上 下
132 / 137

131話 セシルとハルカ

しおりを挟む
 セシルが放った八体の不死鳥はそれぞれ定位置に飛んで行ったようだった。
 貴族街のの地図を用意して、そこにハルカさんが検知した魔力を書き記していくようだった。

「不死鳥たちはこの貴族街の中心から八方向に飛行し、貴族街をくまなく探せるようこの場所に配置しました」

 セシルは不死鳥がいるところに点を打っていく。
 貴族街がほぼ円形なのもあって漏れはなさそうだ。

「それでは、魔力の検知を試みてみましょう。地図と示し合わせば大体の位置がわかると思うわ」

 ハルカはそう言って魔力の検知を始めた。
 目をつぶって、魔力を感じ取ることだけに集中をしている。

「見慣れない魔力がある、ここ?でも、おかしいわ。これは神聖魔法とは似ているが違う。ドロドロとした悪のような感じの……」

 ハルカはハッと目を見開いて地図に書き記していく。

「ユナやシェイドではないわ。だけど、強い魔力を感じる。おそらく、星魔法よ」

 貴族街の入り口にほど近い場所、貴族門付近に星魔法の気配を感じているようだ。

「貴族門はここからは少し遠いぞ、どうやって行くか?」

 セイヨウが言うが、その疑問はサレスティによって簡単に解消された。

「おそらく、この場所ならWarpワープを使えば行けると思いますよ」

 この中に「Warpワープ」魔法を使えるのはシュンとサレスティの二人しかいない。
 それに、相手がシェイドでないのであれば、シュンを向かわせないほうがいいだろう。

「ここは僕が行きます。とはいえ、一対一で勝てる保証はないので、誰かが着いてきていただけると……」

「サレス、珍しく弱気じゃないか?」

 シュンが言う。
 今までだったら「これも強くなるため」と一人で行ってしまっていただろう。

「いいえ。僕は一度シェイドに接触しています。その時に彼から言われたのは”仲間になるか、さもなくば死ぬか”でした。ヤツは、本気です」

 サレスティの目は相変わらず僕を見据えている。
 正々堂々とか綺麗事は言っていられない、これは争いなのだから。

 話し合い、結果サレスティとセイヨウが組となって星魔法使いに挑むことになった。
 その際、彼らはレイシェルにこう言われる。

「危なくなったら逃げること、あとは、このカードからの連絡には従って」

 レイシェルは五つの貴族のカードを使って互いの情報を整理し発信する任務を引き受けていた。
 過保護の親のようにも見えるが、重要な役割であることは言うまでもないのだ。


「とりあえず、八か所全部の探知をしてみたが神聖魔法が見当たらない」

 ハルカがそう言ったのはサレスティたちが向かった後だった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ある日突然異世界へ(本編完結.番外編展開中)

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,537

得物屋純喫茶 「リユミヌー珈琲」へようこそ —極楽堂鉱石薬店外譚—

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:198pt お気に入り:1

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:3,255

宮花物語

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:32

悪の組織の一番の嫌われ者のパートだ

青春 / 連載中 24h.ポイント:482pt お気に入り:17

傷鴉より与えられし異能力〜スカーカラスからスカっスか〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:34

処理中です...