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重なり合う運命
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 30
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「なになに? どうしたの?」
「何でもない何でもない」
「えー? なになに? やっぱり彼氏からのラブコールだったわけ?」
浅井さんが覗こうとしてきたので、慌てて隠した。
「急に悪いんだけど、私、もう帰るね」
「頑張るんだよ。奥手にならず、積極的にね。男はそういうのに弱いんだから」
去り際にアドバイスを貰うが、今は聞いている余裕がない。
コルテの写真がSNS上に掲載されている。その詳しい内容を歩きながら確認した。
最初に、SNS上に掲載されているコルテの写真を見つけたのは、ルイルルスイールグルドという長い上に言いにくい名前の人。コルテの仲間で赤髪に猟銃を持ったプレイヤーだ。
最初はただのコスプレだと思われていたのだが、そのクオリティが写真で見る限りだと素晴らしいものだと話題になったみたいだ。その時はまだコルテを知っている人間が少なかったが、この一日で広まり続け、仲間たちの目にも止まったという訳だ。
何で外に出てしまったんだと言いたいのだが、写真には、それ以上の問題が写っている。
「何でこんな格好してるの……」
写真に写っているコルテの姿は、身軽そうな銀色の西洋甲冑と白いコートを合わせた独特な装飾の防具で、手には1mほどの鞘に収めた西洋剣を手にしていた。
そんな姿で、カメラに向けて爽やかな笑顔を振りまいたり、短距離走の代表選手並のスピードで走っていたりする動画も掲載されていた。
「何やってんのよ、あいつ」
SNSのチェックは、とりあえず、ここまでにして、車に乗り込んだ。
「とりあえず、家ね」
もしかしたら、家に帰っているかもしれない。探し回る前に、先に家を確認しておこう。
運転中も人集りが出来ていないか運転に支障が出ない程度に探したが、結局、見つからず、住んでいるマンションに到着した。
玄関の扉に鍵を刺し、回すと、手応えはない。すでに、鍵は開いている。やっぱり、コルテが部屋を空けて出て行ったのだろう。
マンションの入り口はオートロックだが、鍵を持っていなくてもオートロックを潜り抜ける方法なんていくらでもある。
もしかしたら、強盗がいるかもしれない。でも、今回は昨日のような失態はしない。あらかじめ覚悟が決まっていれば、恐怖は克服できる。
「……よし!」
音が出ないように玄関の扉を開け、部屋の中に入る。自分の家なのに、こそこそとして、まるで自分が強盗になったような気分だ。
慎重に進み、リビングの扉の前で止まった。リビングの電気は付いていて、シャワーの音……ではなく、何かを焼いている音が聞こえる。
勢いよく飛び出して強襲するのもいいが、ここは最後まで隠密活動をし、ステルスアタックを決める方がいいかもしれない。
とりあえず、中の様子を確認するために、ゆっくりと扉を開け、顔だけ覗かせる。
「あ、玲じゃないか! おかえり。早かったんだね」
今朝と同じく、キッチンにはコルテが立っていた。
「夜に帰ってくるって言っていたから、まだ料理は出来ていないんだよ。日が落ちるのに合わせて作っていたからさ。でも、もう少しで出来るから、椅子に座って待っていてくれないか?」
察してはいたが、全く悪びれる様子はない。
「とりあえず、ご飯にして、話はそれからにしてあげる」
言いたいことは沢山あるが、先に空腹を満たした方がお互い冷静に話が出来るだろう。
「何でもない何でもない」
「えー? なになに? やっぱり彼氏からのラブコールだったわけ?」
浅井さんが覗こうとしてきたので、慌てて隠した。
「急に悪いんだけど、私、もう帰るね」
「頑張るんだよ。奥手にならず、積極的にね。男はそういうのに弱いんだから」
去り際にアドバイスを貰うが、今は聞いている余裕がない。
コルテの写真がSNS上に掲載されている。その詳しい内容を歩きながら確認した。
最初に、SNS上に掲載されているコルテの写真を見つけたのは、ルイルルスイールグルドという長い上に言いにくい名前の人。コルテの仲間で赤髪に猟銃を持ったプレイヤーだ。
最初はただのコスプレだと思われていたのだが、そのクオリティが写真で見る限りだと素晴らしいものだと話題になったみたいだ。その時はまだコルテを知っている人間が少なかったが、この一日で広まり続け、仲間たちの目にも止まったという訳だ。
何で外に出てしまったんだと言いたいのだが、写真には、それ以上の問題が写っている。
「何でこんな格好してるの……」
写真に写っているコルテの姿は、身軽そうな銀色の西洋甲冑と白いコートを合わせた独特な装飾の防具で、手には1mほどの鞘に収めた西洋剣を手にしていた。
そんな姿で、カメラに向けて爽やかな笑顔を振りまいたり、短距離走の代表選手並のスピードで走っていたりする動画も掲載されていた。
「何やってんのよ、あいつ」
SNSのチェックは、とりあえず、ここまでにして、車に乗り込んだ。
「とりあえず、家ね」
もしかしたら、家に帰っているかもしれない。探し回る前に、先に家を確認しておこう。
運転中も人集りが出来ていないか運転に支障が出ない程度に探したが、結局、見つからず、住んでいるマンションに到着した。
玄関の扉に鍵を刺し、回すと、手応えはない。すでに、鍵は開いている。やっぱり、コルテが部屋を空けて出て行ったのだろう。
マンションの入り口はオートロックだが、鍵を持っていなくてもオートロックを潜り抜ける方法なんていくらでもある。
もしかしたら、強盗がいるかもしれない。でも、今回は昨日のような失態はしない。あらかじめ覚悟が決まっていれば、恐怖は克服できる。
「……よし!」
音が出ないように玄関の扉を開け、部屋の中に入る。自分の家なのに、こそこそとして、まるで自分が強盗になったような気分だ。
慎重に進み、リビングの扉の前で止まった。リビングの電気は付いていて、シャワーの音……ではなく、何かを焼いている音が聞こえる。
勢いよく飛び出して強襲するのもいいが、ここは最後まで隠密活動をし、ステルスアタックを決める方がいいかもしれない。
とりあえず、中の様子を確認するために、ゆっくりと扉を開け、顔だけ覗かせる。
「あ、玲じゃないか! おかえり。早かったんだね」
今朝と同じく、キッチンにはコルテが立っていた。
「夜に帰ってくるって言っていたから、まだ料理は出来ていないんだよ。日が落ちるのに合わせて作っていたからさ。でも、もう少しで出来るから、椅子に座って待っていてくれないか?」
察してはいたが、全く悪びれる様子はない。
「とりあえず、ご飯にして、話はそれからにしてあげる」
言いたいことは沢山あるが、先に空腹を満たした方がお互い冷静に話が出来るだろう。
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