元魔王の転生先は勇者でした。

鳳仙花

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5話 真相究明

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「うーん。夜だとどの建物が食糧倉庫かわかんねーな」

 この暗さだと、建物が全部同じにしか見えない。
 困ったな。これじゃ探しようが無いな。
 途方に暮れながら歩いていると、曲がり角から何者かの気配を感じた。
 
「やべ、隠れなきゃ」

 さっと茂みに隠れる。心臓の鼓動は早まり、呼吸が荒くなる。足音が大きくなるにつれて体の震えが止まらなくなる。ひっしに足を押さえる。
 すると現れたのは悪魔だった。やつはあたりをきょろきょろしている。息苦しさを感じた。
 そして悪魔は頭をかきながら去っていった。
 いっきに緊張がとけ、その場に座り込んでしまった。

「あぶねー。見つかったら大変なことになってたぜ」

 この村では悪魔がいることは日常らしい。
 ルイスさんから聞いたのだが、20時から5時の間に外を出歩くと悪魔への反逆として捕まってしまうらしい。その後は拷問やらにかけられて最終的には殺されるらしい。
 だから悪魔に見つからないようにこそこそ食糧倉庫を探している。

「なんかやけに悪魔の個体数が多くなったな」

 夜がふけるにつれて悪魔の数が増えている。当然悪魔の気配を感じる回数が多くなり、そのたびのこうして隠れているのだが、さすがに気疲れしてしまった。
 
「ん?あそこに誰か座ってる?」

 へとへとになって民家の家の壁に寄りかかっていると、遠くの方にある木の下に
 誰かが座っているのを発見した。暗くてはっきりとはわからないが、悪魔では無いと思う。だが、この時間に外にいるなんて身の程知らずだな。俺も人のこと言えないんけど。だって現在外にいるしね!
 
「でもなんでこんな時間に……」

 不思議に思って観察していると、その子のほおを涙がつたっているのが分かった・
 それを見たらいてもたってもいられなくなってしまい、その子に話しかけに行ってしまった。

「どうしたの?こんな時間に」

 近づくとその子は女の子だと分かった。顔を伏せているのに加え、フードも被っているので素顔まではわからない。
 するとその子は顔を上げ、口を開いた。

「お母さんとお父さんが連れてかれたの……」

 目元は泣きすぎて赤くはれている。
 フードの隙間からは特徴的な長い耳も赤くなっているのが分かる……長い耳!?

「その、君ってエルフ?」

「……うん」

 うおー!生で初めて見た、エルフ。……じゃないわ。

「……悪魔に連れて行かれたのか」

 はしゃいだ心を鎮める。

「そうなの……一人分しか払えなくて、私の分を払ったの……」

 払う?何のことだ。そういえばこの村で起こっていることを俺は何一つ知らない。気は乗らないがこの子に聞いてみるか。

「俺さ、この村の人間じゃないからよく分からないんだ。今ここで何が起こってるのか教えてくれる?」

 その女の子は一瞬とまどったが、

「わかった。いいよ。……6年前にね……」

 話をまとめると、6年前に「ソロモン72柱が一人、フュルフュールが今日からこの村を支配する。一人につき10000G、月々に払え。払えないものは殺す」と言って、悪魔の小隊とともにサクソン村を占領したらしい。当然村人は反発し、10000Gなんか払えるか、と言いながらフュルフュールたちに戦いを挑んだ、結果は惨敗。見せしめに殺された。そこで村の人たちはこう思ったのだという。「こいつらには勝てない。おとなしく従わなければ死ぬ」と。そこから地獄の生活が始まった。10000G払えないものは次々と殺された。人々はなんとしても生き延びるため、金を盗んだり、お互いに殺しあったりもしたそうだ。そして、この子の家族もぎりぎりで払っていたのだが、先日お父さんの稼ぎがいっきに悪くなり、手元には10000Gしか無かった。だから娘の分だけを払い、連れて行かれたのだという。

「そんなことが……」

 悪魔はそんなことをしてしまっていたのか……。

「助けて……」

 彼女が俺にしがみつき、助けを求めてくる。
 ……すまない。
 俺はその手を振りほどき、その場を去った。
 
 ********************

「ここが食糧倉庫か」

 外に米俵が積んであるからたぶんそうだろう。そして意外と大きい。
 窓から中を覗き、誰もいないことを確認する。

「……いないな、よし」

 中に入るとにんじんやらジャガイモやらが入っている箱がたくさん置いてあった。
 だが、地下への階段は見つからなかった。

「ルイスさんの話ではここの地下にフィオナが捕まっているんだよな」

 倉庫内を歩いていると、箱の下に隙間を見つけた。
 もしかして、と思い箱を全部どかすと地下への階段だった。

「謎解きかよ……」

 腰をさすりつつ階段を降りると真っ暗で何も見えない。

「明かりでも持ってくればよかったかな」

 そんなことを思いながら壁つたいに中を進む。耳を澄ましてフィオナの動きによって生じた音を聞こうとするが、耳に入るのは自分の足音だけだった。

「ほんとにここにいるのか?」

 くそ。名前を呼んでやりたいが、声を出して外に聞こえてしまったら悪魔たちがやってきてしまう。
 地下内を一周したが、結局フィオナは見つからなかった。

「いない?ルイスさんが嘘をついたのか?そんなばかな……」

 だがフィオナがいないことから嘘であることは確実だろう。でもなぜだ?
 
「まさかはめられた?ばかな」

 ルイスさんに疑問を持ちつつ階段を上がると、そこには人が立っていた。俺はその姿を見た瞬間、目を見開いた。

「ル、ルイスさん……?なんでここに?」

 その正体はなんとルイスさんだった。そして背後には悪魔が数人待ち構えていた。

「どうして……俺をはめたんですか!?」

 叫ぶと、ルイスさんは、悲しそうな表情で、

「……生きるためだ、許してくれ……」

 泣きそうな顔を抑えてそう言うと、後ろの悪魔の一人がルイスさんと肩を組んで、

「よくやったぞルーイス。フュルフュール様にはお前とお前の家族を生かしてやるよう言っておいてやる」

 そういうことか。きっとルイスさんもお金が無かったんだろう。だから俺を売った。
 けど俺はルイスさんを恨めない。だって俺もその立場だったら同じことをしたから。
 
「よーう侵入者さん?何しに来たのかなあ?」

「フィオナってやつを助けに来た」

「あーあのピンク髪の女か。あいつは今日の俺らのお楽しみ。奪われるわけにはいかねーな」

 悪魔たちが俺の周りを囲んだ。

「捕らえろー!」

 その声と共に襲ってきた。
 この数なら……たぶんいけるな。
 俺は上に飛び、悪魔を飛び越して包囲網から脱出。

「ちっ、人間のくせにやりおる」

 単純で単細胞。協力性も無くただ自分がやりたようにやる。なんも変わってねーな。

「逃がすなー!」

 逃げようとする俺を悪魔が追いかけてくる。
 その様子をみてルイスさんは震えていた。
 だから俺は彼のそばを通り過ぎるときに、耳元でささやいた。

「気にするな。気にしたら負けだから」

 そして俺は闇の中へと飛び出した。

 
 


 

 

 
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