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寄り道の章
イケメンに脅されました
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ひとしきり笑ったあと、コホンとナギは咳払いを一つして立ち上がり、私に視線を合わせた。
「ええっと……失礼。瑠璃殿、それでは試してみませんか?」
ナギは両手で私の手を握りながら、言葉を続ける。
「大丈夫、嫌いになんてなりませんよ。シュウトさまは、間違いなく瑠璃殿を大切に想っておられます。ずっと傍で見てきた私が言うのですから、信じてください。もちろん私も、あなたのことを嫌いになんてなりません」
そうきっぱりとナギは言い切った。反対に私は沈黙してしまう。俯かずにナギを見つめれば、黒色の瞳に驚きと戸惑いでとても間抜けな表情を浮かべている私がいる。
自分で言うのも何だけど、本当にひどく間抜けな顔をしている。私もこんな顔をするのかと、自分の事ながら少し驚いてしまう。
でもナギは黙ったまま、私が口を開くのを待っている。でも、そうされると余計に困ってしまう。なぜなら、何も言わないときの彼は、顔が整いすぎて何を考えているのか良く分からないから。
「…………そうなの?」
さんざん待たせた挙句、こんなありふれた一言を絞り出すのが誠意一杯だった。でも、ナギはほっとした表情を浮かべてくれた。
「そうですよ」
シュウトのことを誰よりも良く知っている小姓は、そう私に言って微笑んだ。
誰かに大切にされていると言われることは初めてで、とてつもなく恥ずかしい。でも、とてもとても嬉しい。
だからそのまま、彼の提案を受け入れたくなる。でも────
「……でも…ね、ダメなの……ごめんなさい」
私は、ナギに頭を下げた。
「私はね、やらないといけないことがあるの…。だから、ずっとここには居られないの。ごめんなさい」
「そこをなんとか」
「ごめんなさい」
「試すだけでも、してみませんか?」
「無理です」
……あれ?なんか、ついさっき似たような会話をしたような気がする。立場は逆だったけど。
ちらりとナギを見れば、いつまで経っても首を縦に振らない私に業を煮やしたのか、眉を寄せ唇を歪めていた。でも私と目が合った途端、何か思いついたらしく、自信満々に口を開いた。
「では、こうしましょう。瑠璃殿がシュウトさまに懸想されるまでの間、瑠璃様の貞操は私が命を賭してお守り致します。安心してください」
ナギのもったいぶった言い方に、これが彼のとっておきの切り札だったと推測する。他の札は無かったのだろうか?あと、私は何を、どこを、どんな風に、安心すればいいのだろうか。
とりあえず、思ったままを口にしてみる。
「あのですねぇ……。なんで、私がシュウトを好きになるっていう前提なのですか?それに、私の貞操を守るって言ったって、もう遅いですっ。色々あったんですっ」
太刀で脅したナギが、私を説得するために出した切り札が、まさかのコレとは……。この世界は物騒なのか、平和なのかわからない。
私も先ほどのナギと同じように眉を寄せ唇を歪めてみる。そんな私にナギは苦笑を浮かべて、斜め上の切り返しをしてきた。
「シュウト様に何をされたんですか?」
「え!?」
ナギは表情を一変させ、きょとんと眼を丸くしながら私に問うた。さて、今度は私が戸惑ってしまう番だ。頭の片隅で形勢逆転という言葉がよぎる。
「えっと、だから…私が気絶して目を覚ました時に、シュウトが薬湯を……」
無理矢理、口移しで飲ませた。
そんなことを自分の口から言えるわけがない。羞恥で真っ赤になった私に、ナギは更に追及してくる。
「薬湯をどうされたんですか?」
「……………………」
そこで気付いた。ナギはニヤニヤと意地悪く笑っていることを。ナギは全部知っているのだ。そして、私がそのことを口にできないのを良いことに、自分の切り札をゴリ押ししているのだ。
「ナギさん意地が悪いですよ?」
「何のことですか?ただ質問しているだけですよ」
睨みつける私を、ナギはしれっとした表情でかわす。
「お答えできないと言うことでは、何もなかったという風にもとれますよね?つまりは、何もなかったということで。ところでシュウト様のこと、お嫌いですか?」
「はい?」
流れるような質問に、理解ができず思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。けれどナギは気を悪くすることもなく、もう一度同じことを私に問うた。
「触れられるのも見るのも、嫌ですか?」
「………………そんなことはないです。でも、この意地悪な質問をするナギはちょっと嫌いです」
子供のように頬を膨らませぷいと横を向く私に、ナギは晴れ晴れとした笑みを浮かべている。そして【なら何が問題ない。後は時間の問題】と、わざと聞こえるように呟く。
