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102話 ただいまとこれから
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新入生の入学式も終わって、家に帰る。
帰るとはいっても、僕は居候させてもらっているだけなので実家は別にあるのだが。
「ただいま」
「あ、シュンくんおかえりなさい」
そう言ってカウンターから出てきたのはユナ。
居候をしている家の一人娘であり学校の同級生でありお付き合いをしている彼女でもある。
「セイヨウくん達は元気にしてた?」
「久しぶりに会ったけど変わらず、って感じだよ。めっちゃ元気」
まあ、数日後にはユナも顔を合わせることになるのだが。
一階で談笑をしていると、二階から慌ててフルヤさんが駆け下りてきた。
「お父さん、危ないよ……」
「ノーゼス公が、今から来るぞ!」
僕もユナもそのままの状態で硬直する。
そして、理解して慌てるのもほぼ同時だった。
「いや、もう来ないとばっかり思ってましたけど、本当ですか?」
「本当だよ!しかもシュンくんとユナにも会って話がしたいと言われてな……」
今回は逃げることもさせてもらえないようだ。
そうやって話している声が割と大きかったらしい、眠そうな顔をした寝間着姿のハルカさんがやってくる。
「朝から大声出して何かあったの?」
「上流貴族のノーゼス公が来るっていうんだよ」
「そりゃまた大変なことに。それで私はどうすればいいの?」
どうすればいいとはどういうことだろうか?お茶出しでもしていただけるのか?
「いつもハルカがいない時に来てたけどそういえば何気に初めてか」
確か、ハルカさんは姫であるレイシェルの魔法の師匠だったっけか。
ということはノーゼス公が何か起こすこともハルカさんの目の前では困難かもしれない。
「どうせまたユナを嫁によこせとか言いに来るんでしょ?ユナもそろそろ神聖魔法を覚えても良いんじゃないかな?」
「え、けど……。魔力の出し方独特だし……」
「ユナなら大丈夫。だって、優しいし、芯のある子だもの。それに、シュンにも告白されたんでしょ?」
ユナの顔が赤く染まる。
だが、少しして「うん……」と頷くとハルカさんについていった。
気まずい雰囲気になったのは僕とフルヤさんだ。
実はフルヤさんには言い出せずにいていきなりの発表でまさに寝耳に水、といった状態だった。
「そうか。まあ、いつかはそういう日が来るとは思っていたよ」
あからさまにトーンダウンしていたのでちょっと怖い。
けれど、ここで引くわけにはいかないのだ。
「今まで黙っていてすみません。ユナさんを、僕にください!」
そう言うと、僕は頭を下げた。
「あげない、なんて言えるわけないじゃないか。でも、君はずっとユナを守り抜けるか?」
「当たり前じゃないですか。告白するって、そういうことだって分かってますから」
帰るとはいっても、僕は居候させてもらっているだけなので実家は別にあるのだが。
「ただいま」
「あ、シュンくんおかえりなさい」
そう言ってカウンターから出てきたのはユナ。
居候をしている家の一人娘であり学校の同級生でありお付き合いをしている彼女でもある。
「セイヨウくん達は元気にしてた?」
「久しぶりに会ったけど変わらず、って感じだよ。めっちゃ元気」
まあ、数日後にはユナも顔を合わせることになるのだが。
一階で談笑をしていると、二階から慌ててフルヤさんが駆け下りてきた。
「お父さん、危ないよ……」
「ノーゼス公が、今から来るぞ!」
僕もユナもそのままの状態で硬直する。
そして、理解して慌てるのもほぼ同時だった。
「いや、もう来ないとばっかり思ってましたけど、本当ですか?」
「本当だよ!しかもシュンくんとユナにも会って話がしたいと言われてな……」
今回は逃げることもさせてもらえないようだ。
そうやって話している声が割と大きかったらしい、眠そうな顔をした寝間着姿のハルカさんがやってくる。
「朝から大声出して何かあったの?」
「上流貴族のノーゼス公が来るっていうんだよ」
「そりゃまた大変なことに。それで私はどうすればいいの?」
どうすればいいとはどういうことだろうか?お茶出しでもしていただけるのか?
「いつもハルカがいない時に来てたけどそういえば何気に初めてか」
確か、ハルカさんは姫であるレイシェルの魔法の師匠だったっけか。
ということはノーゼス公が何か起こすこともハルカさんの目の前では困難かもしれない。
「どうせまたユナを嫁によこせとか言いに来るんでしょ?ユナもそろそろ神聖魔法を覚えても良いんじゃないかな?」
「え、けど……。魔力の出し方独特だし……」
「ユナなら大丈夫。だって、優しいし、芯のある子だもの。それに、シュンにも告白されたんでしょ?」
ユナの顔が赤く染まる。
だが、少しして「うん……」と頷くとハルカさんについていった。
気まずい雰囲気になったのは僕とフルヤさんだ。
実はフルヤさんには言い出せずにいていきなりの発表でまさに寝耳に水、といった状態だった。
「そうか。まあ、いつかはそういう日が来るとは思っていたよ」
あからさまにトーンダウンしていたのでちょっと怖い。
けれど、ここで引くわけにはいかないのだ。
「今まで黙っていてすみません。ユナさんを、僕にください!」
そう言うと、僕は頭を下げた。
「あげない、なんて言えるわけないじゃないか。でも、君はずっとユナを守り抜けるか?」
「当たり前じゃないですか。告白するって、そういうことだって分かってますから」
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