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コレ星人
しおりを挟む地球から遠く離れた銀河の片隅に、「コレ星」という小さな惑星があった。
そこに住む「コレ星人」は、見た目は可愛らしい。身長30センチ、ふわふわの毛玉のような体、真ん丸のキラキラした目。言葉はただ一つ――「コレ!」。
喜びも、驚きも、怒りも、すべて「コレ!」で表現する。人間が見たら、誰もが「可愛い!」と抱きしめたくなる存在だ。
しかし、それは表の顔にすぎなかった。
コレ星人の本当の目的は――世界征服。
彼らの文明は、地球の科学をはるかに超えていた。かわいらしさは、完璧に計算された「武器」だった。どんな生物も、コレ星人を見た瞬間、警戒心を解いてしまう。抵抗する前に、心を奪われる。
主人公のコレ星人は、コードネーム「ピコ」。コレ星侵略軍の先遣隊長だ。
ピコの任務は、地球の「弱点」を探り、侵略の足がかりを作ること。
ある夜、ドーナツ型の小型宇宙船で、ピコは東京の公園に着陸した。
「コレ!」
まずは偵察。自動販売機の光を見て、興味を示すふりをする。
コーラが出てきて、わざと鼻から泡を出して転げ回る。
「コレコレコレ!」
近くにいた子供たちが寄ってきた。
「わあ、かわいい! 何これ!」
ピコは計算通り。子供たちの頭をなでなでし、光るボールを見せて喜ばせる。
「コレ!」
子供たちは大興奮。ピコを抱っこし、写真を撮り、SNSにアップした。
瞬く間に、ピコの画像が世界中に広がった。
「謎の可愛い宇宙人!」「癒される!」「もっと見たい!」
これが、ピコの作戦の第一段階。
**「かわいさ」による精神侵略**。
人間たちは、次々とピコのグッズを欲しがり始めた。ぬいぐるみ、Tシャツ、スマホケース。ピコの「コレ!」という声が、着信音として世界中に響く。
ピコは公園で、毎日子供たちと遊ぶふりを続けた。
実際は、地球人の心理データを収集中だった。
・人間は可愛いものに弱い
・子供を通じて大人が動く
・SNSで情報は爆発的に広がる
・「癒し」を求めている
すべて、コレ星の侵略計画にぴったりだった。
MAC(怪獣防衛隊)のレーダーにピコの船が引っかかった。
隊員たちが公園に急行。
「未知の宇宙人だ! 捕獲せよ!」
子供たちがピコを守ろうとする。
「待って! 悪い宇宙人じゃないよ!」
ピコはわざと逃げた。街中を追いかけっこ。
屋上で追い詰められたピコは、宇宙船を呼び出した。
隊員たちが銃を構える。
その瞬間、ピコは本当の声を――テレパシーで――送った。
「コレ……」
世界中のスマホに、同時にピコの画像と声が流れた。
人類の90%が、ピコの「コレ!」を聞いた瞬間、心が溶けた。
「かわいそう……」「守ってあげたい……」「撃つなんてひどい!」
世界中でデモが起きた。「ピコを傷つけるな!」という声が、SNSを埋め尽くした。
MACの隊長は、銃を下ろさざるを得なかった。
ピコは宇宙船に乗り、子供たちに手を振った。
「コレ!」
子供たちは泣きながら叫んだ。
「また来てね!」
ピコは微笑んだ(ように見えた)。
母星への報告は、こうだった。
「地球人の精神支配、成功率99.8%。
可愛さ兵器の効果、予想以上。
次の段階――本隊派遣準備完了。
人類は、自ら我々を迎え入れるでしょう。」
それから数ヶ月後。
世界中の家庭に、ピコのぬいぐるみが置かれた。
夜中、ぬいぐるみの目が、かすかに光る。
「コレ……」
人々は気づかない。
もう、心はコレ星人に支配されていることに。
やがて、本隊が来る日。
人類は、笑顔で迎え入れる。
「コレ!」
――世界征服は、こんなに静かに、かわいく、完了した。
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