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寄り道の章
イケメンが捕まえてくれました
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部屋でどう切り出そうかと悶々と考えてたり、気分転換に縁側に出たら昨日のキスのことを思い出して、独りでのた打ち回っていたら、あっという間に夕方になってしまった。独り相撲とはまさにことの事。
そして夕暮れと共に門の前に移動して、そわそわとシュウトの帰りを待つ。
けれど、シュウトの帰りを待ちながらも考えてしまう。門で待ち構えているのは、いかにもって感じでシュウトもちょっと重いかななどと。そんな弱気になった頃、シュウトとカザハの姿が遠くから見えた。
こちらに近づいたカザハとシュウトを見て、私は息をのむ。シュウトは、別人のような格好をしていた。
今日のシュウトの服装は、日本で言うところの直垂姿で、髪もきちんと結い上げている。この世界では、男性でも髪を纏めるときには鮮やかな髪紐だったり、簪みたいな宝飾をつけるらしい。昨日の夜の雰囲気とは違うけど、今日のシュウトも大人っぽい。───シュウトは色んな顔を持っている。
シュウトは門前で待ち構えていた私に気づいて軽く手を上げ、ふわりと笑ってくれた。そして、門までくると、カザハから降りて私と向かい合う。
「おかえりなさい」
「ああ、今、帰った」
さてお迎えは終わった。後は、昨日の約束のことをどう切り出そうかと悩んでいたら、先にシュウトが口を開いてくれた。
「着替えたら、すぐに、瑠璃の部屋に行く」
「はい、では待ってます」
軽く手を振って私はシュウトに背を向け走り出した。既に心臓はバクバクしている。シュウトと話をする前に、私は深呼吸が100回ほど必要だ。
部屋で待つのも落ち着かなくて、庭に出て何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返す。でも、心臓のバクバクは止まらない。どうしよう、話をする前に、私は死ぬかもしれない。
「待たせてしまったか?」
背後から声を掛けられて、思わずビクッとなる。慌てて振り向くと、そこにはいつものシュウトがいた。なぜだかわからないけれど先までうるさかった心臓が、急に静かになった。
「大丈夫です。全然、待っていません」
そう言って笑ってみたけど、シュウトの顔は浮かない。それは多分、私が今迄で一番不安そうで、とても痛々しく見えるからなのだろうか。それでも、私は笑みを続けて、口を開く。
「シュウト……あの、約束してほしいことがあるんです……これから話すことに絶対に、どうして?って、聞かないでくれますか?」
「どっ……」
シュウトは、危うく『どうして?』と聞きそうになって、慌てて口を噤んだ。そのしぐさに私は困ったように笑ってしまう。
「あの……実は『どうして?』って聞かれても、私にもわからないことが多すぎるんです。だから、何か疑問に思っても、そういうものかと受け止めるか聞き流してください」
シュウトは数拍ほど考えて、私に向かってゆっくりと頷いた。ほっと肩の力が抜ける。良かった、これで話しやすくなった。
「では話が長くなるから、座りましょう」
私はシュウトの手を引いて、自室の縁側に並んで腰掛けた。
庭の桜はすぐ横にある池に反射して、とても幻想的な空間。しばらく私達は無言のまま舞い散る桜を眺めていた。
少し動けば肩が触れ合う距離で、私は縁側に腰を掛けて足をぶらぶらして、シュウトは長い足を組んでいる。
シュウトは決して急かすこともしなければ、別の話題を振ろうともしない。じっと私が口を開くのを穏やかな表情で待っていてくれる。
心を落ち着かせて、それから大きく息を吸って吐いて、私は口を開いた。明るく軽く、なんでもないという風な口調を心がけて。
「シュウト、もうナギさんから聞いてると思うけど私、結婚するのが嫌で家をを飛び出してきちゃったんです」
最初、どう切り出そうか悩んだけど、そのままを言ってみた。
しかしシュウトは知っているはずなのに、ギョッとした驚愕の表情を見せた。やはりこの時代でも、それは驚くことなのだと、ぼんやり考えてたらシュウトはひどく辛そうに私に問うてきた。
