玉の輿だったはずなのに!

木島

文字の大きさ
52 / 77

望むことは*

 ちゅ、と音を立てて頸にキスが落ちてくる。何度も、何度も。そのくすぐったさに身じろぎすると動くなとばかりに腰を引き寄せられた。
 俺は今、ルキーノに後ろから抱き締められる形でベッドに腰かけている。その方が首の手当をしやすかったからなのだが、今は別の意味を持っているように思える。
 俺は今発情期で、夫でありアルファのルキーノに無防備な頸を晒しているのだ。キスされる度にそこに噛みつかれる時を想像してドキドキが加速してきた。

「ルキーノ様、その……」
「匂いが強くなってきたな」

 ルキーノがすん、と鼻を鳴らす。そりゃこれだけドキドキしてるだものフェロモンくらい出るよ。

「飲ませた抑制剤は即効型だ。そろそろ切れてくる頃合いだろう」
「それって」
「今から抱く。構わないな?」

 耳元で囁くように宣言されてゾクゾクが背筋を走り一気に体が熱くなる。それは俺が待ち望んだ言葉だ。腹に回された彼の手を取り、頬を擦り寄せる。すると自然に甘い吐息が溢れた。

「うん、もちろん」

 拒絶する道理はない。素直に頷くとルキーノは俺の顔を後ろに向けさせキスをしてきた。

「ん、ん……」

 今日何度目のキスだろう。馬車の中でも散々キスをしたけどまだ足りない。もっともっと深いところで繋がりたい。それは彼も同じなんだろうか、キスをしながらその手は着せられたばかりのシャツの中へと潜り込んでいる。
 腹を撫でられ、這い上がる手は胸に届く。奴に散々触れられて少し腫れている胸の尖りをそっと優しく撫でられるとひくりと体が震えた。

「痛むか」
「ううん、大丈夫。その……」
「何だ」
「も、もっと触ってくださぃ……」

 自分から強請るのはちょっと恥ずかしい。ふっと背後でルキーノが笑う気配がして顔がますます熱くなった。

「お前はここも好きだからな」
「そ、そう言うの言わない方がいいですよ……おっさんくさいし」
「貴様……」

 あ、怒った?やば。

「ん、ぁ……あ!」

 きゅ、と摘まんだ先端を指で刺激される。時々爪で引っ掻くようにされてビクビクと体が小さく跳ねた。

「自分が触れと言ったくせに何を偉そうに」
「う……意地悪なこと言わないでくださいよ」

 抑制剤が切れてきてほんの少しのことでも強い刺激になるようで、せせら笑うルキーノの息がかかるだけでも体が熱く重くなっていく。
 腹の奥に熱が溜まって、知らず知らずのうちにもじもじと擦り合わせていた太腿。その間に差し込まれたルキーノの手が兆しかけた俺のものに触れた。しかも、風呂の後から下着は履いてなかったからいきなり直に触られている。

「あ、は……っ」

 気持ちいい。あいつの時とは大違いだ。ただルキーノに触れられていると思うだけでもっと欲しくなる。どこまでも触ってほしいし早く中に入ってきてほしい。包み込むように抱きしめているルキーノの服を引っ張って、彼の唇に噛みついた。
 欲望の赴くまま舌を絡めて深い口付けを交わす。その間もルキーノの手は俺のものを刺激し続けて、唇が離れる頃には下半身もすっかり勃ち上がっていた。

「フェロモンも十分強まってきたな。ヒートは再開したか」
「ん、ん……たぶ、ん。からだ、あつい」

 くたりと体を預けて上がった息を整える。でもあまり上手くいかない。本格的にヒートがぶり返してきたみたいだ。先走りが溢れているのはもちろん、後ろからもじわじわ溢れてきているのがわかる。

「ルキーノ様、今日そんな、丁寧にしなくていいよ。ヒートだからすぐ入るし……それに俺、あんまりがまん、できないかも」

 何だったら今すぐぶち込まれても平気だ。俺のフェロモンに触発されたルキーノのフェロモンで頭もぼうっとしてきて、さっきからずっと当たってる彼の硬くなったものにわざと尻を擦り付けた。
 腹に回された腕の力が強まる。ふふ、油断したな?

