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寄り道の章
いきなりイケメンの腕の中③
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密着した男女を引き離す方法は外部的要素───つまり、乱入者とか外で火事が起きたなどの突発的なことがおこるのが一番手っ取り早い。けれど、乱入者は静かに襖を閉めてしまい、突発的な事件を期待するのは少々望みが薄そうだ。
そうなれば、私は自分でこの状況を打破しなくてはならない。これもお遣いの内に含まれているのだろうか。もしそうなら、風神さんは相当説明を端折ったことになる。契約不履行レベルだ。
「すいません、離れてください」
どうするのが一番良いのか少し考えたけど、これといってよい案が思い浮かばなかったので、率直に申し出てみる。
「ああ、すまない」
もっとごねるかと思いきや、男はあっさりと手を離し再び床に胡坐をかく。人の話を聞かない人だと思ったけど、こちらの要求に関しては、ある程度聞いてくれるようだ。
再び安全な距離保った私だけど、少し体をずらして更に距離を取る。男は不満そうな目で訴えてきたけれど、そこは気付かないふりをする。
さてとりあえず、助けて貰ったお礼は言った。謝礼については風神さんのツケということで後ほど考えよう。ということで、ここにはもう用はない───次にすることといえば、即刻、立ち去ることだけだ。
よいしょと、気合を入れて勢い良く立ち上がる。しかし、勢いが良すぎたせいか、ぐらりと、目眩をおこしてしまった。
「おい、そんな身体で、どこへ行くのだ?」
慌てて柱にしがみついた私に、シュウトと呼ばれた男は心配そうに声を掛けてきた。
「あなたには、関係ないことです」
キッと睨み付けながら、シュウトの言葉を跳ね返す。
人の話を聞かない人に対しては、これぐらい強い態度に出ないと、相手のペースに巻き込まれてしまう。
私の態度に、つれないなとぼやくシュウトを黙殺して、外に出ようと庭へと続く障子を開いた。けれど突然、黒い塊が飛び出し私はそれ以上歩を進めることができなかった。
驚いた私は、くるりと振り返ってシュウトに問いかけてしまう。
「この馬、あなたの馬なの!?」
障子を開けた瞬間、ぬっと顔を出したのは巨大な馬だった。間違いない、この馬は、あの時自分を助けてくれた馬だ。望んだ再会で嬉しくなった私は、気付かぬうちに手を伸ばしていた。
「おい!よせ!!怪我をする…───」
背後から尖った声が聞こえたが、もう遅い。私の手は、既に馬の鬣に届いていた。ちなみに触れられた馬は全く嫌がるそぶりをみせず、大人しく鬣を触らせてくれた。
「嘘だろ!?」
再び背後から驚愕の声が聞こえたが、これもまた無視することにした。
ないがしろにし続けていることに、少々罪悪感が湧く。けれど、私の傷のある方の腕を鼻先でふんふんしてくれる馬の方に気を取られて、別の言葉を口にしていた。
「ふふ……くすぐったいよ。本当は、お前が私を助けてくれたんだよね?……ありがとう。ところで、お前は、今日はしゃべらないの?」
「……………………………………………………………へ?」
背後から、思いっきり間抜けな声が聞こえた。
この後ろの人、さっきからうるさい。あなたには聞いてない。そう心の中で呟き、意地でも振り向くかとムキになって馬の鬣を撫でていたら、今度は苛立ちを含んだ声が飛んできた。
「馬が人の言葉を話すわけがないだろう。それに、そなたを助けたのは、この俺だ!」
「……うるさい。わかってる」
あの時、私の視界いっぱいに馬がいたから、騎乗していたシュウトが見えなかった……っていうオチは私だってわかっている。ただ、馬がしゃべれることを期待しただけのこと。
「ところでお主、迷子と言っていたが、どこに行こうとしてたのか?」
気まずくなった私に、更に気まずい質問が飛んできた。
あ、そういえば私、馬に向かってそんなことまで話していたな……。しまった、すっかり失念していた。
「見ず知らずの人に教えることはできません」
きっぱりと言ってみた。けれど、シュウトは人の話を聞かない人で、私のキツイ言葉にめげる様子はなく、再び口を開いた。
「この近くか?それとも、まだ遠いのか?西か?東か?」
スルーされてしまった。
なら私もと、シュウトの問いかけを無視することにする。なぜなら、どこに行けばいいか、私にもわからないから。
