137 / 137
136話 通るべき道
しおりを挟む
「ユナは地下にいる!」
シュンが覚えていないはずがない、彼女の魔力は。
確かに、その魔力は下から流れてきたものだった。
「地下か?地下に行ける道は見つけたか?」
でも、それを辿っていけば母の横をすり抜けなければならない。
地下はさらに奥に続いていそうだ。
「兄さん……」
「そうだな、母親に手を出すのはどうかとも思ったが、あれはもう母親なんかじゃない」
その瞬間に兄が出した龍は滑らかな動きで母親に突撃し、飲み込もうとする。
だが、途中でピタリと動きが止まり、逆に僕たちの方を向いた。
「トリオス、確かに立派な人になったわ。でも、私から見ればまだまだ未熟なのよ」
トリオスが出したはずの龍はトリオスの命令を聞かずに尾でトリオスを攻撃する。
何が起こったのか、それはとても単純なことだった。
「この龍だって生物なんでしょう?なら、操ることだってできるはずよね?」
まさか、生物を操る無属性魔法は確かにある。
ただ、それが使えるのは上流貴族の第五位……、シェイドの家系でなければならない。
シェイドと母親は、いや上流貴族第五位のほとんどが……?
「私の目的は、第二位の上流貴族を歴史から絶つことよ。トリオスが姫の婿になりその子は王族となる。それで第二位の上流貴族は空席になる」
そのためにはその空席に座れる人間は排除しておく必要があった、父親の弟も、そしてシュンも。
「でも、わざわざトリオスを残しておく必要もなかったかしらね?」
龍の尾で弾き飛ばされたトリオスは片膝をついて立ち上がろうとする。
だが、さらに龍の尾はトリオスに攻撃を仕掛けてきた。
「Guard!」
トリオスの目の前に結界を張る。
間一髪で龍の尾はトリオスに当たらなかったが、なんだこの攻撃は!?
「駄目だ、結界はもって数秒か?強すぎるぞ!」
トリオスは逃げきっていたが結界が破壊され、龍は再びこちらに狙いを定めた。
「シュン、あの龍の攻撃をまともに喰らえばすぐやられる。さっきは当たり所が良かったよ」
とはいうトリオスも血を床にはいた。
あの龍に効く魔法は?操られている状態を解除するのは?龍を元の場所に戻すことは?
「尾で攻撃している限り弱点はない。さっきは飲み込もうとしたせいで弱点である口の中から操られてしまった」
どうやら外からの攻撃は完全無効化するらしい。
「どうすればあいつの口を開かせられる?」
「見込みは少ない、だが母親自身を攻撃すればチャンスはあるはずだ」
ならば、早いうちに攻撃をしておく必要がありそうだ。
「Warp:Qi」
シュンが覚えていないはずがない、彼女の魔力は。
確かに、その魔力は下から流れてきたものだった。
「地下か?地下に行ける道は見つけたか?」
でも、それを辿っていけば母の横をすり抜けなければならない。
地下はさらに奥に続いていそうだ。
「兄さん……」
「そうだな、母親に手を出すのはどうかとも思ったが、あれはもう母親なんかじゃない」
その瞬間に兄が出した龍は滑らかな動きで母親に突撃し、飲み込もうとする。
だが、途中でピタリと動きが止まり、逆に僕たちの方を向いた。
「トリオス、確かに立派な人になったわ。でも、私から見ればまだまだ未熟なのよ」
トリオスが出したはずの龍はトリオスの命令を聞かずに尾でトリオスを攻撃する。
何が起こったのか、それはとても単純なことだった。
「この龍だって生物なんでしょう?なら、操ることだってできるはずよね?」
まさか、生物を操る無属性魔法は確かにある。
ただ、それが使えるのは上流貴族の第五位……、シェイドの家系でなければならない。
シェイドと母親は、いや上流貴族第五位のほとんどが……?
「私の目的は、第二位の上流貴族を歴史から絶つことよ。トリオスが姫の婿になりその子は王族となる。それで第二位の上流貴族は空席になる」
そのためにはその空席に座れる人間は排除しておく必要があった、父親の弟も、そしてシュンも。
「でも、わざわざトリオスを残しておく必要もなかったかしらね?」
龍の尾で弾き飛ばされたトリオスは片膝をついて立ち上がろうとする。
だが、さらに龍の尾はトリオスに攻撃を仕掛けてきた。
「Guard!」
トリオスの目の前に結界を張る。
間一髪で龍の尾はトリオスに当たらなかったが、なんだこの攻撃は!?
「駄目だ、結界はもって数秒か?強すぎるぞ!」
トリオスは逃げきっていたが結界が破壊され、龍は再びこちらに狙いを定めた。
「シュン、あの龍の攻撃をまともに喰らえばすぐやられる。さっきは当たり所が良かったよ」
とはいうトリオスも血を床にはいた。
あの龍に効く魔法は?操られている状態を解除するのは?龍を元の場所に戻すことは?
「尾で攻撃している限り弱点はない。さっきは飲み込もうとしたせいで弱点である口の中から操られてしまった」
どうやら外からの攻撃は完全無効化するらしい。
「どうすればあいつの口を開かせられる?」
「見込みは少ない、だが母親自身を攻撃すればチャンスはあるはずだ」
ならば、早いうちに攻撃をしておく必要がありそうだ。
「Warp:Qi」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
107話、定年劣化ってあるけど、経年劣化ですよ