「っ、そのようだ」
「んふふ」

 いつも鉄仮面みたいに表情の変わらないルキーノが興奮に目をぎらつかせているのを見るのが嬉しい。少し乱暴にベットに寝かされて、早速濡れた後ろに指が触れる。
 ぬるりと入り込んでくる太い指。最初は俺の反応を伺ってゆっくり中を探っていたが、痛みを感じていないと判断したルキーノは大胆に中を掻き回し始めた。
 中を広げるために指が増えていき、俺のいいところをグリグリと押し上げては漏れる声に満足そうな顔を浮かべるルキーノ。その彼から香るスパイスケーキの香りにうっとりと酔いしれた。

「ぁ、ふ……それ、きもちいぃ。もっと、もっとして」
「は、随分素直だな」

 バラバラと中を蹂躙する指に合わせて勝手に腰が揺れる。だって仕方がないじゃないか。ルキーノが欲しいんだもの素直にもなる。ルキーノが俺を見てると思うだけできゅうきゅうとその指を締め付けてしまうんだもの。

「ひゃ、あ!あぁ、ルキーノ様。ねぇ、もっと……!」

 足りない。指なんかではダメだ。もっともっと深く繋がりたい。それ以外なにも考えられない。

「チッ……もう十分か」
「あっ!」

 舌打ちと共に指が引き抜かれ、うつ伏せにされて後ろに何か別のものが当てがわれる。そのまま躊躇なく押し込まれるものが何かを理解して俺の体は震えた。
 ああ、求めていたものが与えられた。

「く……っ」
「ふっ、んんっ。なか……ぁ」

 ルキーノのものが俺の中にいる。彼の大きなものは腹の中に入れてしまえば存在感もひとしおで、いつもなら最初はちょっと辛い。でも今は発情期。不思議なもので辛さは全然なくてただ充足感でいっぱいだ。

「動くぞ」

 ルキーノの言葉に何度も頷く。最初はゆっくりと、徐々に激しさを増していく動きに素直に身を任せた。

「ネロ……私のオメガ」
「あ、んん。ルキーノさま」

 俺の腰を掴んで揺さぶっていたルキーノが背中に覆い被さってくる。首筋に熱い吐息がかかってゾクゾクと快感に背筋が泡立った。
 べろ、と頸が舐められる。気持ちいい。でもそうじゃない。俺は激しく頭を振る。

「ルキーノさま、噛んで、くび、噛んでください。おれを……あぁっ!」

 番にして。そう言葉にする前に頸に鋭い痛みが走った。



感想 0

あなたにおすすめの小説

王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました

明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。 十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。 一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます

まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。 するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。 初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。 しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。 でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。 執着系α×天然Ω 年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。 Rシーンは※付けます ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。 ※画像はpicrewさんよりお借りしました。 Xアカウント(@wawawa_o_o_)

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

ただのハイスペックなモブだと思ってた

はぴねこ
BL
 神乃遥翔(じんの はると)は自分のことをモブだと思っていた。  少年漫画ではいつだって、平凡に見えて何か一つに秀でている人物が主人公だったから。  その点、遥翔は眉目秀麗文武両道、家も財閥の超お金持ち。  一通りのことがなんでも簡単にできる自分は夢中になれるものもなくて、きっと漫画のモブみたいに輝く主人公を引き立てるモブのように生きるのだと、そう遥翔は思っていた。  けれど、そんな遥翔に勉強を教わりに来ている葛城星 (かつらぎ ほし)は言った。 「BL漫画の中では、神乃くんみたいな人がいつだって主人公なんだよ?」  そう言って、星が貸してくれた一冊のBL漫画が遥翔の人生を一変させた。  自分にも輝ける人生を歩むことができるのかもしれないと希望を持った遥翔は、そのことを教えてくれた星に恋をする。  だけど、恋をした途端、星には思い人がいることに気づいてしまって……  眉目秀麗文武両道で完璧だけど漫画脳な遥翔が、お人好しで気弱な星の心に少しずつ少しずつ近づこうと頑張るお話です。

神子の余分

朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。 おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。 途中、長く中断致しましたが、完結できました。最後の部分を修正しております。よければ読み直してみて下さい。