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1章: こんな所でくたばるわけにはいかないのよ
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「どうしよう。マジで殺される」
イシリアは円筒型の牢に監禁されている。
牢番は一人だが、鉄格子はどうあっても破れるものではなく、窓も小さく抜けられそうにない。
壁はごつごつとした石が何重にも積まれ、見ているだけで胸が圧迫されそうだ。
「おい、飯の時間だぞ」
食事は一応出されはするが、鉄格子の下の配膳口を介しての上げ膳据え膳なので、その隙に逃げるのは無理だった。
「ありがとう。今日もまずそうね」
「馬鹿め。囚人なんかにご馳走が出るわけないだろうが」
食事を与えられたところで、もうあと何日もない命だということはわかっている。
ただ、このまま絶食して潔く自死するにはあまりに期間が短すぎたし、そもそもイシリアに自死などという選択肢はなかった。
何が何でも、この状況から生き残ってみせる。
共和国政府の決定だろうと、民衆の前で大人しく殺されるつもりは全くなかった。
何か、脱出手段があるはずだ。
「ん? どうかしたの?」
イシリアはふと、牢番の不可解な様子に気が付いた。
「いや、別に何でもない」
イシリアに話し掛けられて我に返ったのか、牢番は何事もなかったように詰め所に戻る。
その様子があまりにも気掛かりだったので、イシリアはしばらく彼の挙動を観察することにした。
――もしかして、行けるかも
やがて彼女は一つの脱出手段を思いつく。
処刑まで、あと一日でのことだった。
その日、イシリアは中々寝所から起きなかった。
目は醒めているのだが、あえて寝ているフリをしているのだ。
無論、仮病などという幼稚な策ではない。
定期的に様子を見に来た牢番の足音が近づく。
鉄格子越しにイシリアの姿を確かめて、しばらく彼はその場に留まった。
――いいわ。その意気よ
しばらく動きがなかったかと思うと、小さな金属のぶつかる音がした。
鍵が開錠され、軋んだ鉄格子がゆっくり開く。
「へっへっへ、今なら誰も見てないか」
興奮で呼吸を荒くした牢番がイシリアの方に近づいてくる。
「どうせ明日までの身体なんだろ? だったら今日一日くらい、楽しませてもらうぜ」
そう言って、イシリアに食指を伸ばした瞬間
「とりゃぁ!!」
寝ていたはずのイシリアが飛び上がって牢番に膝蹴りをかます。
鼻柱が思いっきり膝に潰されて、牢番は仰向けに倒れた。
「やったわ! 大成功!」
イシリアはすかさず牢番から鍵を奪った。
「どんなもんよ。パンツとか胸を見せまくったら、いつか発情して私に襲い掛かると思ったわ。悪いけど私、こんな所でくたばるわけにはいかないのよ」
何とも聖女とは思えない下品な作戦であるのだが、命が助かるならイシリアはそれで構わない。
後は手慣れた手つきで牢番の詰所から武器と衣服を奪い、幽閉棟を脱した。
イシリアは円筒型の牢に監禁されている。
牢番は一人だが、鉄格子はどうあっても破れるものではなく、窓も小さく抜けられそうにない。
壁はごつごつとした石が何重にも積まれ、見ているだけで胸が圧迫されそうだ。
「おい、飯の時間だぞ」
食事は一応出されはするが、鉄格子の下の配膳口を介しての上げ膳据え膳なので、その隙に逃げるのは無理だった。
「ありがとう。今日もまずそうね」
「馬鹿め。囚人なんかにご馳走が出るわけないだろうが」
食事を与えられたところで、もうあと何日もない命だということはわかっている。
ただ、このまま絶食して潔く自死するにはあまりに期間が短すぎたし、そもそもイシリアに自死などという選択肢はなかった。
何が何でも、この状況から生き残ってみせる。
共和国政府の決定だろうと、民衆の前で大人しく殺されるつもりは全くなかった。
何か、脱出手段があるはずだ。
「ん? どうかしたの?」
イシリアはふと、牢番の不可解な様子に気が付いた。
「いや、別に何でもない」
イシリアに話し掛けられて我に返ったのか、牢番は何事もなかったように詰め所に戻る。
その様子があまりにも気掛かりだったので、イシリアはしばらく彼の挙動を観察することにした。
――もしかして、行けるかも
やがて彼女は一つの脱出手段を思いつく。
処刑まで、あと一日でのことだった。
その日、イシリアは中々寝所から起きなかった。
目は醒めているのだが、あえて寝ているフリをしているのだ。
無論、仮病などという幼稚な策ではない。
定期的に様子を見に来た牢番の足音が近づく。
鉄格子越しにイシリアの姿を確かめて、しばらく彼はその場に留まった。
――いいわ。その意気よ
しばらく動きがなかったかと思うと、小さな金属のぶつかる音がした。
鍵が開錠され、軋んだ鉄格子がゆっくり開く。
「へっへっへ、今なら誰も見てないか」
興奮で呼吸を荒くした牢番がイシリアの方に近づいてくる。
「どうせ明日までの身体なんだろ? だったら今日一日くらい、楽しませてもらうぜ」
そう言って、イシリアに食指を伸ばした瞬間
「とりゃぁ!!」
寝ていたはずのイシリアが飛び上がって牢番に膝蹴りをかます。
鼻柱が思いっきり膝に潰されて、牢番は仰向けに倒れた。
「やったわ! 大成功!」
イシリアはすかさず牢番から鍵を奪った。
「どんなもんよ。パンツとか胸を見せまくったら、いつか発情して私に襲い掛かると思ったわ。悪いけど私、こんな所でくたばるわけにはいかないのよ」
何とも聖女とは思えない下品な作戦であるのだが、命が助かるならイシリアはそれで構わない。
後は手慣れた手つきで牢番の詰所から武器と衣服を奪い、幽閉棟を脱した。
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