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混沌の開幕
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「ふふふ、寝ているな! 相変わらず寝ているな駄女神よ!」
「そうでござるな。いやはや……むしろこやつはいつ起きているのかも分からないでござるな!」
早速やってきた深夜二時。女神協会が管理している異世界に行く百の門はどれも閉じられているが、一つだけ半開きのものがある。それが、今回目標にしていた駄女神が管理する第九十八異世界門。
駄女神の名前は何だっけな。確か「ニートリア」だったっけな?
「名前から自堕落だなおい。名前にニートが含まれるって悲しくないのかよこいつ」
「何でも女神協会のなかでも一番の落ちこぼれらしいでござる。とにかく仕事をしない、すぐに寝る。その癖に大飯喰らいで、さぼり癖のあるごみ野郎らしいでござる」
「くっそ屑じゃねぇかこいつ!?」
「けど、体は見ての通りすごいでござるよ。すらっとした美人ではなくちょっとグラマラスな体つき。顔は整ってはいるでござるが、そばかすがあるのがあれでござる。しかし、まぁ、美人っちゃ美人でござる」
「女神って基本美人に生まれるらしいからな……どうしようか。このままスルーしてもいい気がしたけど、最悪女神協会の追手が来た時に盾に出来るかもしれない」
「それは名案でござるな。まぁ、でも相手にされない可能性が微レ存でござるが」
「微レ存というかだいぶだよなそれ。でもまぁいいか……一人は馬鹿がいたほうが面白いと思うし、旅には一人くらいはこういうキャラも必要だ」
そういうと、俺は寝ている女神にさらに眠りの呪文を唱え、爆睡したところを手際よく縄で縛りあげる。
それをかつぐと、
「じゃあ、行きますかね異世界」
「目標はなんか調子に乗った異世界勇者が魔王を倒すために躍起になっている世界でござる!」
「こりゃあ楽しくなる気がするぜ! 向こうの世界の人間は俺たちをどう見るんだろうな?」
「多分、拙者は獣人族の一人とか思われて、兄者は普通に姿は人間の男でござるし、とくになにも言われないのでは?」
「まぁ、それはそれで楽しくできそうじゃないか」
俺は門の前にたつと腕を振り上げ、大きくのびをした。
「じゃあ、行くぜ兄弟!」
「いくでござるよ兄者!」
俺たちは手を繋いで大きくのけぞると、扉の光の中へと勢いよく駆け込んでいった。
***
「さぁ、来たぜ異世界!」
「草原! 一面の草ァww!」
「おいおい。草に草生やしたらダメだろバスト」
「それもそうでござるな」
ありふれたログイン画面的な草原の前にはじき出された俺たちは妙に高いテンションの乗ったまま駆け回っていた。
「一面の草原! 人影なし!」
「全身にたぎる解放感! 脱ごうか! 脱いでしまおうか!」
「おいおいバスト。お前の全裸はケモナーにしか受けないぞ?」
やれやれと肩をすくめながら俺は、爆睡している女神に目を向ける。
「しかし、こいつタダ背負っていくのもなんか面白みがないな。どうせ起きないとはいえ」
「なら、兄者。あれはどうでござるか?」
「あれ?」
「ほら、あの某宗教のラストシーンの」
「あぁ……あれな……!」
バストの激しいジャスチャーの意味を悟った俺は早速リュックの中から一本の斧を取り出すと、周囲をもう一度グルっと見渡す。
すると……あった。一応。かなり遠くにあるけど、森が。
「よし、バスト。木を刈ってこい、SAN値直葬した木こりの如く」
「ほらきた兄者! へい、燃え盛れマイソウル!」
バストは斧をかつぐと鉞担いだ金太郎の如く時速百五十キロで森へと走りだす。
それから数分後。
「刈ってきたでござるよ。ついでに作ってきたでござるよ!」
そう言って持ってきたのは一本の大きな丸太で作られた十字架だった。
組み合う部分も見事に上手く削られて噛み合い、きれいな十字架を作り上げている。
そこに女神を縄で括り付けると……。
