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魔鉱石。LoD内の魔法が使える鉱石と呼び方も同じだ。自然エネルギーが凝縮したものだというところも。アクセサリーのように身に着けているということは、使用するための条件も恐らく同じだろう。
「魔鉱石のエネルギーを引き出すには自分自身の魔力を必要としますが、この世界の人間は大なり小なり魔力を有しています。簡単なものなら一般市民でも使えますよ」
「なるほど……じゃあ俺にも使える可能性が……」
「そうですね。あなたの体に魔力があれば使えるでしょう」
そうか、俺は異界人だから魔力そのものがない可能性もあるのか。ええー、どうせなら魔法使いたーい!
「魔力の有無って調べたりすることはできるんですか?」
「その件も含めて後日神殿にて健康状態を検査させていただくと思います。おそらく女神からの加護も授かっているでしょうから、それの把握も」
「加護?」
「記録にある異界人は女神から特殊なスキルを授かっていたそうです。ですので、あなたにも何らかの能力があるのではと」
ほうほう、神殿での検査に特殊スキルとな。それは楽しみだ。いよいよゲームのプレイヤーっぽくなってきた。
女神が授けてくれたということはこの世界で生きるために役立つスキルのはずだ。それがあれば雑魚以下の俺も少しは生存率が上がるかもしれない。期待に胸が弾む。そのワクワクそのままに俺はスキルについての質問を重ねた。
「シグルドさんはスキルって持ってるんですか?」
スキルは天性の才能や努力を重ねて得た技術が元になったものが多い。
例えば美術品や骨董品の目利きを続けた人に『鑑定』の、弓道や射撃を極めた人に『必中』のスキルが付いたりするのだ。シグルドも近衛騎士になるほどの実力者。何らかのスキルを有しているだろう。そう思って尋ねると彼はにっこりと笑って口元に人差し指を立てた。
「スキルは人に知られた場合対策を取られたり弱点になることもあります。あまり口にするものではありませんよ」
「あっ、そ、そうか!すみません……!」
言われてみれば確かにそうだ。一般人やそれを職業として生かしている職人ならともかく、騎士は時によからぬことを企む人間と戦うこともある。俺だってゲームのプレイ中は敵のスキルを把握して弱点を探っていたのだ。それが現実になれば命を危ぶまれることもある。俺は自分の浅はかさに気付き慌てて頭を下げた。
「わかっていただけたのなら結構。以後気をつけてください」
「はい……」
これは色々と学ぶことが多そうだ。冷や汗をかきながら顔をあげて見るシグルドの顔が怒っているわけではなかったのが救いだった。むしろちょっと愉快そうでもある。なんでだ。
「それにしても……殿下ではないとわかっていても妙な心地になるものですね。あの方ならそのような表情は絶対になさいませんから」
そう思っていたらシグルドの方から答えが与えられた。そうね、そりゃそうだわ。未だに全然自覚がないけど俺の顔アルフォンスの顔なんだわ。今をときめく王太子殿下はこんなぺこぺこ頭下げたりしないよねー!
うーん、俺の存在が推しの印象を悪くしかねねえな。これは気をつけないと。思わずため息が漏れてしまう。
「この顔マジで何とかならないですかね……。常日頃イケメンになりてえとかよく言ってましたけど、流石に王太子殿下の顔そっくりになるのは心臓に悪いですわ……」
「お気持ちはお察ししますが、これも女神の采配。恐らく必要なことだったのでしょう」
「つらい」
澄ました顔でシグルドは言う。特に慰めてはくれないらしい。がっくり肩を落とした俺の姿をやはり物珍しそうに、そして愉快そうに眺めている。ゲームでは真面目一辺倒なイメージだったが、なかなかいい性格をしているのかもしれない。
「魔鉱石のエネルギーを引き出すには自分自身の魔力を必要としますが、この世界の人間は大なり小なり魔力を有しています。簡単なものなら一般市民でも使えますよ」
「なるほど……じゃあ俺にも使える可能性が……」
「そうですね。あなたの体に魔力があれば使えるでしょう」
そうか、俺は異界人だから魔力そのものがない可能性もあるのか。ええー、どうせなら魔法使いたーい!
「魔力の有無って調べたりすることはできるんですか?」
「その件も含めて後日神殿にて健康状態を検査させていただくと思います。おそらく女神からの加護も授かっているでしょうから、それの把握も」
「加護?」
「記録にある異界人は女神から特殊なスキルを授かっていたそうです。ですので、あなたにも何らかの能力があるのではと」
ほうほう、神殿での検査に特殊スキルとな。それは楽しみだ。いよいよゲームのプレイヤーっぽくなってきた。
女神が授けてくれたということはこの世界で生きるために役立つスキルのはずだ。それがあれば雑魚以下の俺も少しは生存率が上がるかもしれない。期待に胸が弾む。そのワクワクそのままに俺はスキルについての質問を重ねた。
「シグルドさんはスキルって持ってるんですか?」
スキルは天性の才能や努力を重ねて得た技術が元になったものが多い。
例えば美術品や骨董品の目利きを続けた人に『鑑定』の、弓道や射撃を極めた人に『必中』のスキルが付いたりするのだ。シグルドも近衛騎士になるほどの実力者。何らかのスキルを有しているだろう。そう思って尋ねると彼はにっこりと笑って口元に人差し指を立てた。
「スキルは人に知られた場合対策を取られたり弱点になることもあります。あまり口にするものではありませんよ」
「あっ、そ、そうか!すみません……!」
言われてみれば確かにそうだ。一般人やそれを職業として生かしている職人ならともかく、騎士は時によからぬことを企む人間と戦うこともある。俺だってゲームのプレイ中は敵のスキルを把握して弱点を探っていたのだ。それが現実になれば命を危ぶまれることもある。俺は自分の浅はかさに気付き慌てて頭を下げた。
「わかっていただけたのなら結構。以後気をつけてください」
「はい……」
これは色々と学ぶことが多そうだ。冷や汗をかきながら顔をあげて見るシグルドの顔が怒っているわけではなかったのが救いだった。むしろちょっと愉快そうでもある。なんでだ。
「それにしても……殿下ではないとわかっていても妙な心地になるものですね。あの方ならそのような表情は絶対になさいませんから」
そう思っていたらシグルドの方から答えが与えられた。そうね、そりゃそうだわ。未だに全然自覚がないけど俺の顔アルフォンスの顔なんだわ。今をときめく王太子殿下はこんなぺこぺこ頭下げたりしないよねー!
うーん、俺の存在が推しの印象を悪くしかねねえな。これは気をつけないと。思わずため息が漏れてしまう。
「この顔マジで何とかならないですかね……。常日頃イケメンになりてえとかよく言ってましたけど、流石に王太子殿下の顔そっくりになるのは心臓に悪いですわ……」
「お気持ちはお察ししますが、これも女神の采配。恐らく必要なことだったのでしょう」
「つらい」
澄ました顔でシグルドは言う。特に慰めてはくれないらしい。がっくり肩を落とした俺の姿をやはり物珍しそうに、そして愉快そうに眺めている。ゲームでは真面目一辺倒なイメージだったが、なかなかいい性格をしているのかもしれない。
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