それはさすがに、苛立ちを覚える。私だって、恋愛モノを読んだことぐらいある。恋なるものは、もっとこうしかるべき手順があった後、自分が自覚するっていう流れのはず。なぜ、他人にお膳立てされなければいけないのだろう。
「私、シュウトなんて好きにならないもん!」
ちょっと、ムキになって言ってみた。でも、ナギは相変わらずニコニコしている。その笑い方が、風神さんと似ていて腹が立つ。
「そう言っていられるのも今のうちですよ。でも、わかりました。瑠璃殿がそこまで言うのなら、仕方ありませんね」
溜息を付いて、そう言い放ったナギの静かな言葉に、背筋がゾクゾクした。すごく嫌な予感がする。
思わず身を引く私に、にっこりと彼は意味ありげに微笑み手綱を掴む。そして、ふわりと私の後ろに跨った。
動物的な直感で、逃げようとする私を強く引き寄せた瞬間、ツユキのわき腹を強く蹴った。瞬間、ツユキは一気に駆け出した。
「なっ、何するんですか!?止まってくださいナギさん!!」
乗馬の経験が全く無い私は、流れるように過ぎていく景色に目を回す。そして、なす術もなく悲鳴を上げることしかできない。
「もう一度、お願い申し上げます。どうか、シュウトさまの傍に居てくださいませ」
私の悲鳴など軽ぅく無視して、ナギはあくまで丁寧な口調で話しかける。……やっぱり、この世界は物騒だったようだ。
「ナギさん!これは、お願いではなくて、脅迫って言うんです!!」
「ははっ。良い返事を頂けるなら、どちらでも構いませんよ」
軽く笑い声を立てながらナギは器用に手綱を操る。そしてツユキは、飼い主の命令に従って、どんどん速度をあげていく。
その結果、風を切る音が耳を劈いて思わず私はナギの腕にしがみついてしまう。そんな私にとどめを刺すようなナギの言葉が降って来た。
「あっ、あそこに崖がありますね。軽く飛んでみますか?」
その声につられて、ひょいとナギの腕から前を覗くと絶対に飛んだら死ぬよねと言いたくなる崖がすぐそこまで来ていた。
「やっ、やめてー!!」
半泣きで、必死にナギにしがみつく。そして───。
「わかった!条件付で約束するから!!だから、ツユキを停めて下さい!」
私の叫び声が消える前に、ピタリとツユキは停止した。
「少々脅かし過ぎましたね、申し訳ありません。ではさっそくですが、その条件とやら、伺いましょうか」
ナギは震える私の背を撫でながら、そう優しく囁いた。
もちろん私も色々話したいことも、伝えたいこともある。ただできればその前に、水分補給がしたい。なにせ叫び過ぎて喉がカラカラなので。
「ええっと……失礼。瑠璃殿、それでは試してみませんか?」
ナギは両手で私の手を握りながら、言葉を続ける。
「大丈夫、嫌いになんてなりませんよ。シュウトさまは、間違いなく瑠璃殿を大切に想っておられます。ずっと傍で見てきた私が言うのですから、信じてください。もちろん私も、あなたのことを嫌いになんてなりません」
そうきっぱりとナギは言い切った。反対に私は沈黙してしまう。俯かずにナギを見つめれば、黒色の瞳に驚きと戸惑いでとても間抜けな表情を浮かべている私がいる。
自分で言うのも何だけど、本当にひどく間抜けな顔をしている。私もこんな顔をするのかと、自分の事ながら少し驚いてしまう。
でもナギは黙ったまま、私が口を開くのを待っている。でも、そうされると余計に困ってしまう。なぜなら、何も言わないときの彼は、顔が整いすぎて何を考えているのか良く分からないから。
「…………そうなの?」
さんざん待たせた挙句、こんなありふれた一言を絞り出すのが誠意一杯だった。でも、ナギはほっとした表情を浮かべてくれた。
「そうですよ」
シュウトのことを誰よりも良く知っている小姓は、そう私に言って微笑んだ。
誰かに大切にされていると言われることは初めてで、とてつもなく恥ずかしい。でも、とてもとても嬉しい。
だからそのまま、彼の提案を受け入れたくなる。でも────
「……でも…ね、ダメなの……ごめんなさい」
私は、ナギに頭を下げた。
「私はね、やらないといけないことがあるの…。だから、ずっとここには居られないの。ごめんなさい」
「そこをなんとか」
「ごめんなさい」
「試すだけでも、してみませんか?」
「無理です」
……あれ?なんか、ついさっき似たような会話をしたような気がする。立場は逆だったけど。
ちらりとナギを見れば、いつまで経っても首を縦に振らない私に業を煮やしたのか、眉を寄せ唇を歪めていた。でも私と目が合った途端、何か思いついたらしく、自信満々に口を開いた。
「では、こうしましょう。瑠璃殿がシュウトさまに懸想されるまでの間、瑠璃様の貞操は私が命を賭してお守り致します。安心してください」
