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寄り道の章
いきなりイケメンの腕の中②
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何だか良くわからない世界に飛ばされて、何だか良くわからないとばっちりを受けて、何だか良くわからないまま、目が覚めたら知らない男か添い寝をしていた。はっきり言って、この状況が一番良くわからない。
さて目を開けた途端、恐ろしい程に顔立ちの整た男が迫ってきたら、一体どうすればいいのだろう。絶叫すれば良いのか、ラッキーと喜べば良いのか、はたまたいきなり平手をお見舞いすれば良いのか───そんなことを一瞬のうちにぐるぐる考えた結果、私は完全に硬直してしまった。
「目を覚ましてくれてよかった」
男は、私を両腕に抱え込んだまま安堵の息を吐いた。けれど、私は全く持って良くない状況である。
とにかく、このありえない状況を打破しようと、起き上がろうとした…しかし、大柄な男の体はまったく動かない。
「……あの、離れてください」
「そなたが抱き着いてきたのだろう」
自分でも驚くぐらい冷静な声が出たと思ったら、男からは平然とした答えが返ってきた。確かに私は自分から抱きついた。けれどその前になんで抱きつけたかというと───
「だって……馬だと思ったから……」
「馬?まぁ、馬並みと言われたことはあるが、馬そのものに例えられたことはないな。それに馬は横になったりしないな」
という謎の男性から至極まっとうな返事が返って来た。っていうか、馬並みって何が?一瞬、そんな疑問が沸いたけれど、些細なことだったので差し置くことにする。
それにしても、一つの夜具の中で密着していながら、随分落ち着いているなと我ながら関心する。けれどそれは、大混乱の末、思考が停止というか放棄しているだけ。
なんといっても私は守り神の花嫁として、大切に扱われてきた存在なのだ。そんな箱入り娘の私が、いきなり男の人に添い寝などされては、平常心など保てるわけがない。
すいません、できれば空気を読んで、ほんのちょびっと左右どちらかに動いてもらえるとありがたいです。そう言葉にするよりも、自分で動いた方が早いと気付いた私は、身じろぎながら、男と距離を取ろうとするが──────全然動かない。
全く動かない男に焦った私は、はっきり男に伝わるよう渾身の力でもがき始めた。
「おい、よせ。動いたら傷が開くだろう」
その声とともに、一瞬、体がふわりと軽くなった。けれど私が夜具から抜け出す前に、すぐに両手首を強くつかまれ敷布に押さえつけられた。
「ちょっと、なっ、何?」
さすがに、これはありえない状況に陥って、手足をバタつかせる。
「落ち着け冗談だ。だから、そう暴れるな。取って食やしない」
「なら、落ち着ける状況にしてください。具体的に言うと、そこをどいて下さいっ」
「ははっ」
私の必死の懇願は、男の軽い笑いで吹き飛ばされてしまった。しかも、何故か卑しい笑いではなく、純粋にじゃれているのが嬉しいといった感じなので余計に混乱する。ただ冗談にしては、たちが悪すぎる。
まるで小動物のような扱いだ。それに対し私は、ふつふつと怒りが沸いてくる。腕の痛みに顔をしかめながら、大男を無言で睨みつけた。
「ほれ見ろ。暴れると、傷が開くといったであろう?」
「どの口が言うの!?」
思わず目をむいて叫んだのと同時に、男は傷のある腕だけを離してくれた。が、もう遅い。私は我慢の限界だった。
「誰のせいで、暴れたと思っている─────の!」
そう言いながら、空いた腕で近くにあった枕を力任せに、男に投げつけた。
「お?…………っ痛!」
枕が命中して、私の本気が伝わったらしい。男は参ったと観念し私の手を離した。その隙を逃さず、私は脱兎の如く壁際に移動する。
「これ以上近づかないで!」
警戒心むき出して叫んだ私に、男は目をぱちくりとさせたかと思ったら、ぷっと吹き出した。
「わかった、わかった。度が過ぎたな。すまなかった」
そうは言いながら男は、その場にどっさりと胡坐をかいた。私も男の手が届かない安全な距離を取って腰を下ろしす。
風神さんの前ではあれだけ強気になれた私でも、生身の人間の前ではそうはいかない。ましてや目の前の人間は男だ。力でかなう訳がない。何度か深呼吸をして息を整える。その間、彼は私の言葉を忠実に守り、そこから動かない。
そこで少し気持ちにゆとりが生まれて、改めてこの男をまじまじと見た。
小袖と袴姿。髪は、適当に後ろで結んでいる。ここは、戦国時代(風)の異世界なのだろうか。もしそうだと仮定すると、この男は名のある武将という訳ではなく、下っ端の一兵って、ところだろう。
いやいや、それよりも前に私はすべきことがあった。
