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小さすぎる世界への抵抗
炎と風の反逆者 66
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脱出には成功したが、状況は芳しくない。命が戦闘不能なこの状況で、いつ、紀彦が即死級の大技を放ってきてもおかしくない。
しかし、好機なのにもかかわらず、紀彦から攻撃が来ない。
不審に思い、紀彦のほうを見ると、目があった。紀彦は好機なのに、なぜか俺を見ていた。
「誘……なんで助けたんだ」
紀彦は真実を知らない。そのため俺の言葉すら信じてくれない。
「のり……ひこ……」
まだ体を起こすことは愚か、言葉を発することさえ難しい。声が出せたところで、紀彦は何も信じてはくれないだろうが。
「どうしても、其方に付くんだな、誘。なら、力ずくで取り戻してやる」
紀彦が手を突き出した。能力を使う気だ。
手の方向には命が苦しんでいる。
俺に紀彦が使う全力の攻撃を防ぐ手段はない。
頼れるのは命だけだが、まだ苦しんでいるようで、紀彦が攻撃しようとしていることに気が付いていない。
「やめるんだ……紀彦!」
体に鞭を打ち、苦しむ体を無理やり動かす。紀彦が少しだけ躊躇してくれたおかげで、どうにか体を動かすことが出来る。
「お願いだ……やめてくれ」
命のもとまでたどり着き、紀彦の前に立ちはだかる。
「誘、退いてくれ。退かないのなら、お前ごと貫くぞ」
紀彦は手の前に水を集めて、小さく圧縮している。
「話だけでも聞いてくれ」
紀彦は俺から目を逸らした。
もう、何を言っても無駄なのか。
「ウォーターカッター」
紀彦が技名を呟いた。
その瞬間、俺の視界から紀彦が消えた。
いや、違う。何者かに阻まれただけだ。
「こんなこと、やめてよ」
聞き覚えのある声。この声は透真さんだ。透明化のサクセサーを使っていた透真さんは探知されなかったのか。
俺の見方をしてくれるのは嬉しいが、今はタイミングが悪い。紀彦が消えていないのなら、技名を言った紀彦の攻撃は襲ってくる。あいつは攻撃をキャンセルできるほどの器用さを持ち合わせていない。
そして、攻撃を受けるのは、もちろん、目の前にいる透真さんだ。
「くっそ……」
吹き飛ばせれば、それでいい。せめて、体制を崩して急所を避けるだけでも。
そんな思いで、俺は残る力を振り絞り、風を起こす。
願いは届き、透真さんは俺の前から弾き出される。
あとは紀彦なのだが、もう水が迫ってきている。どうすることもできない。命を庇うことぐらいしか、俺にはもうできそうにない。
ビームのような水は俺の脇腹を貫き、そのまま後ろへ過ぎ去る。
貫かれた場所からは痛みよりも、おぞましい冷たさが広がっている。
しかし、そんなことを気にするのは後だ。
今は自分の傷よりも命の安否のほうが気になる。
顔だけ振り向き、後ろにいる命を見た。
よかった。外傷は一切ないようだ。
紀彦にも透真さんの登場は予想外だったのだろう。おかげで、紀彦の手元が狂い、攻撃がそれてくれたのだ。
「大丈夫か、誘」
やっと体を起こせた命が、紀彦から受けた傷を見て俺よりも悲痛な顔を見せた。この様子だと、命に怪我はないのだろう。ひとまず安心だ。
俺の傷の程度も脇腹に小指程度の穴が開いたぐらいだ。致命傷にはならない。
残る心配は……
しかし、好機なのにもかかわらず、紀彦から攻撃が来ない。
不審に思い、紀彦のほうを見ると、目があった。紀彦は好機なのに、なぜか俺を見ていた。
「誘……なんで助けたんだ」
紀彦は真実を知らない。そのため俺の言葉すら信じてくれない。
「のり……ひこ……」
まだ体を起こすことは愚か、言葉を発することさえ難しい。声が出せたところで、紀彦は何も信じてはくれないだろうが。
「どうしても、其方に付くんだな、誘。なら、力ずくで取り戻してやる」
紀彦が手を突き出した。能力を使う気だ。
手の方向には命が苦しんでいる。
俺に紀彦が使う全力の攻撃を防ぐ手段はない。
頼れるのは命だけだが、まだ苦しんでいるようで、紀彦が攻撃しようとしていることに気が付いていない。
「やめるんだ……紀彦!」
体に鞭を打ち、苦しむ体を無理やり動かす。紀彦が少しだけ躊躇してくれたおかげで、どうにか体を動かすことが出来る。
「お願いだ……やめてくれ」
命のもとまでたどり着き、紀彦の前に立ちはだかる。
「誘、退いてくれ。退かないのなら、お前ごと貫くぞ」
紀彦は手の前に水を集めて、小さく圧縮している。
「話だけでも聞いてくれ」
紀彦は俺から目を逸らした。
もう、何を言っても無駄なのか。
「ウォーターカッター」
紀彦が技名を呟いた。
その瞬間、俺の視界から紀彦が消えた。
いや、違う。何者かに阻まれただけだ。
「こんなこと、やめてよ」
聞き覚えのある声。この声は透真さんだ。透明化のサクセサーを使っていた透真さんは探知されなかったのか。
俺の見方をしてくれるのは嬉しいが、今はタイミングが悪い。紀彦が消えていないのなら、技名を言った紀彦の攻撃は襲ってくる。あいつは攻撃をキャンセルできるほどの器用さを持ち合わせていない。
そして、攻撃を受けるのは、もちろん、目の前にいる透真さんだ。
「くっそ……」
吹き飛ばせれば、それでいい。せめて、体制を崩して急所を避けるだけでも。
そんな思いで、俺は残る力を振り絞り、風を起こす。
願いは届き、透真さんは俺の前から弾き出される。
あとは紀彦なのだが、もう水が迫ってきている。どうすることもできない。命を庇うことぐらいしか、俺にはもうできそうにない。
ビームのような水は俺の脇腹を貫き、そのまま後ろへ過ぎ去る。
貫かれた場所からは痛みよりも、おぞましい冷たさが広がっている。
しかし、そんなことを気にするのは後だ。
今は自分の傷よりも命の安否のほうが気になる。
顔だけ振り向き、後ろにいる命を見た。
よかった。外傷は一切ないようだ。
紀彦にも透真さんの登場は予想外だったのだろう。おかげで、紀彦の手元が狂い、攻撃がそれてくれたのだ。
「大丈夫か、誘」
やっと体を起こせた命が、紀彦から受けた傷を見て俺よりも悲痛な顔を見せた。この様子だと、命に怪我はないのだろう。ひとまず安心だ。
俺の傷の程度も脇腹に小指程度の穴が開いたぐらいだ。致命傷にはならない。
残る心配は……
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