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寄り道の章
イケメンに叩き起こされました
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また明日って言って、おやすみって言って───私は、すぐ夢の中へ落ちていった………わけではない。
当たり前だ。中途半端に寝落ちした私は、それから、眠れず独り、寝台で睡魔が来るのをずっと待つことになった。
睡魔は、渋滞に巻き込まれたのか、道草しているのか、なかなか私の元には来てくれず、ようやく外が明るくなって来た頃に訪れた。ふぅ、やれやれと、眠りに引き込まれた私だったが───
お母さ………あ、違った、ナギの呆れた声で目を覚ますことになった。
「何時だと思ってるんですか、いい加減起きてください」
目を開けると、声と同じくらい呆れた顔をしたナギが、こちらを覗き込んでいた。ものっすごい不機嫌である。瞬間、私は一気に目が覚めた。
「おはようございますっ」
「何がおはようですか、もう昼ですよっ」
がばりと勢いよく起き上がった私に、ナギはあからさまなため息の後、腕を組み眉をひそめた。その姿は誰がどう見てもお母さんだった。
「早く顔を洗って、ご飯を食べてください」
「……………………はーい」
ナギは私が返事をすると、もう一度ため息をついて部屋を出て行った。寝台から這い出た私は、数拍置いて、ちょっと思った。
そういえば、ここは私の自室。年頃の男性が、年頃の女性の寝台を覗き込むって………良いのかな?と。
もちろんその質問は今すべきではない。これ以上、ナギを怒らせてはいけない。なぜなら、お母さんというのはとても忙しい存在なのだから。
それから顔を洗って身支度を整えていると、計ったかのようにナギが朝ごはんを運んできてくれた。それを美味しくいただく。もちろん昨日の、夜食のお礼も忘れない。
その、昨日の夜食のお礼を言った際に、ナギから聞いた。
昨日、ナギは襖越しに何回も、声をかけてくれていたらしい。でも、寝落ちしてしまっていた私は全く気づかなかった。………そして今朝も襖越しに声を掛けてくれていたそうで───。とうとう昼になっても、起きない私にキレたらしい。
その経緯を聞いて、叩き起こされたことについて不満を言わなくて、本当に良かったと胸を撫で下ろした。
「あのね、ナギさん────」
「食事中はしゃべらない」
「…………………ごめんなさい」
あわてて最後の汁物を流し込み、手を合わせて食後の挨拶をする。それを見たナギは私にお茶を手渡してくれた。縁起良く茶柱が立っていて、ほっこりとした気分になる。いやいや、そうではなく────
「ナギさん、ちょっと聞いてもいいですか?」
「どうされました?」
ナギさんは、盆を持ったまま首を傾げた。
「男の人って、お礼の前払いでキスするもんなのですか?」
ッカタン
瞬間、ナギさんは手に持っていた盆を落としたまま、固まった。
「ナギさん、それ拾わなくて良いんですか?」
「…………………………………」
「あ、私が拾いますね」
よっと腕を伸ばして、盆を拾おうとしたら、その腕をナギが掴んでものすごい形相で叫んだ。
「そんな言葉、女子が使っちゃいけません!!」
「えええええ!」
カターン
今度は私が盆を落とす番であった。………キスという言葉はこの世界だと、どんな意味になっているのだろうか。
「え、じゃぁ………チューされて───」
「馬鹿!!」
ナギは慌てて私の口を塞いだ。チューってこの世界だとどんな意味!?と慄く私と、キスとチューってどっちが卑猥なのかわからず戸惑う私がいる。
「───………口づけと言いなさい」
少しの間の後、ナギはひどく言いにくそうに教えてくれた。でも、日本だと口づけって言い慣れてないから、そっちの方が恥ずかしい。
いやいや、閑話休題。ナギさんから、本題の解答をもらっていない。
「ところで、ナギさん、男の人って、お礼の前払いで、くっ口づけってできるもんなの?」
「…………………………」
「ん?ナギさん?」
「………人によります」
「ふーん、じゃぁ、シュウトはどっちなの?」
「それを私に聞くんですか?」
「……………本人に聞けないよ!」
「……………聞いてください」
ナギは、そう言うと額に手を当て、はぁーっと、これみよがしにため息をついた。あと、ため息の後に面倒くせぇっと呟いたのが聞こえてきたけれど聞かなかったことにしておく。そこを突っ込んでしまったも、お互い何の特にもならないから。
それを境に二人の間に、気まずい沈黙が落ちてしまった。