「…………どんな奴か、聞いてもいいか?」
ああ、やはり気になるのか。私は、一応結婚相手だった風神さんのことを思い出す。思い出した途端、ちょっとイラッとしたけれど、そこは顔に出さず風神さんのことをそのまま伝える。
「変な人でしたね。何というか常にヘラヘラ笑ってて、掴み所がなくて…………あっ、でも優しい人だったのかもしれませ───」
「瑠璃は、そいつが好きだったのか?」
私の言葉を遮って、シュウトは私に問う。シュウトには申し訳ないけど、私はその瞬間、思いっきり吹いてしまった。
途端にむっとしたシュウトに、私は心の中で謝った。でも風神さんとの結婚は、絶対にありえないこと。彼は、私にとって共犯者に過ぎない。
「そんなわけないです、絶対にないです。彼との結婚はありえません。ただ、とても粘着質な性格なのか心配性なのかわからないけれど、まだ私を四六時中監視してるんです」
その言葉を聞いた途端、シュウトの眉がピクリと跳ねた。きっとシュウトは私の結婚相手がタチの悪いストーカーとでも勘違いしているのだろう。
確かに自分が風神さんがストーカーと思わせるよう伝えた自負はある。でも、彼を人として表現するなら、今の表現が一番相応しいとも思ってしまう。
ただ風神さんが、ここについて来てしまったのは多分私のせい。それも踏まえて、まずは私の結婚相手であった風神さんのことから話そう。
「今も私達のすぐそばで、話を聞いていると思います。…………きっと」
私のその言葉に、シュウトの表情は一変した。その表情は、昨日のナギと一緒に帰ってきたばっかりの時に見せたものに似ていた。いや、それよりも怖い顔だ。
私はその顔を直視する勇気がなく、視線から逃げるようにくるりと身体を捻り部屋を指をさした。シュウトは私の指差した方向を眼で追った。が、しかし、理解できないのだろう、訝しげに眉を寄せた。
確かにそうだ。シュウトには一生かかっても、わからないだろう。だから、ちゃんと私が言わないといけない。
「私が、着ていた衣が……あれこそ、私の結婚相手よ」
「こっ、衣が結婚相手だと?」
余計に意味が分からないと首を捻るシュウトに、私は苦笑いを残して、部屋へと上がった。そして、衣装箱から取り出した衣を、ふわりと自分に纏い、シュウトと向かい合った。
一拍後、シュウトの顔が強張る。
「これは……」
まるで物の怪か、化け物か───。シュウトが呑み込んだ言葉は、おそらくこうだったのだろう。そう口に出して良いのに。それが正解なのだから。
でも、シュウトが言葉を無くすのも無理はない。なぜなら、あの時…初めて出会った時、私はこの衣を纏い怪我をしていた。破れた衣から染み出た血を間違いなくシュウトは見ているはずだ。
でも今、私が纏っているこの衣には血の染みも、袖口を繕った跡も見当たらない。そう、まるで今仕立てたばかりの衣のように、染み一つない状態だった。
言葉を失うシュウトに、私は真っすぐシュウトを見つめて口を開いた。
「この衣には、風神さんが宿っているの。だから私は、家の繁栄のために風神さんと、結婚………ううん、生贄になるはずだったんだ」
バカバカしい話だよね、本当。そう私は吐き捨てるように呟いた。
でも、改めてこの衣を見ると、それはとても美しい衣だった。
薄紅色の衣にさらに薄い紅色の桜の刺繍が施されており、袖口と裾には金色と紅色の糸で緩やかな螺旋模様が刺繍されている。左右の胸元にも、金と紅色の細い糸で編まれた飾紐が縫い付けられている。
まるで今日のような黄昏の桜。絢桜爛花──。
その時、風神さんが答えるかのように強い風が二人の間を通り過ぎた。
私の髪と、薄紅色の衣がふわりと舞う。風に舞った髪を押さえた瞬間、私はシュウトに抱きしめられていた。それはまるで、風神さんから私を奪うように荒々しいものだった。そして、少し間をおいて気付いた───
シュウトは、私をつかまえてくれたのだ。
日本でも、この世界でも中途半端な存在だった私が、ここにいると実感できたのは、シュウトの腕の中だった。とても不思議な気持ちだ。ちょっと前まで苦手とか大嫌いなんて言ってたのに。
シュウトの暖かい腕の中で、心の底にしまってあった箱の蓋が開く。聞いてほしい、伝えたいという想いがあふれてくる。
