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7章 牙をむく火星の大地
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「全員、しゃがんで! できるだけ体は低く!」
大葉部長の言葉で、全員、膝を折り正座のようにして座り、そこから頭を下げて、できるだけ体を低くします。
そうしているうちに、風はどんどん強くなっていきます。すると何度も体が浮き上がりそうな感覚がします。
「みんな、踏ん張って! お互いがお互いを押さえつけるようにしたら絶対に飛ばされませんから!」
大葉部長の呼びかけで、全員が一丸となって風に耐えます。すると、重力が増したように感じました。このままみんなで耐えることができれば、竜巻をやり過ごせそうな感じがします。しかし、それは私たちだけです。
「そんな……」
私たちの真ん中にある植物が入った箱がカタカタと振動しながら動いていました。
「あぁ……だめだめ……じっとしていて……お願いだから……」
私のそんな呼びかけもむなしく箱は動いていきます。私の方に向かって。いえ、正確には私と彦君の間を目指して。
どうにかしなければと考える暇もなく、箱は私と彦君の間をすり抜けました。
「だめ!」
気づいたら私は箱へと手を伸ばしていました。
凄まじい勢いで私の元を離れようとしていた箱ですが、運良く掴み取ることができました。本当によかったとそう思っていたのですが、これは失敗でした。
「緋色さん、だめ!」
「えっ……」
大葉部長の声が聞こえたときには、私の体から重力が消えていました。
このままじゃ飛ばされるとそう思ったときには、すでに体は風に捕まれていました。
「緋色!」
彦君が手を伸ばしてくれています。あの手を取ればまだ助かるかもしれません。
「鷲斗、体起こすな!」
「鷲斗君、だめ! あなたまで飛ばされてしまう!」
「でも……」
それでも必死に手を伸ばす彦君の手を私は掴めませんでした。いいえ、掴まなかったんです。後少しで届きそうだと思った距離は、縮まることなく、ただ離れていくだけでした。
私は何もできず、ただ遠ざかっていく部員のみんなを見ていることしかできませんでした。
大葉部長の言葉で、全員、膝を折り正座のようにして座り、そこから頭を下げて、できるだけ体を低くします。
そうしているうちに、風はどんどん強くなっていきます。すると何度も体が浮き上がりそうな感覚がします。
「みんな、踏ん張って! お互いがお互いを押さえつけるようにしたら絶対に飛ばされませんから!」
大葉部長の呼びかけで、全員が一丸となって風に耐えます。すると、重力が増したように感じました。このままみんなで耐えることができれば、竜巻をやり過ごせそうな感じがします。しかし、それは私たちだけです。
「そんな……」
私たちの真ん中にある植物が入った箱がカタカタと振動しながら動いていました。
「あぁ……だめだめ……じっとしていて……お願いだから……」
私のそんな呼びかけもむなしく箱は動いていきます。私の方に向かって。いえ、正確には私と彦君の間を目指して。
どうにかしなければと考える暇もなく、箱は私と彦君の間をすり抜けました。
「だめ!」
気づいたら私は箱へと手を伸ばしていました。
凄まじい勢いで私の元を離れようとしていた箱ですが、運良く掴み取ることができました。本当によかったとそう思っていたのですが、これは失敗でした。
「緋色さん、だめ!」
「えっ……」
大葉部長の声が聞こえたときには、私の体から重力が消えていました。
このままじゃ飛ばされるとそう思ったときには、すでに体は風に捕まれていました。
「緋色!」
彦君が手を伸ばしてくれています。あの手を取ればまだ助かるかもしれません。
「鷲斗、体起こすな!」
「鷲斗君、だめ! あなたまで飛ばされてしまう!」
「でも……」
それでも必死に手を伸ばす彦君の手を私は掴めませんでした。いいえ、掴まなかったんです。後少しで届きそうだと思った距離は、縮まることなく、ただ離れていくだけでした。
私は何もできず、ただ遠ざかっていく部員のみんなを見ていることしかできませんでした。
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