アルトリーネさんのいけない修行の日々

すずめのおやど

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人の恋路を邪魔する奴は-Artline donne un coup de pied- ・9

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で。

アルト閣下。

その布は何なのですか。

(これは痴女こうこくのほうのよめからあずかったものです。にんしき阻害を引き起こすそうですが、びくに国のゆいしょ正しいどろぼうの正装らしいのです)

アルト閣下が差し出したその布を見れば、緑色の50センチメートル四方の布に、白で唐草模様ランソーが描かれておるしろもの。

どのように使うのかと思うておりますと、アルト閣下はその布を三角形に折ったあとで、さながら頭巾のように頭に巻かれるのです。

(フラメンシアちゃんも、こうして頭に巻きつけておくのですよ)

と、三角形の二辺をあごの下で結ばれます。

あ、ちょっと待ってくださいまし。

実はわしの髪型、ベルサイユにおる時とそれ以外で大きく変えとります。

更に、黒薔薇騎士の服を着る時は、いわゆるぽにてにしとるのです。

しかし、そんな頭巾を被るのであれば、、アルト閣下のようなシェブー・コート…しょーとへあーにしとる方がよろしいでしょう。

そこで、髪の毛を短くした後で、わしの分のそのカラクサ・ズキンをアルト閣下に装着してもらいます。

(ただ、あたくしたちはどろぼうに向かうわけではありません…にすりかえるのです…)

で、両手に白い手袋をはめたアルトさん、どこからともなく取り出した宝石箱を開いて私に見せたのは、銀色の台座に嵌まった、くだんの青いアダマスダイヤモンド

(このだいやこそが、まさにアフロディーネちゃんのしりあいのかみさまがしこんだのろいのダイヤなのです…)

大丈夫なのでしょうか、そんなもんを手に持って。

それと、呪いを仕込んだものとただの模造品が見分けられるようにする対策…表向きは本物と複製品や模造品を区別する目印が加工されておるはずなのです。

(ふふふふふ、ほんものはちゃんと痴女宮のちょうばつぐ倉庫にありますよ…で、これをこうしてうらがえすと…)

その、銀の台座ごとアダマスをひっくり返すと。

台座の裏には、クラーヌしゃれこうべの画が彫られておるのです。

(ジュヌヴィエーヴさんにわたした青いだいやは、この銀のだいざごとわたしてあります。そして、のろわれていない方のふくせい品と、くみつけ加工でいちをあわせたりためし組みをするためのもぞう品の2つがあそこの工房のなかにありますよ…さっき透かしてかくにんしておきました…)

で、ジュヌヴィエーヴには「クラーヌドクロが彫られた台座の方が本物、他の装飾と併せて組みつけたり見本の木型に嵌め込んだりする時用の同寸の模造品も渡しておくから、混同しないように…」と預ける際に説明しております。

つまり、今、カサール宝飾商会の工房に保管されている青いアダマスの本物同等品は「呪われておりません」。

そして、今から私たちはカサール商会のアパルトマンに忍び入って、その青いアダマスを「呪われた方に」交換するのです。

で、この呪いのアダマスですが、触っても大丈夫なのでしょうか。

(よめいわく、痴女宮ちか24階のそうこの中のほんものはさわるだけでもきけんなようです。しかし、ナルシスさんがのろったものは「あることにつかうと」はじめて呪われるそうですから、こうしてもっているだけでは全然だいじょうぶですよ…)

では、安心ですね…。

で、我々はいよいよと、組み上げ途中のエッフェル塔の中途から、カサール商会のアパルトマンに向けて一気に跳躍します。

そんな、鳥のようなことが出来るのか。

私もアルト閣下も、リュネ族の方々や魔族の皆様のような翼は持ち合わせておりませんし、黒薔薇や紫薔薇騎士が長距離を飛ぶための背負式折り畳み滑空翼も持参しておりません。

ですが、アルト閣下のやる通りに跳躍と同時に見かけの体重を軽くすると、さながら砲弾のように放物線を描いて数キロを飛んでからアパルトマンの屋根をめがけて落ちていくことになります。

そして、いつぞやの淫化の山中をジョスリーヌ分団長と共に駆け抜けたり、あるいは茸島のデンパサールや智秋記念牧場への緊急出動試験のような場面では使うことが必須の「りんごの実が落ちる速度を加減する」わざを使うのです…。

(これができんと、屋根に軟着陸できまへんからな…)

