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断罪回避のために
子供たちと使用人との顔合わせが終わり、場所を変えて小さなサロンで子供たちとお茶の時間を過ごす。ちなみにその間に一回着替えを挟みました。
ルキーノはまだ仕事があるとかで夕食の時間まで執務室だ。俺たち新婚ですよね?とは思っても言わない。ワガママ嫁ムーブかまして疎ましく思われるのは困るからね。
「これ、おいしい、よ。ネロさま、たべて?」
「ありがとうジュリエッタ様。私の分はここにちゃんと取り分けてあるから、一緒に同じもの食べようか」
「ん……」
自分の分を差し出そうとしたジュリエッタのかわいさに内心ほっこりしつつ、おすすめされた一口サイズのベリータルトを一緒に食べる。ジュリエッタは俺がタルトを口に入れた瞬間、期待に目を輝かせて俺を見た。
「おいし?」
「うん、とってもおいしい。こんなにおいしいの初めて食べたよ」
「んふふ!やったぁ」
あーかわいい。100点。嬉しくて足がぷらぷら揺れてるとことか最高。ジュリエッタのナニーが困った顔をしてるけど俺相手だし今日くらい大目に見てあげてほしいな。
「ジュリー、気に入ったなら兄さまの分も食べるか?」
「いーの?」
「もちろんだ」
ステファノはメイドに言って自分の皿に乗せられたベリータルトをジュリエッタの皿に取り分けさせる。目の前に再び現れたキラキラ輝くベリータルトに負けないくらいに目を輝かせるジュリエッタ。丁寧に切り分けて口に運んで膨らむ頬がまたかわいい。
もちろんそれを見て満足げにしているステファノも大変かわいい。うーん、もしかして俺子供結構好きなのかもしれない。
子供たちとの初めてのお茶の席は和やかに進んでいく。
今のところ子供たちからも使用人からも平民の俺に対する侮蔑や敵意みたいなものは感じられない。想像していたよりもアットホームな雰囲気に俺の疑問は深まるばかりだ。
小説のルキーノは多くの犯罪に手を染めていて、主人公に全ての罪を暴かれた後国家反逆罪で一族全員が投獄された。
ルキーノと共に断頭台に送られたのは俺と子供たちにベネディクティス家の分家筋の当主とその妻子。屋敷の上級使用人や片棒を担いでいた貴族たちも何人かいたように思う。順に首を落とされるその様子を淡々と綴った文章がより惨さを表していた。
小説の中の彼は使用人を人として扱わず、血縁や自分の子供でさえ自身の駒と思っているような発言をしていた。処刑が決定しても最後まで己の罪を認めず主人公を詰っていたのだ。ならばさぞベネディクティス家は冷淡な、冷え切った家庭なのかと思っていたのだが現実では今のところ真逆の印象を受けている。
子供たちは素直でかわいいし、使用人は俺の出自を知っていて後夫として尊重しようとしてくれている。ルキーノも彼らを虐げているようには見えなかった。
「ビジョンの物語と、現実は違っている……?」
ぼそりと呟いた言葉が聞き取れなかったのかステファノとジュリエッタが首を傾げている。それに俺は何でもないと首を振った。
いや、まだわからない。少なくとも俺は彼が聖人君子ではないことだけは既に知っている。俺は悪巧みには最適な場所で働いていて、彼とはそこで出会ったのだから。
たった1日で楽観視するのは早計というものだ。念のためビジョンで見た小説と同じ道を辿ると考えて行動すべきだろう。だって思い出した記憶に意味がないのなら、何故思い出したかの説明がつかない。
もっと彼と親しくなって、彼の裏の顔まで覗き見る。それで何か確定的にヤバいことをする前に止めないと。
前世のビジョンを見たからと言って俺はここを逃げ出そうとは思ってない。彼は半ば諦めながら『誰か』を待っていた俺の手を取ってくれたのだから、俺だって彼の手を離さない。一緒に落ちるんじゃなくて、落ちる彼を引き上げるために手を繋ぐんだ。俺は膝の上に置いた手を見つめ、ぎゅっと握りしめた。
「ネロ様、そろそろ夕食の準備が整います。先にお召替えをいたしましょう」
「えっ?!また着替えるの?!」
「ん?あたりまえだろ。ばんさんの前にようふくを着がえるのはじょうしきだぞ」
「じょーしきだよ?」
「そんな常識初めて聞きました!」
めっちゃ真剣なこと考えてたのにブリジッタの言葉で考えてたことが全部吹っ飛んだ。
貴族着替え多すぎじゃない?!効率わる!!
