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序章: 夕暮れの街にて
割高な商売
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が、どこまで逃げても風はしつこく追いかけてはスカートの裾を人撫でする。
「きゃー! こっち見ないでぇ!」
この先は大通りに合流するはず。
半べそ混じりの悲鳴と騒然としたざわめきが聞こえてきた。
パンツ丸見えの娘二人がいきなり公道に飛び出してきて周囲の住人も驚いたに違いない。
遂にはどこかの建物に避難したのだろうか。
やがて少女達の悲鳴は、その姿が見えなくなったところで静かになった。
静寂を取り戻した夕暮れの路地に、同じ学院の制服を着た青年がいよいよ姿を現す。
意味深に腕を組み、考え事をしながら少女達を災難に合わせた風を弄ぶ。
「う~む、何かが違うな」
考え事をする青年の下へ、路地の反対側から別の人影が出てきた。
その数、一人や二人ではない。五、六人の男達が鼻の穴を膨らませて青年に親しげな笑みを向けていた。その物腰は漁師から商人、あろうことか紳士までと幅が広い。
「いいもの見せてもらったよ、ありがとうな」
「ああ、そうかな?」
「おうよ、あんなカワイイ姉ちゃん達のパンチラを見られるなんて、そうそうない幸運だぜ!」
「しかもスカートを抑えて恥ずかしがる仕草がこれまた、可愛いんだよな!」
男達は目の保養に高揚していたが、当の青年だけはなぜか納得しない様子。
「いや、違う・・・・・・あれはパンチラではなくパンモロだ。腰回りまで見えてしまっては魅力が半減だ」
青年は真面目に悩んでいたが、男達は呆れた顔を見合わせた。
「え? 同じ、じゃないのか? それって・・・・・・」
「同じなものか! 真のパンチラとは、ギリギリめくれ上がったスカートからちらりと見える太腿の間のデルタこそが真打!! ちらりと見えた布地の一部分から、その上の全体的な柄を推察するところに赴きというものがあるんだ! そのためには風魔法の威力をもう少し微細調整する必要がある」
「・・・・・・そう、なのか。まあ、それはさておき、約束の見物料を払うよ」
男達は各々の財布から一枚の銀貨を取り出し、青年が持つ空き缶に次々と投じた。
「銀貨一枚・・・・・・結構ぼったくるねぇ。まあ、その分いいもの見せてもらったから妥当な相場か」
この国の通貨価値で銀貨一枚があれば上等な葡萄酒一本が買える価格だ。
確かに見物料として出し渋るのも無理もないかもしれないが、青年にとっても商売だ。
「毎度あり」
最後の男から銀貨を受け取った後、青年は付け加えた。
「ではまた来週の土曜日、利用の機会があったらこの場所で声をかけて下さい。それと、今日のことはくれぐれも秘密でお願いします」
青年の忠告に頷いた男達は満足して街中へ散っていった。
銀貨一杯になった缶を握りしめた青年もその場を後にした。
「きゃー! こっち見ないでぇ!」
この先は大通りに合流するはず。
半べそ混じりの悲鳴と騒然としたざわめきが聞こえてきた。
パンツ丸見えの娘二人がいきなり公道に飛び出してきて周囲の住人も驚いたに違いない。
遂にはどこかの建物に避難したのだろうか。
やがて少女達の悲鳴は、その姿が見えなくなったところで静かになった。
静寂を取り戻した夕暮れの路地に、同じ学院の制服を着た青年がいよいよ姿を現す。
意味深に腕を組み、考え事をしながら少女達を災難に合わせた風を弄ぶ。
「う~む、何かが違うな」
考え事をする青年の下へ、路地の反対側から別の人影が出てきた。
その数、一人や二人ではない。五、六人の男達が鼻の穴を膨らませて青年に親しげな笑みを向けていた。その物腰は漁師から商人、あろうことか紳士までと幅が広い。
「いいもの見せてもらったよ、ありがとうな」
「ああ、そうかな?」
「おうよ、あんなカワイイ姉ちゃん達のパンチラを見られるなんて、そうそうない幸運だぜ!」
「しかもスカートを抑えて恥ずかしがる仕草がこれまた、可愛いんだよな!」
男達は目の保養に高揚していたが、当の青年だけはなぜか納得しない様子。
「いや、違う・・・・・・あれはパンチラではなくパンモロだ。腰回りまで見えてしまっては魅力が半減だ」
青年は真面目に悩んでいたが、男達は呆れた顔を見合わせた。
「え? 同じ、じゃないのか? それって・・・・・・」
「同じなものか! 真のパンチラとは、ギリギリめくれ上がったスカートからちらりと見える太腿の間のデルタこそが真打!! ちらりと見えた布地の一部分から、その上の全体的な柄を推察するところに赴きというものがあるんだ! そのためには風魔法の威力をもう少し微細調整する必要がある」
「・・・・・・そう、なのか。まあ、それはさておき、約束の見物料を払うよ」
男達は各々の財布から一枚の銀貨を取り出し、青年が持つ空き缶に次々と投じた。
「銀貨一枚・・・・・・結構ぼったくるねぇ。まあ、その分いいもの見せてもらったから妥当な相場か」
この国の通貨価値で銀貨一枚があれば上等な葡萄酒一本が買える価格だ。
確かに見物料として出し渋るのも無理もないかもしれないが、青年にとっても商売だ。
「毎度あり」
最後の男から銀貨を受け取った後、青年は付け加えた。
「ではまた来週の土曜日、利用の機会があったらこの場所で声をかけて下さい。それと、今日のことはくれぐれも秘密でお願いします」
青年の忠告に頷いた男達は満足して街中へ散っていった。
銀貨一杯になった缶を握りしめた青年もその場を後にした。
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