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疾走する紅蓮の導き
炎と風の反逆者 29
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「あのさ……」
「なんだ? 言ってみろ」
無言に耐えられず口を開いてしまったが、何を話すのか考えていなかった。
「その……あ、あそこのぬいぐるみは何だ?」
時間が静止した。
触れてはいけないと心に決めていたはずなのに、失敗した。
目の前にある押入れから、この部屋に似合わないほどの可愛らしいクマのぬいぐるみが顔を出していたので、つい言葉に出してしまった。
俺が固まっていると、彼女はゆっくり立ち上がった。
そして、押入れから顔を出しているクマを力の限り押し込み、隙間なく扉を閉めた。
「どうかしたか?」
笑顔が引きつっている。明らかに動揺している笑顔だ。
「だ、大丈夫だ。俺は何も見ていない」
そして、再び隣に座った。
気まずい。ものすごく気まずい。
「クマ……好きなのか?」
「……おかしいか?」
「いや、女の子なら普通だと思う」
「そ、そうか」
なんだ、この異様な緊張感は……
「私はさ、本当は戦いたくないんだ」
この異様な重苦しさの中、彼女はそう告白した。
「でも、私には力が宿ってしまった。それも強力な。だから、私には戦う義務があるんだと思う。嫌でも、大勢の人間を導かなければならない」
彼女はそう言う。
思えば、俺たちと戦っていたときは、とても悲しそうな表情をしていた。
「いやなら、逃げればいいじゃないか」
「そうしたいのは山々なんだがな。私が逃げればたくさんの人が傷つく」
「傷つくって……」
対立すれば、傷つく人は大勢でてくる。これでは、言っていることとやっていることが矛盾しているではないか。
「君たちは、やはり何も知らないんだな」
その言葉通りだ。自分たちが居た場所がどういう場所だったのかですら、知らなかったのだから。
「奴らは、なぜサクセサーを持った者を集めていると思う」
「なぜって、それはサクセサーを正しく使うために教育を施すからだろ」
正しく教育が施されなければ、サクセサーが暴走しかねない。
そう言われて、連れて行かれた。
「正しく使うためだというのなら、戦闘訓練は何で行われている」
そうだ。正しく扱うためだけなら、そもそも階級なんてものすら必要なかったではないか。
「そもそも、正しく使うなんてことのほうが間違っているんだ。サクセサーをなくすことに力を入れるべきなのに、そんなこと、一切しないし、一切させなかった」
「でも、何のためにそんなことを……」
「それはな、サクセサーを兵器として国へ売ろうとしているからだよ」
人間を兵器として使うなんて……あり得る。現に俺は台風を作ることだってできる。発展途上国なら大打撃だろう。しかも、どこの国がやったかなんてわからない。台風が人為的だったかどうかですら、やった本人にしか分からないのだから。
「なんだ? 言ってみろ」
無言に耐えられず口を開いてしまったが、何を話すのか考えていなかった。
「その……あ、あそこのぬいぐるみは何だ?」
時間が静止した。
触れてはいけないと心に決めていたはずなのに、失敗した。
目の前にある押入れから、この部屋に似合わないほどの可愛らしいクマのぬいぐるみが顔を出していたので、つい言葉に出してしまった。
俺が固まっていると、彼女はゆっくり立ち上がった。
そして、押入れから顔を出しているクマを力の限り押し込み、隙間なく扉を閉めた。
「どうかしたか?」
笑顔が引きつっている。明らかに動揺している笑顔だ。
「だ、大丈夫だ。俺は何も見ていない」
そして、再び隣に座った。
気まずい。ものすごく気まずい。
「クマ……好きなのか?」
「……おかしいか?」
「いや、女の子なら普通だと思う」
「そ、そうか」
なんだ、この異様な緊張感は……
「私はさ、本当は戦いたくないんだ」
この異様な重苦しさの中、彼女はそう告白した。
「でも、私には力が宿ってしまった。それも強力な。だから、私には戦う義務があるんだと思う。嫌でも、大勢の人間を導かなければならない」
彼女はそう言う。
思えば、俺たちと戦っていたときは、とても悲しそうな表情をしていた。
「いやなら、逃げればいいじゃないか」
「そうしたいのは山々なんだがな。私が逃げればたくさんの人が傷つく」
「傷つくって……」
対立すれば、傷つく人は大勢でてくる。これでは、言っていることとやっていることが矛盾しているではないか。
「君たちは、やはり何も知らないんだな」
その言葉通りだ。自分たちが居た場所がどういう場所だったのかですら、知らなかったのだから。
「奴らは、なぜサクセサーを持った者を集めていると思う」
「なぜって、それはサクセサーを正しく使うために教育を施すからだろ」
正しく教育が施されなければ、サクセサーが暴走しかねない。
そう言われて、連れて行かれた。
「正しく使うためだというのなら、戦闘訓練は何で行われている」
そうだ。正しく扱うためだけなら、そもそも階級なんてものすら必要なかったではないか。
「そもそも、正しく使うなんてことのほうが間違っているんだ。サクセサーをなくすことに力を入れるべきなのに、そんなこと、一切しないし、一切させなかった」
「でも、何のためにそんなことを……」
「それはな、サクセサーを兵器として国へ売ろうとしているからだよ」
人間を兵器として使うなんて……あり得る。現に俺は台風を作ることだってできる。発展途上国なら大打撃だろう。しかも、どこの国がやったかなんてわからない。台風が人為的だったかどうかですら、やった本人にしか分からないのだから。
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