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番*
噛みつかれた頸から全身に痺れるくらいの快感と熱が駆け巡る。声にならない声を上げて絶頂を迎え、はずみでぎゅうぎゅうとルキーノのものを締め付けてしまう。
「ぐ、ぅ……っ!」
ルキーノの低い呻きと共に立てられた歯が更に深くなる。痛い。でも、気持ちいい。俺の口からは自然と恍惚としたため息が漏れた。
「あ、あぁ……ぁ」
ダメ押しのように奥まで穿たれて吐精されるともうダメだった。暴力的なまでの快楽の渦に思考も何もかも飲み込まれる。
俺の中にも外にもルキーノがいる。重なり合う体から感じる激しい鼓動が同調して、まるで俺と彼がひとつの命になったかのようだ。何にも引き裂かれることのないひとつのものに生まれ変わったかのよう。そんな、味わったことのない感覚に目の前がチカチカと明滅して息を吸うことも忘れてしまう。
「ネロ、ネロ。ちゃんと息をしろ。おい」
「っ、は……!は、はぁ……ルキーノさ、ゲホッ」
本当に息してなかったみたいだ。ルキーノは息の吸い方も忘れて喘いでいる俺の頬を軽く叩き、トんでいた俺を現実に引き戻した。
改めて、震える手で頸に触れる。ぴりっと痛くて、僅かにでこぼこで、少しの濡れた感触。
番の証だ。
「ルキーノさま、おれ、つがいに」
「ああ」
感動して振り仰ぐと見えるのは荒い息を整えているルキーノの姿。その目は未だぐらぐらと煮え立つような熱量を伴い俺を見下ろしている。まだ足りないとでも言うように。
「ふふ……うれしー」
心の底から湧き上がる歓喜に頬が緩む。多分人から見たら随分だらしのない顔で笑っているだろう。でも今の俺には取り繕う余裕なんてないのだ。心のまま俺だけのたった一人に手を伸ばす。
キスがしたい。でもちょっと後ろ向きはやりにくいなと思っていると、察したルキーノは俺を正面から抱え直してキスしてくれた。触れるだけの軽いキスだ。
「ルキーノ様もっと。足りない。もっと俺に……俺だけに全部ちょうだい」
「好きなだけくれてやる。その代わり、ヒートが明けるまでここから出られると思わないことだ」
俺のおねだりにプラチナの髪を掻き上げて薄く笑うルキーノ。汗ばむ鍛えられた肉体に匂い立つフェロモンが堪らない。
ああ、眩暈がするほどかっこいい。この人が俺の番なんて最高だ。
「じゃあ、俺も離さないから覚悟してよ」
ルキーノの挑発に臨むところだと応えたのは覚えてる。でも、ヒートの熱に溺れた俺にその先の記憶はない。俺が正気に戻ったのは番になった日から3日後のことだ。
その頃になるとヒートも随分と落ち着いていて、風呂やトイレや着替え、食事もなんとか自分でできるようになっていた。
え?それまでどうしてたかって?そりぁご想像通りルキーノが全部やってくれましたよめっちゃ恥ずかしい!
不思議なものでヒートでべろべろの間はお世話されることも当たり前のように受け入れていたみたいだ。今考えるとなんとも恐ろしい話である。この体たらく、ルキーノは怒ったり呆れたりしてるんじゃないかと気になって訊いてみると。
「アルファがヒートの番の世話をするのは当然のことだろう。何故わざわざ他人に触らせなければならない」
と心底不思議そうに言われたのでそう言うものかと納得するしかなかった。自分の世話すらしないのが貴族なのに、アルファってすげーね。
「んふふ、幸せ~」
暇だが未だ降りることは許されないベッドに腰かけ足をぶらぶら。鼻歌が漏れる。
一応正気にはなったけど、まだ地に足が着いていない感じ。頭の中はふわふわとした多幸感に包まれていて、ルキーノが傍にいることだけが重要でそれ以外は瑣末なことのように思える。
何かとても大事なことを忘れ去っている気がするけど、まあいいや。俺はご機嫌に前世で好きだったバンドの歌を歌う。
「喧しい。静かにしろ」
「はぁーい」
寝室の脇にある小さな机で書類を捌いていたルキーノから苦情が上がった。彼もヒートが治ってきたことで徐々に通常モードに戻りつつあるようだな。
まあ俺も、体のどこかが触れていないと不安で泣いていた時に比べるとかなり落ち着いている。部屋から出られると泣いちゃうけど。
それにしても何もすることがない。ぽて、とベッドに倒れ込む。
視界にはシャツにスラックスというラフな格好で書類と向き合うルキーノが映る。毎日昼夜問わずアレコレしているせいか、纏う気怠げな空気が何とも色っぽい。見ろよ、あれが俺の番だ。
そっと頸に触れる。彼の歯型の残る首筋に笑みが溢れた。
俺とルキーノは目に見えない何かで確かに繋がっている。自分がオメガだと知ってからずっと薄氷の上を歩くような毎日だったけど、ここにきてようやく安心して息ができる気がした。
「ルキーノ様」
「何だ」
呼べば応えてくれる声がある。それはなんて幸せなことだろう。この場所を失ってはいけない。何があっても守らないと。