「助けてくれてありがとうございます」
ぺこり、と頭を下げた。矢が当たった私の腕には包帯が巻かれている。きっと彼が手当てをしてくれたのだろう。例え寝込みを襲おうとした人でも、異世界の人でも助けてもらったことには違いない。だから、ありがとうを言わなくてもよい理由にはならないのだ。
「丸1日目を覚まさず、心配していたが、良かった。十分元気そうで安心した」
私のお礼の言葉に、男は目を細めて返した。
だが、その言葉に冗談じゃない、私はちっとも安心できない状況だと内心、突っ込みをいれてしまう。とにかく今に至るまでの状況を、この無駄にイケメンなこの人に説明をしてもらおう。
「……助けてもらったのは感謝します。でも、─────」
「そなた、変わった瞳をしておるな」
「……話、聞いてるの?って、何、近付いてんの───……え、ちょ、ちょっと!!」
男は私の話をスルーして、すばやい動きで私の顎をすくい取り、まじまじと私の顔を覗き込んだのである。
その瞬間、何もかもがわからない状況だけど、一つだけわかったことがある。それは、この男が人の話を聞かない人種だということ。だから相手のペースに巻き込まれてはいけない。
ただ、それに気付いた時はすでに遅く、お互いの唇が触れそうなほど顔を近づけていた。
「やはり、そなた……────」
彼の最後の言葉は、私の心臓の鼓動にかき消され聞き取れなかった。
我に返った私は、気付いてしまった。薄着のまま、唇がふれそうな程に、密接している男女───これって、ちょっとどころか、かなりよろしくない。このまま行けば、とんでもない状況になりそうだ。
狼狽する私をよそに、肝心の大男は私にの顎に指をかけたまま、突然、襖に向かって声をかけた。
「ナギ、傍におるのであろう?」
スーッと襖が開けられると、そこには、涼やかな目元が印象的な青年が片膝を付き、私たちの前に現れた。
「お呼びでしょうか。シュウトさま」
「ナギ、桜の君が目を覚まされた。傷の手当てをしたいので、薬を頼む」
「……かしこまりました」
ナギという青年は『……』の沈黙の間に、ちらりと私を見た。涼やかな目元に微かに険を含ませ、主であろう男を見た。きっと彼から見てもこれは明らかに『傷を負った少女を襲う野獣の図』なのだろう。
けれど、ナギが取った行動はそれだけで、すぐに部屋を出て行ってしまった。万事休すである。
ぴしゃりと閉まった襖を見て、がっくりとうな垂れた。何だか片手で開けられるはずの襖が鋼鉄の襖に思えてくる。
現実に戻ろう。このままこの流れにまかせてしまっていると、何だか取り返しのつかない……とんでもないことになりそうだ。
さて目を開けた途端、恐ろしい程に顔立ちの整た男が迫ってきたら、一体どうすればいいのだろう。絶叫すれば良いのか、ラッキーと喜べば良いのか、はたまたいきなり平手をお見舞いすれば良いのか───そんなことを一瞬のうちにぐるぐる考えた結果、私は完全に硬直してしまった。
「目を覚ましてくれてよかった」
男は、私を両腕に抱え込んだまま安堵の息を吐いた。けれど、私は全く持って良くない状況である。
とにかく、このありえない状況を打破しようと、起き上がろうとした…しかし、大柄な男の体はまったく動かない。
「……あの、離れてください」
「そなたが抱き着いてきたのだろう」
自分でも驚くぐらい冷静な声が出たと思ったら、男からは平然とした答えが返ってきた。確かに私は自分から抱きついた。けれどその前になんで抱きつけたかというと───
「だって……馬だと思ったから……」
「馬?まぁ、馬並みと言われたことはあるが、馬そのものに例えられたことはないな。それに馬は横になったりしないな」
という謎の男性から至極まっとうな返事が返って来た。っていうか、馬並みって何が?一瞬、そんな疑問が沸いたけれど、些細なことだったので差し置くことにする。
それにしても、一つの夜具の中で密着していながら、随分落ち着いているなと我ながら関心する。けれどそれは、大混乱の末、思考が停止というか放棄しているだけ。
なんといっても私は守り神の花嫁として、大切に扱われてきた存在なのだ。そんな箱入り娘の私が、いきなり男の人に添い寝などされては、平常心など保てるわけがない。
すいません、できれば空気を読んで、ほんのちょびっと左右どちらかに動いてもらえるとありがたいです。そう言葉にするよりも、自分で動いた方が早いと気付いた私は、身じろぎながら、男と距離を取ろうとするが──────全然動かない。
全く動かない男に焦った私は、はっきり男に伝わるよう渾身の力でもがき始めた。
「おい、よせ。動いたら傷が開くだろう」
その声とともに、一瞬、体がふわりと軽くなった。けれど私が夜具から抜け出す前に、すぐに両手首を強くつかまれ敷布に押さえつけられた。
