう時あるよね。ドラマや漫画でそういうの見て、こうなったら自分ってどうなるんだろ? 世界はどうなる? 先生や友達は居なくなるのかな? そう考える」
「そうなんだ。でもどうにもならないよね」
「どうにもならいんじゃない。もし現実になったら、動くしかない。例えばよく噂されてる大きな災害ってあるよね?」
「あるね、火山噴火で滅亡とか、大地震でとか」「そう。それが起きたとしてどうする?」
「どうするって、わからない経験したことないもん」
「私わね、必死でお父さんとしずかを探すよ」「え、なんで? 死んでるかもしれないよお父さんだって」
「なんでって深い理由なんてない。好きな人を探すのは普通でしょ。好きでしずかの友達してるし、お父さんはかけがえの無い人だよ、お母さんが亡くなってから私はお父さんを守るって決めたから」
「こうって凄いね、高校生にしては大人ぽい……」
「そんな事ないよ。ようは考えるより動けって事よ。悩むことはあるし、大きな壁がその度に出てくるかもしれないけど、しょうがないじゃん! 2人とも守りたいんだから考えてる余裕なんてない」

その言葉と笑顔に安心を覚える。走れメロスとはよく言ったものだ「沈む太陽の10倍速い」という表現は、どうしても早く速く親友を助けたいという一心に考える余裕もなく、一番に助けようと必死になっていたのかもしれない。人間にはそんな速く走ることはできない。だが、メロスのようにこうのように誰かのために行動できるのは最も素晴らしい事だ。

しずかはこうを見て、今まで考えていた不安はいっきに無くなる。



……To be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

処理中です...