「俺、これからも頑張りますね」
そう言って微笑む俺に、ルキーノはただ目を瞬かせた。
「ぐ、ぅ……っ!」
ルキーノの低い呻きと共に立てられた歯が更に深くなる。痛い。でも、気持ちいい。俺の口からは自然と恍惚としたため息が漏れた。
「あ、あぁ……ぁ」
ダメ押しのように奥まで穿たれて吐精されるともうダメだった。暴力的なまでの快楽の渦に思考も何もかも飲み込まれる。
俺の中にも外にもルキーノがいる。重なり合う体から感じる激しい鼓動が同調して、まるで俺と彼がひとつの命になったかのようだ。何にも引き裂かれることのないひとつのものに生まれ変わったかのよう。そんな、味わったことのない感覚に目の前がチカチカと明滅して息を吸うことも忘れてしまう。
「ネロ、ネロ。ちゃんと息をしろ。おい」
「っ、は……!は、はぁ……ルキーノさ、ゲホッ」
本当に息してなかったみたいだ。ルキーノは息の吸い方も忘れて喘いでいる俺の頬を軽く叩き、トんでいた俺を現実に引き戻した。
改めて、震える手で頸に触れる。ぴりっと痛くて、僅かにでこぼこで、少しの濡れた感触。
番の証だ。
「ルキーノさま、おれ、つがいに」
「ああ」
感動して振り仰ぐと見えるのは荒い息を整えているルキーノの姿。その目は未だぐらぐらと煮え立つような熱量を伴い俺を見下ろしている。まだ足りないとでも言うように。
「ふふ……うれしー」
心の底から湧き上がる歓喜に頬が緩む。多分人から見たら随分だらしのない顔で笑っているだろう。でも今の俺には取り繕う余裕なんてないのだ。心のまま俺だけのたった一人に手を伸ばす。
キスがしたい。でもちょっと後ろ向きはやりにくいなと思っていると、察したルキーノは俺を正面から抱え直してキスしてくれた。触れるだけの軽いキスだ。
「ルキーノ様もっと。足りない。もっと俺に……俺だけに全部ちょうだい」
「好きなだけくれてやる。その代わり、ヒートが明けるまでここから出られると思わないことだ」
俺のおねだりにプラチナの髪を掻き上げて薄く笑うルキーノ。汗ばむ鍛えられた肉体に匂い立つフェロモンが堪らない。
ああ、眩暈がするほどかっこいい。この人が俺の番なんて最高だ。
「じゃあ、俺も離さないから覚悟してよ」
ルキーノの挑発に臨むところだと応えたのは覚えてる。でも、ヒートの熱に溺れた俺にその先の記憶はない。俺が正気に戻ったのは番になった日から3日後のことだ。
その頃になるとヒートも随分と落ち着いていて、風呂やトイレや着替え、食事もなんとか自分でできるようになっていた。
え?それまでどうしてたかって?そりぁご想像通りルキーノが全部やってくれましたよめっちゃ恥ずかしい!
不思議なものでヒートでべろべろの間はお世話されることも当たり前のように受け入れていたみたいだ。今考えるとなんとも恐ろしい話である。この体たらく、ルキーノは怒ったり呆れたりしてるんじゃないかと気になって訊いてみると。
「アルファがヒートの番の世話をするのは当然のことだろう。何故わざわざ他人に触らせなければならない」
と心底不思議そうに言われたのでそう言うものかと納得するしかなかった。自分の世話すらしないのが貴族なのに、アルファってすげーね。
「んふふ、幸せ~」
暇だが未だ降りることは許されないベッドに腰かけ足をぶらぶら。鼻歌が漏れる。
一応正気にはなったけど、まだ地に足が着いていない感じ。頭の中はふわふわとした多幸感に包まれていて、ルキーノが傍にいることだけが重要でそれ以外は瑣末なことのように思える。
何かとても大事なことを忘れ去っている気がするけど、まあいいや。俺はご機嫌に前世で好きだったバンドの歌を歌う。
「喧しい。静かにしろ」
「はぁーい」
寝室の脇にある小さな机で書類を捌いていたルキーノから苦情が上がった。彼もヒートが治ってきたことで徐々に通常モードに戻りつつあるようだな。
まあ俺も、体のどこかが触れていないと不安で泣いていた時に比べるとかなり落ち着いている。部屋から出られると泣いちゃうけど。
それにしても何もすることがない。ぽて、とベッドに倒れ込む。
視界にはシャツにスラックスというラフな格好で書類と向き合うルキーノが映る。毎日昼夜問わずアレコレしているせいか、纏う気怠げな空気が何とも色っぽい。見ろよ、あれが俺の番だ。
そっと頸に触れる。彼の歯型の残る首筋に笑みが溢れた。
俺とルキーノは目に見えない何かで確かに繋がっている。自分がオメガだと知ってからずっと薄氷の上を歩くような毎日だったけど、ここにきてようやく安心して息ができる気がした。
「ルキーノ様」
「何だ」
呼べば応えてくれる声がある。それはなんて幸せなことだろう。この場所を失ってはいけない。何があっても守らないと。
「俺、これからも頑張りますね」
そう言って微笑む俺に、ルキーノはただ目を瞬かせた。
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