ナギのもったいぶった言い方に、これが彼のとっておきの切り札だったと推測する。他の札は無かったのだろうか?あと、私は何を、どこを、どんな風に、安心すればいいのだろうか。
とりあえず、思ったままを口にしてみる。
「あのですねぇ……。なんで、私がシュウトを好きになるっていう前提なのですか?それに、私の貞操を守るって言ったって、もう遅いですっ。色々あったんですっ」
太刀で脅したナギが、私を説得するために出した切り札が、まさかのコレとは……。この世界は物騒なのか、平和なのかわからない。
私も先ほどのナギと同じように眉を寄せ唇を歪めてみる。そんな私にナギは苦笑を浮かべて、斜め上の切り返しをしてきた。
「シュウト様に何をされたんですか?」
「え!?」
ナギは表情を一変させ、きょとんと眼を丸くしながら私に問うた。さて、今度は私が戸惑ってしまう番だ。頭の片隅で形勢逆転という言葉がよぎる。
「えっと、だから…私が気絶して目を覚ました時に、シュウトが薬湯を……」
無理矢理、口移しで飲ませた。
そんなことを自分の口から言えるわけがない。羞恥で真っ赤になった私に、ナギは更に追及してくる。
「薬湯をどうされたんですか?」
「……………………」
そこで気付いた。ナギはニヤニヤと意地悪く笑っていることを。ナギは全部知っているのだ。そして、私がそのことを口にできないのを良いことに、自分の切り札をゴリ押ししているのだ。
「ナギさん意地が悪いですよ?」
「何のことですか?ただ質問しているだけですよ」
睨みつける私を、ナギはしれっとした表情でかわす。
「お答えできないと言うことでは、何もなかったという風にもとれますよね?つまりは、何もなかったということで。ところでシュウト様のこと、お嫌いですか?」
「はい?」
流れるような質問に、理解ができず思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。けれどナギは気を悪くすることもなく、もう一度同じことを私に問うた。
「触れられるのも見るのも、嫌ですか?」
「………………そんなことはないです。でも、この意地悪な質問をするナギはちょっと嫌いです」
子供のように頬を膨らませぷいと横を向く私に、ナギは晴れ晴れとした笑みを浮かべている。そして【なら何が問題ない。後は時間の問題】と、わざと聞こえるように呟く。
それはさすがに、苛立ちを覚える。私だって、恋愛モノを読んだことぐらいある。恋なるものは、もっとこうしかるべき手順があった後、自分が自覚するっていう流れのはず。なぜ、他人にお膳立てされなければいけないのだろう。
「私、シュウトなんて好きにならないもん!」
ちょっと、ムキになって言ってみた。でも、ナギは相変わらずニコニコしている。その笑い方が、風神さんと似ていて腹が立つ。
「そう言っていられるのも今のうちですよ。でも、わかりました。瑠璃殿がそこまで言うのなら、仕方ありませんね」
溜息を付いて、そう言い放ったナギの静かな言葉に、背筋がゾクゾクした。すごく嫌な予感がする。
思わず身を引く私に、にっこりと彼は意味ありげに微笑み手綱を掴む。そして、ふわりと私の後ろに跨った。
動物的な直感で、逃げようとする私を強く引き寄せた瞬間、ツユキのわき腹を強く蹴った。瞬間、ツユキは一気に駆け出した。
「なっ、何するんですか!?止まってくださいナギさん!!」
乗馬の経験が全く無い私は、流れるように過ぎていく景色に目を回す。そして、なす術もなく悲鳴を上げることしかできない。
「もう一度、お願い申し上げます。どうか、シュウトさまの傍に居てくださいませ」
私の悲鳴など軽ぅく無視して、ナギはあくまで丁寧な口調で話しかける。……やっぱり、この世界は物騒だったようだ。
「ナギさん!これは、お願いではなくて、脅迫って言うんです!!」
「ははっ。良い返事を頂けるなら、どちらでも構いませんよ」
軽く笑い声を立てながらナギは器用に手綱を操る。そしてツユキは、飼い主の命令に従って、どんどん速度をあげていく。
その結果、風を切る音が耳を劈いて思わず私はナギの腕にしがみついてしまう。そんな私にとどめを刺すようなナギの言葉が降って来た。
「あっ、あそこに崖がありますね。軽く飛んでみますか?」
その声につられて、ひょいとナギの腕から前を覗くと絶対に飛んだら死ぬよねと言いたくなる崖がすぐそこまで来ていた。
「やっ、やめてー!!」
半泣きで、必死にナギにしがみつく。そして───。
「わかった!条件付で約束するから!!だから、ツユキを停めて下さい!」
私の叫び声が消える前に、ピタリとツユキは停止した。
「少々脅かし過ぎましたね、申し訳ありません。ではさっそくですが、その条件とやら、伺いましょうか」
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