オートマーズ

小森 輝

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2章 聞きなれない部活

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 高校生活ももう3ヶ月。勉強合宿でクラスメイト以外の人との交友も増え、そして、文化祭でクラスメイトとの結束も強まりました。
 もう、高校生活には慣れたと言いたいのですが、残念ながらいつまでたっても慣れないことが二つあります。
 一つは、言わずもがな授業です。中学生の時より少し授業時間が長くなった程度なのですが、体力の消耗はとてつもなく、いつまで経っても慣れません。
 もう一つは、お昼ご飯です。中学生まではお昼ご飯が給食で暖かかったのですが、高校生になってからはお弁当に変わりました。母の愛情が詰まったお弁当なのですが、愛情でお弁当は暖まりません。冷たいご飯は少し固いです。もちろん、学食はあるのですが、私はまだ一度も行ったことがありません。そんな私にとって、学食は憧れです。
 そう言うわけで、今日も私は昼休みにお弁当を食べています。
 もちろん、一人ではありません。友達数名と集まって食べています。その中には、もちろん、親友の久遠の姿もあります。
「そうだ。ヒーロー、古文のノート見せてくれない? さっき居眠りしちゃって、ノート取れてないんだよね」
「別にいいけど……」
 私はちゃんと授業中に居眠りせずにノートを取っているのに、居眠りしている久遠の方が成績がいいなんておかしいと思います。そんな愚痴を考えるのですが、ノートは貸してあげます。
 それにしても、私たちも女子高生になってから落ち着いたものです。中学生の頃は昼休みに遊び回るほど元気だったのに、今となっては教室から出ることすらありません。これが年を取るということなのでしょうか。
 そんなお淑やかな女子高生グループなのですが、男子グループは元気にはしゃいでいます。それでも廊下を走り回って鬼ごっこをしているなんてことはないので、彼らも大人になったということでしょう。
 そんなことを考えながらご飯を口に運んでいたのですが、他のみんなはお喋りに花を咲かせていました。
「そうそう、先輩から聞いた話なんだけどさ、文化祭のミスコンで優勝した先輩がいたじゃんか」
「ミスコンか……。その時間はバスケ部が見回り時間だったからなぁ。見てないんだよね」
 そんな久遠の返答に周りの視線が私に向きました。
 仕方がないので、食事を止めて私もお喋りに加わります。
「私も久遠と一緒に回ってたから……。それで、そのミスコンで優勝した人がどうかしたの?」
 文化祭は久遠と一緒に回っていたので、私には関係なくても一緒にバスケ部の見回りに参加していたのです。なので、ミスコンは見ていません。文化祭の目玉らしいのですが、3年生が主役なので、実は元から興味がありませんでした。
 それでも、友達の話です。自分が興味がなくても聞いてあげるのが優しさと言うものでしょう。
「あのミスコンで優勝した人、実は火星探査部の部長だったんだって。なんでも、ミスコンで優勝しないと部費を少なくするって脅されてミスコンに出されたんだって」
「綺麗な人だったけど、なんか目立ちたがり屋な感じじゃなかったもんね。やっぱり強制的に出されたんだ。火星探査部って国も絡んでるんでしょ? 何言われても逆らえないよね……」
「ところでさ、火星探査部って何してる部活なんだろうね」
「さぁ……」
 そこでみんな顔を見合わせて黙り込んでしまいます。
 みんな誰か知らないかと探しているようですが、誰も知らない様子です。ただ、なぜか最後に私へと視線が集まりました。
「え? わ、私? 知らないよ、そんなの。部活動のパンフレットだってそんなに見てないんだし。火星なんちゃら部だって初耳だよ」
 部活動と言うものに興味がない私に答えを期待されても困るしかありません。
 そんな時です。
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