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第一章
第六話 月下の約束
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外気はひやりと澄み、夜の静けさを際立たせていた。
アリシアとトリスタンが向かったのは、孤児院の裏手にある小高い丘。
夜空を遮るものはなく、王都の灯が遠くにきらめいて見える。
私は繁みの影に身を潜めながら、月下に立つ二人を見つめていた――。
*
丘の上。
月明かりに照らされて、二人は並んで立っている。
遠くに王都の灯が瞬き、夜風が草を揺らす。
しばしの沈黙のあと、トリスタンが口を開いた。
「……侯爵領での舞踏会以来ですね」
姉は驚いたように瞬きをして、やがて微笑む。
「ええ、本当に……お久しぶりですわ」
「……あの時は、すみませんでした。足をもつれさせてしまい」
「いいえ。……最後まで堂々と踊られて、素敵でしたわ」
淡い光に照らされた姉の横顔は、まるで月そのもののように清らかだった。
トリスタンは短く息を吐き、照れ隠しのように笑う。
「今なら……もう少しは踊れると思います」
「まあ……」
月光の中で、その頬がわずかに色づいて見えた。
けれど、次の瞬間、姉は俯いて続きの言葉を詰まらせた。
沈黙が落ちる。
ただ夜風だけが、さざ波のように草原をなでていく。
「すみません、思い出させてしまい……」
姉の様子に気付いたトリスタンは背筋を伸ばして、頭を下げる。
トリスタンの拳が、腰元でぎゅっと握られていた。
「……いいのです。辛いのはわたくしだけではありませんの……」
俯いたままの姉の指先が震えているのに気付いた。
そのとき、私の胸にも懐かしい思い出が去来し、思わず胸元に手を添えた。
あのとき、屋敷の庭に響いていた笑い声が、胸の奥でよみがえる。
花が咲き乱れ、緑あふれる屋敷。
父母や兄、使用人や騎士、そしてその子供たちの笑顔。
あの中にトリスタンもいたのだろうか。
そして――その輪の中心で宙に舞う光の花びらを纏った姉が、微笑んで私を手招きする。
あの頃は当たり前に続くと思っていた。
けれど、もう決して戻らない過去。
胸の奥がきゅうっと縮み、息をするのも痛い。
そして――
夜風の音に包まれた静寂の中、二人は同時に口を開いた。
「あの――」
声が重なり、二人とも言葉を飲み込む。
互いに俯き、頬を染め、月明かりに照らされて黙り込む。
胸の奥が再びちくりと痛む。
けれど、二人から目を逸らせなかった。
*
「……あと三年」
唐突にトリスタンの言葉が落ちた。
姉はきょとんと瞬きをする。
「……?」
「あと三年待ってください。
私は勇者の祝福を受け、魔王を討ち――
大恩ある御父上のためにも――何より、あなたのために侯爵領を取り戻します。
それに、その頃には、あなたも十六になる――」
トリスタンはそこで言葉を切り、一瞬口を結んだ。
そして姉の瞳を真っ直ぐに見据える。
「必ずお迎えに上がります」
「……!」
その言葉に、姉の瞳が大きく揺れた。
アリシアはふと懐から、一本の簡素な紐のようなものを取り出した。
「……これを」
差し出されたのは、白と銀の糸で編まれた簡素な組紐――
飾り気はない。けれど一目で、心を込めて結ばれたものだとわかる。
夜な夜な針仕事をしていた姉の姿を、私は思い出した。
子供たちのための小物に混じって、確かに姉はずっとこれを編んでいた。
「あなたが戻られると伺って……」
姉はその組紐を、そっとトリスタンの手を取り、手首に巻いた。
トリスタンは腕輪となった組紐を月光に透かすと、姉に向き直り静かに微笑む。
「アリシア様――一生大切にします」
しばし見つめ合う二人。
二人の距離がゆっくりと近づくと、私の心臓はもう破裂しそうだった。
鼓動が二人に聞こえてしまうのではないかと、思わず口をふさいだ。
トリスタンの瞳が揺れ、その手が姉にそっとかかりそうになった瞬間――
姉はかすかに身を引き、そして――
「トリスタン様……わたくしの望みは――」
夜風に揺れる声は、けれど真っ直ぐだった。
「あなたが無事に帰ってくること、それだけです。無理は……しないでくださいね」
「……わかりました。また来年、必ず」
「ええ。お待ちしています」
