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101話 言語学科と新入生
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また、この世界に春がやってきた。
本日は新入生の入学式なのでお休み、と言いたいところなのだが……。
「シュン、生徒会の人数が足りないからさ、手伝ってくれないか?」
という生徒会の一員であるセイヨウに頼まれてしまい、断ることができなかった。
なので、ホールがどこか分からない新入生をホールまで案内をしている。
「シュンさん、お久しぶりです」
そう話しかけてきたのは、セイさんの妹。
制服を見ると、白いスカーフに青い線が入っている。
「生徒会の役員になったんだ」
「はい!お兄様もとてもよろこんでおりました!」
つまるところお兄様というのがセイさんである。
彼女が知っているか知らないかは分からないが相当の妹好きである。
「それで、今日が初仕事なんです!頑張りますよ!」
彼女の中では、きっと兄に認められたと思ってよろこんでいるのだろう。
とはいえ、昨年の生徒会では色々なことがあったためにこちらは素直によろこべなかったりする。
「あの……、すみません、ホールはどこですか?」
新入生の子が来たので案内してあげることにした。
別にそこまで難しいルートでもないのだが、ずっと同じ場所に立ちっぱなしは案外キツいものだ。
「君も言語学科の生徒なんだね」
「あれ、どうして分かったんですか?」
「それぞれの学科ごとにネクタイやスカーフの色が違うからね、言語学科は緑色なんだ」
一年生の頃に知ったことなのだが、案外注意深く見るか誰かから聞かないと分からないらしい。
自分のネクタイの色も緑色である。
生徒会の会員ではなくただの手伝いなので深くは気にしていないが、さすが生徒会総動員となると少し違和感だ。
「ありがとうございます、おにーさん」
「じゃあ、頑張ってね」
その子はしっかりとお辞儀をするとホールの中へと入っていく。
礼儀がしっかりしている子供を見るとすがすがしくなるものだ。
確か、俺の妹も、礼儀がしっかりしていたなぁ……。
最近、僕は日本で暮らしていた頃の妹の事を思い出すことがある。
今までは確かに時々思い出すことはあっても、できる限り考えないようにしていたのだが……。
今ではそれが鮮明に僕の脳裏に焼き付いている。
_____お兄ちゃん、たす……。
「シュン、大丈夫か?休憩でもするか?」
「いや、ごめん。少し考え込んでただけだし、すぐ戻るよ」
危ない危ない。
セイヨウに話しかけられなければ自分の世界に入り込んでいっていたかもしれない。
どうしてこうなってしまったのだろうか。
ユナに告白した時の、あの無邪気な笑顔が妹にあまりにも似ていたからだろうか?
本日は新入生の入学式なのでお休み、と言いたいところなのだが……。
「シュン、生徒会の人数が足りないからさ、手伝ってくれないか?」
という生徒会の一員であるセイヨウに頼まれてしまい、断ることができなかった。
なので、ホールがどこか分からない新入生をホールまで案内をしている。
「シュンさん、お久しぶりです」
そう話しかけてきたのは、セイさんの妹。
制服を見ると、白いスカーフに青い線が入っている。
「生徒会の役員になったんだ」
「はい!お兄様もとてもよろこんでおりました!」
つまるところお兄様というのがセイさんである。
彼女が知っているか知らないかは分からないが相当の妹好きである。
「それで、今日が初仕事なんです!頑張りますよ!」
彼女の中では、きっと兄に認められたと思ってよろこんでいるのだろう。
とはいえ、昨年の生徒会では色々なことがあったためにこちらは素直によろこべなかったりする。
「あの……、すみません、ホールはどこですか?」
新入生の子が来たので案内してあげることにした。
別にそこまで難しいルートでもないのだが、ずっと同じ場所に立ちっぱなしは案外キツいものだ。
「君も言語学科の生徒なんだね」
「あれ、どうして分かったんですか?」
「それぞれの学科ごとにネクタイやスカーフの色が違うからね、言語学科は緑色なんだ」
一年生の頃に知ったことなのだが、案外注意深く見るか誰かから聞かないと分からないらしい。
自分のネクタイの色も緑色である。
生徒会の会員ではなくただの手伝いなので深くは気にしていないが、さすが生徒会総動員となると少し違和感だ。
「ありがとうございます、おにーさん」
「じゃあ、頑張ってね」
その子はしっかりとお辞儀をするとホールの中へと入っていく。
礼儀がしっかりしている子供を見るとすがすがしくなるものだ。
確か、俺の妹も、礼儀がしっかりしていたなぁ……。
最近、僕は日本で暮らしていた頃の妹の事を思い出すことがある。
今までは確かに時々思い出すことはあっても、できる限り考えないようにしていたのだが……。
今ではそれが鮮明に僕の脳裏に焼き付いている。
_____お兄ちゃん、たす……。
「シュン、大丈夫か?休憩でもするか?」
「いや、ごめん。少し考え込んでただけだし、すぐ戻るよ」
危ない危ない。
セイヨウに話しかけられなければ自分の世界に入り込んでいっていたかもしれない。
どうしてこうなってしまったのだろうか。
ユナに告白した時の、あの無邪気な笑顔が妹にあまりにも似ていたからだろうか?
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