「ちょっと、なっ、何?」
さすがに、これはありえない状況に陥って、手足をバタつかせる。
「落ち着け冗談だ。だから、そう暴れるな。取って食やしない」
「なら、落ち着ける状況にしてください。具体的に言うと、そこをどいて下さいっ」
「ははっ」
私の必死の懇願は、男の軽い笑いで吹き飛ばされてしまった。しかも、何故か卑しい笑いではなく、純粋にじゃれているのが嬉しいといった感じなので余計に混乱する。ただ冗談にしては、たちが悪すぎる。
まるで小動物のような扱いだ。それに対し私は、ふつふつと怒りが沸いてくる。腕の痛みに顔をしかめながら、大男を無言で睨みつけた。
「ほれ見ろ。暴れると、傷が開くといったであろう?」
「どの口が言うの!?」
思わず目をむいて叫んだのと同時に、男は傷のある腕だけを離してくれた。が、もう遅い。私は我慢の限界だった。
「誰のせいで、暴れたと思っている─────の!」
そう言いながら、空いた腕で近くにあった枕を力任せに、男に投げつけた。
「お?…………っ痛!」
枕が命中して、私の本気が伝わったらしい。男は参ったと観念し私の手を離した。その隙を逃さず、私は脱兎の如く壁際に移動する。
「これ以上近づかないで!」
警戒心むき出して叫んだ私に、男は目をぱちくりとさせたかと思ったら、ぷっと吹き出した。
「わかった、わかった。度が過ぎたな。すまなかった」
そうは言いながら男は、その場にどっさりと胡坐をかいた。私も男の手が届かない安全な距離を取って腰を下ろしす。
風神さんの前ではあれだけ強気になれた私でも、生身の人間の前ではそうはいかない。ましてや目の前の人間は男だ。力でかなう訳がない。何度か深呼吸をして息を整える。その間、彼は私の言葉を忠実に守り、そこから動かない。
そこで少し気持ちにゆとりが生まれて、改めてこの男をまじまじと見た。
小袖と袴姿。髪は、適当に後ろで結んでいる。ここは、戦国時代(風)の異世界なのだろうか。もしそうだと仮定すると、この男は名のある武将という訳ではなく、下っ端の一兵って、ところだろう。
いやいや、それよりも前に私はすべきことがあった。
「助けてくれてありがとうございます」
ぺこり、と頭を下げた。矢が当たった私の腕には包帯が巻かれている。きっと彼が手当てをしてくれたのだろう。例え寝込みを襲おうとした人でも、異世界の人でも助けてもらったことには違いない。だから、ありがとうを言わなくてもよい理由にはならないのだ。
「丸1日目を覚まさず、心配していたが、良かった。十分元気そうで安心した」
私のお礼の言葉に、男は目を細めて返した。
だが、その言葉に冗談じゃない、私はちっとも安心できない状況だと内心、突っ込みをいれてしまう。とにかく今に至るまでの状況を、この無駄にイケメンなこの人に説明をしてもらおう。
「……助けてもらったのは感謝します。でも、─────」
「そなた、変わった瞳をしておるな」
「……話、聞いてるの?って、何、近付いてんの───……え、ちょ、ちょっと!!」
男は私の話をスルーして、すばやい動きで私の顎をすくい取り、まじまじと私の顔を覗き込んだのである。
その瞬間、何もかもがわからない状況だけど、一つだけわかったことがある。それは、この男が人の話を聞かない人種だということ。だから相手のペースに巻き込まれてはいけない。
ただ、それに気付いた時はすでに遅く、お互いの唇が触れそうなほど顔を近づけていた。
「やはり、そなた……────」
彼の最後の言葉は、私の心臓の鼓動にかき消され聞き取れなかった。
我に返った私は、気付いてしまった。薄着のまま、唇がふれそうな程に、密接している男女───これって、ちょっとどころか、かなりよろしくない。このまま行けば、とんでもない状況になりそうだ。
狼狽する私をよそに、肝心の大男は私にの顎に指をかけたまま、突然、襖に向かって声をかけた。
「ナギ、傍におるのであろう?」
スーッと襖が開けられると、そこには、涼やかな目元が印象的な青年が片膝を付き、私たちの前に現れた。
「お呼びでしょうか。シュウトさま」
「ナギ、桜の君が目を覚まされた。傷の手当てをしたいので、薬を頼む」
「……かしこまりました」
ナギという青年は『……』の沈黙の間に、ちらりと私を見た。涼やかな目元に微かに険を含ませ、主であろう男を見た。きっと彼から見てもこれは明らかに『傷を負った少女を襲う野獣の図』なのだろう。
けれど、ナギが取った行動はそれだけで、すぐに部屋を出て行ってしまった。万事休すである。
ぴしゃりと閉まった襖を見て、がっくりとうな垂れた。何だか片手で開けられるはずの襖が鋼鉄の襖に思えてくる。
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