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107話 謎の組織、貴族会

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 木々の緑は一層濃さを増し、太陽の光もじりじりとこちらを焼いてこようとする。
 春は過ぎ、夏の一歩手前と言ったところだろうか。

 生徒会打倒を掲げて創設された貴族会は今も水面下で活動を続けていた。
 目立った行動はしていないため手が出せないのだが、はよく聞くようになった。

「怪しいのが……商業学科裏の旧産業学科の校舎?馴染みがないな」

 とりあえず活動拠点でもあぶり出そうかということで候補として上がったうちの一つ。
 商業学科は割と下流貴族が多く、なおかつ旧産業学科校舎は今は使われていない。

 見た感じでは誰かが中にいそうな感じはしないのだが……。
 とりあえず、外周を見て判断してみる。

 どうやらかなりの年季が入っている建物らしく、軽くツタが伸びていたり壁にひび割れが起きているような感じで経年
劣化が起こっているようだった。
 また、構造が他の校舎とは違い、講義室のような教室に机が備えられている感じではなく、本当に教室机と椅子のような一組づつ持ち運べるタイプの机である。

 もう少し調べようかとも思ったのだが、後ろから話し声が聞こえてくる。

「でも、会長って凄い方ですよね。これならこの学校も私達下流貴族が実権支配できる!」

「まあ、夢は大きく、堅実にな。まあ、会長ならしっかりとやっていってくれると思うが」

 二人の男性が話しながら校舎の中に入っていく。
 ネクタイの色を確認したが、あまりはっきりと見ることができなかった。

「それにしても、会長って誰なんだろうか……?」

 そもそも、会長が存在すること自体初耳である。
 それに、そこまでの知能と実力を身に着けた人間であれば隠しておくのは難しいはずだが……?

「とりあえず報告はしておいたほうがいいかな」

 彼は、脇目も振らずきたみちを戻っていく。
 まさか、その時に自分が「会長」の隣を走っているとも知らずに……。

ーーーーーーーーーー

 シュンはパタンと本を閉じた。
 生徒会室に誰かが来たようである。

 トントン、と扉がなって入ってきたのはナルヴァだった。

「先輩!旧産業学科に行ってきたのですが……」

「とりあえず落ち着いて。ドアのノックは三回だよ」

 まさかこんなところで母親の交際相手あいつスパルタ教育家庭内暴力が役に立つとは思わなかった。
_____役に立ってほしくはなかったが。
 とりあえず、ナルヴァは頼もしいがまだまだ未熟、といった感じでまだ役員としては半人前だ。

 とはいえ、言ったことはしっかりと実行してくるし、一度間違えたことを繰り返すようなことはしない。

「すみません。それで、貴族会の件なのですが……」

 どうやらヤマが当たったらしい。

 会長とやらは調査しておくのが良いだろうけど、それ以外は下手に触れないほうが良さそうである。
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