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襲来する紅蓮の女王
炎と風の反逆者 16
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そう思った時だ。
突然、灰塚の目の前から炎が吹き出し、一瞬にして彼女の姿は炎の壁で見えなくなった。
紀彦が放った水の粒も、炎に阻まれ虚しく蒸発してしまうだけだ。
「くそ……威力が足りなかったか」
紀彦の攻撃が止み、水の蒸発が止まると、炎の壁も徐々に威力を弱めていく。
陽炎の中でも、灰塚が無傷だと分かるほどに此方の攻撃は無力だった。
「その程度か?」
「そんなわけあるか!」
紀彦は再び手を突き出す。
「スパイラルウォーター」
先ほどよりも強く言い放った。
「新技だけど、威力なら申し分ないはずだ」
確かに、あの威力なら貫けるかもしれない。
反乱組織の幹部と言っても相手は炎、此方に利があるのは間違いない。
灰塚はこの強力な攻撃にも避けることはなく、炎の壁で自分の身を守ろうとしている。
この勝負は紀彦に軍配が上がったな。
そう思ったが、水のドリルが炎に触れた時、水は炎を突き抜けることなく爆発した。
「……やったか」
おそらく、今の爆発は水蒸気爆発だろう。貫くことは出来なかったが、至近距離であの爆発を受けたのならば、死んでいてもおかしくないだろう。
今は大量の水蒸気が立ち込めているせいで視界が悪い。もし生きていれば不意打ちをされることだってありえる。ここは俺の出番だろう。
俺は腕を薙ぎ払い、風を起こした。
水蒸気は出口へと向かい、壁の穴から新鮮な空気が入ってきて視界が回復していく。
「生きていて何よりだよ。今の爆発は、正直、予想外だったからな」
生きていたこともだが、敵の着ている服にさえ一切の傷はない。
「嘘だろ……」
これは、勝ち目がない。
先ほどまでは、手柄を横取りしようと思っていた一組の面々が避難もせずに集まっていたのだが、水系トップの技が無力化されたことを見て、皆、逃げ腰だ。
しかし、当初の目的は果たせただろう。
「紀彦、逃げるぞ」
「あ、ああ」
紀彦は歯痒いのだろうが、そもそも、目的は最初から透真さんと茜音を逃がすための時間稼ぎだ。目的は達成されたと言っても過言ではない。
敵は依然として敵意のない表情、いや、やる気のない表情と言ったほうがいい。
表情は怪しげだが、今が好機なことに間違いはないだろう。
「ウィング」
俺と紀彦の体がふわりと浮かぶ。
あとは出口に向けて風を送るだけで逃走は完了するはずだった。
「なん……だと」
体が浮遊したときには、俺を中心に半径100メートルを炎で囲まれてしまっていた。
ならば、上に逃げようと見上げたが、この炎は円錐のようになっており、三人を完全に閉じ込めている。
逃げる術を失ってしまった。
「逃がすとでも思っているのか?」
灰塚にそう告げられ、俺はおとなしく「ウィング」を解除し、紀彦と共に床へと着地した。
「なぁ、これはやばいんじゃないか?」
紀彦の顔が引きつっている。ここまで力の差があると、顔が引きつるのも分かる。
「あまりここに長居すると酸欠で死ぬぞ?」
確かに灰塚の言う通り、このままでは酸欠になってしまう。いや、その前にこの暑さにやられてしまうかもしれない。
突然、灰塚の目の前から炎が吹き出し、一瞬にして彼女の姿は炎の壁で見えなくなった。
紀彦が放った水の粒も、炎に阻まれ虚しく蒸発してしまうだけだ。
「くそ……威力が足りなかったか」
紀彦の攻撃が止み、水の蒸発が止まると、炎の壁も徐々に威力を弱めていく。
陽炎の中でも、灰塚が無傷だと分かるほどに此方の攻撃は無力だった。
「その程度か?」
「そんなわけあるか!」
紀彦は再び手を突き出す。
「スパイラルウォーター」
先ほどよりも強く言い放った。
「新技だけど、威力なら申し分ないはずだ」
確かに、あの威力なら貫けるかもしれない。
反乱組織の幹部と言っても相手は炎、此方に利があるのは間違いない。
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この勝負は紀彦に軍配が上がったな。
そう思ったが、水のドリルが炎に触れた時、水は炎を突き抜けることなく爆発した。
「……やったか」
おそらく、今の爆発は水蒸気爆発だろう。貫くことは出来なかったが、至近距離であの爆発を受けたのならば、死んでいてもおかしくないだろう。
今は大量の水蒸気が立ち込めているせいで視界が悪い。もし生きていれば不意打ちをされることだってありえる。ここは俺の出番だろう。
俺は腕を薙ぎ払い、風を起こした。
水蒸気は出口へと向かい、壁の穴から新鮮な空気が入ってきて視界が回復していく。
「生きていて何よりだよ。今の爆発は、正直、予想外だったからな」
生きていたこともだが、敵の着ている服にさえ一切の傷はない。
「嘘だろ……」
これは、勝ち目がない。
先ほどまでは、手柄を横取りしようと思っていた一組の面々が避難もせずに集まっていたのだが、水系トップの技が無力化されたことを見て、皆、逃げ腰だ。
しかし、当初の目的は果たせただろう。
「紀彦、逃げるぞ」
「あ、ああ」
紀彦は歯痒いのだろうが、そもそも、目的は最初から透真さんと茜音を逃がすための時間稼ぎだ。目的は達成されたと言っても過言ではない。
敵は依然として敵意のない表情、いや、やる気のない表情と言ったほうがいい。
表情は怪しげだが、今が好機なことに間違いはないだろう。
「ウィング」
俺と紀彦の体がふわりと浮かぶ。
あとは出口に向けて風を送るだけで逃走は完了するはずだった。
「なん……だと」
体が浮遊したときには、俺を中心に半径100メートルを炎で囲まれてしまっていた。
ならば、上に逃げようと見上げたが、この炎は円錐のようになっており、三人を完全に閉じ込めている。
逃げる術を失ってしまった。
「逃がすとでも思っているのか?」
灰塚にそう告げられ、俺はおとなしく「ウィング」を解除し、紀彦と共に床へと着地した。
「なぁ、これはやばいんじゃないか?」
紀彦の顔が引きつっている。ここまで力の差があると、顔が引きつるのも分かる。
「あまりここに長居すると酸欠で死ぬぞ?」
確かに灰塚の言う通り、このままでは酸欠になってしまう。いや、その前にこの暑さにやられてしまうかもしれない。
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