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嵐の前兆
数日後、うちにミケランジェロがやってきた。
「ネロ様……本当にお会いになるのですか?」
「発情の兆候がおありなのでしたら番のいないアルファに会うのはお控えになった方がよろしいかと思いますわ。危のうございます」
来訪の報告を聞いてブリジッタとアンジェラが顔を顰めている。発情期の兆候があると伝えてから中止にするよう何度か言われていたが、俺が取り合わなかったのだ。
でも実際問題はないと思う。
ルキーノの匂いを強く感じ始めたのは事実だが、いつもの感じだとまだ1週間から10日は発情期は来ない。俺は元々鼻が敏感なようで、体が準備期間に入った段階で好みのフェロモンに敏感になるのだ。ルキーノは番候補だからより強く反応してるだけだと思う。
「大丈夫だよ、今日明日来るって感じではないから」
「少しでも妙だと感じたら仰ってください。すぐに対処いたします」
「うん、頼むね」
クソ野郎のフェロモンなんて全く好みじゃないから心配しなくても大丈夫。へらりと笑って言うと2人は何とか引き下がってくれた。
なのでこのまま予定通りミケランジェロをサロンに呼ぶことにする。
「やあ、いらっしゃいララサバル男爵。待ってたよ」
「ベネディクティス夫君殿、ご用命をいただきありがとうございます。また、先日は我が妻を茶会にお招きくださりありがとうございました。我が妻も大変喜んでおりました」
従僕の案内で小サロンに通されたミケランジェロ。俺、ブリジッタとアンジェラの3人に迎えられたこいつは挨拶の時点で早速俺の神経を逆撫でしてきた。はぁ?我が妻だってぇ?この野郎何をぬけぬけと。
これ見よがしに大きくため息を吐き、ミケランジェロを睨みつける。
「母さんのことであんたに礼とか言われたくない。俺は全部母さんと自分のためにやってんの。はぁ、初っ端から下がるわぁ」
「も、申し訳ございません……」
「まあいいや。これ言い始めるとキリなくなるし。とりあえず座って」
「……失礼致します」
いい歳したオッサンがビクビクしながら向かいの席に着くのを待ってブリジッタに視線を送ると、彼女はさっと淹れたてのお茶をサーブしてくれた。しかしミケランジェロを見るその視線は冷たい。
クソ野郎と積極的に仲良くしたいわけじゃないが、これは俺が買い物を隠れ蓑に彼から定期報告を受けるためだ。お茶くらいは毎回用意している。
さて本題。
「孤児院には指示通り差し入れしてくれたんだよな」
「はい。ベネディクティス辺境伯家の名で恙無く」
ステッラ商会に委託した孤児院への寄付。差し出された明細には俺が頼んだ物をきちんと予算内で寄付したように書かれている。
お、商会からもちょっと出てる。金にがめついこいつにしては珍しい。
「そのことにつきまして、貧民街の孤児院と王都警備のエヴァンドロからご夫君宛に手紙を預かって参りました。どうぞ」
「へえ、俺に手紙?」
次いでミケランジェロが文箱から取り出したのはあまり質の良くない紙の手紙が2通。それぞれ孤児院の院長とエヴァンドロからの寄付に対するお礼状だった。
貧民街の孤児院の経営はいつだって火の車だ。地域を管理する子爵は最低限の支援金しか渡さず、立地的に周りも金のない人ばかりなので寄付だってほとんどない。そんな中ですぐに使える衣類や寝具、食べ物の差し入れは孤児院の経営者や子供たちに大層喜ばれたようで、感謝してもし足りないと厚く感謝の気持ちが綴られていた。
「子供たちも喜んでいます、だって」
「それはようございました!子供達にもネロ様のお心が伝わったのですわ」
「それにしてもエヴァンドロ殿からも手紙とは、つくづく律儀な方ですね」
「本当にね。孤児院出たらもう関係ないって薄情なやつもいるのに見上げたもんだよ」
ああ、ホッとした。喜んでもらえてよかった。2通の手紙を侍女2人に見せながら盛り上がっていると、ミケランジェロがそろそろと手を挙げて話しかけてきた。
「あの、結局エヴァンドロとは何者なのです?以前から顔見知りだったのですか?」
疑問は最も。でも俺はけろっとした顔で首を振る。
「いや?全然知らない。たまたま貧民街の孤児院出身だって聞いて、そこが生活に困ってるって聞いたから寄付しようってなっただけ」
「ですがあなたは以前私に奴の身辺を調べろと」
「ああ!そうだった。なんかわかったことある?」
藪蛇だった、とミケランジェロが顔を歪める。先を促すように笑って首を傾げてやると奴は渋々口を開いた。