(とりのはねがじめんに落ちるように、ふわーっと、そろーっとおりるのですよ…)

この空中機動技、黒薔薇でも一番得意なのはダリア統括騎士団長なのを存じております。

とにかく、身のこなしが軽いのです。

次点はジョスリーヌ分団長。

以前に淫化帝国のチュクイトという村から、淫化の首都である挿入器具市までを僅か30分未満で駆け抜けられた時、随伴する私は追いかけるのに必死だったことがあるのです。
https://novel18.syosetu.com/n0112gz/355/

ええ、本当にあの時は死ぬかと思ったほどに、跳躍と疾駆を繰り返して山を越え谷を飛び越えと、ひこうき真っ青の速度で淫化の山中を駆け抜ける羽目になったのです…。

では、現在の団長であるペルセポネーゼ・本宮警務副局長様はどうなのか。

(ペルセちゃんはかみさまモードになるかどうかで、そのちからがおおきくかわりますよ…)

(ええと、フラメンシア殿下…私の神の時の姿はあまり見ない方がいいです…人を救世主教で言う地獄送りにしてしまう悪癖が出るんで…あとキレやすくなるのですよ…)

つまり、普段はその持てる力を隠して過ごしておられる部類なのです…。

(で、ベラ子先生いわく、堕天使のベルフェゴール氏が助力するそうです。アルトさん…そのカサールという婦人の住まいの中におる者を全て、一瞬だけ昏倒させた隙にアダマスを取り替えてください…あとはベルフェゴール氏の魅了わざと、青いアダマスにナルキッソスが仕掛けた呪いの効果を待つだけですよ…)

(りょうかいなのです…)

で、屋上の開閉式天窓から忍び入る、アルト閣下とわし。

そそくさと階段を降りて地下の工房の中に忍び入ると、職人頭とジュヌヴィエーヴがひっくり返っております。

そして、作業台の上には、青いアダマスを亀頭部に嵌められた象牙のちんぽが屹立しております…。

そればかりか、このちんぽ、血管を模した銀の細工ですとか、アダマス以外にも雁首の下の辺りに嵌め込まれた真珠が輝く「お金がかかっているのは誰でもわかるが、卑猥さもひとしお」な下品な代物なのです…。

更に、これは私も今知ったんですけどね。

どうやら自慰行為に使ったり、あるいはそこを持って女の穴に突っ込んで出し入れするためにはここを持てといわんばかりに、金玉を模した黄金の台座に嵌め込んで立てておくのが、この職人頭の考えた飾り方みたいなのですよ…。

(なんておげひんなのでしょうか…でもおもしろい意匠ですわねぇ…)

(図案そっくりよ、アルトくん…)

(クレーゼさまもまさみさんも、こんな下品なものをつくらせる案をえらんだのですか…)

ええ、見た者全て、開いた口を塞ぐことを忘れてしまうような成金趣味を極めたその、外観。

(あまりの下品さに盗んでお金に変える気もなくなるだろうってことで、そのお下品な案をマリアちゃんも推しちゃったのよ…)

(あたくしはこういうお下品なもの、決して嫌いじゃございませんけどねぇ)

ええと、そのデザインすけっちとやら、わしも見ました。

しかし、金玉までをも写実的に再現したその現物。

どう見ても、カサール商会の者が描いたようには思えませんでしたがぁっ。

(フラメンシアちゃんも知ってるでしょ…エコール・デ・ボザールの学生をカサール夫人が雇って描かせたことにしたって…)

そうなのです、王立絵画彫刻アカデミーが運営する国立高等美術学校の学生名目で、痴女皇国関係者の誰かが絵を提供したようなのです…。

ええ、誰の筆致なのかは、わしはあえて申しません。

で、手袋をはめた状態で台座ごと青いアダマスを取り替えておしまいになる、アルト閣下。

(そうそう、とうめいな方のダイヤもとりかえるのですよね…)

ええ、こちらも色合わせや取り付けがうまく行くようにすり合わせていたのでしょう。

作業机の上の宝石箱に置かれていました。

(で、このとうめいな方には、エロスさんのおまじないがかかっているそうです…んふふ)