「シュウト、聞いてくれる?私のこと」
是とシュウトは更に私を強く抱きしめてくれた後、頷いてくれた。
そうして私はシュウトの腕の中で、話し出す。
────これから話すのは、過去の私の話、そして神結家の禍々しい歴史。
そして夕暮れと共に門の前に移動して、そわそわとシュウトの帰りを待つ。
けれど、シュウトの帰りを待ちながらも考えてしまう。門で待ち構えているのは、いかにもって感じでシュウトもちょっと重いかななどと。そんな弱気になった頃、シュウトとカザハの姿が遠くから見えた。
こちらに近づいたカザハとシュウトを見て、私は息をのむ。シュウトは、別人のような格好をしていた。
今日のシュウトの服装は、日本で言うところの直垂姿で、髪もきちんと結い上げている。この世界では、男性でも髪を纏めるときには鮮やかな髪紐だったり、簪みたいな宝飾をつけるらしい。昨日の夜の雰囲気とは違うけど、今日のシュウトも大人っぽい。───シュウトは色んな顔を持っている。
シュウトは門前で待ち構えていた私に気づいて軽く手を上げ、ふわりと笑ってくれた。そして、門までくると、カザハから降りて私と向かい合う。
「おかえりなさい」
「ああ、今、帰った」
さてお迎えは終わった。後は、昨日の約束のことをどう切り出そうかと悩んでいたら、先にシュウトが口を開いてくれた。
「着替えたら、すぐに、瑠璃の部屋に行く」
「はい、では待ってます」
軽く手を振って私はシュウトに背を向け走り出した。既に心臓はバクバクしている。シュウトと話をする前に、私は深呼吸が100回ほど必要だ。
部屋で待つのも落ち着かなくて、庭に出て何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返す。でも、心臓のバクバクは止まらない。どうしよう、話をする前に、私は死ぬかもしれない。
「待たせてしまったか?」
背後から声を掛けられて、思わずビクッとなる。慌てて振り向くと、そこにはいつものシュウトがいた。なぜだかわからないけれど先までうるさかった心臓が、急に静かになった。
「大丈夫です。全然、待っていません」
そう言って笑ってみたけど、シュウトの顔は浮かない。それは多分、私が今迄で一番不安そうで、とても痛々しく見えるからなのだろうか。それでも、私は笑みを続けて、口を開く。
「シュウト……あの、約束してほしいことがあるんです……これから話すことに絶対に、どうして?って、聞かないでくれますか?」
「どっ……」
シュウトは、危うく『どうして?』と聞きそうになって、慌てて口を噤んだ。そのしぐさに私は困ったように笑ってしまう。
「あの……実は『どうして?』って聞かれても、私にもわからないことが多すぎるんです。だから、何か疑問に思っても、そういうものかと受け止めるか聞き流してください」
シュウトは数拍ほど考えて、私に向かってゆっくりと頷いた。ほっと肩の力が抜ける。良かった、これで話しやすくなった。
「では話が長くなるから、座りましょう」
私はシュウトの手を引いて、自室の縁側に並んで腰掛けた。
庭の桜はすぐ横にある池に反射して、とても幻想的な空間。しばらく私達は無言のまま舞い散る桜を眺めていた。
少し動けば肩が触れ合う距離で、私は縁側に腰を掛けて足をぶらぶらして、シュウトは長い足を組んでいる。
シュウトは決して急かすこともしなければ、別の話題を振ろうともしない。じっと私が口を開くのを穏やかな表情で待っていてくれる。
心を落ち着かせて、それから大きく息を吸って吐いて、私は口を開いた。明るく軽く、なんでもないという風な口調を心がけて。
「シュウト、もうナギさんから聞いてると思うけど私、結婚するのが嫌で家をを飛び出してきちゃったんです」
最初、どう切り出そうか悩んだけど、そのままを言ってみた。
しかしシュウトは知っているはずなのに、ギョッとした驚愕の表情を見せた。やはりこの時代でも、それは驚くことなのだと、ぼんやり考えてたらシュウトはひどく辛そうに私に問うてきた。
「…………どんな奴か、聞いてもいいか?」
ああ、やはり気になるのか。私は、一応結婚相手だった風神さんのことを思い出す。思い出した途端、ちょっとイラッとしたけれど、そこは顔に出さず風神さんのことをそのまま伝える。
