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◆◇第一幕◇◆ 時空の監視者の愛情は伝わらない
♪その瞳は、唇よりも雄弁に語るから④
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熱く火照った身体は、彼のものを恥ずかし気もなく受け入れている。そして、激しくそこを突かれれば、私は何度も絶頂を迎えてしまう。
「バルドゥールさん…………もう、私…………んっ、んっ、ああっ」
薄明かりの中、何を訴えようとしているのかわからないけれど、私は彼の名を呼び手を伸ばしてしまう。
そうすれば伸ばされた手の先にいる彼は、当然のように私の手に指を絡め強く握りしめた。
「アカリ、もう…………俺も…………くっ」
少し前かがみになったバルドゥールは、そう言った途端、苦悶の表情を浮かべた。そして、私が再び口を開く前に、更に激しく腰を動かした。
くちゅくちゅというよりは、もう、ぐじゅぐじゅと言う程に、粘度のある水の音が部屋中に響く。そんな中、彼は私の最も深い部分で熱いものを吐き出した。
自分の潤いとは違う熱を持ったものが、最奥を満たす。その感覚はいつまで経っても慣れるものではない。けれど、不快なものでもなくなってしまった。
そんなことをふと思った。けれど、それよりも私はまたバルドゥールに対して違和感を覚えてしまった。
いつも彼は終わりを迎えれば、すぐに自信のものをそっと抜くのに、今日は未だに私の中にいる。まるで、名残を惜しんでいるかのように。
「バルドゥールさん………あの…………」
どうして抜かないのですか?
何てことは絶対に、何があっても口に出せない私は、そっと彼の腕に触れてみる。触れた彼の肌は未だに熱かった。
「アカリ」
触れた途端に名を呼ばれ、深い口付けをされる。そして、バルドゥールは、最後にぐるりと腰を回した後、ゆっくりと自分のものを引き抜いた。
それからはいつも通りだった。
バルドゥールは濡れてしまった私のそこを素早く拭い、掛布を被せる。そして自分の身支度をあっという間に整えた。
「…………結局、手加減できなかったな」
一通り着替え終わったバルドゥールは、ベッドの端に腰かけると、申し訳なさそうにそう言った。
「……………………」
でも、私は何て答えれば良いのかわからない。
ただ一つ言えることは、真っ正直にそんなことを言われると、ものすごく恥ずかしいということだけ。
情交の時間が終わったのに、顔が火照ってしまう。それを見られるのが、これもまた恥ずかしくて私は掛布を鼻まで引っ張り上げて顔を隠してしまった。
「アカリ、怒っているか?」
「まさか。あ?え、いや……あの…………えっと、だ、大丈夫………です」
少し掛布をめくられて、見当違いな問いを投げられてしまい、咄嗟に否定する。
でも、なんていうか、それもまた恥ずかしいことだと気付き、最後はごにょごにょと不明瞭な言葉になってしまった。
そんな私を見て、バルドゥールは小さく声を上げて笑った。
「なら、良かった。安心した。さ、今日はもう寝るんだ」
「……………はい」
病み上がりのせいか、今日は特に眠い。
小さく欠伸をしたのをしっかり見られてしまった私は、口答えはしないで、素直に頷く。
「アカリ、おやすみ。良い夢を」
「おやすみなさい。バルドゥールさんも、良い夢を見てください」
向けられた言葉をそのまま返せば、バルドゥールは微笑んでくれた。でも、それは少し寂しそうというか、切なそうな笑みだった。
彼は、どうしてそんな笑みを浮かべるのだろう。
そう思ったけれど、私の眠気は限界だった。
とろりと瞼が落ちていく。ただ薄れていく視界の中でも、バルドゥールはずっとそこにいた。
ただ次の日、昼まで寝ていた私は、新しい夜着を着せられていた。
どうやら…………というか、もう間違いなく、あの後、バルドゥールは私の身体を拭いて、私を着替えさせてくれていたようだった。
風邪は治りかけが一番危ない。まさにその通りだった。