姉の指先と、彼の手首の白銀の糸が重なり合い、月光に照らされてひとつの影となる。
その光景を、繁みの影から見ていた私は、心臓をぎゅっと掴まれるような思いで息を呑んだ。
それは、月下で交わされた、騎士と少女の――淡くて儚い約束だった。
***
半年ほど後のこと。
その日――
孤児院に、一通の封蝋の押された手紙が届けられた。
「……騎士団から……」
マルグリット司祭はほんの少し眉を寄せながら封を切った。
蝋を割る音、羊皮紙の匂い――
羊皮紙を広げたその声は、最初は朗々としていた。
「サン・クレール孤児院のマルグリット司祭様へ。騎士団所属、トリスタン・ヴァレンヌ卿は――」
そこで、司祭の声が途切れた。
目が大きく揺れ、唇が震える。
「……魔王軍の急襲において、勇敢に戦い……仲間を逃がすために……殿を務め……」
言葉が続かず、司祭は胸元を押さえ、手紙を取り落とした。
床に紙が散り、その中から――千切れた組紐がはらりと落ちた。
「……っ!」
姉の瞳が見開かれる。
その組紐は、彼女が夜な夜な編んでいたもの。
トリスタンに託したはずの約束の証。
震える指でそれを拾い上げた姉は、口元を押さえたまま走り出す。
外の扉を乱暴に開け放ち、庭へ、きっとあの丘へと、夜気へと駆けていく。
(……まただ。大切な人は、いつも私たちを置いて行ってしまう――)
私は一歩も動けず、その背をただ呆然と見送るしかなかった。
*
しばらくして丘へ登ると、夜空には幾千もの星が瞬いていた。
姉はあの日と同じ満天の星空の下、草の上にぽつんと腰を下ろしていた。
ただひとり、ぼんやりと空を見上げて。
(……姉さん……)
声をかけようとしても声が出なかった。
けれど、私の気配に気づいたのか、姉は振り返った。
その目尻は赤く、けれど笑みを作って手招きした。
「セレナ、こっちにおいで」
隣に並んで座ると、姉は少し間を置いて、ぽつりと呟いた。
「ねえ、あのね。……トリスタン様はお星様になったんだよ」
銀色の髪が月明かりに透け、声はかすかに震えていた。
姉は、泣き顔を隠すように、夜空へと視線を上げる。
「うん……お空から見守ってくれてるんだね」
そう答えると、姉は一瞬だけ「う……ん……」と唇を噛んだ。
そのまま堪えきれなくなったように、後ろから私をぎゅっと抱きしめる。
「わたしたちは、ずっと一緒」
思わず喉が詰まり、言葉が出ない。
「……うん」
私はかすれた声でそう返し、姉の腕を握り返した。
私を抱きしめる姉の手の中で、何かが風に揺れた。
指先に触れた組紐の繊維がざらりと引っかかり、湿った温度が伝わった。
簡素な糸を編み込んだ、千切れてしまった腕輪。
姉の手から零れる短い一片に、かすかに文字が浮かんでいた。
――《永遠の愛》。
胸がぎゅーっと締め上げられ、息が詰まった。
子供の私にはまだ、その言葉の深さを理解できなかっただろう。
けれど、前世をほんの少しだけ思い出した私には――
それが姉の心をすべて託した証であることが、わかってしまう。
(……姉さんは、こんなにも……)
そう思った瞬間、胸の奥が決壊した。
私はもう、こらえられなかった。
「……いやだぁ……っ!」
嗚咽がこぼれ、あふれた涙が頬を伝い、声にならない声で泣きじゃくる。
姉はそんな私を強く抱きしめた。姉の肩越しに伝わる浅い呼吸が、震えながらも絶えず続いていた。
涙に滲んで映る姉は声を出さず、顎を引いて黙ったまま唇を震わせ――
背中越しの身体と抱きしめた腕から伝わる微かな震えが、言葉の代わりだった。
ただ静かに、けれど途切れることなく、姉の頬を伝う粒だけが月明かりに光っていた。
夜空の星々が瞬く。
その中に、きっと彼もいる。
そう信じたい姉の震える嗚咽が、私の心をさらに締めつけた。
*
夜風が草の匂いを運び、涙で詰まった喉にひんやりと沁み――
やさしく二人の髪を撫で、切れ端の糸をそっと揺らした。
まるで彼の想いが今もなお、姉の傍らにあるかのように。
「お姉ちゃんは……置いて行かないで……」
姉は私をもう一度強く抱き締めた。
「うん……」
姉のかすれた声が、焼けるような胸にじんと染みる。
(……置いて行かれないようについて行くんだ……)
だからこそ、このとき私は誓った。
(見ていてくださいね……。
私は――絶対に、姉さんをひとりにしないから――)
見上げた夜空に瞬く幾千もの星。
