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121話 慕われるもの
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ナルヴァの父親は上流貴族だった。
そして、彼の父親は僕の父親の弟だったのだ。
ナルヴァは僕のいとこということになる。
それは同時に、もし僕が上流貴族の座を継がなかったとしても他に継げる人がいるということだった。
「シュン、そろそろ式が始まりそうだ。僕は先に席についているよ」
サレスティは、そうとだけ言うと、僕らのもとを離れていく。
ナルヴァも自分の席に戻ろうとするが、シュンはそれを引き止めた。
「もしも、君が上流貴族になれると言ったら、君はどうしたい?」
ナルヴァはキョトンとこちらを見る。
その後、こう答えた。
「きっと、僕は上流貴族になると思います。だって、上流貴族として巡れる世界はあるはずですから」
シュンは、兄の結婚式を見ていた。
それぞれが夫婦としての誓いをし、キスをする。指輪の交換をして、トリオスとレイシェルは手をつないだ。
「アルフェ、偉大なる建国の父に、私トリオスはレイシェル姫の婿になることを誓います」
トリオスがそう言うと、レイシェル姫は続けるようにこう言った。
「王位を紡ぐ」
彼らに特別何かが起こったのかといえば、何かが起こったようには見えない。
だが、トリオスの貴族のカードは変化を起こしていた。
今まで刻まれていた赤色の龍は二本の剣が交差するような印に変わっている。
カード自体も白色に変わっていて、刻まれた印の色は赤色だった。
これが王位を継ぐ儀式であり、上流貴族第一位つまり王族に伝わる魔法なのだ。
「王族に相応しい魔法、か」
思わず呟いてしまう。
僕が無属性魔法の中で最も聞けることのないはずの魔法が目の前で起こっているのだった。
「兄様、お疲れさまでした」
「シュン、わざわざありがとうな。式も無事に終わってよかったよ」
レイシェルと結ばれた兄は凛々しい顔立ちをしていた。
王族を継ぐという決意が、それだけで見てとれるような感じがした。
「ところでなんだけど、これからこの事を紅玉龍の遺跡に行って伝えるんだけど、シュンも来るか?」
紅玉龍の遺跡。
それは、僕たちの先祖にあたると言われているミトラス神と深く繋がりのある場所だった。
行くのであればこれ以上の好機はないかもしれない。
「僕も行きたい」
僕がそう言うと、トリオスは「了解」と言ってついてくるように促した。
ついていった先には二台の馬車が用意してあり、それぞれ上流貴族第一位と第二位の紋章が描かれている。
馬車の操縦の方に促されるようにして馬車に入ると、そこには父親がいたのだ。
そして、彼の父親は僕の父親の弟だったのだ。
ナルヴァは僕のいとこということになる。
それは同時に、もし僕が上流貴族の座を継がなかったとしても他に継げる人がいるということだった。
「シュン、そろそろ式が始まりそうだ。僕は先に席についているよ」
サレスティは、そうとだけ言うと、僕らのもとを離れていく。
ナルヴァも自分の席に戻ろうとするが、シュンはそれを引き止めた。
「もしも、君が上流貴族になれると言ったら、君はどうしたい?」
ナルヴァはキョトンとこちらを見る。
その後、こう答えた。
「きっと、僕は上流貴族になると思います。だって、上流貴族として巡れる世界はあるはずですから」
シュンは、兄の結婚式を見ていた。
それぞれが夫婦としての誓いをし、キスをする。指輪の交換をして、トリオスとレイシェルは手をつないだ。
「アルフェ、偉大なる建国の父に、私トリオスはレイシェル姫の婿になることを誓います」
トリオスがそう言うと、レイシェル姫は続けるようにこう言った。
「王位を紡ぐ」
彼らに特別何かが起こったのかといえば、何かが起こったようには見えない。
だが、トリオスの貴族のカードは変化を起こしていた。
今まで刻まれていた赤色の龍は二本の剣が交差するような印に変わっている。
カード自体も白色に変わっていて、刻まれた印の色は赤色だった。
これが王位を継ぐ儀式であり、上流貴族第一位つまり王族に伝わる魔法なのだ。
「王族に相応しい魔法、か」
思わず呟いてしまう。
僕が無属性魔法の中で最も聞けることのないはずの魔法が目の前で起こっているのだった。
「兄様、お疲れさまでした」
「シュン、わざわざありがとうな。式も無事に終わってよかったよ」
レイシェルと結ばれた兄は凛々しい顔立ちをしていた。
王族を継ぐという決意が、それだけで見てとれるような感じがした。
「ところでなんだけど、これからこの事を紅玉龍の遺跡に行って伝えるんだけど、シュンも来るか?」
紅玉龍の遺跡。
それは、僕たちの先祖にあたると言われているミトラス神と深く繋がりのある場所だった。
行くのであればこれ以上の好機はないかもしれない。
「僕も行きたい」
僕がそう言うと、トリオスは「了解」と言ってついてくるように促した。
ついていった先には二台の馬車が用意してあり、それぞれ上流貴族第一位と第二位の紋章が描かれている。
馬車の操縦の方に促されるようにして馬車に入ると、そこには父親がいたのだ。
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