と、ニマニマとお笑いになりながら、透明な方のアダマスを取り出し、銀の台座の裏をわしに見せられるのですが。

なんと、痴女皇国の国章…例の、丸と棒が組み合わさった「おめこマーク」が刻まれておるのです。

んで、このアダマスを取り替えられるようにしておる理由ですが、どうやら罰姦の方ではこの象牙ちんぽを用いて祝福を与える儀式を企画しておるがため、と聞かされました。

どういう儀式を想定しておるか、知りたくもありませんが。

ですが、今回の作戦にはまさにこの仕掛け…亀頭の上に埋め込むようにして宝石を取り付けられる仕掛けが必ずや効くと思うのです。

特に、心中で反抗心や自尊心を膨らませておるような輩には…。

で、仕掛けを仕込み終えたアルト閣下とわしは、そそくさと退散致します。

(あのおばちゃんとしょくにんのおじさんを起こしておくひつようがありますね…)

ええ、時が経っておらぬかのように錯覚させる必要も。

そしてアパルトマンの屋根の上に上がったアルト閣下と私は、地下でぶっ倒れておる職人とジュヌヴィエーヴに精気を送り込みます。

で、間を空けずに目を開いたジュヌヴィエーヴと、職人頭ですが。

(かるい、いっさんか炭素中毒になったようにさっかくさせております…)

(ほんまは女官化されとるジュヌヴィエーヴなら、さんそがのうてもちょっとの間は大丈夫なはずですが、錯覚させておきましょう…)

で。

ジュヌヴィエーヴはもちろん、職人もそのように勘違いしたようですね。

ジュヌヴィエーヴの体を揺すって起こそうとします。

『む…火を燃やし過ぎたか…奥様、奥様、大丈夫でございますか…』

『何やら励み過ぎて気を失うたかのよう…まぁともかく、検分を続けますよ…』

どうやらジュヌヴィエーヴ、ほぼ仕上がった象牙ちんぽの出来具合を確かめようとしていた模様。

『ふふふふふ、聞けばこの象牙の逸物、このようにして使うとか…』

ぶ。

なんと、その象牙ちんぽを手に取ったジュヌヴィエーヴ。

工房の中の椅子に腰掛けると、大股を開いて股間の下着に開いた穴に先端を近づけるではありませんか。

(え…奥様、それはいくらなんでもまずいのでは…)

(ほほほほほ、洗い清めれば済む話でしょう…あとは、傷さえ付けねば…)

と、象牙ちんぽの先端の亀頭部に埋め込まれたアダマスを肉豆に近付けると、まさにその、青いアダマスで敏感なその部分の愛撫にかかるさまを職人に見せつけるのです。

(ふぉほほほほほ、それ見なさい…そなたの股ぐらの息子は本当に正直もの…)

ええ、高価な宝石、それも預かり物のはずの大きなアダマスを自慰の道具に使いよったのです、ジュヌヴィエーヴ。

『ああ、このような立派な石、可能であれば私の手元に置いておきたいもの…せめて納品する前に、わたくしがお試しで使うておきましょう…ほほほほほほほ!』

ええ、マリアリーゼ陛下やわしらの読みはどんぴしゃで当たりました。

絶対にジュヌヴィエーヴの性格なら、この象牙ちんぽをわしらに引き渡す前に、必ずやいらんことをするだろうと。

そして、その背徳的な行為の代償はすぐに訪れたのです。

で、さっきアルト閣下がジュヌヴィエーヴのこと、おばはんとか言ってましたでしょう。

実はジュヌヴィエーヴ、まだ20代です。

しかし、パリを中心とした貴族生活はもちろん、今は亡き亭主のローラン・カサールがたぎらせていた淫欲に突き合わされていた日々に加えて、カサールの交友や親族との軋轢に翻弄されておったジュヌヴィエーヴ、苦労の加齢に若干ながら犯されておりまして…ええ、としまえんに向かってまっしぐらな見た目だったのです。

ですが、その青いアダマスに仕込まれた呪いのせいか、ジュヌヴィエーヴの見た目はどんどんと若返り、彼女を見た男にとっては一番に美味しく見える齢19くらいの姿となってしまったのです…。

『ふほほほほほ、ああ、なんということか…まさかと思いましたが、やはり罰姦の儀式に使うということで奇跡が起きるように仕込まれておったのですね…さぁ、遠慮はいりません、その逸物をわたくしに打ち込むのです…』

と、工房に置かれた大型の姿見に写った自分の身の変化に驚きながらも、職人を誘うジュヌヴィエーヴですが。

その望み通りに、ちんぽを打ち込まれると、先ほど以上に腰を使い尻を振るのかと思いきや…。

『え? え? おかしいわ、いつものように尻を振りなさい…えええええ、どうなったの? ちんぽで感じないわ?これは一体どういうことなの?』
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