わからないことが多すぎる私は、これ以上質問されたくなくて馬をなでることで誤魔化していた。でも──。
「なぁ、その傷が治るまで、この屋敷に居てくれないか?」
「……は?」
予期せぬシュウトの提案に、私は思わず声を出してしまう。けれどシュウトは何も言わず、真剣にこちらを見ていた。
おどけた表情が消え、ひたむきに私を見つめる表情は、まるで別人のようだった。あ、この人、こんな表情もするんだ。ちょっと意外だ。
でも、最悪の目覚めをくらった私は、そう簡単に頷くことはできない。しばらく無言の刻が過ぎる。向かい合ったまま沈黙していたが、それを破ったのはシュウトだった。
「───……この馬…カザハも、一緒に居たいと言っておるぞ」
ブルルルルルッ
あれ?今、馬さんことカザハの唸り声が『オイちょっと待て!』っていう風に聞こえたようなきがする……。まぁ、いいか。
「嫌だといったら?」
「どうなるかわかるか?」
首を傾げた私にシュウトはすかさず質問を投げつける。質問を質問で返すなんて失礼な人だ。
けれど、シュウトの眼は穏やかではない。なんていうか、狩りをする直前の獣のようにも見える。さすがに、これは、まぁいいかと流すわけにはいかなそうだ。
息を呑む私に、シュウトは更に言葉を重ねた。
「力づくで留まってもらうのは忍びないので、できれば任意でここに居て欲しい。それに、その傷、思ったより深いぞ」
えらく物騒なことを、シュウトはさらりと言ってのけた。日本では、これを恐喝と言うことを教えてあげたいぐらいだ。
ただシュウトの言う通り、腕の傷はかすり傷とは言えない深いもののようだ。さっきまでのドタバタで、痛みはあまり感じなかったけど、今頃になって、心臓の鼓動に合わせて傷を負った部分がドクンドクンと波打ち始めた。
……かなり痛い。これ絶対に、今まで保留にしていた痛みの分まで上乗せされている。そんな帳尻合わせは要らないのに。
傷に手をやりながら、このままお遣いを再開しても、志半ばで私は野垂れ死にするかもしれない、という不安がが脳裏にちらつく。異世界に到着して早々、この有様と言う現実は、無視しない方がきっと良い。ここは私が想像しているより危険なところなのだから。
それに、傷が治るまでという期間は、いきなりの提案でも素直に受け入れられるものだった。
「わかった。………でも、変なことをしないでね」
「…………………………」
身の安全だけは守らなければならない。それなのにシュウトは、その不満そうな顔をして返事を拒んでいる。ここで言質を貰わなければ、私はここに居ることはできない。
「もう一度聞きます。返事は?」
「──────────………………はい」
シュウトの心の中で理性と本能が戦っているようで、彼は片手で顔を覆い呻いていた。が、絞り出すように、二文字を呟いた。
反対に私は、ほっと息をついて、ゆっくりシュウトとカザハを交互に見つめる。数拍の間の後、居住まいを正して、私は深々と一人と一頭に頭を下げた。
「それでは、傷が治るまでお世話になります」
シュウトは満足そうに目を細めた。その眼に何故か既視感を覚えたけれど、それは多分気のせいだろう。
さてこれからどうしようと考え始めた瞬間、私は、ハッと驚愕な事実に気付いて目眩をおこした。重心を失ったように、体がよろめいてしまい、慌てて板張りに手をついて身体を支えた。
「どうした?瑠璃殿?」
シュウトは私の肩に手を置いてこちらを覗き込んだ瞬間、表情が一変する。多分、私は尋常じゃないほどに、震えているのだろう。
敢えて言うけど、この震えとめまいは、怪我のものではない。
そういえば、私、風神さんに言われたのだ。『迎えが来るから、その場から動くな』と。だけど私は動いてしまった。そして知らない人に保護されている。
それによくよく考えたら、お迎えの人が男なのか女なのか、若いのか年寄りなのかも聞いてない。これって、かなりマズいかもしれない。
「瑠璃殿、どうしたのだ!?」
驚愕の表情で私の肩を揺さぶるシュウトに、ちょっとイラッとする。ちょっと、私も混乱してて、説明できそうにない。それに眩暈を起こしているのに揺さぶるられるのは、視界が揺れてかなりキツイ。できれば、静かにして欲しい。
そんな私に、聞き覚えのある声が、耳朶に響いた。
【ああ、もう!本当に君は、困った子だね。駄目だよ、勝手なことをしちゃ】