ルキーノはまだ仕事があるとかで夕食の時間まで執務室だ。俺たち新婚ですよね?とは思っても言わない。ワガママ嫁ムーブかまして疎ましく思われるのは困るからね。
「これ、おいしい、よ。ネロさま、たべて?」
「ありがとうジュリエッタ様。私の分はここにちゃんと取り分けてあるから、一緒に同じもの食べようか」
「ん……」
自分の分を差し出そうとしたジュリエッタのかわいさに内心ほっこりしつつ、おすすめされた一口サイズのベリータルトを一緒に食べる。ジュリエッタは俺がタルトを口に入れた瞬間、期待に目を輝かせて俺を見た。
「おいし?」
「うん、とってもおいしい。こんなにおいしいの初めて食べたよ」
「んふふ!やったぁ」
あーかわいい。100点。嬉しくて足がぷらぷら揺れてるとことか最高。ジュリエッタのナニーが困った顔をしてるけど俺相手だし今日くらい大目に見てあげてほしいな。
「ジュリー、気に入ったなら兄さまの分も食べるか?」
「いーの?」
「もちろんだ」
ステファノはメイドに言って自分の皿に乗せられたベリータルトをジュリエッタの皿に取り分けさせる。目の前に再び現れたキラキラ輝くベリータルトに負けないくらいに目を輝かせるジュリエッタ。丁寧に切り分けて口に運んで膨らむ頬がまたかわいい。
もちろんそれを見て満足げにしているステファノも大変かわいい。うーん、もしかして俺子供結構好きなのかもしれない。
子供たちとの初めてのお茶の席は和やかに進んでいく。
今のところ子供たちからも使用人からも平民の俺に対する侮蔑や敵意みたいなものは感じられない。想像していたよりもアットホームな雰囲気に俺の疑問は深まるばかりだ。
小説のルキーノは多くの犯罪に手を染めていて、主人公に全ての罪を暴かれた後国家反逆罪で一族全員が投獄された。
ルキーノと共に断頭台に送られたのは俺と子供たちにベネディクティス家の分家筋の当主とその妻子。屋敷の上級使用人や片棒を担いでいた貴族たちも何人かいたように思う。順に首を落とされるその様子を淡々と綴った文章がより惨さを表していた。
小説の中の彼は使用人を人として扱わず、血縁や自分の子供でさえ自身の駒と思っているような発言をしていた。処刑が決定しても最後まで己の罪を認めず主人公を詰っていたのだ。ならばさぞベネディクティス家は冷淡な、冷え切った家庭なのかと思っていたのだが現実では今のところ真逆の印象を受けている。
子供たちは素直でかわいいし、使用人は俺の出自を知っていて後夫として尊重しようとしてくれている。ルキーノも彼らを虐げているようには見えなかった。
「ビジョンの物語と、現実は違っている……?」
ぼそりと呟いた言葉が聞き取れなかったのかステファノとジュリエッタが首を傾げている。それに俺は何でもないと首を振った。
いや、まだわからない。少なくとも俺は彼が聖人君子ではないことだけは既に知っている。俺は悪巧みには最適な場所で働いていて、彼とはそこで出会ったのだから。
たった1日で楽観視するのは早計というものだ。念のためビジョンで見た小説と同じ道を辿ると考えて行動すべきだろう。だって思い出した記憶に意味がないのなら、何故思い出したかの説明がつかない。
もっと彼と親しくなって、彼の裏の顔まで覗き見る。それで何か確定的にヤバいことをする前に止めないと。
前世のビジョンを見たからと言って俺はここを逃げ出そうとは思ってない。彼は半ば諦めながら『誰か』を待っていた俺の手を取ってくれたのだから、俺だって彼の手を離さない。一緒に落ちるんじゃなくて、落ちる彼を引き上げるために手を繋ぐんだ。俺は膝の上に置いた手を見つめ、ぎゅっと握りしめた。
「ネロ様、そろそろ夕食の準備が整います。先にお召替えをいたしましょう」
「えっ?!また着替えるの?!」
「ん?あたりまえだろ。ばんさんの前にようふくを着がえるのはじょうしきだぞ」
「じょーしきだよ?」
「そんな常識初めて聞きました!」
めっちゃ真剣なこと考えてたのにブリジッタの言葉で考えてたことが全部吹っ飛んだ。
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