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苦悩する疾風の担い手
炎と風の反逆者 44
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障壁なんか作っても意味はないだろう。風で飛ばそうにも、距離が開いていれば風を作る力が弱まり、結果、人を飛ばすほどの風は起こせない。
やはり、炎をどうにかしないといけないか。
あれの軌道を逸らさなければ、あそこにいる人を跡形もなく殺してしまう。
守らなければ。
「曲がってくれ!」
歯を食いしばり叫ぶ。
神経をすり減らすように炎へと集中する。
曲げられるかどうかの保証は全くない。
でも、きっとできる。いや、やらなくてはならない。信じてくれた命のためにも。彼女の掲げた信念を、どんな大義名分があろうと人を殺してはいけないと言った彼女の心を守らなければ。
「……っく」
過度な集中は視界を端から白く侵食していく。
あと数秒で視界をなくし、意識を失ってしまうだろう。だが、そんなことは気にしない。意識をなくす前にことは済んでしまう。
炎は無慈悲にも、無防備な男の目前まで迫っている。
もう、何かを考える時間はない。
ただ、ひたすらに思うのみだ。
命を助けるんだ。正しい方向へと導いてやるんだ。
視界を正常に保つことは出来ず、擦り減ってしまった意識では風で浮遊することは愚か、指を動かすことさえできない。
そんな状況の中で、炎が天高く伸びていくのが見えたが、それを最後に俺の視界は閉じてしまった。
成功したのだろうか。
炎が空へ伸びているのを見たが、果たしてあれは現実だったのだろうか。もしかしたら、ただこうあってほしいという妄想だったのではないのだろうか。
心配だ。早く起きなければ……
重たい瞼を無理やりこじ開けると、目の前には心配する命の顔があった。
「誘! 無事でよかった。急に能力が消えて倒れたから心配したぞ」
「大丈夫だから、とりあえず、降ろしてくれないかな?」
俺はまた命にお姫様抱っこされていた。今回は素直に降ろしてくれたが、こればかりは何度されても体がむずかゆくなる。
地面には降ろされたが、景色は見渡しやすい高所だ。
どうやら、命は俺たちを囲もうとしてせり上がらせた大地に着地したようだ。
気を抜いていたが、周りからの攻撃はなぜか止んでいる。
「そうだ……さっきの、どうなったんだよ」
さっきのとは、無論、炎が一人の男を飲み込もうとしていたことだ。直前で意識を失ってしまったため、どうなったのか確認しておかなければならない。
「さっき……」
命は俺が考えていることと一緒のことを想像したのだろう。しかし、俺の望んでいる表情とは違い、彼女は申し訳なさそうに俺から目を逸らした。
それはつまりそう言うことなのか。
「それじゃあ、やっぱり……俺は何もできなかったのか……」
最後に炎が空へと向かったのは、やはり俺の単なる希望でしかなかったのだろう。
「誘は、何も悪くない」
彼女は首を振る。
「私の望み通りに炎を操ってくれた。君に何の非はないよ。私がいらぬ見栄を張ったせいだ」
炎を操った。
確かに彼女はそう言った。つまり、俺が最後に見た光景は現実だったということか。しかし、それならばなぜ彼女はこのような表情をしているのか。本来なら歓喜の声を上げていてもおかしくないのではないのか。
やはり、炎をどうにかしないといけないか。
あれの軌道を逸らさなければ、あそこにいる人を跡形もなく殺してしまう。
守らなければ。
「曲がってくれ!」
歯を食いしばり叫ぶ。
神経をすり減らすように炎へと集中する。
曲げられるかどうかの保証は全くない。
でも、きっとできる。いや、やらなくてはならない。信じてくれた命のためにも。彼女の掲げた信念を、どんな大義名分があろうと人を殺してはいけないと言った彼女の心を守らなければ。
「……っく」
過度な集中は視界を端から白く侵食していく。
あと数秒で視界をなくし、意識を失ってしまうだろう。だが、そんなことは気にしない。意識をなくす前にことは済んでしまう。
炎は無慈悲にも、無防備な男の目前まで迫っている。
もう、何かを考える時間はない。
ただ、ひたすらに思うのみだ。
命を助けるんだ。正しい方向へと導いてやるんだ。
視界を正常に保つことは出来ず、擦り減ってしまった意識では風で浮遊することは愚か、指を動かすことさえできない。
そんな状況の中で、炎が天高く伸びていくのが見えたが、それを最後に俺の視界は閉じてしまった。
成功したのだろうか。
炎が空へ伸びているのを見たが、果たしてあれは現実だったのだろうか。もしかしたら、ただこうあってほしいという妄想だったのではないのだろうか。
心配だ。早く起きなければ……
重たい瞼を無理やりこじ開けると、目の前には心配する命の顔があった。
「誘! 無事でよかった。急に能力が消えて倒れたから心配したぞ」
「大丈夫だから、とりあえず、降ろしてくれないかな?」
俺はまた命にお姫様抱っこされていた。今回は素直に降ろしてくれたが、こればかりは何度されても体がむずかゆくなる。
地面には降ろされたが、景色は見渡しやすい高所だ。
どうやら、命は俺たちを囲もうとしてせり上がらせた大地に着地したようだ。
気を抜いていたが、周りからの攻撃はなぜか止んでいる。
「そうだ……さっきの、どうなったんだよ」
さっきのとは、無論、炎が一人の男を飲み込もうとしていたことだ。直前で意識を失ってしまったため、どうなったのか確認しておかなければならない。
「さっき……」
命は俺が考えていることと一緒のことを想像したのだろう。しかし、俺の望んでいる表情とは違い、彼女は申し訳なさそうに俺から目を逸らした。
それはつまりそう言うことなのか。
「それじゃあ、やっぱり……俺は何もできなかったのか……」
最後に炎が空へと向かったのは、やはり俺の単なる希望でしかなかったのだろう。
「誘は、何も悪くない」
彼女は首を振る。
「私の望み通りに炎を操ってくれた。君に何の非はないよ。私がいらぬ見栄を張ったせいだ」
炎を操った。
確かに彼女はそう言った。つまり、俺が最後に見た光景は現実だったということか。しかし、それならばなぜ彼女はこのような表情をしているのか。本来なら歓喜の声を上げていてもおかしくないのではないのか。
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