聞き覚えのある声は風神さんの声で、呆れと怒りを含んだ苛立ちを隠しきれないものだった。
なんで今、風神さんの声が聞こえるのだろうと思ったけれど、次の瞬間、私はシュウトの胸にもたれかかって再び気を失ってしまった。
そうなれば、私は自分でこの状況を打破しなくてはならない。これもお遣いの内に含まれているのだろうか。もしそうなら、風神さんは相当説明を端折ったことになる。契約不履行レベルだ。
「すいません、離れてください」
どうするのが一番良いのか少し考えたけど、これといってよい案が思い浮かばなかったので、率直に申し出てみる。
「ああ、すまない」
もっとごねるかと思いきや、男はあっさりと手を離し再び床に胡坐をかく。人の話を聞かない人だと思ったけど、こちらの要求に関しては、ある程度聞いてくれるようだ。
再び安全な距離保った私だけど、少し体をずらして更に距離を取る。男は不満そうな目で訴えてきたけれど、そこは気付かないふりをする。
さてとりあえず、助けて貰ったお礼は言った。謝礼については風神さんのツケということで後ほど考えよう。ということで、ここにはもう用はない───次にすることといえば、即刻、立ち去ることだけだ。
よいしょと、気合を入れて勢い良く立ち上がる。しかし、勢いが良すぎたせいか、ぐらりと、目眩をおこしてしまった。
「おい、そんな身体で、どこへ行くのだ?」
慌てて柱にしがみついた私に、シュウトと呼ばれた男は心配そうに声を掛けてきた。
「あなたには、関係ないことです」
キッと睨み付けながら、シュウトの言葉を跳ね返す。
人の話を聞かない人に対しては、これぐらい強い態度に出ないと、相手のペースに巻き込まれてしまう。
私の態度に、つれないなとぼやくシュウトを黙殺して、外に出ようと庭へと続く障子を開いた。けれど突然、黒い塊が飛び出し私はそれ以上歩を進めることができなかった。
驚いた私は、くるりと振り返ってシュウトに問いかけてしまう。
「この馬、あなたの馬なの!?」
障子を開けた瞬間、ぬっと顔を出したのは巨大な馬だった。間違いない、この馬は、あの時自分を助けてくれた馬だ。望んだ再会で嬉しくなった私は、気付かぬうちに手を伸ばしていた。
「おい!よせ!!怪我をする…───」
背後から尖った声が聞こえたが、もう遅い。私の手は、既に馬の鬣に届いていた。ちなみに触れられた馬は全く嫌がるそぶりをみせず、大人しく鬣を触らせてくれた。
「嘘だろ!?」
再び背後から驚愕の声が聞こえたが、これもまた無視することにした。
ないがしろにし続けていることに、少々罪悪感が湧く。けれど、私の傷のある方の腕を鼻先でふんふんしてくれる馬の方に気を取られて、別の言葉を口にしていた。
「ふふ……くすぐったいよ。本当は、お前が私を助けてくれたんだよね?……ありがとう。ところで、お前は、今日はしゃべらないの?」
「……………………………………………………………へ?」
背後から、思いっきり間抜けな声が聞こえた。
この後ろの人、さっきからうるさい。あなたには聞いてない。そう心の中で呟き、意地でも振り向くかとムキになって馬の鬣を撫でていたら、今度は苛立ちを含んだ声が飛んできた。
「馬が人の言葉を話すわけがないだろう。それに、そなたを助けたのは、この俺だ!」
「……うるさい。わかってる」
あの時、私の視界いっぱいに馬がいたから、騎乗していたシュウトが見えなかった……っていうオチは私だってわかっている。ただ、馬がしゃべれることを期待しただけのこと。
「ところでお主、迷子と言っていたが、どこに行こうとしてたのか?」
気まずくなった私に、更に気まずい質問が飛んできた。
あ、そういえば私、馬に向かってそんなことまで話していたな……。しまった、すっかり失念していた。
「見ず知らずの人に教えることはできません」
きっぱりと言ってみた。けれど、シュウトは人の話を聞かない人で、私のキツイ言葉にめげる様子はなく、再び口を開いた。
「この近くか?それとも、まだ遠いのか?西か?東か?」
スルーされてしまった。
なら私もと、シュウトの問いかけを無視することにする。なぜなら、どこに行けばいいか、私にもわからないから。
わからないことが多すぎる私は、これ以上質問されたくなくて馬をなでることで誤魔化していた。でも──。
「なぁ、その傷が治るまで、この屋敷に居てくれないか?」
「……は?」
予期せぬシュウトの提案に、私は思わず声を出してしまう。けれどシュウトは何も言わず、真剣にこちらを見ていた。