「我、神を討ち取ったり……!」
「磔! 磔!」
「クトゥルフ的にはここで血を絞りたいところなのだが……今回は顔以外にマシュマロをしきつめるという刑に処すということで許してやろう」
「マシュマロ! マシュマロ!」
そうして出来上がったのは意味の分からぬサムシング。
爆睡している女神は丸太で作られた十字架に括り付けられ、その服の内側にはこれでもかとマシュマロが敷き詰められている。
肌がべたべたになりそうだ。とても気持ち悪いだろう。
しかし、見ている側としては結構面白い。
「これってさ。炎系魔法あたったら速攻キャンプファイアーだよな」
「炎系女神が来たときには盾にするでござる」
「そして、それを女神に投擲か。いいぞぉ、それ」
女神からしたらたまったものではないだろうが、まぁ犠牲にするために連れてきているのだから仕方あるまい。
まぁ、それはさておき。
「妹よ……異世界にきてなんだが、何をする?」
「王道パターンならば、この世界は魔王に脅かされ、恐怖に叩き落されているはず。とりあえず魔王をログアウトさせることから始めればよいのでは?」
「確かにそうだ。逆にあえて、国王の髪の毛をログアウトさせて国を敵に回して国と戦争するのも楽しいな」
「絶対殺しちゃだめの縛りプレイでござるな!」
「ついでに国王のパンツもログアウトしてやろうか」
「面白そう! しかし、兄者。ここは王道にいっては?」
確かにそれもそうだ。
あえていきなり異端な部分を責めるのもあり……しかし、普通は王道な道筋を通って物事をこなすべきではないだろうか。
何、王道ルートを通っても面白おかしくできる。それは工夫次第だ。
となると……。
「とりあえず、いつものパターン的に王都を目指してみるか」
「この世界の地図はないでござるが、どうするでござるか?」
「なに。町をとりあえず探していけばいい。町にいくには、とりあえず道だな」
「あ、さっきの森の近くに道があったでござるよ」
「でかしたバストよ。ではそこにむかおうぞ!」
俺と妹と不思議なモニュメントは共に道に向かって歩き始める。
今、俺たちの大大大冒険が始まった!
「そうでござるな。いやはや……むしろこやつはいつ起きているのかも分からないでござるな!」
早速やってきた深夜二時。女神協会が管理している異世界に行く百の門はどれも閉じられているが、一つだけ半開きのものがある。それが、今回目標にしていた駄女神が管理する第九十八異世界門。
駄女神の名前は何だっけな。確か「ニートリア」だったっけな?
「名前から自堕落だなおい。名前にニートが含まれるって悲しくないのかよこいつ」
「何でも女神協会のなかでも一番の落ちこぼれらしいでござる。とにかく仕事をしない、すぐに寝る。その癖に大飯喰らいで、さぼり癖のあるごみ野郎らしいでござる」
「くっそ屑じゃねぇかこいつ!?」
「けど、体は見ての通りすごいでござるよ。すらっとした美人ではなくちょっとグラマラスな体つき。顔は整ってはいるでござるが、そばかすがあるのがあれでござる。しかし、まぁ、美人っちゃ美人でござる」
「女神って基本美人に生まれるらしいからな……どうしようか。このままスルーしてもいい気がしたけど、最悪女神協会の追手が来た時に盾に出来るかもしれない」
「それは名案でござるな。まぁ、でも相手にされない可能性が微レ存でござるが」
「微レ存というかだいぶだよなそれ。でもまぁいいか……一人は馬鹿がいたほうが面白いと思うし、旅には一人くらいはこういうキャラも必要だ」
そういうと、俺は寝ている女神にさらに眠りの呪文を唱え、爆睡したところを手際よく縄で縛りあげる。
それをかつぐと、
「じゃあ、行きますかね異世界」
「目標はなんか調子に乗った異世界勇者が魔王を倒すために躍起になっている世界でござる!」
「こりゃあ楽しくなる気がするぜ! 向こうの世界の人間は俺たちをどう見るんだろうな?」
「多分、拙者は獣人族の一人とか思われて、兄者は普通に姿は人間の男でござるし、とくになにも言われないのでは?」