その一瞬のきらめきが、彼の眼差しと重なり――『ありがとう』と微笑んだように。
そう――確かに見えた。
アリシアとトリスタンが向かったのは、孤児院の裏手にある小高い丘。
夜空を遮るものはなく、王都の灯が遠くにきらめいて見える。
私は繁みの影に身を潜めながら、月下に立つ二人を見つめていた――。
*
丘の上。
月明かりに照らされて、二人は並んで立っている。
遠くに王都の灯が瞬き、夜風が草を揺らす。
しばしの沈黙のあと、トリスタンが口を開いた。
「……侯爵領での舞踏会以来ですね」
姉は驚いたように瞬きをして、やがて微笑む。
「ええ、本当に……お久しぶりですわ」
「……あの時は、すみませんでした。足をもつれさせてしまい」
「いいえ。……最後まで堂々と踊られて、素敵でしたわ」
淡い光に照らされた姉の横顔は、まるで月そのもののように清らかだった。
トリスタンは短く息を吐き、照れ隠しのように笑う。
「今なら……もう少しは踊れると思います」
「まあ……」
月光の中で、その頬がわずかに色づいて見えた。
けれど、次の瞬間、姉は俯いて続きの言葉を詰まらせた。
沈黙が落ちる。
ただ夜風だけが、さざ波のように草原をなでていく。
「すみません、思い出させてしまい……」
姉の様子に気付いたトリスタンは背筋を伸ばして、頭を下げる。
トリスタンの拳が、腰元でぎゅっと握られていた。
「……いいのです。辛いのはわたくしだけではありませんの……」
俯いたままの姉の指先が震えているのに気付いた。
そのとき、私の胸にも懐かしい思い出が去来し、思わず胸元に手を添えた。
あのとき、屋敷の庭に響いていた笑い声が、胸の奥でよみがえる。
花が咲き乱れ、緑あふれる屋敷。
父母や兄、使用人や騎士、そしてその子供たちの笑顔。
あの中にトリスタンもいたのだろうか。
そして――その輪の中心で宙に舞う光の花びらを纏った姉が、微笑んで私を手招きする。
あの頃は当たり前に続くと思っていた。
けれど、もう決して戻らない過去。
胸の奥がきゅうっと縮み、息をするのも痛い。
そして――
夜風の音に包まれた静寂の中、二人は同時に口を開いた。
「あの――」
声が重なり、二人とも言葉を飲み込む。
互いに俯き、頬を染め、月明かりに照らされて黙り込む。
胸の奥が再びちくりと痛む。
けれど、二人から目を逸らせなかった。
*
「……あと三年」
唐突にトリスタンの言葉が落ちた。
姉はきょとんと瞬きをする。
「……?」
「あと三年待ってください。
私は勇者の祝福を受け、魔王を討ち――
大恩ある御父上のためにも――何より、あなたのために侯爵領を取り戻します。
それに、その頃には、あなたも十六になる――」
トリスタンはそこで言葉を切り、一瞬口を結んだ。
そして姉の瞳を真っ直ぐに見据える。
「必ずお迎えに上がります」
「……!」
その言葉に、姉の瞳が大きく揺れた。
アリシアはふと懐から、一本の簡素な紐のようなものを取り出した。
「……これを」
差し出されたのは、白と銀の糸で編まれた簡素な組紐――
飾り気はない。けれど一目で、心を込めて結ばれたものだとわかる。
夜な夜な針仕事をしていた姉の姿を、私は思い出した。
子供たちのための小物に混じって、確かに姉はずっとこれを編んでいた。
「あなたが戻られると伺って……」
姉はその組紐を、そっとトリスタンの手を取り、手首に巻いた。
トリスタンは腕輪となった組紐を月光に透かすと、姉に向き直り静かに微笑む。
「アリシア様――一生大切にします」
しばし見つめ合う二人。
二人の距離がゆっくりと近づくと、私の心臓はもう破裂しそうだった。
鼓動が二人に聞こえてしまうのではないかと、思わず口をふさいだ。
トリスタンの瞳が揺れ、その手が姉にそっとかかりそうになった瞬間――
姉はかすかに身を引き、そして――
「トリスタン様……わたくしの望みは――」
夜風に揺れる声は、けれど真っ直ぐだった。
「あなたが無事に帰ってくること、それだけです。無理は……しないでくださいね」
「……わかりました。また来年、必ず」
「ええ。お待ちしています」
姉の指先と、彼の手首の白銀の糸が重なり合い、月光に照らされてひとつの影となる。
その光景を、繁みの影から見ていた私は、心臓をぎゅっと掴まれるような思いで息を呑んだ。
それは、月下で交わされた、騎士と少女の――淡くて儚い約束だった。