おどけた表情が消え、ひたむきに私を見つめる表情は、まるで別人のようだった。あ、この人、こんな表情もするんだ。ちょっと意外だ。
でも、最悪の目覚めをくらった私は、そう簡単に頷くことはできない。しばらく無言の刻が過ぎる。向かい合ったまま沈黙していたが、それを破ったのはシュウトだった。
「───……この馬…カザハも、一緒に居たいと言っておるぞ」
ブルルルルルッ
あれ?今、馬さんことカザハの唸り声が『オイちょっと待て!』っていう風に聞こえたようなきがする……。まぁ、いいか。
「嫌だといったら?」
「どうなるかわかるか?」
首を傾げた私にシュウトはすかさず質問を投げつける。質問を質問で返すなんて失礼な人だ。
けれど、シュウトの眼は穏やかではない。なんていうか、狩りをする直前の獣のようにも見える。さすがに、これは、まぁいいかと流すわけにはいかなそうだ。
息を呑む私に、シュウトは更に言葉を重ねた。
「力づくで留まってもらうのは忍びないので、できれば任意でここに居て欲しい。それに、その傷、思ったより深いぞ」
えらく物騒なことを、シュウトはさらりと言ってのけた。日本では、これを恐喝と言うことを教えてあげたいぐらいだ。
ただシュウトの言う通り、腕の傷はかすり傷とは言えない深いもののようだ。さっきまでのドタバタで、痛みはあまり感じなかったけど、今頃になって、心臓の鼓動に合わせて傷を負った部分がドクンドクンと波打ち始めた。
……かなり痛い。これ絶対に、今まで保留にしていた痛みの分まで上乗せされている。そんな帳尻合わせは要らないのに。
傷に手をやりながら、このままお遣いを再開しても、志半ばで私は野垂れ死にするかもしれない、という不安がが脳裏にちらつく。異世界に到着して早々、この有様と言う現実は、無視しない方がきっと良い。ここは私が想像しているより危険なところなのだから。
それに、傷が治るまでという期間は、いきなりの提案でも素直に受け入れられるものだった。
「わかった。………でも、変なことをしないでね」
「…………………………」
身の安全だけは守らなければならない。それなのにシュウトは、その不満そうな顔をして返事を拒んでいる。ここで言質を貰わなければ、私はここに居ることはできない。
「もう一度聞きます。返事は?」
「──────────………………はい」
シュウトの心の中で理性と本能が戦っているようで、彼は片手で顔を覆い呻いていた。が、絞り出すように、二文字を呟いた。
反対に私は、ほっと息をついて、ゆっくりシュウトとカザハを交互に見つめる。数拍の間の後、居住まいを正して、私は深々と一人と一頭に頭を下げた。
「それでは、傷が治るまでお世話になります」
シュウトは満足そうに目を細めた。その眼に何故か既視感を覚えたけれど、それは多分気のせいだろう。
さてこれからどうしようと考え始めた瞬間、私は、ハッと驚愕な事実に気付いて目眩をおこした。重心を失ったように、体がよろめいてしまい、慌てて板張りに手をついて身体を支えた。
「どうした?瑠璃殿?」
シュウトは私の肩に手を置いてこちらを覗き込んだ瞬間、表情が一変する。多分、私は尋常じゃないほどに、震えているのだろう。
敢えて言うけど、この震えとめまいは、怪我のものではない。
そういえば、私、風神さんに言われたのだ。『迎えが来るから、その場から動くな』と。だけど私は動いてしまった。そして知らない人に保護されている。
それによくよく考えたら、お迎えの人が男なのか女なのか、若いのか年寄りなのかも聞いてない。これって、かなりマズいかもしれない。
「瑠璃殿、どうしたのだ!?」
驚愕の表情で私の肩を揺さぶるシュウトに、ちょっとイラッとする。ちょっと、私も混乱してて、説明できそうにない。それに眩暈を起こしているのに揺さぶるられるのは、視界が揺れてかなりキツイ。できれば、静かにして欲しい。
そんな私に、聞き覚えのある声が、耳朶に響いた。
【ああ、もう!本当に君は、困った子だね。駄目だよ、勝手なことをしちゃ】
聞き覚えのある声は風神さんの声で、呆れと怒りを含んだ苛立ちを隠しきれないものだった。
なんで今、風神さんの声が聞こえるのだろうと思ったけれど、次の瞬間、私はシュウトの胸にもたれかかって再び気を失ってしまった。
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