エヴァンドロ、王都警備隊の隊員。貧民街から警備隊の入隊を志願し、見事試験をパスした数少ない平民。身体能力が高く人当たりがよくて勤勉。素行もいいしついでに顔もいい。家族はおらず一人暮らし。幼馴染の友人がいるが恋人はいない。
ミケランジェロの報告は結局、エヴァンドロは貧民街出身の平民にしては大変優秀なアルファだが、特筆するようなことはないというものだった。
「まあ……貧民街出身で貴族街の王都警備に配属されるなんて、本当に優秀な方ですのね」
「それは間違いないですね。だがまあ、所詮は貧民だ。ここいらで頭打ちでしょうよ」
自分は平民から男爵になったのに、エヴァンドロを馬鹿にするように鼻で笑うミケランジェロ。俺のようなオメガを馬鹿にし、出自で人を下に見る。やっぱりこの男は好きになれないなと改めて思う。
今日のところはそれ以上の報告はなく、持ってきた商品に欲しいものもなかったので寄付に使った代金を支払って報告会は終了した。
サロンを出た後のミケランジェロの行動は俺の知るところではない。だから俺はまさかすぐ近くでトラブルが起き始めていることなど夢にも思っていないのだった。
「ララサバル男爵、お帰りですか」
「ああ、邪魔したな。門を開けてくれ」
ミケランジェロが商会の紋が入った馬車に乗り込み正門に近づくと確認のために声をかけられる。今日の門番はネロを見かける度睨みつけてくるあの男だ。
「ああ疲れた。ネロの奴め、掃溜めからせっかく辺境伯に嫁いだというのに平民のアルファに執心など一体何を考えているのか……やっぱりオメガはダメだな。アルファと見れば尻尾を振りやがる」
まだ馬車の窓は開いたままだった。そんな中でのミケランジェロの無意識だろう言葉に門番の肩がぴくりと震える。
「平民のアルファに、何です?」
「っあ、いや何でもない!何でもないぞ」
「何でもないように見えませんが。商談がうまくいかなかったんですか?」
「そんなことはない!うまくいったさ」
不敬と責められても文句は言えない発言だ。背中に冷や汗をかきながら取り繕うミケランジェロに門番の男は疑いの眼差しを向けた。
貴族とはいえ金で買った男爵位、ついこの間まで平民だった男だ。なぜネロがこの男の商会を屋敷に呼びつけるのか。しかも夫人とも何度も行き来するほど親しくしている。ララサバル男爵家とネロは一体どんな関係性なのか。
「ララサバル男爵」
「な、何だ」
気になる。己が主人の伴侶、否ネロに関わることならば。
「もしよければ私と酒でも飲みに行きませんか?」
「ネロ様……本当にお会いになるのですか?」
「発情の兆候がおありなのでしたら番のいないアルファに会うのはお控えになった方がよろしいかと思いますわ。危のうございます」
来訪の報告を聞いてブリジッタとアンジェラが顔を顰めている。発情期の兆候があると伝えてから中止にするよう何度か言われていたが、俺が取り合わなかったのだ。
でも実際問題はないと思う。
ルキーノの匂いを強く感じ始めたのは事実だが、いつもの感じだとまだ1週間から10日は発情期は来ない。俺は元々鼻が敏感なようで、体が準備期間に入った段階で好みのフェロモンに敏感になるのだ。ルキーノは番候補だからより強く反応してるだけだと思う。
「大丈夫だよ、今日明日来るって感じではないから」
「少しでも妙だと感じたら仰ってください。すぐに対処いたします」
「うん、頼むね」
クソ野郎のフェロモンなんて全く好みじゃないから心配しなくても大丈夫。へらりと笑って言うと2人は何とか引き下がってくれた。
なのでこのまま予定通りミケランジェロをサロンに呼ぶことにする。
「やあ、いらっしゃいララサバル男爵。待ってたよ」
「ベネディクティス夫君殿、ご用命をいただきありがとうございます。また、先日は我が妻を茶会にお招きくださりありがとうございました。我が妻も大変喜んでおりました」
従僕の案内で小サロンに通されたミケランジェロ。俺、ブリジッタとアンジェラの3人に迎えられたこいつは挨拶の時点で早速俺の神経を逆撫でしてきた。はぁ?我が妻だってぇ?この野郎何をぬけぬけと。
これ見よがしに大きくため息を吐き、ミケランジェロを睨みつける。
「母さんのことであんたに礼とか言われたくない。俺は全部母さんと自分のためにやってんの。はぁ、初っ端から下がるわぁ」
「も、申し訳ございません……」
「まあいいや。これ言い始めるとキリなくなるし。とりあえず座って」
「……失礼致します」
いい歳したオッサンがビクビクしながら向かいの席に着くのを待ってブリジッタに視線を送ると、彼女はさっと淹れたてのお茶をサーブしてくれた。しかしミケランジェロを見るその視線は冷たい。