「ん?…………あっ、あの瑠璃殿?」
けれど、しばらくの間のあと、ナギが急に真顔になって口を開いた。
「どうしたの?ナギさん」
「瑠璃殿、シュウトさまに何かされたのですか」
「っ!?」
その問いに私は答えられない。でも、真っ赤になってしまった私はバレバレだったようで、ナギはガッと私の両肩を掴んだ。
「何、されたのですか!?」
「キ、じゃない………………くっ………口づけっぽいヤツ」
「それだけですか!?」
「当たり前でしょ!」
うっかり、昨日シュウトとキスをしてしまったことを白状してしまい、真っ赤になってあわてて両手で口を覆ってしまったけれど、ナギはそこはスルーして安堵の表情を浮かべた。
「あー良かった」
なぜか良くわからないけれど、額の汗を拭って爽やかに笑うナギに私は半目になった。
「何が良かったの!?私、ガブガブされたんだよ!」
「ガブガブ!?」
「そう!ガブガブ、だよガブガブ。そこら辺の口づけなんていう生易しいもんじゃなかったよ!」
「…………………………」
そこら辺の口付けが、どんなものかは分からないけど、あれは常軌を逸脱しているものだった。真っ赤になって捲くし立てる私とは対照的に、ナギの表情はみるみる青ざめていく。
「本当にそれで済んだのですね?夜は一人で寝たのですね!?今朝、本当はシュウトさまが瑠璃殿の寝台で一緒に居たなんてことは───」
「あるわけないでしょ!!」
力の限り叫んだ私に、ナギさんは再び安堵の表情を浮かべた。
「なんだ…………あっいえいえ、ご無事で何よりです」
ナギの言葉のチョイスは全てにおいて間違っている。それと、最初の私の質問に答えてないですが。いつになったら答えてもらえるのだろうか。
「口づけは、まぁ我慢できなかったのでしょうね。大切に思っているから、そこで我慢したっっていうのが正解でしょうか」
ナギは顎に手を当てて、ポツリとそう呟いた。でも、なるほどとは頷けない。───なぜなら私は、今頃になって勢いでカミングアウトしてしまったことに対して羞恥で身もだえしてしまっていたから。今は、自分のことで、とても忙しい。
ナギは、そんな私を無視して落ちたままの盆を拾い上げて席を立つ。そして、一言。
「シュウトさまは、夕方には戻られます。直接、本人に聞いてください」
ナギは優しくて厳しい。
でも本音は、二人の間に入るような無粋なことをしたくない、いや違う、多分、面倒くさかったのだろう。確かに、それは頷ける。
当たり前だ。中途半端に寝落ちした私は、それから、眠れず独り、寝台で睡魔が来るのをずっと待つことになった。
睡魔は、渋滞に巻き込まれたのか、道草しているのか、なかなか私の元には来てくれず、ようやく外が明るくなって来た頃に訪れた。ふぅ、やれやれと、眠りに引き込まれた私だったが───
お母さ………あ、違った、ナギの呆れた声で目を覚ますことになった。
「何時だと思ってるんですか、いい加減起きてください」
目を開けると、声と同じくらい呆れた顔をしたナギが、こちらを覗き込んでいた。ものっすごい不機嫌である。瞬間、私は一気に目が覚めた。
「おはようございますっ」
「何がおはようですか、もう昼ですよっ」
がばりと勢いよく起き上がった私に、ナギはあからさまなため息の後、腕を組み眉をひそめた。その姿は誰がどう見てもお母さんだった。
「早く顔を洗って、ご飯を食べてください」
「……………………はーい」
ナギは私が返事をすると、もう一度ため息をついて部屋を出て行った。寝台から這い出た私は、数拍置いて、ちょっと思った。
そういえば、ここは私の自室。年頃の男性が、年頃の女性の寝台を覗き込むって………良いのかな?と。
もちろんその質問は今すべきではない。これ以上、ナギを怒らせてはいけない。なぜなら、お母さんというのはとても忙しい存在なのだから。
それから顔を洗って身支度を整えていると、計ったかのようにナギが朝ごはんを運んできてくれた。それを美味しくいただく。もちろん昨日の、夜食のお礼も忘れない。
その、昨日の夜食のお礼を言った際に、ナギから聞いた。
昨日、ナギは襖越しに何回も、声をかけてくれていたらしい。でも、寝落ちしてしまっていた私は全く気づかなかった。………そして今朝も襖越しに声を掛けてくれていたそうで───。とうとう昼になっても、起きない私にキレたらしい。
その経緯を聞いて、叩き起こされたことについて不満を言わなくて、本当に良かったと胸を撫で下ろした。
「あのね、ナギさん────」
「食事中はしゃべらない」
「…………………ごめんなさい」
