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136話 通るべき道

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「ユナは地下にいる!」

 シュンが覚えていないはずがない、彼女の魔力は。
 確かに、その魔力は下から流れてきたものだった。

「地下か?地下に行ける道は見つけたか?」

 でも、それを辿っていけば母の横をすり抜けなければならない。
 地下はさらに奥に続いていそうだ。

「兄さん……」

「そうだな、母親に手を出すのはどうかとも思ったが、あれはもう母親なんかじゃない」

 その瞬間に兄が出した龍は滑らかな動きで母親に突撃し、飲み込もうとする。
 だが、途中でピタリと動きが止まり、逆に僕たちの方を向いた。

「トリオス、確かに立派な人になったわ。でも、私から見ればまだまだ未熟なのよ」

 トリオスが出したはずの龍はトリオスの命令を聞かずに尾でトリオスを攻撃する。
 何が起こったのか、それはとても単純なことだった。

「この龍だって生物なんでしょう?なら、操ることだってできるはずよね?」

 まさか、生物を操る無属性魔法は確かにある。
 ただ、それが使えるのは上流貴族の第五位……、シェイドの家系でなければならない。

 シェイドと母親は、いや上流貴族第五位のほとんどが……?

「私の目的は、第二位の上流貴族を歴史から絶つことよ。トリオスが姫の婿になりその子は王族となる。それで第二位の上流貴族は空席になる」

 そのためにはその空席に座れる人間は排除しておく必要があった、父親の弟も、そしてシュンも。

「でも、わざわざトリオスを残しておく必要もなかったかしらね?」

 龍の尾で弾き飛ばされたトリオスは片膝をついて立ち上がろうとする。
 だが、さらに龍の尾はトリオスに攻撃を仕掛けてきた。

Guardガード!」

 トリオスの目の前に結界を張る。
 間一髪で龍の尾はトリオスに当たらなかったが、なんだこの攻撃は!?

「駄目だ、結界はもって数秒か?強すぎるぞ!」

 トリオスは逃げきっていたが結界が破壊され、龍は再びこちらに狙いを定めた。

「シュン、あの龍の攻撃をまともに喰らえばすぐやられる。さっきは当たり所が良かったよ」

 とはいうトリオスも血を床にはいた。
 あの龍に効く魔法は?操られている状態を解除するのは?龍を元の場所に戻すことは?

「尾で攻撃している限り弱点はない。さっきは飲み込もうとしたせいで弱点である口の中から操られてしまった」

 どうやら外からの攻撃は完全無効化するらしい。

「どうすればあいつの口を開かせられる?」

「見込みは少ない、だが母親あいつ自身を攻撃すればチャンスはあるはずだ」

 ならば、早いうちに攻撃をしておく必要がありそうだ。

Warp:Qiクイック・ワープ
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みんなの感想(1件)

よりより
2019.11.26 よりより

107話、定年劣化ってあるけど、経年劣化ですよ

解除
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