「まぁ、それはそれで楽しくできそうじゃないか」
俺は門の前にたつと腕を振り上げ、大きくのびをした。
「じゃあ、行くぜ兄弟!」
「いくでござるよ兄者!」
俺たちは手を繋いで大きくのけぞると、扉の光の中へと勢いよく駆け込んでいった。
***
「さぁ、来たぜ異世界!」
「草原! 一面の草ァww!」
「おいおい。草に草生やしたらダメだろバスト」
「それもそうでござるな」
ありふれたログイン画面的な草原の前にはじき出された俺たちは妙に高いテンションの乗ったまま駆け回っていた。
「一面の草原! 人影なし!」
「全身にたぎる解放感! 脱ごうか! 脱いでしまおうか!」
「おいおいバスト。お前の全裸はケモナーにしか受けないぞ?」
やれやれと肩をすくめながら俺は、爆睡している女神に目を向ける。
「しかし、こいつタダ背負っていくのもなんか面白みがないな。どうせ起きないとはいえ」
「なら、兄者。あれはどうでござるか?」
「あれ?」
「ほら、あの某宗教のラストシーンの」
「あぁ……あれな……!」
バストの激しいジャスチャーの意味を悟った俺は早速リュックの中から一本の斧を取り出すと、周囲をもう一度グルっと見渡す。
すると……あった。一応。かなり遠くにあるけど、森が。
「よし、バスト。木を刈ってこい、SAN値直葬した木こりの如く」
「ほらきた兄者! へい、燃え盛れマイソウル!」
バストは斧をかつぐと鉞担いだ金太郎の如く時速百五十キロで森へと走りだす。
それから数分後。
「刈ってきたでござるよ。ついでに作ってきたでござるよ!」
そう言って持ってきたのは一本の大きな丸太で作られた十字架だった。
組み合う部分も見事に上手く削られて噛み合い、きれいな十字架を作り上げている。
そこに女神を縄で括り付けると……。
「我、神を討ち取ったり……!」
「磔! 磔!」
「クトゥルフ的にはここで血を絞りたいところなのだが……今回は顔以外にマシュマロをしきつめるという刑に処すということで許してやろう」
「マシュマロ! マシュマロ!」
そうして出来上がったのは意味の分からぬサムシング。
爆睡している女神は丸太で作られた十字架に括り付けられ、その服の内側にはこれでもかとマシュマロが敷き詰められている。
肌がべたべたになりそうだ。とても気持ち悪いだろう。
しかし、見ている側としては結構面白い。
「これってさ。炎系魔法あたったら速攻キャンプファイアーだよな」
「炎系女神が来たときには盾にするでござる」
「そして、それを女神に投擲か。いいぞぉ、それ」
女神からしたらたまったものではないだろうが、まぁ犠牲にするために連れてきているのだから仕方あるまい。
まぁ、それはさておき。
「妹よ……異世界にきてなんだが、何をする?」
「王道パターンならば、この世界は魔王に脅かされ、恐怖に叩き落されているはず。とりあえず魔王をログアウトさせることから始めればよいのでは?」
「確かにそうだ。逆にあえて、国王の髪の毛をログアウトさせて国を敵に回して国と戦争するのも楽しいな」
「絶対殺しちゃだめの縛りプレイでござるな!」
「ついでに国王のパンツもログアウトしてやろうか」
「面白そう! しかし、兄者。ここは王道にいっては?」
確かにそれもそうだ。
あえていきなり異端な部分を責めるのもあり……しかし、普通は王道な道筋を通って物事をこなすべきではないだろうか。
何、王道ルートを通っても面白おかしくできる。それは工夫次第だ。
となると……。
「とりあえず、いつものパターン的に王都を目指してみるか」
「この世界の地図はないでござるが、どうするでござるか?」
「なに。町をとりあえず探していけばいい。町にいくには、とりあえず道だな」
「あ、さっきの森の近くに道があったでござるよ」
「でかしたバストよ。ではそこにむかおうぞ!」
俺と妹と不思議なモニュメントは共に道に向かって歩き始める。
今、俺たちの大大大冒険が始まった!
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