そんな元の世界で当たり前に言われていたことが、まさかこんな遠い異世界で身を持って知る羽目になるなんて。
そんなことを考えながら私が、真っ赤になって身悶えしたのは、取るに足らないこと…………なのかもしれない。
「バルドゥールさん…………もう、私…………んっ、んっ、ああっ」
薄明かりの中、何を訴えようとしているのかわからないけれど、私は彼の名を呼び手を伸ばしてしまう。
そうすれば伸ばされた手の先にいる彼は、当然のように私の手に指を絡め強く握りしめた。
「アカリ、もう…………俺も…………くっ」
少し前かがみになったバルドゥールは、そう言った途端、苦悶の表情を浮かべた。そして、私が再び口を開く前に、更に激しく腰を動かした。
くちゅくちゅというよりは、もう、ぐじゅぐじゅと言う程に、粘度のある水の音が部屋中に響く。そんな中、彼は私の最も深い部分で熱いものを吐き出した。
自分の潤いとは違う熱を持ったものが、最奥を満たす。その感覚はいつまで経っても慣れるものではない。けれど、不快なものでもなくなってしまった。
そんなことをふと思った。けれど、それよりも私はまたバルドゥールに対して違和感を覚えてしまった。
いつも彼は終わりを迎えれば、すぐに自信のものをそっと抜くのに、今日は未だに私の中にいる。まるで、名残を惜しんでいるかのように。
「バルドゥールさん………あの…………」
どうして抜かないのですか?
何てことは絶対に、何があっても口に出せない私は、そっと彼の腕に触れてみる。触れた彼の肌は未だに熱かった。
「アカリ」
触れた途端に名を呼ばれ、深い口付けをされる。そして、バルドゥールは、最後にぐるりと腰を回した後、ゆっくりと自分のものを引き抜いた。
それからはいつも通りだった。
バルドゥールは濡れてしまった私のそこを素早く拭い、掛布を被せる。そして自分の身支度をあっという間に整えた。
「…………結局、手加減できなかったな」
一通り着替え終わったバルドゥールは、ベッドの端に腰かけると、申し訳なさそうにそう言った。
「……………………」
でも、私は何て答えれば良いのかわからない。
ただ一つ言えることは、真っ正直にそんなことを言われると、ものすごく恥ずかしいということだけ。
情交の時間が終わったのに、顔が火照ってしまう。それを見られるのが、これもまた恥ずかしくて私は掛布を鼻まで引っ張り上げて顔を隠してしまった。
「アカリ、怒っているか?」
「まさか。あ?え、いや……あの…………えっと、だ、大丈夫………です」
少し掛布をめくられて、見当違いな問いを投げられてしまい、咄嗟に否定する。
でも、なんていうか、それもまた恥ずかしいことだと気付き、最後はごにょごにょと不明瞭な言葉になってしまった。
そんな私を見て、バルドゥールは小さく声を上げて笑った。
「なら、良かった。安心した。さ、今日はもう寝るんだ」
「……………はい」
病み上がりのせいか、今日は特に眠い。
小さく欠伸をしたのをしっかり見られてしまった私は、口答えはしないで、素直に頷く。
「アカリ、おやすみ。良い夢を」
「おやすみなさい。バルドゥールさんも、良い夢を見てください」
向けられた言葉をそのまま返せば、バルドゥールは微笑んでくれた。でも、それは少し寂しそうというか、切なそうな笑みだった。
彼は、どうしてそんな笑みを浮かべるのだろう。
そう思ったけれど、私の眠気は限界だった。
とろりと瞼が落ちていく。ただ薄れていく視界の中でも、バルドゥールはずっとそこにいた。
ただ次の日、昼まで寝ていた私は、新しい夜着を着せられていた。
どうやら…………というか、もう間違いなく、あの後、バルドゥールは私の身体を拭いて、私を着替えさせてくれていたようだった。
風邪は治りかけが一番危ない。まさにその通りだった。
そんな元の世界で当たり前に言われていたことが、まさかこんな遠い異世界で身を持って知る羽目になるなんて。
そんなことを考えながら私が、真っ赤になって身悶えしたのは、取るに足らないこと…………なのかもしれない。
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