***
半年ほど後のこと。
その日――
孤児院に、一通の封蝋の押された手紙が届けられた。
「……騎士団から……」
マルグリット司祭はほんの少し眉を寄せながら封を切った。
蝋を割る音、羊皮紙の匂い――
羊皮紙を広げたその声は、最初は朗々としていた。
「サン・クレール孤児院のマルグリット司祭様へ。騎士団所属、トリスタン・ヴァレンヌ卿は――」
そこで、司祭の声が途切れた。
目が大きく揺れ、唇が震える。
「……魔王軍の急襲において、勇敢に戦い……仲間を逃がすために……殿を務め……」
言葉が続かず、司祭は胸元を押さえ、手紙を取り落とした。
床に紙が散り、その中から――千切れた組紐がはらりと落ちた。
「……っ!」
姉の瞳が見開かれる。
その組紐は、彼女が夜な夜な編んでいたもの。
トリスタンに託したはずの約束の証。
震える指でそれを拾い上げた姉は、口元を押さえたまま走り出す。
外の扉を乱暴に開け放ち、庭へ、きっとあの丘へと、夜気へと駆けていく。
(……まただ。大切な人は、いつも私たちを置いて行ってしまう――)
私は一歩も動けず、その背をただ呆然と見送るしかなかった。
*
しばらくして丘へ登ると、夜空には幾千もの星が瞬いていた。
姉はあの日と同じ満天の星空の下、草の上にぽつんと腰を下ろしていた。
ただひとり、ぼんやりと空を見上げて。
(……姉さん……)
声をかけようとしても声が出なかった。
けれど、私の気配に気づいたのか、姉は振り返った。
その目尻は赤く、けれど笑みを作って手招きした。
「セレナ、こっちにおいで」
隣に並んで座ると、姉は少し間を置いて、ぽつりと呟いた。
「ねえ、あのね。……トリスタン様はお星様になったんだよ」
銀色の髪が月明かりに透け、声はかすかに震えていた。
姉は、泣き顔を隠すように、夜空へと視線を上げる。
「うん……お空から見守ってくれてるんだね」
そう答えると、姉は一瞬だけ「う……ん……」と唇を噛んだ。
そのまま堪えきれなくなったように、後ろから私をぎゅっと抱きしめる。
「わたしたちは、ずっと一緒」
思わず喉が詰まり、言葉が出ない。
「……うん」
私はかすれた声でそう返し、姉の腕を握り返した。
私を抱きしめる姉の手の中で、何かが風に揺れた。
指先に触れた組紐の繊維がざらりと引っかかり、湿った温度が伝わった。
簡素な糸を編み込んだ、千切れてしまった腕輪。
姉の手から零れる短い一片に、かすかに文字が浮かんでいた。
――《永遠の愛》。
胸がぎゅーっと締め上げられ、息が詰まった。
子供の私にはまだ、その言葉の深さを理解できなかっただろう。
けれど、前世をほんの少しだけ思い出した私には――
それが姉の心をすべて託した証であることが、わかってしまう。
(……姉さんは、こんなにも……)
そう思った瞬間、胸の奥が決壊した。
私はもう、こらえられなかった。
「……いやだぁ……っ!」
嗚咽がこぼれ、あふれた涙が頬を伝い、声にならない声で泣きじゃくる。
姉はそんな私を強く抱きしめた。姉の肩越しに伝わる浅い呼吸が、震えながらも絶えず続いていた。
涙に滲んで映る姉は声を出さず、顎を引いて黙ったまま唇を震わせ――
背中越しの身体と抱きしめた腕から伝わる微かな震えが、言葉の代わりだった。
ただ静かに、けれど途切れることなく、姉の頬を伝う粒だけが月明かりに光っていた。
夜空の星々が瞬く。
その中に、きっと彼もいる。
そう信じたい姉の震える嗚咽が、私の心をさらに締めつけた。
*
夜風が草の匂いを運び、涙で詰まった喉にひんやりと沁み――
やさしく二人の髪を撫で、切れ端の糸をそっと揺らした。
まるで彼の想いが今もなお、姉の傍らにあるかのように。
「お姉ちゃんは……置いて行かないで……」
姉は私をもう一度強く抱き締めた。
「うん……」
姉のかすれた声が、焼けるような胸にじんと染みる。
(……置いて行かれないようについて行くんだ……)
だからこそ、このとき私は誓った。
(見ていてくださいね……。
私は――絶対に、姉さんをひとりにしないから――)
見上げた夜空に瞬く幾千もの星。
その一瞬のきらめきが、彼の眼差しと重なり――『ありがとう』と微笑んだように。
そう――確かに見えた。
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