あわてて最後の汁物を流し込み、手を合わせて食後の挨拶をする。それを見たナギは私にお茶を手渡してくれた。縁起良く茶柱が立っていて、ほっこりとした気分になる。いやいや、そうではなく────
「ナギさん、ちょっと聞いてもいいですか?」
「どうされました?」
ナギさんは、盆を持ったまま首を傾げた。
「男の人って、お礼の前払いでキスするもんなのですか?」
ッカタン
瞬間、ナギさんは手に持っていた盆を落としたまま、固まった。
「ナギさん、それ拾わなくて良いんですか?」
「…………………………………」
「あ、私が拾いますね」
よっと腕を伸ばして、盆を拾おうとしたら、その腕をナギが掴んでものすごい形相で叫んだ。
「そんな言葉、女子が使っちゃいけません!!」
「えええええ!」
カターン
今度は私が盆を落とす番であった。………キスという言葉はこの世界だと、どんな意味になっているのだろうか。
「え、じゃぁ………チューされて───」
「馬鹿!!」
ナギは慌てて私の口を塞いだ。チューってこの世界だとどんな意味!?と慄く私と、キスとチューってどっちが卑猥なのかわからず戸惑う私がいる。
「───………口づけと言いなさい」
少しの間の後、ナギはひどく言いにくそうに教えてくれた。でも、日本だと口づけって言い慣れてないから、そっちの方が恥ずかしい。
いやいや、閑話休題。ナギさんから、本題の解答をもらっていない。
「ところで、ナギさん、男の人って、お礼の前払いで、くっ口づけってできるもんなの?」
「…………………………」
「ん?ナギさん?」
「………人によります」
「ふーん、じゃぁ、シュウトはどっちなの?」
「それを私に聞くんですか?」
「……………本人に聞けないよ!」
「……………聞いてください」
ナギは、そう言うと額に手を当て、はぁーっと、これみよがしにため息をついた。あと、ため息の後に面倒くせぇっと呟いたのが聞こえてきたけれど聞かなかったことにしておく。そこを突っ込んでしまったも、お互い何の特にもならないから。
それを境に二人の間に、気まずい沈黙が落ちてしまった。
「ん?…………あっ、あの瑠璃殿?」
けれど、しばらくの間のあと、ナギが急に真顔になって口を開いた。
「どうしたの?ナギさん」
「瑠璃殿、シュウトさまに何かされたのですか」
「っ!?」
その問いに私は答えられない。でも、真っ赤になってしまった私はバレバレだったようで、ナギはガッと私の両肩を掴んだ。
「何、されたのですか!?」
「キ、じゃない………………くっ………口づけっぽいヤツ」
「それだけですか!?」
「当たり前でしょ!」
うっかり、昨日シュウトとキスをしてしまったことを白状してしまい、真っ赤になってあわてて両手で口を覆ってしまったけれど、ナギはそこはスルーして安堵の表情を浮かべた。
「あー良かった」
なぜか良くわからないけれど、額の汗を拭って爽やかに笑うナギに私は半目になった。
「何が良かったの!?私、ガブガブされたんだよ!」
「ガブガブ!?」
「そう!ガブガブ、だよガブガブ。そこら辺の口づけなんていう生易しいもんじゃなかったよ!」
「…………………………」
そこら辺の口付けが、どんなものかは分からないけど、あれは常軌を逸脱しているものだった。真っ赤になって捲くし立てる私とは対照的に、ナギの表情はみるみる青ざめていく。
「本当にそれで済んだのですね?夜は一人で寝たのですね!?今朝、本当はシュウトさまが瑠璃殿の寝台で一緒に居たなんてことは───」
「あるわけないでしょ!!」
力の限り叫んだ私に、ナギさんは再び安堵の表情を浮かべた。
「なんだ…………あっいえいえ、ご無事で何よりです」
ナギの言葉のチョイスは全てにおいて間違っている。それと、最初の私の質問に答えてないですが。いつになったら答えてもらえるのだろうか。
「口づけは、まぁ我慢できなかったのでしょうね。大切に思っているから、そこで我慢したっっていうのが正解でしょうか」
ナギは顎に手を当てて、ポツリとそう呟いた。でも、なるほどとは頷けない。───なぜなら私は、今頃になって勢いでカミングアウトしてしまったことに対して羞恥で身もだえしてしまっていたから。今は、自分のことで、とても忙しい。
ナギは、そんな私を無視して落ちたままの盆を拾い上げて席を立つ。そして、一言。
「シュウトさまは、夕方には戻られます。直接、本人に聞いてください」
ナギは優しくて厳しい。
でも本音は、二人の間に入るような無粋なことをしたくない、いや違う、多分、面倒くさかったのだろう。確かに、それは頷ける。
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