おとぎストーリー

きりんとう

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五大書

水の書 THE ONE

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「ねえ爺や、僕、将来なりたいものがないや。」

「ほほほ、サトル、未来を考えておるのは良いことじゃな。」

「みんな、なりたい職業とか、夢とかあるみたいだけど、僕にはよくわからないんだ。」

「どうやらサトルは困っておるようじゃから、爺やが少し手伝ってみようかの。」

「うん、ありがとう爺や。」

「サトルは、とは何か、考えたことがあるかの?」

「しじょうのそんざい?」

「これ以上ないほどに、良いと言える存在のことじゃ。ここでは、例えば、至上の人間を考えてみよう。これ以上ないほど良いと言える人間は、どんな人間かのう?」

「うーん。そんなこと言われても、わかんないよ。」

「ほほほ。じゃあの、お前の思う、一番良いと言える人間は誰かの?」

「そりゃあ、山田博士だ!世界で一番天才で、頭がいいんだよ、山田博士は。なんでも知っていて、どんな問題でも解決しちゃうんだ!」

「ほほほ。なるほどの。それじゃあ、その、山田博士の、何がすごいか考えてみよう。まずは、知識がとても多いこと、どんな問題・困難でも解決してしまうこと、こんなもんかの。」

「まだあるよ!山田博士は、しかも、心が優しくて、みんなの幸せのために、沢山の発明をしたんだ!」

「なるほどの、では、ここまでを考えてみると、サトルの思う、良い人間というのは、
 ・知識がとても多いこと
 ・どんな問題・困難でも解決してしまうこと
 ・他人のために頑張ること
 を備えるものと、なるのではないかな?
 」

「うーん、確かに、そうかも。」

「そこでじゃ、仮に、イメージで、これらの要素をもっとよくすることはできるかの?」

「えーっと、ちょっと考えてみるよ。」

「爺やは少し、お茶を入れてくるから、ゆっくり考えるが良いぞ。」

 ーーーー

「よし!爺や!僕わかったよ!
 山田博士の良い三つのところ、

 ・知識がとても多い
 ・どんな問題・困難でも解決してしまう
 ・他人のために頑張る

 を、仮にさらに良くした三つを考えてみたよ!
 それは、

 ・全ての知識を持っている
 ・どんな問題・困難でも一瞬で解決する知恵を持つ
 ・他人をどんな苦しみからも救済する

 になったよ!
 」

「サトル、これは良いのを思いついたの。」

「えへへ、なんか僕、楽しくなってきたよ。」

「では、他にも、良い人間が持っている特徴は、何かあるかの?」

「うーん、あ!そういえば、友達のシュンスケ君は、一日中水を飲まないで、運動できるんだよ。だから、遊ぶ時に水を運ばなくていいから、誰よりもいつも身軽なんだ。」

「なるほどの。それは、短く言うと、どんな特徴なのかの?」

「そうだなあ、

 ・一日中水を飲まなくても平気

 かな」

「なるほどの。他にも、何か思いついた良い人間の特徴はあるかの?」

「そういえば、僕のお父さんは、いつも元気で、病気になったことがないんだって!この特徴は、そうだなあ、

 ・常に健康、病気にならない

 となるかな。

 あとは、僕のお母さんは、どんなに酷いことをされても、いつも、最後には許しちゃうんだ。
 これは、
 ・人を許す
 だね。
 」



 ・一日中水を飲まなくても平気
 ・常に健康、病気にならない
 ・人を許す
 か。

 良い三つを思いついたの、サトル。では、これを、先ほどのように、もっとすごいものに変えられるかの?」

「うーん、そうだなあ、

 ・食事不要、水不要
 ・常に体に一切の不調がない
 ・どんな場合でも、人を許す

 かな。
 」

「良いな、良いな。では、今までに、思いついた良い人間の特徴を並べてみよう。」




 ・全ての知識を持っている
 ・どんな問題・困難でも一瞬で解決する知恵を持つ
 ・他人をどんな苦しみからも救済する
 ・食事不要、水不要
 ・常に体に一切の不調がない
 ・どんな場合でも、人を許す

 だね。
 でも、こんな特徴を持つ人は、もはや人間じゃないよ。
 」

「ほほほ。良いのじゃ、良いのじゃ。一つ聞きたいのは、こんな人間になれるなら、なってみたいかの?」

「うん、なってみたいよ。」

「じゃあ、もうお主には、将来なりたいものができたことになるの。」

「えっ。ほんとだ。でも、なりたいものって、こんなのでいいの?」

「良いのじゃ。ただ、その思いついた、良い人間の特徴を、イメージして、忘れずに、常に心の中で、思うのじゃ。人生において、苦しい時、挫けそうな時ほど、自分の思い描く、をイメージして、その人間に、日々少しでも近づこうとするのじゃ。」

「ありがとう、爺や。僕にも、至上の存在が、少しわかったよ。僕が考えた良い人間の特徴、をもつこの人には、なんて名前をつけようかな?」

「うーむそうじゃなあ。それは、至上存在The One ザ・ワンとでも呼べばいいのではないかの。」


ーーーおまけ

「爺やの、至上存在は、どんな感じなの?」

「爺やの好きなのはの、

・何にも執着しない(競わない、争わない、許す)
・無駄な発言、行動をしない(失言しない、約束を破らない)
・誰にもバレないように人を救い出す

・誰にもバレないところでも人に損害を与えない
・自分の心を知り尽くし、自分以外に心を動かされない
・常に全ての存在の幸せを考える

かのう。
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