クソ野郎と積極的に仲良くしたいわけじゃないが、これは俺が買い物を隠れ蓑に彼から定期報告を受けるためだ。お茶くらいは毎回用意している。
さて本題。
「孤児院には指示通り差し入れしてくれたんだよな」
「はい。ベネディクティス辺境伯家の名で恙無く」
ステッラ商会に委託した孤児院への寄付。差し出された明細には俺が頼んだ物をきちんと予算内で寄付したように書かれている。
お、商会からもちょっと出てる。金にがめついこいつにしては珍しい。
「そのことにつきまして、貧民街の孤児院と王都警備のエヴァンドロからご夫君宛に手紙を預かって参りました。どうぞ」
「へえ、俺に手紙?」
次いでミケランジェロが文箱から取り出したのはあまり質の良くない紙の手紙が2通。それぞれ孤児院の院長とエヴァンドロからの寄付に対するお礼状だった。
貧民街の孤児院の経営はいつだって火の車だ。地域を管理する子爵は最低限の支援金しか渡さず、立地的に周りも金のない人ばかりなので寄付だってほとんどない。そんな中ですぐに使える衣類や寝具、食べ物の差し入れは孤児院の経営者や子供たちに大層喜ばれたようで、感謝してもし足りないと厚く感謝の気持ちが綴られていた。
「子供たちも喜んでいます、だって」
「それはようございました!子供達にもネロ様のお心が伝わったのですわ」
「それにしてもエヴァンドロ殿からも手紙とは、つくづく律儀な方ですね」
「本当にね。孤児院出たらもう関係ないって薄情なやつもいるのに見上げたもんだよ」
ああ、ホッとした。喜んでもらえてよかった。2通の手紙を侍女2人に見せながら盛り上がっていると、ミケランジェロがそろそろと手を挙げて話しかけてきた。
「あの、結局エヴァンドロとは何者なのです?以前から顔見知りだったのですか?」
疑問は最も。でも俺はけろっとした顔で首を振る。
「いや?全然知らない。たまたま貧民街の孤児院出身だって聞いて、そこが生活に困ってるって聞いたから寄付しようってなっただけ」
「ですがあなたは以前私に奴の身辺を調べろと」
「ああ!そうだった。なんかわかったことある?」
藪蛇だった、とミケランジェロが顔を歪める。先を促すように笑って首を傾げてやると奴は渋々口を開いた。
エヴァンドロ、王都警備隊の隊員。貧民街から警備隊の入隊を志願し、見事試験をパスした数少ない平民。身体能力が高く人当たりがよくて勤勉。素行もいいしついでに顔もいい。家族はおらず一人暮らし。幼馴染の友人がいるが恋人はいない。
ミケランジェロの報告は結局、エヴァンドロは貧民街出身の平民にしては大変優秀なアルファだが、特筆するようなことはないというものだった。
「まあ……貧民街出身で貴族街の王都警備に配属されるなんて、本当に優秀な方ですのね」
「それは間違いないですね。だがまあ、所詮は貧民だ。ここいらで頭打ちでしょうよ」
自分は平民から男爵になったのに、エヴァンドロを馬鹿にするように鼻で笑うミケランジェロ。俺のようなオメガを馬鹿にし、出自で人を下に見る。やっぱりこの男は好きになれないなと改めて思う。
今日のところはそれ以上の報告はなく、持ってきた商品に欲しいものもなかったので寄付に使った代金を支払って報告会は終了した。
サロンを出た後のミケランジェロの行動は俺の知るところではない。だから俺はまさかすぐ近くでトラブルが起き始めていることなど夢にも思っていないのだった。
「ララサバル男爵、お帰りですか」
「ああ、邪魔したな。門を開けてくれ」
ミケランジェロが商会の紋が入った馬車に乗り込み正門に近づくと確認のために声をかけられる。今日の門番はネロを見かける度睨みつけてくるあの男だ。
「ああ疲れた。ネロの奴め、掃溜めからせっかく辺境伯に嫁いだというのに平民のアルファに執心など一体何を考えているのか……やっぱりオメガはダメだな。アルファと見れば尻尾を振りやがる」
まだ馬車の窓は開いたままだった。そんな中でのミケランジェロの無意識だろう言葉に門番の肩がぴくりと震える。
「平民のアルファに、何です?」
「っあ、いや何でもない!何でもないぞ」
「何でもないように見えませんが。商談がうまくいかなかったんですか?」
「そんなことはない!うまくいったさ」
不敬と責められても文句は言えない発言だ。背中に冷や汗をかきながら取り繕うミケランジェロに門番の男は疑いの眼差しを向けた。
貴族とはいえ金で買った男爵位、ついこの間まで平民だった男だ。なぜネロがこの男の商会を屋敷に呼びつけるのか。しかも夫人とも何度も行き来するほど親しくしている。ララサバル男爵家とネロは一体どんな関係性なのか。
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