「変な人でしたね。何というか常にヘラヘラ笑ってて、掴み所がなくて…………あっ、でも優しい人だったのかもしれませ───」
「瑠璃は、そいつが好きだったのか?」
私の言葉を遮って、シュウトは私に問う。シュウトには申し訳ないけど、私はその瞬間、思いっきり吹いてしまった。
途端にむっとしたシュウトに、私は心の中で謝った。でも風神さんとの結婚は、絶対にありえないこと。彼は、私にとって共犯者に過ぎない。
「そんなわけないです、絶対にないです。彼との結婚はありえません。ただ、とても粘着質な性格なのか心配性なのかわからないけれど、まだ私を四六時中監視してるんです」
その言葉を聞いた途端、シュウトの眉がピクリと跳ねた。きっとシュウトは私の結婚相手がタチの悪いストーカーとでも勘違いしているのだろう。
確かに自分が風神さんがストーカーと思わせるよう伝えた自負はある。でも、彼を人として表現するなら、今の表現が一番相応しいとも思ってしまう。
ただ風神さんが、ここについて来てしまったのは多分私のせい。それも踏まえて、まずは私の結婚相手であった風神さんのことから話そう。
「今も私達のすぐそばで、話を聞いていると思います。…………きっと」
私のその言葉に、シュウトの表情は一変した。その表情は、昨日のナギと一緒に帰ってきたばっかりの時に見せたものに似ていた。いや、それよりも怖い顔だ。
私はその顔を直視する勇気がなく、視線から逃げるようにくるりと身体を捻り部屋を指をさした。シュウトは私の指差した方向を眼で追った。が、しかし、理解できないのだろう、訝しげに眉を寄せた。
確かにそうだ。シュウトには一生かかっても、わからないだろう。だから、ちゃんと私が言わないといけない。
「私が、着ていた衣が……あれこそ、私の結婚相手よ」
「こっ、衣が結婚相手だと?」
余計に意味が分からないと首を捻るシュウトに、私は苦笑いを残して、部屋へと上がった。そして、衣装箱から取り出した衣を、ふわりと自分に纏い、シュウトと向かい合った。
一拍後、シュウトの顔が強張る。
「これは……」
まるで物の怪か、化け物か───。シュウトが呑み込んだ言葉は、おそらくこうだったのだろう。そう口に出して良いのに。それが正解なのだから。
でも、シュウトが言葉を無くすのも無理はない。なぜなら、あの時…初めて出会った時、私はこの衣を纏い怪我をしていた。破れた衣から染み出た血を間違いなくシュウトは見ているはずだ。
でも今、私が纏っているこの衣には血の染みも、袖口を繕った跡も見当たらない。そう、まるで今仕立てたばかりの衣のように、染み一つない状態だった。
言葉を失うシュウトに、私は真っすぐシュウトを見つめて口を開いた。
「この衣には、風神さんが宿っているの。だから私は、家の繁栄のために風神さんと、結婚………ううん、生贄になるはずだったんだ」
バカバカしい話だよね、本当。そう私は吐き捨てるように呟いた。
でも、改めてこの衣を見ると、それはとても美しい衣だった。
薄紅色の衣にさらに薄い紅色の桜の刺繍が施されており、袖口と裾には金色と紅色の糸で緩やかな螺旋模様が刺繍されている。左右の胸元にも、金と紅色の細い糸で編まれた飾紐が縫い付けられている。
まるで今日のような黄昏の桜。絢桜爛花──。
その時、風神さんが答えるかのように強い風が二人の間を通り過ぎた。
私の髪と、薄紅色の衣がふわりと舞う。風に舞った髪を押さえた瞬間、私はシュウトに抱きしめられていた。それはまるで、風神さんから私を奪うように荒々しいものだった。そして、少し間をおいて気付いた───
シュウトは、私をつかまえてくれたのだ。
日本でも、この世界でも中途半端な存在だった私が、ここにいると実感できたのは、シュウトの腕の中だった。とても不思議な気持ちだ。ちょっと前まで苦手とか大嫌いなんて言ってたのに。
シュウトの暖かい腕の中で、心の底にしまってあった箱の蓋が開く。聞いてほしい、伝えたいという想いがあふれてくる。
「シュウト、聞いてくれる?私のこと」
是とシュウトは更に私を強く抱きしめてくれた後、頷いてくれた。
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